From 平松禎史(アニメーター/演出家)
——————————
●●中国大暴走。日本は国家存亡の危機を回避できるのか?
三橋貴明の無料解説Videoを公開中
http://youtu.be/ns-sXQ-Iey0
——————————
◯オープニング
去年秋ごろから徐々に忙しさが増えて、年を越してからは、
仕事があるということは良いことですが、前にも書いた通り、
しかし、それすら多くの先人は越えてきているわけでして、
ともあれ、時間だけは如何ともし難くて、映画をじっくり見たり、
(お酒はそこそこ楽しめてます♪ 人間観察も楽しいし仕事の糧にもなります。)
第三話『ヒッチコック映画・「サスペンス」が成立する条件』
◯Aパート
ボクはヒッチコックの映画が大好きです。
映像演出のお手本が数多くあって趣味と実益の両方を満足させてく
ヒッチコックといえば『サイコ』『鳥』『北北西に進路を取れ!』
ヒッチコック映画のプロットは非常にシンプルです。
「
ヒッチコック映画にかぎらず、多くの「物語」
均衡の崩壊から安定へと回復させる基本プロット。
その過程で様々な「何か」を表現するのが物語であり、
『大人は判ってくれない』
_ _ _
すみません。
今回は、引用や映画の必要最小限のあらすじを添える必要性から、
ヒッチコック映画に見る『内奥の真実』
『映画術』の序文で、トリュフォーは「ヒッチコック的なるもの」
『たとえば、わたしがあるレセプションに招待され、
Y氏の顔を注意深く観察しながら彼の視線をたどっていくと、
そこで、わたしはX夫人に近づいていく。
彼女は小学校に通っている自分の二人の子どもたちの成績が悪いの
このシーンの最も本質的なものは、
すなわち
・Y氏はX夫人に欲望を感じており
・X夫人はZ嬢に嫉妬を感じている
ということがこのシーンの内実なのだ。
ヒッチコックは、どんな作品においても、このイメージ(映像)
このような場面は、会社の会議や居酒屋でのいわゆる「無礼講」
代表例として『私は告白する』を挙げます。
非常に美しい白黒映画で、
カナダのケベックを舞台にした映画で移民の多い地域ならではの、
あらすじはこうです。
主人公のローガン神父が、
神父には政治家の妻との不倫(
神父が告白を漏らすことは許されないので、
「無実の罪を負った主人公の物語」、その変形とも言えます。
繊細なケラーの妻は夫の犯した罪を、
事件の翌朝、
登場人物の「内奥の真実」を観客だけが知る。
そこから「それからどうなるの?」
◯中CM
『映画術』を買った当時、三鷹の映画館で日曜日の昼間に『鳥』
子供の頃、テレビで見たっきりで、
もちろん、映画にはそんなシーンはありません。
『鳥』はもっと淡々とした怖さで、映画の本質は「
『鳥』を見終わって、呆然と昼間の三鷹駅前に出ると、
空には鳩やカラスが飛んでいて、今にも襲いかかりそう。
映画は終わったのに、
そのことを「ぴあ」に投稿したら、しっかり掲載されました!(…
『鳥』には気分を盛り上げたり鎮めたりしてくれる音楽がなく、「
◯Bパート
「サスペンス」って何でしょうか。
ミステリーと混同されがちですが全く違うものです。
ミステリーは登場人物も観客も(たとえば事件の真犯人など)
中心になるのはサプライズ(驚き)です。
サスペンスは、
『映画術』
たとえば
ある家に泥棒が忍び込み部屋中を物色しているとします。
そこに家主が帰ってきて格闘になり…
あるいは、家に帰ったら泥棒がいて…
というのは登場人物と観客に同時に起こるサプライズ(驚き)
サスペンスとは
ある家に泥棒が忍び込み部屋中を物色している。
一方、家主が仕事を終えて帰宅中の姿を見せる。(
カメラは再び、泥棒へもどる。
泥棒は見つけたアダルトビデオを鑑賞中。(
家主がコンビニで週刊誌を立ち読み中。(早く帰れってば〜〜!!
…と、
この演出は『見知らぬ乗客』など多くの映画で見られますが、
あらすじはこうです。
刑事を引退して探偵業をしている主人公スコティは、
尾行を重ね、
スコティはマデリンを救おうと努力しますが、
罪の意識から心を病んでしまったスコティが回復した時、
スコティは失った過去を取り戻そうとジュディをマデリンに仕立て
このシーンは(ていうか映画全体が)かなり変態的ですが、
原作はミステリーで、
ミステリーの場合は、「新事実」で興味を引っ張って、最後に「
ヒッチコックは「
ヒッチコックは映画会社の反対を押し切って、
スコティがジュディと出会った直後に、彼女が、
そうすると、どうなるでしょう?
スコティはジュディに真実を隠したまま死んだマデリンに似せよう
ジュディは、
これぞサスペンス。
「表層の事実」と「内奥の真実」
_ _ _
さて、ここまできてお気づきでしょうか。
サスペンスには、映画が用意する前提条件と、
何でしょうか?
「常識(日本的に言えば道徳観)」 だと思います。
ヒッチコック映画がイギリスやアメリカだけでなく日本始め世界中
『サイコ』
衝撃的なシャワールーム殺人が『サイコ』の売りではありません。
カットつなぎがなく全編を切れ目のない「ワンカット」
そのクライマックスで、ジェームス・
ニーチェの超人思想を都合よく歪めて「殺人」を正当化したこと。
「(学問的に真実性があったとしても)私にはそれ(殺人)
キリスト教的な性悪説もかいま見えますが、人の行いを決める「
国ごとの歴史や文化を「踏まえて」なお響くものが、
注意すべきは、国ごとの歴史や文化を「越えて」ではなく、「
国ごとに映画の捉え方は異なります。
映画がつなぐことはできても、決して、
_ _ _
『私は告白する』で、
『映画術』での対話の中で、トリュフォーは弱点について、
宗教的な感性を共有しない人からすれば、
つまり、観客が、
ヒッチコックはこう答えます。
「プロテスタントや不可知論者からすれば、
そして、さらに
「あの映画は作るべきではなかった」とまで言っています。
ヒッチコックは、「そんなことはありません」
「人間というのはいつも自分の心を素直に口にだすわけではない。
人々の中にある「何か」を問うていこうとする姿勢、試みが『
ただ、ヒッチコック自身、
ボクが演出したある作品で、今日書いていることを踏まえた演出(
そして、その方はこんな風に言いました。
「作り手と観客に共有できる『何か』がなければ、
そんな「何か」を失いたくはないですね
◯エンディング
普遍性の高い「常識」、というものについて心配があります。
近年映画をあまり見ていないんですが、たまには観ます。
そうすると、実に親切なんです。
台詞で人物の内面がほとんど説明されている。
見たまま聞いたまま、そのままで驚きもなければ、
説明を聞いて納得したり、いい話だな〜と感動したりする。
「全米が泣いた!」なんてのは既にギャグですが、いまだに、
そういうものだと理解して楽しむ分には悪くはないんですが、
表現者の端くれとしては、
普遍性の高い常識…というよりは…
サスペンスが成立する条件が失われてきて、「何か」
でき得る限り、作品とお客さんの想像力、
想像力、発見力の基になる「何か」、共有され得る「何か」
_ _ _
表層と深層にズレがあるのが現実であり、
トリュフォーが、ヒッチコックを「リアリズムの作家」
◯後CM1
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
さかき漣先生とのコラボ企画、鋭意製作中!
とはいえボクの身の回りがバタバタしていてあんまり進んでいませ
次回には何か新情報をば!
◯後CM2
音楽や映画などの情報発信やイベント主催を活発に行っている「
アスカ・レイ・マリの3種ともイラストは私、
http://rockinstar.jp/products/
http://rockinstar.jp/products/
http://rockinstar.jp/products/
◯おまけ
拙ブログ Tempo rubato :_http://ameblo.jp/tadashi-
PS
中国がやばい本当の理由とは? 三橋貴明が解説中
http://youtu.be/ns-sXQ-Iey0
【平松禎史】霧につつまれたハリネズミのつぶやき:第三話への2件のコメント
2014年6月28日 5:22 AM
>普遍性の高い常識より新鮮なもの、多くの共感が得られるものを要求されている人ほど、創作活動に全身全霊傾けている人ほど、その軸足は世間が思うほど浮ついてはいない。視座が時流に流されていないのですね。常識とは我が家のようなもの。日常があるからこそ脱却が可能。帰る家をもたない連中は脱却が日常なわけで、作家の示す脱却と連中の脱却とが長いこと競争していたが、文芸誌のほうはいまだに連中と競い合えると思い込んでいる。世間をなめているのです。しかも小説の命ともいうべき描写力を特別要求しない今時に迎合して、多くの小説家自身が帰るべき家を失っているように見えます。平松さんの記事を読みながら、いろんなことを考えさせられました。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年6月29日 11:31 PM
あれもこれもそれもどれも観ようかなぁ・・・と欲望をかきたてられてしまったのですが、デフレの私は需要を抑えるばかりです。・・・ストップ!需要(ヒバリ)くん。読んだこと無いけど。「古い奴っ」 ミステリーで思い出してしまいました。筒井さんのロートレック荘事件。小説と言う世界を使ってこそ描けるトリック・・・だった気がします。観たい、読み返したいモノばかり増えてしまい引き篭もりの生活ばかりで全然抜け出れません。 抽象的過ぎる私想ですけど、デフレからの脱却にも通ずるトリックな気が、ふと、して書き込んでしまいました。「引き篭もりから脱却できねぇ奴の私想なんか糞喰らえだっ!」・・・ですね。(自虐的思考ギャグはつづく)
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です