日本経済

2016年4月14日

【三橋貴明】日本のデフレ脱却議論の論点

From 三橋貴明

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かつて日本は「一億総中流」などと言われ、比較的、経済格差の少ない国だとされていた。その「一億総中流」の経済力によって、大きな経済成長を遂げてきた国だった。

しかし、それも「今は昔」。デフレが深刻化するとともに、経済格差の拡大が問題視されるようになっている。

三橋貴明はその原因を政府が「デフレを甘く見ていること」と「実質賃金を軽視していること」と指摘する。特に「実質賃金」は重要なキーワードであるという。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことだが、要するにモノやサービスを「買う力」を表している。

この実質賃金が、日本では1997年をピークに下がり続けているという。株価が上昇していたアベノミクス初期ですら、実質賃金(=買う力)は下がり続けていたのだ。

なぜ、日本国民の「買う力」は低下し続けているのか。また、この事実はデフレや格差拡大とどのように関係しているのか。

三橋貴明が、デフレの正体やその脱出法とともに詳しく解説する。

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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 消費税増税で国民経済の崖から転がり落ち、国民の貧困化が続き、ようやく自民党で財政拡大という正しいデフレ対策のための「まともな動き」が出てきました。
 最近、こういうエントリーを上げると、
「三橋は自民党を支持するのか!」(そもそも、党員ですが)
「三橋は自民党支持に誘導しようとしている」
 とか、意味不明なご批判を受けるのですが、わたくしは「政策」を支持、もしくは批判するだけで、党とか政治家に依存した言論はしていませんよ。(以前はその傾向があったので、改めたのです)

 誰誰に任せれば、大丈夫。系の、チャンネル桜の討論でも批判した「救世主待望論」は、もうやめましょうよ。「誰誰に任せる」あるいは「何党に任せる」という発想が、そもそもダメなのだと、さすがに学習したわけでございます。

 安倍政権あるいは自民党の政策であったとしても、敬愛する○○先生(もう、そんな人はいませんが)の推進する政策だったとしても、間違っていれば容赦なく批判するのが、主権者として正しい態度だと思うのです。
 逆に、自民党や安倍政権が推進している、だけを理由に「全て批判」するのでは、以前の社会党や民主党と同じですね。そもそも、自民党は与党であり、政策実現可能性が高いわけです。「正しい政策」が実現に向かう可能性が高いにも関わらず、「自民党だから」批判するなど、意味不明です。

 その種の「オールオアナッシング」で物事を考える人は、是非とも「正しい政策」を「即座に」我が国で実現する方法をお示しくださいませ。「十年後までに政権交代して〜」とかでも別にいいですが、随分と悠長だとは感じます。

 ちなみに、なぜ三橋が自民党員として安倍政権の経済政策を猛烈に批判しているかといえば、そちらの方が「キツイ」と思うからです。だって、共産党からの批判なんて、年がら年中続いているわけで、誰も気にしないでしょう。

 これまでの左派文化人的では全くない、安全保障や経世済民を重視する人間から、容赦なく批判されるのが、安倍政権にとっては一番嫌だと思いますよ。(ちなみに、わたくしは「保守派」だの「保守系」だの名乗ったことはありませんし、名乗る気もありません。勝手に人のことを「保守派の言論人」といったカテゴライズしている人は、今後はやめて下さい)
 以上を踏まえて、以下の記事。

『インフラにゼロ金利融資 政府・与党、財政投融資で最大3兆円
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS13H37_T10C16A4MM8000/
 政府・与党はインフラの整備に使う資金をほぼゼロの金利で民間企業に融資する仕組みを検討する。日銀のマイナス金利政策で発行コストが大幅に低下した国債を増発し、日本政策投資銀行など政府系の機関を通じて最大で3兆円を貸し出す。新幹線の建設といった大規模な事業を進めやすくし、もたつく景気を下支えする。(後略)』

 例の「プライマリーバランス黒字化目標」という呪縛が、現時点でも我が国の財政の手足を縛っています。
 本来、公共投資は建設国債でやるべきですが、なぜかプライマリーバランス目標に建設国債発行分も含まれてしまっています。元々のプライマリーバランス管理の発想は、赤字国債(特例公債)の抑制であり、インフラが残る建設国債は無関係だったのですが。

 というわけで、
「民間企業は、デフレで需要不足であるため、銀行からおカネを十分に借りない」
「政府はプライマリーバランス目標が足かせになり、銀行からおカネを十分に借りない(=国債を発行できない)」
 状況に、日本銀行のマイナス金利政策が加わり、長期金利までもがマイナスになってしまったのが我が国でございます。
 というわけで、「現在の環境」で正しい財政政策を打ちだすべく、政府がマイナス金利で資金調達し、民間に超低金利(ゼロ金利等)で貸し出すことで需要を喚起しようという動きがあるわけです。

 後略部にはあるのですが、対象はインフラ整備、保育・介護等で、具体的には「北陸新幹線の延伸」「羽田空港への鉄道網のアクセス改善」「IoT」などになっています。まさに、インフラや技術への投資ですね。

 日経新聞は、最後に、
「財政投融資の活用案が浮上した背後には、日本がサミットの議長国として世界経済に貢献する姿勢をアピールする思惑もちらつく。成長力を高めるような効果的な投資先を選ばなければ、一時的な景気浮揚策にとどまるおそれがある。」
 と、例により抽象的に難癖つけていますが、そもそも「成長力」とは何なのでしょうか。それはもう、生産性の向上のことでございます。
 現在の日本にとって、インフラや技術への投資が「生産性の向上に貢献しない」と断言するのは、さすがに無理があります。何しろ、我が国は生産年齢人口比率の低下により、超人手不足になっていくのです。

 例えば、北陸新幹線が早期に大阪・関空まで延伸されると、関西と北陸間の移動時間が短縮されます。これを「生産性向上ではない」などと主張する人は、そもそも生産性向上の意味を理解していないという話になるわけです。

 いずれにせよ、インフラにゼロ金利融資は、現在の日本にとって極めて適切な考え方です。
「そもそも、プライマリーバランス目標を破棄すればいいのでは」
 と思われたでしょうし、その通りなのですが、現在の安倍政権や財務省では望み薄だと思います。そもそも、PB目標を閣議決定したのは、安倍政権なのです。
 総理が「消費税増税は間違えていました。PB目標も間違えていました」とやってくれれば、これは大変嬉しいですが、まずないでしょう。
 結局、政治とは「その時点でできることをやる」しかないわけで、PB目標という呪縛に絡めとられながらも、何とか「正しい財政政策」を実施しようとする政治家たちが存在することを、どうか知って下さい。だからと言って、別に彼らを支持しろと言いたいわけではなく、正しい政策について「正しい政策だ」と賛同の声を上げて欲しいのです。

「正しい政策に賛同の声を上げよう!」い、ご同意下さる方は、
↓このリンクをクリックを!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

ーーー発行者よりーーー

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かつて日本は「一億総中流」などと言われ、比較的、経済格差の少ない国だとされていた。その「一億総中流」の経済力によって、大きな経済成長を遂げてきた国だった。

しかし、それも「今は昔」。デフレが深刻化するとともに、経済格差の拡大が問題視されるようになっている。

三橋貴明はその原因を政府が「デフレを甘く見ていること」と「実質賃金を軽視していること」と指摘する。特に「実質賃金」は重要なキーワードであるという。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことだが、要するにモノやサービスを「買う力」を表している。

この実質賃金が、日本では1997年をピークに下がり続けているという。株価が上昇していたアベノミクス初期ですら、実質賃金(=買う力)は下がり続けていたのだ。

なぜ、日本国民の「買う力」は低下し続けているのか。また、この事実はデフレや格差拡大とどのように関係しているのか。

三橋貴明が、デフレの正体やその脱出法とともに詳しく解説する。

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
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【三橋貴明】日本のデフレ脱却議論の論点への6件のコメント

  1. クレヨン より

    もうひとつ。(エラーになるので分けますね。)wired.jp/2015/05/24/first-self-driving-semi-truck/

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  2. クレヨン より

    鉄道もいいですが、こんなのはどうでしょうか。https://www.youtube.com/watch?v=nFB0GCaRosshttps://www.youtube.com/watch?v=X7vziDnNXEY

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  3. ななし より

     やっとマトモな動きが…と言うより、マトモに動かざるを得ない程の状態って事なんでしょうね…。新聞も、急にマトモな事言い出して「急に何だよ!?」って思いました。 もう、日銀に徳政令でも出せば良いのに。前例は有りまぁす!なんつって。日銀で滞ってる現金を国庫に、国庫から市場に引っ張れば良いわけですから。 最近気が付いたんですが、「人口減だから成長ムリ論」の人は、「拡大再生産」のイメージが、ここの先生方と違うんだと思います。 「成長無理論」の人は、「拡大」=「より多く」だと思っているのかなと。一方、ここの先生方は、「拡大」=「より高く(価値が)」なんだと思います。 より多くだと、そりゃ人が増えないと意味無い拡大でしょう。でも、より高い価値を求めるのは、人口に関係なく求められる拡大です。 その為に必要なのが、研究投資と継続的な需要、ですよね?

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  4. 魚住 正実 より

    いつも 拝見しております。やっと、三橋様の訴えられてる事が少し動きだしました、良い事だと思います。 年金問題等で、少し意見を言って良いですか? 大まかですが、60歳からもらえる年金(仮に20万)を期限付き貨幣(円)にして、 例えば、4月1日にチャージされると、4月30日に一旦残高0円になり5月1日には、再びチャージされる、ローン、本人以外使えない電子マネーが出来れば、経済は動くのでは?貯蓄が循環を阻害するなら消費期限付き通貨を登場させれば良いと思います、 仕組みは、およそ解るでしょう、ありがたいことに、日本は円ですから。コメント欄が違う事を承知して、三橋様の目に留まる事を思い書きました。

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  5. 魚住 正実 より

    いつも 拝見しております。やっと、三橋様の訴えられてる事が少し動きだしました、良い事だと思います。年金問題等で、少し意見を言って良いですか?大まかですが、60歳からもらえる年金(仮に20万)を期限付き貨幣(円)にして、例えば、4月1日にチャージされると、4月30日に一旦残高0円になり5月1日には、再びチャージされる、ローン、本人以外使えない電子マネーが出来れば、経済は動くのでは?貯蓄が循環を阻害するなら消費期限付き通貨を登場させれば良いと思います、仕組みは、およそ解るでしょう、ありがたいことに、日本は円ですから。コメント欄が違う事を承知して、三橋様の目に留まる事を思い書きました。

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  6. 神奈川県skatou より

    いつも三橋先生のご活躍をあつく熱く応援しております。インフラに前向きな潮流がありそうなこと、とても心強く思われます。インフラ、とくに国家でないと青写真を描けないインフラというものに、自分は物流、それも都市間物流があるのかと思います。さいきん新幹線、旅客に注目が集まっていると思いますが、もしかするともっと国家の骨組みになるのかなと。自分は運送に詳しいわけでもないのですが、ざっとみて運送コストは重さに比例する燃料費のほかは、人件費、輸送機械とサービスでしょうか。トラック輸送は大型化といっても道路幅が有限なので長車両化しかないと思いますが、運転は人間の視覚、聴覚、反射神経、運動能力等に依存しますので、これは簡単に限界がきます。技術でアシストするとそれはコストになりますから、効率化の逆になるわけで、今トラックドライバーが安い人件費に過密なスケジュールに苦しんでいるのは、きっとそれしか効率化できない、安全とバーターということなのだと思われます。また衝撃は重さと加速度に比例しますので輸送機械の事故の悲惨さは大型化に比例します。人間という必ず一定量は失敗をするものが主体的に制御するトラック運送と言うのは、今後人不足が長期に続きそうな日本において、あまり良い未来のソリューションにはならないというふうに感じております。でも、今流行らない鉄道貨物は、なぜ流行らないのか。これは積み下ろし場所や機械、サービスなどのインフラが膨大で輸送業者や鉄道業者が負担するには重すぎるコストになっているのではないでしょうか。もしも日本の未来というビジョンに、交通事故死ゼロがあるのならば物流において鉄道インフラを国が負担するという選択もあるのかなと思います。特に予定が明瞭な都市間のBtoBならば、と。

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