未分類

2017年8月10日

【島倉原】グローバル化の将来

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

旧ソ連の経済学者コンドラチェフは1926年、
金利・物価などマクロ経済変数の長期動向を分析し、
資本主義経済には50~60年の長期サイクルが存在する、
と唱えました。
いわゆるコンドラチェフ循環と呼ばれる現象です。

彼自身はこうした循環に基づく資本主義再生論を唱え、
権力者スターリンの勘気を蒙り、銃殺されてしまいます。
他方でコンドラチェフ循環に関する研究はその後も進み、
産業構造や国際政治レジームの転換とも結びついた、
歴史的なサイクルであることが明らかにされています。
即ち、金利や物価上昇率のピークからピークまでが、
1つの政治経済サイクルとなっているのです。
(もちろん、そうした長期的なダイナミズムの実在は、
合理的経済人による「均衡」「最適化」を前提とした
主流派経済学にとって、到底受け入れ難いものですが)

実際、そのようにして19世紀以降の歴史を俯瞰すれば、
まさしく今、なぜ米ロ関係や北朝鮮問題が緊迫するのか、
そしてその先にはどんな未来が待っているのかについて、
かなり明解かつ合理的に考察することも可能になります。
詳しくはこちらの論考をご覧ください。

↓「コンドラチェフ循環から見た米ロ関係」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-266.html
↓「北朝鮮情勢とコンドラチェフ循環」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-267.html

さて、そんなコンドラチェフ循環の見地からすれば、
1865年から1920年頃までが1つのサイクルとなります。
アメリカの南北戦争やヨーロッパの普仏戦争で始まり、
帝国主義・第1次グローバル化の時代が到来。
その行き着いた先が第1次世界大戦で、
グローバル化もそこで一旦終焉します。

そんな第1次グローバル化の時代、
産業構造としては「鉄道の時代」という説が有力です。
しかしながら、当時のヨーロッパの統計などを見ると、
電信電話といったアナログ通信技術の実用化を背景に、
交通量よりも通信量の成長率の方が高いようで、
むしろ「電気通信の時代」と呼ぶべきように思われます。

実際、北米大陸横断電信システムの開通は1861年、
大西洋横断電信システムの開通は1866年のことでした。
そうした通信インフラによって情報伝達が容易になり、
広域的な経済活動に必要なコストが飛躍的に低下した。
それがグローバル化の背景になったと言えるでしょう。

翻って現代はどうでしょう。
金利がピークアウトした1980年頃を起点とする、
観察上は4番目のサイクルにあると考えられます。
そして、産業構造の変化の主役はデジタル通信技術。
インターネットの原型であるARPANETが開通したのも、
サイクルの起点の少し前、1969年のことでした。
そうした背景の下で国境を越えた経済活動も活発化し、
第2次グローバル化時代と呼ばれています。

コンドラチェフ循環は50~60年の周期ということで、
次のピークは2030年代半ばとも言われています。
つまり、グローバリズム批判も何のその。
ITブームもまだまだ先は長そうですし、
その頃までは、グローバル化も増々進みそうな予感です。
経済政策のあるべき姿についても、
そのことを前提に、再考してみるべきかもしれません。

〈島倉原からのお知らせ〉
今回取り上げたコンドラチェフ循環については、
主にこちらの文献を参考にしました。
英語ですが、ご興味のある方は是非どうぞ。
http://www.sociostudies.org/almanac/articles/files/kw_1/107-119.pdf

今にして思えば突っ込み不足の所もありますが、
景気循環のダイナミズムが存在する現実の経済における、
積極財政の重要性を実証的に論じた一冊です。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』
http://amzn.to/1HF6UyO

↓ツイッター/フェイスブックページ/ブログでも情報発信しています。
こちらも是非ご活用ください。
https://twitter.com/sima9ra
https://www.facebook.com/shimakurahajime
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/

関連記事

未分類

【三橋貴明】世界の歴史はイギリスから動く

未分類

【佐藤健志】前衛の最大の危機とは

未分類

【島倉原】グローバル化の夢の跡

未分類

【三橋貴明】資本主義を破壊するデフレーション

未分類

【藤井聡】 マスコミの日本経済の過剰な「楽観報道」:「内需GDP」は四期連続ゼロ&マイナス成長

【島倉原】グローバル化の将来への3件のコメント

  1. ホワホ より

    全く逆に、統計的な理論なのに統計的な証拠がない駄目理論
    と言う立場も存在しますね。
    エリオット波動なんかも同じようです。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. たかゆき より

    コンドラチェフ循環

    初出単語でしたので(ぼくにとっては)
    調べてみましたら、、
    さまざまな 循環理論がある
    ということは

    万人を納得させる 循環理論は存在しない。。

    ケイザイガクは 人文科学(社会科学ではない)と認識しておりますので
    今夏の 怪奇物語の一つとして 
    さまざまの 循環理論を眺めてみようかと おもう
    今日この頃 なのだ。。。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

      1. たかゆき より

        言って いいかなぁ。。

        五十年周期って ことは
        千年で 二十個の標本しか取れない、、
        それって カガクじゃあ ないでせう。。。

        返信

        コメントに返信する

        メールアドレスが公開されることはありません。
        * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】大阪北部地震が導く「巨大地震」 〜速やかな対策に向...

  2. 2

    2

    【施光恒】園芸からみえる日本

  3. 3

    3

    【藤井聡】なぜ、南海トラフ地震の被害が1400兆円を超えるの...

  4. 4

    4

    【三橋貴明】どうでもいい目標が亡国をもたらす

  5. 5

    5

    【三橋貴明】歴史上最大の危機

  6. 6

    6

    【三橋貴明】有事に備える

  7. 7

    7

    【三橋貴明】日本国民は「想像力」を取り戻さなければならない

  8. 8

    8

    【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第四十六...

  9. 9

    9

    【藤井聡】「骨太の方針2018」で、デフレ脱却は出来るのか?

  10. 10

    10

    【三橋貴明】経済用語に対する無知を利用したプロパガンダ

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】「骨太の方針2018」で、デフレ脱却は出来るのか?

  2. 2

    2

    【藤井聡】なぜ、南海トラフ地震の被害が1400兆円を超えるの...

  3. 3

    3

    【藤井聡】大阪北部地震が導く「巨大地震」 〜速やかな対策に向...

  4. 4

    4

    【施光恒】園芸からみえる日本

  5. 5

    5

    【藤井聡】「『歴史の謎はインフラで解ける』 〜政府投資こそが...

MORE

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】経済用語に対する無知を利用したプロパガンダ

  2. 日本経済

    【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第...

  3. コラム

    【施光恒】園芸からみえる日本

  4. 日本経済

    【三橋貴明】有事に備える

  5. 政治

    【藤井聡】大阪北部地震が導く「巨大地震」 〜速やかな対...

  6. 日本経済

    【三橋貴明】日本国民は「想像力」を取り戻さなければなら...

  7. 日本経済

    【三橋貴明】どうでもいい目標が亡国をもたらす

  8. 日本経済

    【三橋貴明】歴史上最大の危機

  9. 日本経済

    【三橋貴明】凋落する科学技術力を食い止める

  10. 欧州

    【三橋貴明】イタリアの転舵と日本の「最悪の世代」

MORE

タグクラウド