From 平松禎史(アニメーター/演出家)
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◯オープニング
佐藤健志さんが水曜日のメルマガで紹介して下さった通り
ドワンゴとスタジオカラーの共同企画「日本アニメ(ーター)
その第22話(それぞれ単発の短編作品です)として「
現在はアーカイブに入っていますが、以下のURLからどうぞ。
http://animatorexpo.com/
原作はさかき漣「顔のない独裁者」(PHP研究所)
監督は私、平松禎史です。
上記リンクより公式サイト上で公開中ですが、
当メルマガにはおそらく18歳未満の方はおられないと思いますが
「イブセキヨルニ」は、誰もが善意であるにもかかわらず、
今回は、映画「ダークナイト」の音楽とも絡めつつ「
第十三話:『「イブセキヨルニ」…隣同士の「善」と「悪」』
◯Aパート
「顔のない独裁者」は、新自由主義的な「改革」が、
ライジングサンの諜報部長として進と共に戦い、
「イブセキヨルニ」は本編7分程度の短編映像です。
状況説明や専門用語を説明する時間はなく、また、
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今回の映像化に際して重要な示唆を頂いたのは、いわゆる「
その一つがプラトンの「洞窟の比喩」。
日本アニメ(ーター)見本市の解説番組「同トレス」
地下の洞窟に囚われた人々が壁に映った影を本物だと信じてい疑わ
気が付いた一人が地上に出て真実を観察して戻ってくるが、
影を本物だと疑わない人々は、オルテガの言う「大衆」であり、
具体的な演出としても、
拳を振り上げていた多くの一般人だけでなく、
これはとても恐ろしいことです。
皆が「大衆」に堕してしまい、
もちろん、これを書いているボクもその一人です。
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「そんなことはない。」
と思った一人(あるいは、考えもしなかった一人)
「イブセキヨルニ」では多くの人物まで描けませんでしたが、「
何をすれば良いか、何をしてはいけないか、の選択をする時に、
そして
人々を思考停止状態に導く行為は、間違いなく悪いことでしょう。
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「恐怖」を描いた数多くの映画の中で、「イブセキヨルニ」
「ダークナイト」です。
911同時多発テロ事件後のモラルの混乱がよく現れている名画だ
「イブセキヨルニ」はかなり直接的ですが、
長編であればこちらが正攻法だと思います。
この映画に登場するジョーカーは、人々の恐怖を煽り、
バットマンはマフィアと戦う正義の人なのですが、
彼はダークヒーロなのです。
そんな時
凄腕の検事でゴッサム市長になったハービー・
この映画の悪玉、ジョーカーがしかけた最後の罠は「希望の星」
トゥーフェイスとなったハービーは復讐を繰り返し、
これがゴッサム・
「善」と「悪」
その考えを証明するようなディテールが、「ダークナイト」
*今回は中CMカットでお送りします(笑)
◯Bパート
「ダークナイト」の音楽は、
耳に入ってくるのは高い方の「レ」ですが、同時に「ラ」
ここで、ちょっと音楽話です。
「ラ」と「レ」は、イタリア語や英語などでは「A」と「D」。
「ラ」と「レ」はピアノの鍵盤で見ると離れていますよね。
5度離れた和音が(旋律上で)連続することは、
一見すると遠くて、一緒にしてはいけない2つの音ですから、
果たしてそうでしょうか? もう少しよく見てみましょう。
作曲の基礎で使う、五度圏を示す図形があります。
ハ長調、ト長調・・・
この並びで見ると、「イ長調(ラ)」と「ニ長調(レ)」
そして
Dメジャーの和音は「レ・ファ#・ラ」
Aメジャーの和音は「ラ・ド#・ミ」
「レ」と「ラ」
ちなみに、ヴァイオリンの絃は低い方から「G・D・A・E」
つまり、中央二本の「D(レ)」と「A(ラ)」
教科書的に禁則な2つの音が1つになって鳴り続ける
その2つの音を用いた和音は音楽理論上は隣同士で容易く転調する
ということです。
「ダークナイト」に戻って、
映画終盤に逆さ吊りにされた彼はこう言います。
「”狂気”は重力のようなもの、人は、ひと押しで落ちていく」
対局に見える「善」と「悪」は、実はすぐ隣に位置するもの。
しかも容易く変貌し、
ハービー・デントがが持つコインの裏表の変貌とトゥーフェイス、
更に加えて、2つの音によって作品のテーマを支えている。
偶然の一致にしては要素が多すぎますから、
「ダークナイト」の深さは、
選択を迫られた時の葛藤や思考の重要性は「寄生獣 セイの格率」でも改めて考えたことでした。
特に、後藤との決戦場面においてですが、作品のテーマ、
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「イブセキヨルニ」でも持続音を意識的に多用しています。
例えばバグパイプのドローンパイプは常に同じ音を響かせています
中間部のエロティックなシーンでは、ティンパニのロール(
最後の場面の神楽鈴もトレモロ奏法で持続音にしています。
さかき先生は神楽鈴は神と人をつなぐ楽器だと仰っていました。
打楽器は元々神の存在を感じ、
その後、人間同士のコミュニケーション手段になり、
クラシック音楽でもクラブミュージックでも、
しかし、その心地良さは、
おもろい、心地良い、ふわっとした空気やノリ…
縛られていることが気持ちよくなってしまうと、「ちょっと待て、
「空気読めよ!」「なに真面目くさったこと言ってんの?」「
いじめから政治経済問題まで、
古代ギリシャ哲学の紀元前から、
_ _ _
「ダークナイト」終盤。
バットマンは市民の良心を信じていましたが、
ゴッサム市民のロスト「ハービー」で、
バットマンが罪をかぶって「希望の星・ハービー」
同時に、映画で「人はそうなってしまいがちだ」
なぜ?…と。
さかき漣先生の「顔のない独裁者」では、
「イブセキヨルニ」の東京駅舎炎上は伝統的価値観の崩壊、
「大阪都構想」の住民投票が終わって約一週間、今は、この「
どうしようもなく気分が晴れない状態が続くと、
全体主義には決まった中身はありません。
藤井聡教授の「〈凡庸〉という悪魔」では、全体主義は「
だからこそ、全体主義は何にでもくっついて社会現象になり得る、
全体主義に陥るのを防ぎ、
「イブセキヨルニ」は、全体主義の恐ろしさを感じるための「
時々思い出してゾッとしていただいて、
◯後CM
「イブセキヨルニ」の解説番組「同トレス」で、
音楽のスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン Auld Lang Syne」についても少しお話しています。
こちらもどうぞ。
http://live.nicovideo.jp/
PS
月刊三橋最新号のテーマは、「日本経済の大問題」。
日銀は何を間違えたのか?
マスコミが報じないTPP交渉の真の問題点、
「国の借金問題」のウソ、大阪都構想、リニア新幹線、
2015年上期の経済ニュースを徹底解説
http://www.keieikagakupub.com/
【平松禎史】霧につつまれたハリネズミのつぶやき:第十三話への1件のコメント
2015年5月23日 9:07 AM
「何か分からないけど怖い」知り合いの中でも最も、所謂頭の良い人間の感想でした。(逆に、空気に液体窒素をぶっかけるのが好きな連中は、凄いがんばっているという感想でした。)そこから、私が解説を加えていくと、途中で拒否が始まりました。やはり思考停止と顔のない独裁者が極めて近縁であるという説明は大変でした。「いや、そんなことはないはずだ」で安穏に逃げるのはしょうが無いのですが、実際・実存?への恐怖へはまだ遠いのでしょう。上手い挫折の仕方は無いのか?などと今更ながらに思いました。
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