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2015年1月16日

【適菜収】もう少しブルースの話

From 適菜収@哲学者

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●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。

「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは?
フランスに今が分かれば、日本が見える!

https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

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最近、ロックとかブルースとかあまり聴いてないなと、ふと感じることもありましたけど、よく考えたらここ20年くらい聴いていない。時が流れるのはあっという間ですね。

ロバート・ジョンソンと「ギターの神様」

山田 ロバート・ジョンソンは日本版を買って歌詞を読んでほしいですね。
適菜 ソニーから2枚組の『コンプリート・レコーディングス』が出ています。
山田 「ミー・アンド・ザ・デヴィル・ブルース」とか面白いですよ。「おれと悪魔は並んで歩いた。おれの女を気がすむまでなぐりたい」とか。「クロス・ロード・ブルース」や「スウィート・ホーム・シカゴ」といった曲は、ブルースのスタンダードになっているし。収ちゃんは最初にロバジョン聴いたときにどう思った?
適菜 高校生だったので、真価がわからなかった。音がショボイなって。
山田 ミック・ジャガーもキース・リチャーズもエリック・クラプトンも「これを聴いてオレは脳天をかち割られる思いをした」とホメるでしょう。オレもそれを体験しようと思ってロバジョンを聴いたんだけど、かち割られるどころか、その距離を埋められなかったな。
適菜 当時は、ロバート・ロックウッド・ジュニアのほうが好きだった。
山田 オレがモダン・ブルースのアルバムの中で唯一好きなのは、ロックウッドの日本のライブ版。新幹線の前で映っているジャケットがあるでしょう。
適菜 74年の来日公演。『ブルース・ライブ!』ですね。あれはいいね。
山田 ロックウッドはロバジョンの義理の息子で、演奏も直系でしょう。それをバンドサウンドで演ったということは超重要ですね。
適菜 まあ、ブルースはあまりマニアックに聴かないほうがいいと思います。戦前のブルースを10枚くらい聴いておけばいいじゃないですか。
山田 人生は短いからね。
適菜 下手をすると、クラプトンみたいに人生をこじらすことになる。クラプトンは25歳になるまでロバジョンを知らない奴とは口をきかなかったらしい。
山田 クリームだったら、ジンジャー・ベーカーですよ。
適菜 ジンジャー・ベーカーは、その後も面白いことをやってますね。
山田 ジャック・ブルースもジャズのアルバムを出している。
適菜 変なベーシストですよね。リード・ベースというか。結局、ギター弾きたかったのかな?
山田 奴は、絶対クラプトンに嫉妬していたよ。
適菜 クリームは、3人とも仲が悪かったらしい。でもクラプトンは完全に歌謡曲の大御所になってしまいましたね。
山田 オレは「クラプトンを聴け」って若い人に言えないよ。
適菜 「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をカバーしてヒットさせたり、「いとしのレイラ」や「ティアーズ・イン・ヘヴン」みたいな私小説風のポップスを作ってみたり。
山田 そう考えると、バランスのとれたソングライターではある。ギターもそつなく弾くしね。オレはそこが嫌いなんだけど。
適菜 ははは。
山田 そんなこと言っちゃいけないな。「ギターの神様」なんだから。
適菜 あの人はいつから神様になったんですかね。欧米では人間は神様にならないでしょう。それで相当悩んで、三位一体の教義をでっちあげたんだから。
山田 多分、『ヤングギター』かなにかの編集長が名づけたんですよ。

「三大ギタリスト」とゲイリー・ムーアから何を学ぶか?

山田 いわゆる三大ギタリストがいるでしょう。
適菜 エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ。
山田 オレはその中ではジェフ・ベックが一番好き。変なギターを弾くから。
適菜 ロック少年は気に入らないと思いますよ。ジェフ・ベックのファンは、マニアのおっさんばかりでしょう。
山田 完全に趣味の人だからね。
適菜 私はジェフ・ベックは苦手だな。イトーヨーカドーやイオンの食料品売り場でかかっていそうな音楽じゃないですか。あのギターの音自体が好きではない。
山田 ピッチが正確すぎる。
適菜 もう少し、きちんと下手に弾かないとダメだよ。
山田 最近、ニール・ヤングの初期のレコードをよく聴くの。あの人のギターは素晴らしい。ペンタトニックスケールくらいしか使わないんですよ。一音しか弾かなかったり。最近の高校生のギターのほうがよっぽど上手だよ。
適菜 ニール・ヤングのギターには学んだほうがいい。早弾きやっている奴がバカに見えるよ。
山田 そういう意味では、ザ・バンドもいいね。ロビー・ロバートソンは、オレにとっては完全にストライク・ゾーン。メロディアスではないし。
適菜 うん。
山田 ボブ・ディランが下手なエレキギターを弾いているアルバムもいい。
適菜 下手なハーモニカを延々と吹いてねえ。
山田 オレも歳を食ったのかな?
適菜 大人になってわかる感覚ですよね。みっともないカッコよさってありますからね。亀井静香の寝癖みたいな音楽でしょう。
山田 ボブ・ディランは30超えてから聴いたほうがいい。普通に聴けば、ただの楽器が下手な人だからね。
適菜 アメリカのモダン・ブルースがイギリスの若者に受容されるにあたり、いろいろな誤解があったと思います。そのモダン・ブルースのロクでもない部分と、数々の誤解、曲解、勘違いを集約したのがゲイリー・ムーアではないですか?
山田 アイルランド出身のギタリスト。
適菜 もともとスキッド・ロウ(セバスチャン・バックのバンドではなくて、古いほう)とかシン・リジィにいたハードロック畑の人です。で、私が中3か高1の頃にブルースのアルバムを出したんだけど、それがガキの耳で聴いても、完全にバチモンなんですよ。
山田 なるほど。
適菜 友達も「これどうなんだろう?」と。日本の田舎の高校生でさえ疑問を呈するような音。それでも彼は、BBキングみたいな商売人と共演したりして、名を上げていくわけです。
山田 そういうビジネスがあるからね。
適菜 あれはどうしようもないですよ。モダン・ブルースの負の遺産を拡大再生産している。
山田 逆に聴いてみたくなったな。
適菜 そもそもブルースなのかもわからない。淡谷のり子の「別れのブルース」や鶴田浩二の「赤と黒のブルース」って、実はブルースではないじゃないですか。だから、ゲイリー・ムーアの頭の中で鳴っている特殊なブルースなんでしょうけど。
山田 広い意味での哀歌なんだろうね。
適菜 泣きのギターみたいな感じで。そういう意味ではサム・テイラーやニニ・ロッソの劣化バージョンですよ。
山田 要するに、泣き方が薄っぺらいんでしょ。昨今の泣かせる映画みたいな感じで。
適菜 チープ極まりない。
山田 ゲイリー・ムーアは反面教師的に聴いてほしいですね。
適菜 「これをやったらお終いだ」みたいな。ゲイリー・ムーアのファンは怒るだろうけど。伊藤政則とか。
山田 ファンは身内だけで集まって、会合でも開いてりやいいんだよ。
適菜 どうせ耳が腐っているんだから。一応フォローしておくと、ゲイリー・ムーアの初期のロックアルバムにはマシなものもあります。爆風スランプよりはいいですよ。
山田 フォローになってないけどね。

ジミ・ヘンドリックスを聴け!

適菜 なんだかんだ言っても、私はジミ・ヘンドリックスに最大の影響を受けました。あれは若者の音楽ですよ。小学生くらいで聴いてほしい。親がレコードを持っているなら、お腹の中にいる頃から聴かせてやってほしいね。胎教になるから。
山田 夏休みになって家族旅行に出かけるときは、お父さんはカーステレオでジミヘンをかけるべき。「おまえ、カブトムシとかクワガタとか言っている場合か」と。
適菜 「それよりもジミヘンだろう」と。
山田 「ジミヘンのギターも、クワガタに似ているだろ」と爆音で聴かせる。トラウマになるかもしれないけど。
適菜 やらないより、やったほうがいい。
山田 子供に中島みゆきやグレープを聴かせてはダメだよ。フォーク少年になってしまう。
適菜 真っ当な人間に育たなくなる。だから、クリスマスのプレゼントや誕生日にジミヘンのアルバムを買ってやればいいんですよ。
山田 あれは基礎的な教養だからね。
適菜 ロック少年は前期のエクスペリエンスが好きみたいだけど、私は後期のジプシーズのほうが好きですね。ビリー・コックスとバディ・マイルスがいて、ファンクの要素が強い。
山田 死後に発表されたスタジオテイクも、そちらのテイストが強いね。ジミヘンはギターの音色がすばらしい。あんなステージアクションで弾いているのに、しっかり音が鳴っている。
適菜 声もいい。ブーツィー・コリンズの独特な歌唱法も、最初はジミヘンのものまねから始まった。
山田 ジミヘンはアイズレー・ブラザーズに在籍していた。アーニー・アイズレーはジミヘンの影響を直接受けていますね。
適菜 エディ・ヘイゼルやマイケル・ハンプトンもそう。ジミヘンがファンクに与えた影響は大きいですよ。

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