アジア

2016年1月2日

【上島嘉郎】「歴史戦」という名の闘いは続く

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。

こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。

三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、

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昨年末、安倍晋三首相の指示によって岸田文雄外相が訪韓、尹炳世外相と会談し、いわゆる従軍慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決される」との認識で合意しました。

この問題について国際社会で非難、批判することを相互に控えると確認し、併せて元慰安婦を支援する事業のために韓国政府が財団を設立し、日本政府が予算10億円程度を一括拠出することでも一致しました。

「最終的かつ不可逆的に解決」との合意を韓国側が本当に履行するならば、少なくとも日韓間においては、外相会談を決断した安倍首相の「子や孫に謝罪し続ける宿命を負わすわけにはいかない」という思いはある程度満たされることになります。

日韓合意に関し、「成果もあり、懸念もある」というのが私の率直な感想です。曖昧と思われるかもしれませんが、武力を行使しない政治としての外交とは折り合いですから、痛快な結果は現実には求めようがありません。

ただ、守るべき国の名誉と利益から言えば、私は今回の合意を喜んで受け入れる立場はとりません。
「歴史戦」という名の闘いに終わりはない――そう思っています。

実は、『韓国には言うべきことを言おう』(仮題/ワニブックスPLUS新書)という本を書いているところで、2月刊の予定なのですが、その序論として考えていることを以下に記します。

私は、日韓の歴史にお互い不幸なことがあったことを認めますが、その歴史過程が、ただ加害者と被害者の関係であったという二分法はとりません。彼我の父祖の歴史をそんな単純な話に括ってはいけない。韓国の未来に対し現実的な責任を負おうとした、今日韓国内で「親日派」と糾弾される彼らの父祖のためにもならない。

歴史的な経緯を踏まえたうえでの韓国との和解は可能かどうか。あるいは和解を求め得る相手かどうか。

日本の国家としての根本的な姿勢は、まず歴史的な事実はどうであったか、すべての議論はそれに基づくという原則を貫くことです。歴史的な事実を棚上げして韓国の被害者感情に一方的に寄り添うことは、我が父祖の名誉のためにもしてはならない。

そしてそれが問題解決にならなかったことは、これまで何度も韓国から味わわされてきた苦汁によって明らかです。

今回の合意で懸念せざるを得ない点はいくつかありますが、日本政府が「問題の最終的かつ不可逆的な解決」を担保することができたと強調しても、それが共同記者発表という形にとどまり、共同文書化できなかったことは詰めが不十分だったと言わざるを得ません。「口約束」はこれまでに何度も交わし、悉く韓国側に反故にされて来ました。

日韓国交正常化のため昭和40年(1965)に日韓基本条約及び日韓請求権・経済協力協定が結ばれました。その請求権協定には「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」との文言が明記されているにもかかわらず、今日に至っていることを忘れてはなりません。

しかも、この協定には、締約日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする旨の一文もあります。
「問題の最終的かつ不可逆的な解決」は、昭和40年になされていたはずなのです。

さらに言えば、歴代の韓国大統領は日韓の歴史問題について何を語ってきたか。

全斗煥大統領(任期1980〜88年)はこう語りました。
「我々は国を失った民族の恥辱をめぐり、日本の帝国主義を責めるべきではなく、当時の情勢、国内的な団結、国力の弱さなど、我々自らの責任を厳しく自責する姿勢が必要である」(1981年8月15日の光復節記念式典の演説)

盧泰愚大統領(任期1988〜93年)はこう語りました。
「今日、われわれは国家を守ることのできなかった自らを反省するのみであり、過去を振り返ってだれかをとがめたり、恨んだりしようとは思いません。私がみなさまに申し上げたいのは、両国民の真実に基づく理解であり、それを土台として明るい未来を開くということであります」(1995年来日時の国会演説)

さらに金大中大統領(任期1998〜2003年)は、1998年の日韓共同宣言を受けて、「韓国が今後、外交問題として過去を問うことはない。謝罪は一度でいい」と語りました。

こうした韓国大統領の言葉を、私たちは信じてきたわけですが…、その結果はどうだったか。
問題解決のゴールポストは、常に彼らによってずらされてきました。
それを常に指嗾し続けたのが、朝日新聞をはじめとする日本国内の「反日メディア」で、この点では日韓双方に責任があります。

安倍首相は今回の合意についてこう語ったとされます。
「韓国外相がテレビカメラの前で不可逆的と述べ、それを米国が評価するというプロセスを踏んだ。今まで韓国が動かしてきたゴールポストを固定化していくということだ」
「ここまでやった上で約束を破ったら、韓国は国際社会の一員として終わる」(平成27年12月30日付産経新聞)。

さらに、「今後、(韓国との関係で)この問題について一切、言わない。次の日韓首脳会談でももう触れない。そのことは電話会談でも言っておいた。昨日をもってすべて終わりだ。もう謝罪もしない」(同)と。

私は、安倍首相は戦略的にいくつかの布石を打ったうえで今回の交渉を行ったと考えています。

しかし、日韓間における慰安婦問題の「最終的・不可逆的解決を確認」する――これを実効あらしめるのは、ひとえに今後の日本国民の毅然とした姿勢と、「事実」を粘り強く発信していく根気にかかっています。

日韓二国間の問題にとどまらず、世界に拡散してしまった慰安婦問題の誤解を解き、父祖の冤罪を晴らして、未来の日本人の可能性を守るための闘いを諦めてはなりません。

平成28年が明けて決意するのは、「けっして諦めるな、そして油断するな」ということです。

〈上島嘉郎からのお知らせ〉
『優位戦思考に学ぶ―大東亜戦争「失敗の本質」』(PHP研究所)
http://www.amazon.co.jp/dp/4569827268

↓↓発行者より↓↓

2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。

こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。

三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、

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【上島嘉郎】「歴史戦」という名の闘いは続くへの6件のコメント

  1. メイ より

    私は、安倍首相は戦略的にいくつかの布石を打ったうえで今回の交渉を行ったと考えています→そうお考えになられた理由があれば知りたいのですが・・。

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  2. クレヨン より

    これって要するに、「いじめられたくなかったら、『私は強姦魔です。』って言え。」って言われて、いじめられたくない一心で、「私は強姦魔です!」って、みんなの前で大声で叫んだ。・・・っていう話ですよね。オモシロイ民族ですね。(笑)

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  3. 學天測 より

    日本人の問題点は必ず答えがあるという、頭の悪い試験頭な処ですね。現実は学校の試験じゃない。その様な考えは欧米に追いつけ追い越せという、明確な良い答えがあるところでは極めて有効でしょうが、その答えがやむなくそうなってしまっている悪い衰退した欧米のやり方にまで及ぶ弊害が今で出ていると考えます。欧米型雇用など欧米はやむなくそうなってるわけで、なるべく、そうならないように雇用を維持して産業の強靭化を図る事こそ重要なのにその基盤である雇用を自ら破壊する。愚かな自殺行為に走るのは何故かといえば、欧米が何故そうしているか?自分から答えを出そうという発想がない。だから答えが簡単に出ない。答えが、無い事もありうる事さえ理解できない。答えがない事に向き合っていくしかない事がわからない。そうやって少しづつ答えを得てきたのが人の歴史だとわからない。世の中、今すぐに解決しようがない問題もありますよ。永遠に解決しないであろう問題もあるでしょう。そこに無理な答え、解決を作ろうとする。そういう安直な発想が傲慢なわけで、構造改革的な話もこの啓蒙的な発想に依拠していると考えます。竹中平蔵大先生は直ぐにリセットなどといいますが現実はやり直しなんか聞くわけがない。なんでも人間が好きなように出来るという傲慢さに極めて、幼稚な臆病さが透けて見えます。現実は我々が理解しえない恐ろしい物だと直視するのが怖いのでしょうね。結論が出せない事はずっと揉めていてもいんです。我々はそういう愚かなで小さな存在ではないですか?

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  4. たかゆき より

    『慰安婦問題』の問題点、、正解は 捏造さて 捏造問題に 解は存在するか?「解なし」 が 適正解。。。ゆすり たかり 誹謗 中傷に対して適切に対処するには司法の場に持ち込むしかない かと、、、ヤクザと示談などしては なりません。(今までは なさってたようですが)諦めた方が負けの無制限 一本勝負で ございますのでおらぁ 負けねえ ♪

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  5. ろんどなー より

    韓国に渡す「10億円」という金額がどのように査定されたのか、何の説明もありません.現在存命中の元慰安婦のお婆さんは46人。平均年齢は89歳超でほとんどの方が寝たきりか痴呆症であるとニュースで聞きました。彼女たちの「尊厳を取り戻すため」に一人当たり2千万円超の金額が何を意味するのかまったく分かりません。しかも「強制連行」の証拠もなしに政府が非を認めて首相が公式に謝罪し、賠償金を払うと海外では受け止められている。これから台湾、フィリピン、中国、オランダなどが慰安婦問題を日本政府に訴えた場合、韓国の前例に従って同じ金額を国家予算から差し出すつもりなのでしょうか?そういえば、中国緑化事業に100億円の援助も国民への説明も議論もなし決まりました。村山総理時代に決まった中国との「遺棄兵器処理問題」にも今までに2千億円、いかようにもでっち上げをしかねない中国側の言いなりで今後何兆円請求されるのか見当もつかない恐ろしさ。なぜ日本政府は自国に対して敵対的な言論活動や領海・領空侵犯を続ける国にいとも簡単に多額の賠償と資金援助をするのか・・・。戦後日本から朝鮮半島と中国に渡った賠償やら援助やらの日本国民の血税の合計金額は膨大であるにもかかわらず、関係はちっとも改善せずに悪化するばかり。いったい誰が得をするのか・・・。得をする人があちら側とこちら側双方にいるからこそ何度も何度も性懲りもなく同じ問題が蒸し返されて我が国の国家予算がまるで掴み金のように差し出される構造になっているのでは?と疑わざるを得ません。つまり向こうに金を出す仲介をした日本政府側の人間はそれなりの見返りを受け取る、という仕組みになっているとしか思えず、今回の文書で確約されない口約束の日韓合意なら、恒久的に必要に応じて問題を蒸し返せる「政府が非を認めて謝罪・賠償をした」証拠を与えただけ、とも受け取れます。今年は選挙の年。中韓への資金援助のキックバックが自民党の一部議員の選挙資金稼ぎではないことを祈るばかりです。戦後日本と朝鮮半島・中国の間に起こった政治・歴史問題とその都度あちらとやり取りした金額、日本側の政治家の動きや国内の選挙その他の政治の動きを並列年表化して分析したら、何らかの相関関係が見える気がします。政治・歴史学者かジャーナリストが論文か記事にしてくれないものでしょうか。

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  6. ぬこ より

    戦いが長引くことで飯の種が増える人が、日本にも韓国にも、右にも左にも居るんだから止められませんよね(笑)。米の好戦派ネオコン勢力に利用されない程度に韓国の事は無視し続けるしかないんでしょうけど、彼らユダヤメディアは紛争を煽ろうとしつこいですからね。アラブ民主化や、プーチン独裁や、フセイン大量破壊兵器保有などの捏造や飛ばし情報を散々してきたのも彼ら欧米支配層でしたよね。そう言えば、アフリカ統一通貨を提唱したカダフィも彼らに苛め抜かれましたよね。安倍政権は郵貯も年金も彼らの言いなりになって売り渡そうとしているから、小泉の時の様に暫くは安泰でしょうね(笑)。

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