コラム

2018年2月6日

【saya】ほしいものが、ほしいわ

From saya@歌手/チャンネル桜キャスター

1988年の西武百貨店の広告ポスターには『ほしいものが、ほしいわ』の
キャッチコピー。コピーライターとして全盛期の頃の糸井重里さんの作品です。
当時まだあどけない宮沢りえさんの横顔が可愛くて、このポスターの前で
足を留めた方も多かった事でしょう。

今あらためて振り返ってみて、『ほしいものが、ほしい』
この言葉には二つの意味があると推測します。

欲しい物を手にいれたいというストレートな意味と、更に
『心から欲しいと思えるようなもの』がほしい、という意味と、、、。

まだまだ日本が好景気で欲しいものを容易く手に入れられる時代だったからこそ、
心から渇望する素敵なものに出逢いたい、という今思えばどこか贅沢で、
同時に空虚さをも漂わすそんなフレーズですね。

さてさて、それから30年、、『ほしいものが、ほしい』という言葉は
当時とはまた違った意味で私の心に突き刺さってきたのです。
しかも百貨店の高級品コーナーではなく、
とっても身近なコンビニエンスストアにいる時に、、、。

先日、某コンビニで某プレミアム商品がずらりと並ぶのを前にした時、
私は再びこの言葉を思い出したのでした。

食品から生活用品まで全て、ロゴと色彩を統一されたパッケージ、
不自然に均一化された価格、
商品をひっくり返せば消費者にとってお馴染みの製造元はかろうじて書いてあるものの、
それぞれのメーカーのカラーを排除し、匿名性でパッケージングしてある。

おそろしく整然とそしてどこかふてぶてしく
某プレミアム商品たちは私を見つめていたのです。(あくまで個人の感想です)

そうそう、ふてぶてしく感じてしまったのは、
実際には生産はしていない小売店が、あたかも自分たちで作りました、
という雰囲気を醸し出している点と、

プレミアム商品とそれ以外のメーカー独自で販売している商品を
あえて並べて陳列し、[ねっ、こっちの方がお得でしょ?]と
各メーカーを競争させた上に得られた価格の優位性を
あざとく(いやわかりやすく)アピールしてる点だったかもしれません。

とはいえ、ここでコンビニエンス業界のやり方を批難したくて
こうした事を書いているわけではありません。

ただ『ほしいものが、ほしいわ』とあの言葉を呟いてしまう自分がいたのです。

皆さんもこんな風に感じる事ってありませんか?
日本中どこへ行っても同じ品揃えだなぁ、、
どの駅前にも同じチェーン店が並んでるなぁ、、
イトーヨーカドーはある時点から大きなセブンイレブンに
変わってしまったようなものだし、
どの地方に行ってもユニクロがあり、イオンのショッピングセンターがあり、
一等地や街道沿いには大きなパチンコ店があり、
同じような景色が広がっているなぁ、、、と。

人が何かを欲する時、そこでしか触れる事ができない独自性や地域性や価値を
求めると思うのですが、
長らく続いたデフレの結果そうしたものが庶民レベルではすでに手に入らない
贅沢品になってしまったのか、
または過度な自由競争の結果、独自性や地域性をほとんど排除した小売の形態しか
生き残れなくなり、心を揺さぶる素敵なもの自体が日本から消えつつあるのか、、、

実態は正直把握しきれませんが、陳列棚の前にいる時、
多様なようでいて実は選択肢が少ない、
とても豊かな共産国にいるような気がしてしまった今日この頃なのでした。

ほしいと思える価値あるものを生み出す事ができるのは
日本の強みだったはずです。
欧米型の資本主義や行き過ぎた自由競争が、やがて魅力的な価値あるものを生み出す
土壌自体を打ち壊す事にならないよう切に願います。

さてさて、ここで一つお知らせです。
当方心から『ほしい』と思ってもらえるコンサートにするべく
心を込めて頑張っております。
3月8日(木)は是非渋谷JZ Bratへ !!
是非生の歌声を聴きにいらして下さい。

3月8日(木)「3/8さやの日スペシャルコンサート ミラクルday」
毎年恒例の3月8日はsayaの日スペシャルライブ。
昨年11月にリリースした『ミラクル1/2』に続いて『ミラクル コンプリート』を
発売します。とことんシンプルに、声とピアノだけで紡ぐ溢れる想いが
心を芯から温める究極の一夜。春はもうすぐそこに、、、
Members
saya(vo) 塩入俊哉(p)
Show Time. Open 17:30
1st Start 19:30. 2nd Start 20:45
入替なし 予約¥4,500 当日¥5,000
会場 : 渋谷 JZ Brat Sound Of Tokyo
https://www.jzbrat.com/liveinfo/2018/03/

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【saya】ほしいものが、ほしいわへの7件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    >「とても豊かな共産国」

    おもわずオフィスで手を叩いて笑ってしまいました。
    前回のお話しに続き、今回のお話し、ぜんぶ最もだと、なんだか心強く思ってしまいました。視点が現場目線で、理屈に流れがちな方々に対して、とても新鮮(辛辣!)です。

    笑い話で、人類史上最も成功した社会主義国家は高度経済成長の日本である、がありますが、いまや、社会主義どころか「共産国」、PB商品のご指摘は、思わず本当にそう見えてくるから、慧眼です。パッケージにワンポイントデザインで、毛主席の肖像画でもプリントしたら似合いそうですね。

    >または過度な自由競争の結果、独自性や地域性を
    >ほとんど排除した小売の形態しか生き残れなくなり、
    >心を揺さぶる素敵なもの自体が日本から消えつつあるのか、、、

    まったく^10です。
    今や日本人が忘れてしまったもの、なぜ忘れたかと言えば、それを望むことが許される資金的余裕が消費者=労働者になくなったから、これぞデフレが社会に与える破壊力かと自分は思います。

    >ほしいと思える価値あるものを生み出す事ができるのは
    >日本の強みだったはずです。

    日本の企業はきっと、「ほしいものが、ほしい」を作り出すに向いた構造なのではと常々自分も思っています。なので国際的な「安いもの」競争は極めて不得手で、失われた20年で、そのムリがムリを呼び、労働のブラック化、経営の不正化になったのではないか。。。

    もしもそうだとすれば、これは個々の会社だけの責任なのだろうか?
    ありうべき日本経済とはなにかという点で、橋本内閣以来の、国のかじ取りである、政治、官僚、言論人の責任はないのか?と
    思っています(責任を取らないのならば、世代交代ですね)。

    消費に罰則を与える効果の消費税など撤廃し、資本主義経済で豊かで文化的な暮らしを取り戻し、本当にほしいものは何か、を追求する時代にさせたいと思っております。
    きっとバブルのとき出せなかった答え、本当の豊かさとはなにか、これからの時代=世代ならば、前よりよい答えが日本人には出せると思っております。

    私はといえば、ロボット掃除機なんて要らなくて、もっともっと豊かな暮らし、それは暮らしを自分で創る暮らし、なんて思ってたりします。。

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  2. Komiyet より

    何も考えず「今はそういう時代」と口にする。

    あんたもプレイヤーの一人。加害者の一人。

    貧者の被害者意識の方が行き過ぎている。

    何もしなければあなたも加害者になるだけ。

    被害者は、まだ生まれていない日本人です。

    自分も加害者の一人であるとやっと気が付いたので、

    傍観者の口だけ偽善者。根底にある被害者意識。

    そういうことがよくわかるコラムでした。

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  3. とすくん より

    「多様なようでいて実は選択肢の少ない…」全く同感です!…話は少し違いますが諸先輩方とはなしていても景気の話になるとたいてい結論が「…これからの日本はもうアカンやろ…」です。これはもう一種の洗脳です。立派な(それなりの)実績を積んでこられた方々が皆、口を揃えてそう言うのです。異様な光景だとしか思えませんね。あなた方は一国一国その細部まで見てきたのか?検証したのか?と問いたい。言えませんでしたが(笑)それこそその場はコンビニのプライベートブランドのような、口を挟む余地を与えない統一感に溢れておりました。

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  4. たかゆき より

    ほしいもの

    1:国家の主権
    2:まともな 政府

    とりあえず 上記二つ

    「籠に乗る人 担ぐ人 そのまた草蛙を作る人」という戯れ歌が
    政治の世界ではあるそうな、、

    口を開けて上を向いていても 上記二つは
    天から降ってはまいりませんでせうから

    まずは
    草蛙の材料となる良い稲づくり

    何年 何十年の時を要するかは 見当もつきませんが

    あしはらの みずほのくにに たむけ とす。。。

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  5. たけちゃん より

    欲しく無い物をごり押しする供給側にとってデフレは又と無いチャンスでしょう。恵方巻きとかゴデイバチョコレートとか無印悪品とか、電通によって作られたブランドよりも自身の目利きで欲しいものを探しましょう、地方は貧乏少子高齢化でそれはできませんが東京はまだまだ個別に探求する事ができます。

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  6. ぬこ より

    ミッツ事件以降、ありもしない誹謗をしてミッツから離れる「所謂」保守派が多いなか、こうした筋の通った活動ができるSayaは
    中々の娘っ子どすわね。

    自説を曲げないミッツは本当に凄いわよね。
    自説を曲げないと言うより、客観的な官公庁の情報を基に評論しているから余計な脚色が要らない分、変な言い訳しなくて済むという事かもしれないですけど。
    自民党で出馬する少し前からミッツの事知って、それ以来応援してますけど、本当に凄い人だわ。

    小生も、元IT系(ミッツのIBMと近しい企業(笑))で、会計試験経験者(但し、小生は8回受験して不合格のち挫折)と言う処で、憧れの的やね。

    小生の様にめげずに自分を貫き通す辺りも凄い漢やて。

    そして、そんなミッツが厳しい状況になっても投稿しよる弁士SAYA。
    本業の歌手活動にも影響があるかもしれん中、よく決断しよったわね。
    桜見始めた時は、そのじゃじゃ馬っ娘ぶりが、ちょっと苦手だったけど、ほんまsayaも良い娘っ子になりよった。

    3/8、再夜ちゅう事なのかしらん??
    約束はできんで~~

    詠み人 ぬこ

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  7. 反孫・フォード より

     1988年と言えば政府が売上税を導入しようとした年、外資によるM&Aが進み始めた年、ニートが膿まれ始めた年、βがVHSに呑まれ(高技術が購買されなくなり?)始めた年
    ・・・・この時代から考えればデフレーションは30thだと思えてなりません。

    デフレーション脱却を最近口にする機会が無くなった気がする総理が、国民にデフレーション脱却を正確に解く説明をする日はミラクルに近い気がしてなりません。

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