コラム

2016年12月12日

【三橋貴明】想像してごらん 国なんて無いんだと

From 三橋貴明

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日本が国連に2億ドル払える理由
財政赤字国のどこにそんな大金が?
TVが放送を自粛する意外な真実とは
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【今週のNewsピックアップ】
グローバリズム対グローバル化疲れ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12225794406.html
現在の世界の根本的な問題を知ろう
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12226118123.html

イギリスのブレグジット、アメリカ大統領選挙に
おけるトランプの当選、オーストリア大統領選挙に
おける自由党の健闘、イタリアのレンツィ首相の
国民投票における敗北など、現在の世界は
「グローバリズム 対 グローバル化に疲れた国民」
の対立によって動かされています。

右翼 対 左翼。保守 対 リベラル。といった、
旧来の対立構造で世界を理解しようとすると、普通に間違えます。

そもそも、三橋に言わせれば、現在の日本は
右翼も左翼も、保守もリベラルも「グローバリズム」です。
グローバリズムを左翼、リベラル風に
言い換えると「地球市民」となります。

国家を否定し、国家の役割を否定し、国境を嫌悪し、
「ヒトが、モノが、カネが、情報が、地球上において
国境を越えて自由に動き回れるようにしよう」
というグローバリズムの教義には、
別に朝日新聞であっても反対しないでしょう。
実際、朝日新聞はTPPを礼賛し続けました。

ジョン・レノンの名曲「イマジン」に、
「Imagine there’s no countries
(想像してごらん 国なんて無いんだと)」
という歌詞があります。

うん。実際に国がなくなったら、人々はあらゆる法律、
規制、ルールから「自由」になり、強者が弱者を虐げる、
北斗の拳の「ヒャッハーッ!」な社会が
誕生することになるでしょう。何しろ、
法律を制定する「国」がないのです。

誰にも縛られず、誰の束縛も受けず、
やりたいことがやれる自由な社会。

つまりは、強者が敗者を踏みにじっても、
誰からも批判されないどころか、それが「普通」の世界。

ルールなき世界において、誰もが「フェア」に競争し、
勝ち組と負け組に分かれていく。負けた者は、もちろん自己責任。

その種の弱肉強食の時代が訪れたとして、
それは果たして「人類の進化」なのでしょうか。
三橋は普通に「退化」だと思います。
人類は、獣の時代に戻るのです。

人間が健康で文化的、かつ豊かで安全な生活を送るためには、
健全な共同体としての「国家」が必要なのです。国家が
法律を制定し、「獣の時代」の到来を防ぐ。我々国民は、
有権者として投票し、国家の法律制定に関与する。

少なくとも「方向」としては、国民が主権を行使し、
国家の法律制定に影響力を発揮することが、
「進化である」と表現しても構わないのでは
ないでしょうか。(そういう意味で、
中華人民共和国は相対的に退化した国家です)

無論、話はオールオアナッシングではないため、
「ならば、国家が全てを規制すればいいというのか!?」
などと、極論で反論するのは「頭が悪い人」の誹りを免れません。
完全自由社会と、完全統制国家との間には、
無限のバリエーションがあります。

現在の世界は、国民が置き去りにされ、
「完全自由社会」の方向に天秤が傾いてしまっている。
だからこそ、民主主義による反乱が起きていると解釈するべきです。

2017年も各国で選挙が続き、グローバル化に疲れた
人々の「票」がますます力を持ち始めることになるでしょう。

やはりイギリスのブレグジットは、「例により」大転換の
始まりであったことが確定するのではないかと予想しています。

—発行者より—

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★★★★★:市川道教のレビュー

今年3月、日銀がマイナス金利など、素人には意味が
全くわからないので少し勉強してみようかなと、
軽い気持ちで、月刊三橋に入会しました。

それまで、政治や経済はあまり自分とは関係ない、
というか、考えても、実質的に自分の力が
及ぶことはないので、真剣に考えてなかった。

しかし、実体経済の原理から、GDP、所得などを
コンテンツで勉強したおかげで、英、独、米での
大きな動きがあった、2016を冷静な目で見ていられた。

大袈裟かも知れませんが、人生で一番、
勉強した1年だったように思います。

また、財政破綻の嘘の話を、友人たちに話すと、
その反応がいろいろで面白かった。

でも、まあ、友人たちの半分は、それでも、
財政が〜〜、と言い続けてます。

さて、今月というか、今年のまとめは、
CSIS元研究員の某議員のような、あるいは、
パソナ役員の某氏のような、日本の貧困を利用して、
人気取りや利益を得ようとする輩との闘いが
マジで始まったと覚悟することですね。

来年も期待しています、よろしくお願いします。

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【三橋貴明】想像してごらん 国なんて無いんだとへの10件のコメント

  1. 名無し より

    国(国境)なんてものは、もちろん幻想である。そもそも世界、人間存在が幻想なんだから、それは当然だ。しかし、たかが国、されど国ということもある。つまり色即是空、空即是色ということだ。空にばかりこだわったレノンは馬鹿者だ。そして彼に追随した連中も。ヨーコはいまだに馬鹿者でいるのか。

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  2. 松本洋昭 より

    経済学では国家を制度とするでしょうが、この歌の詩ではcountoryは心に巣くう利己主義とかエゴイズムとか心の分断のことだと、私は思っています。また、heavenはもしかしたら、暗にGodを指しているのではないかとも、かってにおもっています。次元の混同、と思います。

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  3. 神奈川県skatou より

    さて詩人というのは本物ならば言語的、あるいは抽象的な「主義主張」などに拘泥しないはずであり、もし本当のパイオニアならば、一見コスモポリタンを標榜したとしても、その裏にある虚無にも当然肉薄するはずです。また自分の見えない「世界」など語るはずもないのです。虚無を受け止められないのは二流な証拠で、自分はジョンレノンという人に興味ありません。輝く今日とまたくる明日他にはなにも残っていない

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  4. 學天則 より

    >死ぬますよ。死にますよここを赦されますよ、と書いてもおかしくない。普段の祈りを捧げる事を怠って、代わりに自らを全焼の供物とするのだから・・・。誤字脱字はもはや私の個性。いろいろと生き急いでおり、ご容赦をw

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  5. 學天則 より

    聖書を引用しなくても、事は個人の健康管理と同等の問題です。要するに国であろうが、企業であろうが、個人であろうが普段からきっちりしてないと、神が口先だけではない嘘かどうか、信仰を試される、いざと言う時、病気や事故で死ぬますよと言う話だ。自由主義であろうが、民主主義であろうが極端化は個人で言えば不健康だ。個人レベルだって自由と民主主義がそこにある。正義の追求をそのものを快楽として、高尚に物事を論じる事を好むのは人間だけだ。快楽の追求そのものが目的化したお猿さん連中にはそういう個人の健康管理に例えて解りやすい物言いをするしかない。所詮、それも対処療法ですがね。あるのは絶望だけだ。

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  6. とすくん より

    レノンのソロ期は才能の枯渇というか自身の良さを見失ったかのようなもぬけの殻感満載です。イマジンはその象徴的な一曲と言えるのでしょうが何故か「名曲」に崇められる有り様。イマジン=名曲論には最初からいつも「?」マークでした。歌声も弱々しいしメロディもポールと比べてパッとしない(笑)歌詞も恐るべしサヨク地球市民マンセー主義だったわけですね。勘違いというものは誠に恐るべしものです。

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  7. 赤城 より

    国が無くなってもその土地で力の強いものが勝手に自治しだすことだろう。つまりはより多くの国や政府に束縛されるだけだ。グローバル資本主義者はそんなこと望まないのでアメリカ盟主の強者が最も利益のある経済自由世界を実現することが理想。EUとTPPをくっつけて世界を1つの規制だけにするのが目標だろうか。その規制を作るのも変えるのも関与できるのはグローバル資本利益者のエリートだけ。有名アーティストに多いのは今でもお花畑の理想を歌っている人たち。悪夢のEUにあってさえ北欧で未だに移民融和の理想を話している最近のインタビューを見た時どこの世界でも地球市民主義者は日本と同じだなと思った。しかもそれは最も過激な音楽の部類の元デスメタル有名バンドです。

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  8. wonders より

    プーチンが国家主義者と言われる。評論家からすれば全近代的と批判されたりする。しかしそうだろうか?国家があるから民族のアイデンティティが守られ、それがあるから社会に連帯性が生まれる。物理学でいえばこれはエントロピーと同じで熱い水と冷たい水が混じり合ってしまえばぬるい水となりそれで終わる。熱的終焉ということだ言い方が悪いがみんな同じ文化言語の人間だらけなら70億人も要らない自然界なら地球環境で養える分位まで間引かれるだろう実は個性こそこの世界で生き残るもっとも重要なことなんだと理解しないと人類自体がが終わる

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  10. 古川能久 より

    ジョンレノンのイマジンについてのメルマガ拝読しました。三橋さんの思想、賛成出来る点、出来ない点、考えは人それぞれありますから同じ考えの人間は一人たりともいない、それを前提に、今回のメルマガについて。(三橋さんと私、タメ歳だったこと、最近知りました。)レノンのイマジン、あの時代はベトナム戦争のころ、東西冷戦、その代理戦争の真っ只中、社会体制のイデオロギー対立が戦争と言う安直な歩方法で解決を試みようとし、おびただしい犠牲が生まれた、国、イデオロギー、その対立がなければお互い血を流すことなく、見せかけかもしれないが戦争は回避できた。レノンは国のイデオロギーを悪と考えた。あの時代はそこまでの思想しか及ばないのは仕方がないです。一方、核を持った今の世界、迂闊に戦争なんかできない、経済的戦争、所謂グローバル化で多国籍企業による搾取で経済的貧富の差が拡大した。これは一種の経済戦争。しかも今度は国に関係なく資本家と、労働者の対立。これは国という概念を越えた対立。それぞれの国柄を無視した資本家主導、コーポラティズムでありそれぞれの国が反グローバル化に傾くのがいまの時勢、レノンのイマジンと、現在を重ね合わせるのは、時代背景を鑑みると無理がありあせんか?

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