From 三橋貴明@ブログ
——————————————————-
●『月刊三橋』12月号のテーマは「2015年の世界と日本はどうなる?」
世界はデフレ破局へと向かうのか? なぜ、マスコミの経済予測は信じてはいけないのか?
もし、あなたが、世界を正確に知り、嘘情報の被害に逢いたくないなら、、、
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php
——————————————————-
日本が総選挙で候補者が走り回っていた期間も、世界は大きく揺れ動いています。
ギリシャでは緊縮財政に反対する急進左派連合(SYRIZA)急速に支持を伸ばし、アントニス・サマラス首相率いるギリシャ政府は、大統領選挙を前倒しして今月後半に行うと決断しました。
「緊縮財政に対する民意を得る」
という話だったのでしょう。
大統領が首尾よく選出されない場合、サマラス首相は議会を解散しなければなりません。すると、またもやギリシャ総選挙というわけですが、今度はSYRIZAが勝つでしょう。
『ギリシャ議会、1回目投票で大統領選出できず
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18H18_Y4A211C1000000/
ギリシャ議会は17日、次期大統領を選出する1回目の投票を実施し、連立与党が擁立した候補のディマス元欧州委員を選出できなかった。定数300のうち、当選に必要な200票を下回る160票にとどまった。155人の議員を抱える連立与党に加え、5人の無所属議員が賛成しただけだった。2回目の投票は23日を予定している。
29日予定の3回目の投票は180票で次期大統領を選出できるため、連立与党は少なくとも25の賛成票を追加で取り付ける必要がある。
1回目の投票では、ギリシャメディアは161〜167票を獲得すると予測していたため、首相側の説得工作があまり奏功しなかった結果となった。3回目に向けて票を上積みしていく作戦だったが、3回目の投票での選出も厳しくなったとの見方が浮上している。』
民主主義発祥の国に対して失礼かも知れませんが、相変わらずギリシャの選挙の仕組みは複雑怪奇でございます。大統領選挙でありながら、直接選挙ではなく、国会議員の三分の二の票で決定される仕組みになっているわけです。
そして、三回の投票でも180に到達しなかった場合、議会が解散され、総選挙に突入することになります。
総選挙になれば、アレクシス・ツィプラス氏が率いるSYRIZAが勝つでしょう。SYRIZAは、
「緊縮財政がギリシャ経済を疲弊させ、国民を貧困化させている」(その通りですが)
と、主張し、ギリシャのユーロ離脱が不可避になる可能性が高い公約を掲げています。もっとも、ツィプラス氏自身はユーロからの脱退は望まないと語っていますが。
昨日の「おはよう寺ちゃん活動中」でも語りましたが、ギリシャにとってユーロに加盟していることは「対トルコ安全保障」上、極めて重要なのです。何しろ、ユーロは全会一致が原則なので、ギリシャが反対する限り、トルコ待望のユーロ加盟はかないません。
ギリシャがユーロから離脱すると、トルコのユーロ加盟の障害がなくなります。すなわち、ギリシャは安全保障上のカードを一枚、失うことになるわけです。
ギリシャ問題、あるいは「ユーロ問題」と言い換えても構いませんが、いよいよ行き詰りつつあるように見受けられます。
さて、話は変わり、ロシア。
原油価格の下落が続いていることで、ロシアの経済成長率がマイナスに突っ込む(今のままだと、2015年はマイナスでしょう)可能性が高まり、中央銀行が政策金利を引き上げているにも関わらず、ロシア・ルーブルの下落が続いています。いわゆる通貨危機の「始まり」の段階なのです。
『ロシア ルーブル暴落で混乱広がる
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141217/k10014035901000.html
原油価格の下落を受けて、産油国ロシアでは経済状況が悪化するとの見方から中央銀行が政策金利を大幅に引き上げたにもかかわらず通貨ルーブルが売られて暴落し、一部の銀行では外貨への両替を一時的に停止するなど、混乱が広がっています。
ロシアでは、原油価格の下落を受けて経済状況が悪化するとの見方から通貨ルーブルが売られ、下落に歯止めをかけようとロシア中央銀行は16日、政策金利を10.5%から17%へ大幅に引き上げました。
しかし、その後もルーブルは売られ、ロシア国営通信によりますと、モスクワ市場で瞬間的に、ドルに対して1ドル=80ルーブル台となり、半年前と比べて50%以上下がっています。(後略)』
もっとも、ロシアは98年のデフォルト時とは異なり、対外純資産国です。外貨準備も4000億ドル以上保有しています。
通貨暴落の兆候が見られた場合、ロシア中央銀行は「ルーブル売り、ドル買い」の動きに対し、外貨準備を用いて「ドル売り、ルーブル買い」の動きに出ることで為替レートを防衛するわけです。すなわち、通貨防衛です。
ロシア中央銀行は、12月15日に19億6100万ドルにの為替介入を実施したことを明らかにしています。
今回の原油安ですが、先進国の家計には恩恵となります。とはいえ、自分たち自身で、
「原油こそ、我らが全て」
と、揶揄する(豪語しているわけではないです)ロシアにとっては、脅威でしょう。
サウジアラビアなど中東諸国が減産に踏み切らない場合、WTIは1バレル50ドルを割り込む可能性すら出ています。原油価格が下がることは、サウジアラビア自身にも悪影響を与えることになりますが、ここまで頑なに減産を拒否している以上、やはり「アメリカ、サウジによるプーチン潰し」という要因もあるのではないかと思います。
サウジにしてみれば、減産を拒否してWTIを下げれば、短期的には不利益を被りますが、長期的には目の上の瘤であるロシアを疲弊させることができるわけです。アメリカはWTI下落で、自国のシェール・ビジネスがダメージを食っていますが、現在の米ロはウクライナで「新冷戦」に突入したのも同然の状況にあります。ビジネスに加え、今回は多分に政治的要素が加わっているように思えるわけです。
いずれにせよ、「ギリシャショック」なり「ロシアショック」が発生した場合、間違いなく日本円の為替レートは上昇します。すなわち、円高になります。
円高になると、外国人投資家が日本株を売り払うため、日経平均は大きく下がることになります。外国人投資家が取引の65%を占めている以上、我が国の株価は「国際情勢」の影響を大きく受けざるを得ないのです。
そう考えたとき、「日経平均」を経済の指標として捉えることは、ナンセンスどころか、危険極まりないと思うわけでございます。
PS
なぜ、民間エコノミストの経済予測は現実を読み間違えるのか?
経済学の「嘘」を見抜いて世界と日本の動きを正確に知りたいなら、、、、
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です