コラム

2018年3月6日

【saya】鼻は言っている

From saya@歌手/チャンネル桜キャスター

先日渋谷から山手線の電車に慌てて乗り込んだ時の事。
すぐ気がついた。
臭い。そしてスパイシー。
しかし厳密に言うと今まで嗅いだ事の無い複雑でパワフルなニオイ。
いつもの山手線じゃない。異空間、、、。
はっと気がつくとそこにはインド、いやバングラデシュか、、、
おそらくその辺りのお国からやってきたであろうと思われる
黒い肌に豊かな髭、彫りの深い顔立ちに黒い瞳の
外国人がずらっと一列座っていたのだった。

周りをキョロキョロ、、混雑する時間帯にも関わらずこの車両だけ空いている。
隣の車両へ移動する日本人を何人も見た。
どうやらこのニオイに特別な感覚を覚えているのは私だけじゃないらしい。
少しだけほっとする自分がいた。

外国人のニオイに纏わる経験を公に書くと、
差別主義者と感違いされてしまう懸念もあって
おそらく多くの人がタブー感を感じるテーマだと思う。

一般的な話だが、欧米人はアジア人に比べ、
バクテリアを発生させやすいアポクリン腺が多い事は知られている。
また肉や乳製品などの食事の影響でミルクのような香りもあり、
「バタクサイ」という表現はそこから生まれたそうだ。

入浴の習慣がないフランス人は、香水と体臭が混じりあって初めて
人の香りだとする文化があるそうだし、
また体臭が少ないとされる日本人も、明治時代までは
外国人から「Fishy」魚臭いと言われていた。

人種によって体臭は違う。
でもすごく不思議だったのだ。自分自身のファーストインプレッションが、、、
まず、そもそも、なぜ外国人の体臭をクサイと感じ、
そのニオイに嫌悪感を抱いてしまったのか。

個人的には外国人だから、
という理由で人を好きになったり嫌いになったりする事はない。
むしろクサイと感じてしまった自分に罪悪感すら感じた。
にも関わらずニオイという生理的な部分での判断は
私に「No」と突きつけたのは事実である。

ニオイというのはとても生理的なもので、理性の及ばない分野だ。
ニオイを嗅いで、あっ、このニオイは何処何処の人種のニオイだな、
日本とは歴史的に色々揉めたし、ひどい目にもあった、
うん、だからクサイ!! という風にはならない。

脳の言語野を通過せず、反射的に感じとるものであるから
ノンバーバルな情報交換がニオイを通して行われている。
人間の理性やイデオロギーを越えた判断がそこにある。

例えば、モンゴルでは花婿の口臭を花嫁の父親が嗅ぎ、
卑怯な人間か真面目な人間か判断する伝統があるそうだ。
一見非合理な判断基準のように感じられるが、
時を経て口臭は体質や生活習慣、身体の疾患などに影響されうるし、
身体の状態が精神や性格までにも影響するだろうという事は
近年明らかになっている。

また、昆虫や動物の世界で言えば相手が出す匂いやフェロモンを嗅ぐことで
情報を得て、無用な争いを避けたり、巣作りのタイミングを合わせたりと
種の保存に最も適した行動を取る。そこに善悪はない。イデオロギーもない。
長い進化の過程で彼らが選びとった最も効率的な「結果」を生きている。

この昆虫界、動物界でいうところの「結果」というのが
人間にとっての「伝統」とか「慣習」と呼ばれるものになるのかなと思う。

クサイと感じるのは「結果」である。
そこには何か理由がある。諸説あるが、異人種間で互いの情報を伝え合い
無用な関わりや争いを避けるためかもしれない。
または混じり合う事で遺伝子的に弱ってしまう可能性があるのかもしれない。
例えば遺伝的タブーをおかさないよう娘が父親の匂いを嫌うように。

また一方で、異民族同士ゆっくりと関わり、融合してきたという
生物学的な歴史もある。それもまた一つの「結果」である。

しかし、今世界を覆っているグローバル化や多人種ミックス化
それは生物としての本当の「本能の結果」なのだろうか。
生物としての「伝統=自然」なスピードを越えて
経済効率のため、それだけの異常な異人種間の移動がありはしないだろうか。

または本来の「伝統」を「それは差別だ!」とうわべの
友愛で抑え込み、本当は関わらない事が要らぬ摩擦や争いを避け、
互いを尊重する事になるであろう異人種間の関わりを、
一部の人の過剰な「意志」、またはモンスター級に膨れ上がった
「理性」で無理やり推進していないだろうか。

生物としての「伝統」を軽んじ「理性」でのみ生きようとするのは
人間という生き物にとって、とてつもなく危険ではないだろうかと
私の鼻は言っている。

あ、私の鼻が言っているのであって、
私が言ってるわけではありません(笑)
苦情は私の鼻へお願いします(汗)

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【saya】鼻は言っているへの3件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    Sayaさん、大胆正鵠ですね。感服いたしました。

    においの話題はおっしゃる通り、差別するための道具としてみなされることもあり、タブーしてしまって避けてしまう話題ですよね。
    そして嗅覚という、生物的に本来的なものの無視とは、生き物たる人間の側面を、最近思いついたうすっぺらな理屈で封じ込める愚というのは、はたしてどうなのか。これは人類史的にも大問題なのかなと自分は考えてます。

    人は理屈のみにあらず。理屈を至上とするならば、
    人は人でなくなるしかない、
    いや、生き物でなくなるかもしれない
    生き物でなくなれば、生きている必然性もない
    それは人類の終焉ではないか

    ちょっと話が超インフレしました。

    以前、生物学で神経系の発達ということを調べたのですが、人は大脳が発達しているのは周知ですが、もっと古い脊椎動物、爬虫類は、嗅覚を司る脳がとても肥大しているそうです。
    (見て考えるのではなく、嗅いで考える?)
    それを踏まえての話は、実は自分の野望?に近くなるのであまり言及できないのですが、実は人が議論で尽くせない、大事なものを感じたり把握するための、大事なポイントではないかと思うのです。

    昔の人は今の人のように、複雑・構造化された言葉をほとんど使わない代わりに、それは弱視の人の幾人かは耳が鋭いように、現代の我々の感じられないような、なにかを知り、それがダイレクトゆえに人生の、社会の、共同体の道しるべにも、なっていたのかもしれません。
    (さいきんの時代劇がしらける理由です)

    その後人は伝えやすくするために言葉という表象をさかんに作り出し、用いて、それにより文明はずいぶん高度になったとしても、表象だけを操作していては、そして表象そのものが神髄だと勘違いすれば、たちまち迷路に入り込むか、あるいは虚無から逃れられなくなる。
    (私はインテリではないので虚無とは無縁です)

    やっぱり未来の議論に、われわれの鼻さんも、参加してもらうべきですね。

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  2. shikishima より

    面白い考察ですね。

    >モンゴルでは花婿の口臭を花嫁の父親が嗅ぎ、
    卑怯な人間か真面目な人間か判断する

    そう言えば、とある心理カウンセラー的な人が
    「嘘をついている人は口が臭い」
    と言っていました。彼女の経験からそのように結論付けたそうです。

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  3. かずぅ より

    戦後日本人が絶対的価値観として信奉してきたものは実は単に特定の勢力によって押しつけられただけってのが多いです。
    「自由」もその一つですよね。
    そりゃ不自由より自由のほうがいいですから、それにケチをつける人はいない。
    しかし「自由」がイデオロギー化して暴走を始めると、今起きているような強者の自由だけが優先される世の中になる。
    実は「自由」が素晴らしいことというのは元はアメリカ一カ国の価値観にすぎんのです。歴史的な経緯からアメリカがそのような価値観に至ったのはそれなりの理由がありますが、問題はアメリカが大国であったがゆえに、その価値観を多くは暴力によって世界に押しつけてきたことですね。

    本来「自由」にいいも悪いもないです。
    我々には無制限の自由なんてない。ないからこそ平穏に生きられるともいえる。経済行為の自由を推し進めようとすると小さい政府がよいとなりますが、それによって不幸になることもある。
    何が本当の幸福で、何が本当のよい国なのか。やってみなくちゃ分からないことがたくさんあるのが人間社会。
    イデオロギーや理念で決めちゃいかんのです。
    だから本能とか生理的違和感ってすごく大切だと思うんです。
    sayaさんの知らない一面が知れる良いコラムでした。

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