日本経済

2016年5月2日

【三橋貴明】財務省の狂気

From 三橋貴明

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日本が国連に2億ドル払える理由
財政赤字国のどこにそんな大金が?
TVが放送を自粛する意外な真実とは
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【今週のNewsピックアップ】
インフレ率、再びマイナスへ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12154740175.html
3月実質消費支出5.3%減
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12155028825.html

財政均衡主義は、元々は主流派経済学の「ドグマ(教義)」ですが、もは財務省の信仰と化してしまっています。しかも、政府支出を削るだけならばまだしも、プライマリーバランスを強引に短期で黒字化させるべく、財務省は増税を繰り返し、我が国のデフレ脱却を阻んできました。

そもそも、日本政府の負債(国の借金ではありません)が増えている主因は、特例公債(赤字国債)の増加です。公共投資の原資である、建設国債ではないのです。日本の建設国債の発行残高は、全く増えていません。公共投資の削減を続けた以上、当たり前です。

それでは、なぜ赤字国債が増えるのか。赤字国債は税収の不足を補うために発行されます。すなわち、政府負債増加の原因は、税収の不足なのです。

それでは、なぜ税収が不足するのか。もちろん、国民の所得の合計であるGDPが増えないためです。

それでは、なぜGDPが増えないのか。もちろん、デフレーションが継続しているためです。デフレ期の国が名目GDPを増やすのは、不可能です。

それでは、なぜデフレーションが継続しているのか。もちろん、総需要が不足しているためです。

それでは、なぜ総需要が不足するのか。もちろん、総需要の一部(公的固定資本形成)となる公共投資を政府が削り、更に消費増税や社会保障削減で国民の消費(民間最終消費支出)を抑制しているためです。

それでは、なぜ公共投資が削られ、消費税が増税されるのか。「国の借金」ならぬ、政府の負債が増えているためです。

というわけで、財務省が政府の負債の増加を問題視し、公共投資を削り、消費税を増税すると、総需要が不足し、デフレが継続し、名目GDPが縮小し、税収が減り、赤字国債が増え、政府の負債が増加します。

というわけで、財務省が政府の負債の増加を問題視し、公共投資を削り、消費税を増税すると、総需要が不足し、デフレが継続し、名目GDPが縮小し、税収が減り、赤字国債が増え、政府の負債が増加します。

というわけで、財務省が政府の負債の増加を問題視し、公共投資を削り、消費税を増税すると、総需要が不足し、デフレが継続し、名目GDPが縮小し、税収が減り、赤字国債が増え、政府の負債が増加します。

もういいですね・・・。
このバカバカしい悪循環を延々と続けているのが、95年(97年ではありません)以降の日本なのでございます。

ちなみに、プライマリーバランス管理は、元々は赤字国債の増加を抑制するための発想です。何しろ、建設国債は貸方で負債(国債)が増えたとしても、借方にインフラという資産が残るため、短期の収支管理をする必要はないのです。
ところが、財務省は「なぜか」プライマリーバランス黒字化目標に、建設国債までをも含めてしまっています。

自民党のまともな国会議員たちは、現在、インフラへの投資という財政出動を拡大するべく、動いています。ところが、プライマリーバランス黒字化目標が「束縛」となり、どうにもならない状況で喘いでいます。

仕方なく、政府がおカネを借り、民間企業(JR東海など)に貸し付け、インフラ整備を進めようとしていますが(いわゆる財投債)、そもそもなぜそんな面倒な真似をしなければならないのでしょうか。普通に建設国債を発行し、インフラ整備をすればいいのです。

ところが、現実にはプライマリーバランス目標が縛りとなり、真っ当な政策を推進できない状況になっています。
上記、財務省の「狂気」を国民が正しく認識する必要があります。

さもなければ、我が国は本格的なデフレに舞い戻り、国民の実質所得が減り、実質消費も減り、「パンを買えなくなる」とう悲惨な経済へと突入することになるでしょう。

ーーー発行者よりーーー

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かつて日本は「一億総中流」などと言われ、比較的、経済格差の少ない国だとされていた。その「一億総中流」の経済力によって、大きな経済成長を遂げてきた国だった。

しかし、それも「今は昔」。デフレが深刻化するとともに、経済格差の拡大が問題視されるようになっている。

三橋貴明はその原因を政府が「デフレを甘く見ていること」と「実質賃金を軽視していること」と指摘する。特に「実質賃金」は重要なキーワードであるという。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことだが、要するにモノやサービスを「買う力」を表している。

この実質賃金が、日本では1997年をピークに下がり続けているという。株価が上昇していたアベノミクス初期ですら、実質賃金(=買う力)は下がり続けていたのだ。

なぜ、日本国民の「買う力」は低下し続けているのか。また、この事実はデフレや格差拡大とどのように関係しているのか。

三橋貴明が、デフレの正体やその脱出法とともに詳しく解説する。

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
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【三橋貴明】財務省の狂気への6件のコメント

  1. ろんどなー より

    未だに継続する「失われた20年」のデフレ期にいったい何人の首相と財務相が交代したことか。政治家がこれ程入れ替わってもデフレ状態が20年変わらず継続くなら、まともに考えて「真の戦犯は財務省」としか考えられない。財務省のデフレ促進策をちょっと数えただけで、1)デフレ下でさらに増税しデフレの長期固定化2)東北大震災後の復興税という非情な増税で「復興期」という本来どん底からの成長に転じるはずの絶好の機会潰し3)「護送船団」で守られすぎ甘やかされた日本の銀行の弱体化(財務官僚大量天下りの弊害?)3)に関し、日本の銀行はサービス・金融商品で他の先進国(特に米英)に大きく遅れ、不便で手数料が高い。先進国で類を見ない「保証人制度(本来銀行が負うべき貸し倒れリスクを借り手の親類縁者に無償で負わせる)」という楽な商売を長年続けた結果、リスク・リターンの査定能力を失い、マイナス金利でもリスクに脅えるばかりで積極手にに貸し出し先を作る意欲も無く日銀ブタ積み頼み。金融業界こそ自由化・国際化して競争に晒すべきかもしれない。「財政破綻が〜」と本気で心配するなら国民の負担を増やすより、まず政府の膨大な資産を洗い出して民間への売却を先にやるべき。一等地にある必要のない「公益法人」不動産がゴロゴロあるはず。それにしても、なぜ罪務省はこれほど自国の「異常なデフレ維持」に熱心なのかが疑問。日本が急成長した頃の強烈なジャパンバッシングがトラウマになり、中国を抜いてまたGDP2位になるのを恐れているのか(スパイ説もあるが・・)?日本の長期経済成長戦略、災害に備える強靭化・復興促進政策、世界の不安定化に備えた安全保障の強化が益々必要になるなか、財務省を抑えこれらの政策を進めるためには、省庁改造が必要かもしれない。

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  2. たろう より

    政治家や財務省は企業の言いなりなんでしょう。競争力を高めるためには単純に従業員の賃金カット 安い外国人労働者を使う。費用対効果の少ない従業員は解雇 そういった企業有利な社会を作るために、日本人はより貧乏かつ従順になるべきで財政出動などもってのほか、消費税アップ PBの黒字化を推し進める。三橋さんの言うとおりにすれば日本が良くなることぐらい政治家や官僚の人達も分かっているのに あえてそれをしないのだと思います。国民に多大な負担を強いてボロ負けした大東亜戦争と一緒のことになりそうですね。

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  3. あまき より

    「教会はキリストを人間の好みに合わせるのでなく、人間をこそ、キリストに合わせるべきです。 教理こそが、まさにドラマなのです」     (『ドグマこそドラマ』ドロシー・セイヤーズ)(財政均衡主義こそが、まさにドラマなのです)以下はセイヤーズが本章冒頭で引用したイエスの言葉。「あなたたちは知らないものを拝み、私たちは知っているものを拝んでいる」(ヨハネ4・22)(私たち財務省は知っているものを拝んでいる)

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  4. kanata より

    財務省の目的は、「プライマリーバランス黒字化」ではなく、「日本を経済大国にしない」あるいは「経済大国から引き摺り下ろすこと」にあると思います。財務省は、グローバリストのエージェントとして働いているのでしょう。トランプ現象や欧州の右派台頭など、世界には逆回転の動きも見られますが、グローバリストの野望を崩せない限り、三橋さんの言われる「真っ当な政策」は実現が難しいのでしょうね。

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  5. 吹田のおやじ より

    財務省の官僚は殆どが東大や京大の法学部出身だと思うが、こういう高学歴の奴らは自分以上に頭の良い人間はこの世に居ないと思ってる訳で、自分より高学歴の人間の言うことしか聞きません。自分たちが居なかったらこの国は滅びるぐらいに考えているよいに思う。だから国民の声など聞く耳などもっておらず容易に税制や国債に関する事で変更等しない、増税が正義だと本気で思っており減税は悪以外何物でも無いと考えているのでしょうね。だからGDPの増加で税収が増える言う理屈を言ってもありえないような円安やハイパーインフレを言い募り政治家の質問に答えているのをよく見ます。だから増税して税収が増えなかったら年金から天下りも全部召し上げたら良いのです。リスクを伴わないポジションの奴らにリスクを取らし退官後の生活は窮乏するような仕組みを構築しないと増税で英雄は無くならないでしょう。

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  6. たかゆき より

    Tax Laundering ♪徴税した お金を己の懐に 流し込む知恵に長けた方々が 永田町や霞ヶ関には大勢棲息なさっているのですね。。。社会福祉の財源として 云々、、、社会福祉の「社会」とは彼等の棲息する「社会」を意味しているとすれば彼等の悪行三昧が とてもすんなりとぼくには 理解できるのだ♪

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