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2015年7月10日

【施 光恒】英語化と「国のかたち」

From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

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●●月刊三橋の次号(7/11配信)のテーマは、「歴史認識問題」です。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

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おっはようございまーす(^_^)/

一昨日、三橋さんのブログでも紹介していただきましたが、来週の金曜日(7月17日)に、『英語化は愚民化──日本の国力が地に落ちる』(集英社新書)という新しい本を出します。
http://www.amazon.co.jp/dp/4087207951/ref=zg_bs_492118_4

少々激しいタイトルですがf(^_^;)、
中身は、日本社会で進む英語偏重の流れや、その背後にあるグローバル化を筋道立てて批判したものです。

発売されましたら、ぜひ手に取ってご覧ください。

しかし、英語偏重の流れは、止まりませんね。三橋さんも先日触れていらっしゃいましたが、楽天、ユニクロだけでなく、ホンダも、企業内の公用語を英語にするらしいですね。

昨日もそれに関連する下記のような記事がでていました。

「ホンダ「も」導入した英語公用語化──「オフィスは英語」が日常の風景になるのか」(『日経ビジネス ONLINE』2015年7月9日付)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/070800028/?P=1

小学校での英語正式教科化も、2020年から始まる予定です。7月6日の『朝日新聞デジタル』では、小学校での英語教育推進の是非についてのさまざまな意見が特集されていました。

「早期の英語教育、改めて考える 反響をもとに取材」(『朝日新聞デジタル』2015年7月6日)
http://www.asahi.com/articles/ASH6T6486H6TUTIL03Y.html

日本語も覚束ないような幼い時から「英語、英語」ということには、上記の記事にあるように反対意見も多々出されているのですが、文科省など行政は、着々と、英語化を進めています。

小中学校で外国人教師を採用したり、小学校教員の採用試験を英語重視に改めたりするようです。

「教員採用試験でも広がる「グローバル化」──英語教育の充実で」(『Benesse教育情報サイト』2015年7月2日)
http://benesse.jp/blog/20150702/p1.html

私が「おっかないな」と思うのは、こうした英語偏重の「改革」が続けば、あるどこかの時点で「閾値」を超え、ダーッと日本社会の英語化が進んでしまうのではないか、ということです。

その「閾値」というのは、多くの日本人が、「英語ができなければ、子供たちが将来、よい教育を受けられないし、よい職業にもつけず、みじめな思いをしてしまうだろう」と実感してしまう時点だと思います。

この時点を迎えてしまえば、たとえ個々人が「ここは日本なのだから、英語よりもまず日本語が大切だ」と考えていたとしても、あまり関係ありません。自分の子供が将来、つらい思いをするかもしれないと心配になってくれば、大部分の人は、自分の考えはどうあれ、子供にともかく英語を身に付けさせるようになるでしょう。

この「閾値」となる時点は、すでにすぐそこまで来ているのではないかと思います。

今回のホンダの企業内英語公用語化のニュースも、この時点の到来を早めるものの一つでしょう。

それに政府は、小学校の英語正式教科化や、大学の授業の英語化など、英語偏重の教育改革に躍起になっています。

全国の小学校で英語が正式教科となってしまえば、当然、私立や国立の中学入試でも、英語が必須科目となります。

「コミュニケーション重視」「実用的英語力重視」のご時世ですので、中学受験で英語の面接などが導入されるところが増えるのではないでしょうか。

そうなれば、教育熱心な家庭では、小学生のときから、アメリカやイギリス、あるいはフィリピンなどの英語圏に留学させることが流行すると思います。少なくとも、夏休みに、小学生が語学留学するのは、ごく一般的になるはずです。

また、下村博文文科大臣は、平成25年の第四回産業競争力会議で、「世界と競う大学」を作るために、「今後10年間で、大学の授業の5割以上を英語で実施するようにすべきだ」という成果目標を提案しています。
(-_-;)

「人材力強化のための教育戦略」(「第4回 産業競争力会議配布資料 下村文部科学大臣提出資料」平成25年3月15日)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai4/siryou7.pdf
(PDFファイルが開きます。上記の成果目標は、6ページに記載されています)。

「小学生の間にある程度、英語を身に付けていないと、よい中学に入れない」「英語ができないと、よい大学で学べない」「将来、良い仕事にも就けなくなってしまう」と思う日本人が、遅くても10年足らずの間に急速に増えることが予想されます。

財界の一部や、その意を受けた政府が、(日本人の税金を用いて)政策として日本社会の英語化を進め、「国のかたち」を変革しようとしているわけです。

この変革は、ある程度まで行ってしまい、「英語ができなければ、子供たちが惨めな境遇に追いやられる」と多くの人が実感するようになれば、それから先は、半ば自動的に日本社会の英語化は加速度的に進んでいくようになります。

その先に待っているのは、英語能力の格差が経済的なものに反映される著しい格差の拡大であり、「英語族」と「日本語族」との間の国民の分断であり、日本語があやしく日本人的な感覚も持ち合わせていない新世代の「エリート」による、よそよそしい政治であると思います。
(_・ω・`)

なぜ、日本社会の英語化というバカな流れが止められないのでしょうか。

一つの理由は、現代人の多くが、「グローバル化は時代の必然的流れであり、抗うことはできない」「英語化も時代の不可避の流れだから、しょうがない」というような奇妙な歴史観にとらわれてしまっていることにあるように思います。

拙著『英語化は愚民化』では、まず、この奇妙な歴史観の検討と批判から、話を始めています。

「グローバル化・英語化は時代の流れだから、しょうがない」という無力感にとらわれず、「たとえ英語ができなくても、子供たちは、高いレベルの教育をきちんと受けられ、よい仕事にも就ける。様々な機会を享受できる。惨めな思いなどしなくてもよい」という日本を守っていかなくてはならん。そういう思いから、拙著を書きました。

書店に並ぶようになりましたら、ぜひ手に取ってご覧くだされば幸いです。
<(_ _)>

いつもながら、だらだらと失礼しますた…
(^_^;)

PS
長崎の「軍艦島」は「日本のアウシュビッツ」にされてしまうのか?
月刊三橋の次号(7/11配信)のテーマは、「歴史認識問題」です。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

PPS
今月号のテーマは「地方再生」。大阪都構想、新型交付金、「人口減少」論の罠をぶった斬り。
フル音声が聞けるのは今日まで。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

<施光恒からのお知らせ>
●7月12日(日)に福岡のカフェで開催されるこじんまりとした勉強会の講師を務めます。
「産業革命遺産から考える日本の国づくりと国際貢献」というテーマで話します。
お近くの方はぜひ。
http://hakosui.blog.fc2.com/blog-entry-378.html
「第5回 学ぶカフェ」
日時:7月12日(日)午前10時半〜12時
場所:箱崎水族舘喫茶室(福岡市東区箱崎1-37-21)
http://www.hakosui.net/
JR鹿児島本線 箱崎駅 徒歩8分、地下鉄箱崎線 箱崎宮前駅 徒歩7分
会費:1500円(学生1000円)※今回は、飲食は任意となりました
問い合わせ先:学ぶカフェ事務局
manabucafe@gmail.com

●7月26日(日)に、評論家の中野剛志さんと、拙著『英語化は愚民化──日本の国力が地に落ちる』(集英社新書)にちなんだトークショーを行います(^_^)/ こちらもぜひ。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-South-Store/20150702102527.html
日時:2015年7月26日(日) 開場14:30/開演15:00
会場:紀伊國屋書店新宿南店6階イベントスペース〈コミュニティガーデン〉

●8月13日(木)は、柴山桂太さんと、ジュンク堂書店池袋本店で「「英語化」政策で 我々は何を失うのか?」というテーマで対談します。<(_ _)>
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=9624
日時:2015年08月13日(木)19:30 〜
会場:ジュンク堂書店 池袋本店

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【施 光恒】英語化と「国のかたち」への3件のコメント

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  2. メガゾーン より

    〉日本社会の英語化というバカな流れが止められないのでしょうか。 そう言えば以前、松阪牛?、否、違う松阪選手の奥さんが子供の為には英語教育を‥‥ほんで別居した、と言うのがありましたね。やはり(メジャー)ママさんパワーが一役炸裂?しているのも近代大衆日本の成せる技なのかもしれません。残念っ!(古い?) 思うに、明治時代に同じ論議があった時代の背景って、やはり日本を植民地にする発想(表面的には違うとしても)からだったのでしょうかね。思うに、そもそも今の自民党自体は反共(グローバリスト)の砦、あるいは(CIA)エージェント集団として設立(表面的には違うとしても)されたのであれば、今の総ての政策を見ても(米あるいは自民党としては)完全に日本を韓国と同じように隷属に流してるとしか見えませんね。 思うに、外国語って全般的に聴覚的な面だけの言葉であるのに対して日本語は、視聴覚両面を伴っている超特殊なダイバシティ言語だと思います。これは思考にも影響が及ぶ気がします‥‥なのに何故?内閣はあぁなのか?(‥‥暴言は書かないどこ) 思うに、教育テレビでやっている若者向け番組の米国の学園モノがありますよね、外人の若人が日本語バリバリでギャグを噛ますっ!(翻訳によるギャグ)だからこそっオモシロイのです! 俺ゃ英語そのもののギャグなんかっちっとも笑いたくねぇぞぉーっ!!!!!‥‥ハズしたかな   ? (思うに周波数が同調さえすれば地球さえもぶっ壊せるんですけどね)

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  3. ウミユリ より

    日本もフィリピンのように英語をしゃべるけど、日本のことを何も知らない、日本への帰属意識も持たないエリートが牛耳る社会になるのでしょうか?これは、自覚していないようですが、植民地支配の際宗主国が現地人を使って間接統治する手口そのものなのです。英語推進論者は、この点を自覚しているのか、していないのか。

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