From 島倉 原(しまくら はじめ)@評論家
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2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。
こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。
三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、
『月刊三橋』最新号はこちら
>http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
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おはようございます。
「奇しくも元旦の執筆を担当することになり、…」というのが私にとって本年の書き初めでしたが、図らずも今回、大晦日の執筆までも担当することとなりました。
また、本年は私にとって、通年で執筆に参加した最初の年でもあります。
というわけで今回のお題に入る前に、この1年間を少々振り返ってみたいと思います。
新年号では、前月の総選挙で繰り広げられた雇用環境の改善を巡る与野党の議論を取り上げて、「アベノミクスで雇用環境は改善している」という与党の議論は不当なのではないか、と述べました。
その際、「今後の状況を悲観させる不吉なシグナル」としてご紹介したのが、「異次元金融緩和が雇用環境の改善をもたらした」と主張する岩田日銀副総裁のこちらの論稿でした。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO81271810U4A221C1KE8000/
その後、「失業率が低下し、雇用環境は著しく改善している」「家計消費は改善の兆しが見られない」という一見相反する政府発表やマスコミ報道が続いたのが、この1年であったように思います。
こうした矛盾する状況を先月改めて読み解いたのがこちら、『消費の改善につながらない雇用の実態』です。
残念ながら「不吉なシグナル」は、少なくとも「当たらずと言えども遠からず」であったようです。
http://foomii.com/00092/2015112901194730050
岩田副総裁といえば、今年5月27日に行った講演で、「現在の株式市場に過度の強気化は見られず、バブルではない」という趣旨の発言をされたようです。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NOZMPH6K50XZ01.html
よもやとは思うのですが、過去のジンクス(?)に従えば、これもまた、そのあたりが中期的な株価の天井であったことを示す不吉なシグナルだった、というのが来年の今頃には判明している…かもしれません(笑)。
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=998407.O
今年は、異次元金融緩和が掲げていた「2年程度で2%のインフレ率目標を達成する」というコミットメント(約束)が果たされなかった年でもありました。
そんな中、読者の皆様も含めた本メルマガ関係者の多大なご支援のもと、岩田副総裁に代表される「リフレ派」の欺瞞を徹底的に検証し、積極財政の重要性を訴える拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』を刊行することができました。
金融緩和に偏り、緊縮財政が継続される政策の歪みを正す論拠として、一人でも多くの方々に活用されることを願ってやみません。
http://amzn.to/1HF6UyO
また、本書をご覧になる機会のない皆様も、積極財政の重要性、すなわち、
「日本経済の停滞は、金融緩和の不足ではなく緊縮財政と共に始まっている」
https://twitter.com/sima9ra/status/669165227120824320
http://on.fb.me/1LxuFJ6
「経済成長率が高い国ほど、財政支出を積極的に拡大している」
https://twitter.com/sima9ra/status/669166143022612480
http://on.fb.me/1Nbx4P9
ことを示した上記グラフの共有、拡散に引き続きご協力いただければ幸いです。
さて、政策の歪みといえば、TPPの大筋合意に代表されるグローバリズム、新自由主義的傾向がより一層強まったのもこの1年。
というわけで、ようやく本日のお題にたどり着きました。
グローバリズムは経済政策として本来目指すべき「国内経済の活性化」と矛盾するし、国際紛争のリスクも高める、というのがこれまで述べてきた議論です。
加えて今回着目したのは、仮にグローバル化を前提としても、政策原理としてのグローバリズムが、日本国民のみならず、日本企業にとっても果たして合理的な選択肢と言えるのだろうか、という論点。
それについて経営学や比較文明論の見地も交えてまとめた論稿がこちら、『グローバリズムの非合理性』です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-133.html
世界の貿易統計を踏まえれば、国際貿易の存在感が高まるグローバル化が進展しているのは紛れもない事実。
しかるにその実態は、「グローバル化」という言葉が想起させる「全世界の一体化」ではなく、「地域内経済活動の活発化」。
そんな状況だからこそ、一国で1つの文明圏、ひいては巨大な地域経済圏を構成する日本としては、国内経済活動の活性化に努めるのが、企業にとってすら合理的な選択といえるのではないか。
そんな議論を、裏づけとなりうるデータや学問的知見も紹介しつつ展開しています。
最後に、来年の展望という意味では、新興国経済のリスクを中心に昨年来述べてきたグローバル経済の動向も、引き続き要注目でしょう。
ロシア、ブラジル、そして中国と、新興国経済の危うさはどうやら現実のものとなったようですが、そんな中、先進国、そして世界の中心的存在であるアメリカの中央銀行FRBが、先々週利上げを実施しました。
そうした動きとアメリカの実体経済、そして通貨や株価とはどのように結び付くのか…景気循環論の観点から考察したのがこちら、『FRBの利上げと金融循環』『実体経済指標から見たアメリカ経済と株価の行方』です。
http://foomii.com/00092/2015122000100030425
http://foomii.com/00092/2015122700000030545
改めましてこの1年、ご愛読いただきありがとうございました。
読者の皆様も、どうぞ良いお年を。
↓↓発行者より↓↓
2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。
こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。
三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、
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>http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php
【島倉原】グローバリズムの非合理性への4件のコメント
2015年12月31日 4:08 AM
「なんだかわからない」がどの部分を指してるかも分かりませんし、「やりすぎ」が何をやることを指しているかも分からないですし、過ぎる・過ぎないの基準も分かりません。一月前に有料サイトに公開した情報を無料サイトに公開出来ないことは容易に想像がつきそうなものですが。水と安全とあらゆる情報がタダで手に入ると思っている人は、「自分は世間知らずです」と自ら言っているようなものです。
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2015年12月31日 10:29 AM
foomiを購入しなければなんなんだかわからない投稿はちょっとやり過ぎじゃありませんか?
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2015年12月31日 5:27 PM
いつも、為になる情報記事をおりがとうございます。私は米国カリフォルニアに在住の日本人です。今回の韓国慰安婦に関する日韓外相共同声明は、オバマ大統領の中国牽制手段としての日韓関係改善の要求に応じただけです。このつけ焼きば的二国間合意(公式文書のない)は日本の国益損失のみならず、合意後の総理の 談話とは正反対な、末代の日本国の歴史に大きな汚点を残すことに なりっつあります。総理は日本国民の反逆者です。28日の両外相合意は、当地でもテレビニュースで放送されました。慰安婦問題の朝日新聞記事など、今回の事の起こり経緯を理解していないアメリカニュースメティアは、日本の10億円の賠償金(との表現)及びアベの談話を首相の公式謝罪としてのみ報道してました。その報道内容では、視聴者はこの事実無根の韓国捏造劇を当然信じて止まないでしょう。さらに、大変なことは、先日、カリフォルニア州教育局が‘17年度からの公立高校の歴史、社会科授業指針で、” いわゆる性奴隷の慰安婦たちは 戦前戦時中に領土を支配した日本軍によって連行された。”との内容を含めることを検討することが決まりました。どうして、こんな事になったかは、勿論、在米韓国人中国人のロビイストの仕業です。一端、アメリカの歴史教科書に記載されれば、後世まで世界中でこれが歴史事実として公認されるでしょう。教育庁は一月から2月にかけて一般から意見を募り、5月ごろ聴聞会を経て最終指針を確定する予定です。領事館等の政府機関も含め、日本人の私どもがことを起さないと、アメリカでこのインネンタカリの韓国慰安婦劇が史実化します。アメリカ国立図書館で慰安婦問題の公式文書を掘り起こして下さったテキサス親父さんに貴方様からこの旨、ご連絡頂ければ幸いです。勝手を申しまして、すみません。
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2015年12月31日 8:27 PM
島原様初めてコメントします。私は昨年中国から日本に12年振りに帰国しました。と言っても全く日本に帰ってないということはありませんが住民票を日本に移し変えましたと言うことです。その後日本がいかなる国なのかを知りたくて様々なメルマガやYOU TUBE等を見てやっとこのメルマガを見つけました。私は自民党そのものは支持していませんが(かと言って他を支持しているわけでもありません。)集団自衛権も、個別自衛権も反対ではありません(寧ろ賛成です)が違憲と思っています。それ故憲法改正が必要と思っています。経済政策は全く三橋さんの意見も含めて島原さんの意見に全く賛成です。安倍首相はアメリカに媚びを売ってまで総理の地位が欲しいのですかね。韓国との合意も他国から見れば日本が韓国の言い分を認めたことになります。どんな言い回しの日本語を使っても日本語の意味は正確に外国語(特に主語、動詞、述語圏)に訳すのは難しい。また日本の言い回しが分かればまた合意は成り立たないでしょう。玉虫色で両国が自由に解釈して自国民に説明がし易い内容であるので、結局は最終合意にならないと思います。日本が一方的に妥協したことになります。TPPが本当に効力を発揮しだすのはずっと後です。そのころにはみんな忘れてしまっているでしょうが、気が付いた時にはどうにもならなくなっているほど日本人にとっては恐ろしい内容だと思います。日本の文化さえもTPPによって破壊されてゆくのでないかと危惧しています。大手マスコミ(新聞、テレビ)も政権の決めたことをすべて前提としたニュースであり。これでは戦前の大本営発表の記事を垂れ流したマスコミの反省が全くなされていません。これでは反対意見はガス抜きとして認めているだけで、中国やロシアや北朝鮮よりましな程度です。経済的主張に関しては今の自民党政権では少数派になると思いますが、来年も引き続き頑張って頂きたいと思います。
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