FROM 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/
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2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。
こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。
三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、
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本日は10時からTOKYO MX「モーニングCROSS」元旦スペシャルに出演します。三橋も和服で登場なのですよ。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/
改めまして、あけましておめでとうございます。
2016年は、ある大きなプロジェクト(弊社的には)が動き出す予定になっており、昨年以上に忙しい年になりそうです。健康に気を付けつつ、プロジェクトの成功のために邁進するつもりです。
また、今年は参議院選挙は確実にあるわけですが、衆参同時の可能性が高いのではないか、とささやかれており、政治も相当に動きそうです。
経済の方は、昨年、一昨年と「金融緩和のみ」に依存したデフレ対策が失敗したことが明らかになり、政府が「需要創出(財政出動)」に舵を切れるかどうかが「最大のポイント」となります。
『日銀 マネタリーベース356兆円超 過去最高
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151231/k10010357341000.html
日銀が市場に供給しているお金の量を示す「マネタリーベース」は、デフレ脱却を目指して大規模な金融緩和を続けたことで、ことし1年間で29%増えて356兆円を超え、過去最高を更新しました。
「マネタリーベース」は、世の中に出回っている紙幣と硬貨、それに民間の金融機関が日銀に預けている資金、「当座預金」の残高を合わせたもので、日銀が市場に供給しているお金の量を示しています。
日銀によりますと、30日の時点でマネタリーベースは356兆1400億円となり、過去最高を更新しました。これは、去年の年末と比べて29%、金額にして80兆2000億円増えていて日銀が目標としている年間80兆円のペースに沿った形となっています。
日銀は、資金を大量に供給することで物価を上昇させ、経済の好循環を生み出すというシナリオを描いていますが、消費者物価指数は、原油価格の下落などの影響で目標とする2%の上昇率を大きく下回る状況が続いています。(後略)』
日本銀行は「予定通り」に資金供給を続けており、日銀当座預金残高を中心にマネタリーベースは2015年で80兆円強増えました。ところが、消費者物価指数(インフレ目標はコアCPI)は直近で対前年比0.1%。日銀インフレ目標(2%)に全く届いておりません。
消費者物価指数とは、モノやサービスが購入される際の価格の指数です。モノやサービスの価格が上昇するのは、いかなる時でしょうか。もちろん、モノやサービスが沢山購入されるときです。
日本銀行が量的緩和で購入するのは、モノでもサービスでもなく「国債」です。日銀が国債を買い取り、代金を日銀当座預金残高を増やす形で支払った時点では、インフレ率には何の影響も与えません。
日銀当座預金残高を増やし、銀行がおカネを貸しやすい状況を作り、企業や家計がおカネを借り入れ、モノやサービスの購入を増やして初めて、インフレ率は上昇します。
「おカネを借りやすくすれば、おカネが借りられるはず」
という、セイの法則に基づくデフレ対策を二年半やり、「失敗」したというのが、安倍政権の現実です。
無論、岩田教授(日銀副総裁)にしても、量的緩和「のみ」でインフレ率が上昇するとは言っていません。日銀がインフレ目標を「コミットメント」し、量的緩和を継続することで、期待インフレ率が上昇し、実質金利が下がり、投資が増える「はず」という期待理論を提唱し、教授の学説に基づき今回の「社会実験」が行われました。
結果は、失敗でした。
セイの法則が成立しないデフレ期は、金融緩和と同時に「誰か」が率先したモノやサービスの購入を増やさなければならない。とはいえ、デフレ期に民間はモノやサービスの購入を増やすどころか、貯蓄(特に銀行預金)を拡大してしまいます。そちらの方が「合理的」だからです。
『企業預金の伸び最大 10月末、年初から8兆円増
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO95661250Z21C15A2NN1000/
企業の銀行預金が過去最高のペースで伸びている。国内銀行への預金は2015年初めから10月末までに8兆円超増え、伸び幅は比較可能な1998年以降で最も大きい。円安などを背景に企業の売上高が増えた一方で、設備投資などの伸びは限定的にとどまっている。賃金や投資の増加を通じて日本経済の好循環につながるかはなお不透明だ。(後略)』
だからこそ、政府がモノやサービスの購入を増やさなければならないのですが、安倍政権は14年度以降に緊縮財政に転じ、消費税を増税。さらに、介護報酬や公共事業など、自らが率先して支出できる分野においてまで「節約」を始めました。
結果、デフレからの脱却は果たせていません。中央銀行の金融政策「のみ」でデフレ脱却をするのは、不可能なのです。
もっとも、日本銀行の量的緩和は、政府の負債を実質的に減らすという「作用」をもたらしています。
【日本銀行が保有する国債・財融債・国庫短期証券と日銀以外が保有する国債・財融債・国庫短期証券】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_51.html#Nichigin
政府は「子会社」の日本銀行に国債を買い取らせることで、実質的に負債を減らすことができます。量的緩和が継続しているため、12年9月に731兆円でピークを打った「日本銀行以外が保有する国債・財融債・国庫短期証券」の総額は、直近(15年9月末)で622兆円。安倍政権は、すでに100兆円超も政府の負債を実質的に減らしてしまったのです。
すなわち、問題は「クニノシャッキンデハンタンスル〜ッ!」ではなく、「モノやサービスの購入」が不足し、国民の貧困化が継続していることです。データを「素直」に見る目さえあれば、日本政府がデフレ対策として何をするべきなのか、誰にでも理解できるはずです。
もちろん、財政支出の拡大です。しかも、毀損した日本経済の供給能力を回復させるために、「長期的な需要創出」のコミットメントが必要になります。
現在の日本国に必要なのは、中央銀行のインフレ目標のコミットメントではなく、政府の「需要拡大」に対するコミットメントなのです。
2016年こそ、日本国が「クニノシャッキン」といった間違った認識を払拭し、政府が正しいデフレ対策に舵を切り直す年となりますように、心から祈念致します。
それでは、本年もよろしくお願いいたします。
—メルマガ発行者より
2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。
こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。
三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、
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