From 佐藤健志@評論家・作家
——————————
●「月刊三橋」最新号のテーマは、「イラク危機」。
三橋貴明の無料お試し音声を公開中
https://www.youtube.com/watch?
——————————
「日本を取り戻す」と言って出発した安倍政権ですが、
今やどうも、「日本をますます喪失させる」
そう言えば首相、かつて「戦後レジームからの脱却」
これも今や、「戦後レジームの完成」にすり替わった感が強い。
ただし「現内閣は歴史に残る売国政権」などと批判するのは、
1980年代いらい、日本の保守政権(ないし、
ところが、そこにはつねに
1)日本を取り戻すと主張しつつ、日本を否定する。
2)戦後(体制)から脱却すると主張しつつ、戦後(体制)
というパラドックスが見られたのです。
これはなぜか?
理解していただくには、拙著『僕たちは戦後史を知らない』
第7章「螺旋(らせん)階段の三〇年」で、私はこう書きました。
「自由主義的な改革(路線)には、
「アメリカの国益を踏まえている以上、当の要求はたいてい『
(246ページ)
こうしてアメリカの要求を、しぶしぶ・・・どころか、
けれどもアメリカ化にたいし、どうしてこんなに固執するのか?
ここにはさらに厄介なパラドックスがひそんでいるのです。
アメリカは自由主義経済の総本山のような国ですが、
それどころか、ニューディール政策(
つまり自由主義的な改革の推進は、
『僕たちは戦後史を知らない』より、ふたたび引用しましょう。
「自由主義を志向する形で、
「もっともアメリカ化を推進すればするほど、
(247ページ。読みやすさを考え、表記を一カ所変更)
しかも日本のアメリカ化を推進することは、「戦後レジーム」
こうしてパラドックスは完成するのでした、ジャンジャン♪
戦後史の構造について、さらに知りたい方はこちらをどうぞ。
驚愕ものですよ。
http://amzn.to/1lXtYQM
手塚治虫さんの名台詞にならえば、
「支離滅裂、奇怪破廉恥、荒唐無稽、独善茫然自暴自棄、
というヤツであります。
(手塚治虫『マンガの描き方』、光文社カッパ・ホームズ、
私の本が、じゃありませんよ。
わが国の戦後史が、です。
くだんの支離滅裂、奇怪破廉恥、荒唐無稽、独善茫然(以下略)
それはともかく。
安倍政権のやっていることが、
暴走もほどほどと言えるかも知れません。
だとしても、日本を真に取り戻したり、
1)アメリカという国のあり方。
2)良くも悪くも、
3)戦後の日米関係のあり方。
わが国の本格的な近代化・西洋化は、
同様、日米関係にしても、
しかし、とりあえずは手の付けやすいところからということで、
そして今週金曜、7月25日に刊行される『コモン・センス完全版 アメリカを生んだ「過激な聖書」』(トマス・ペイン著、
『コモン・センス』とは何か?
じつはアメリカをつくった本なのです。
もっと言えば、アメリカ独立戦争の起爆剤となった本。
アメリカはもともと、イギリスの植民地だったわけですが、
1774年9月には、植民地諸州の代表が集まった「大陸会議」
つづいて1775年4月には、マサチューセッツ州の中心地、
そして4月19日に発生するのが、「レキシントンの戦い」。
アメリカの民兵部隊と、イギリス軍との武力衝突です。
そんな緊迫した状況のもと、1776年1月に刊行されるのが『
じつはこの時点でも、アメリカ人の多くは「
けれどもトマス・ペインは、
もはやイギリスとの和解などありえない!
今、われわれが起ち上がらなければ、
だが独立を勝ち取ることさえできたら、
そしてアメリカには、イギリスと戦って勝つだけの力がある!!
尻込みしている場合か?!
やるべし! 起つべし! 独立あるのみ、草莽崛起!!
「草莽崛起(そうもうくっき)」とは、「一般の人々が決起する」
『コモン・センス』は発売されるや空前のベストセラーとなり、
現在ではこの増補版が、『コモン・センス』
むろん翻訳にあたっても、底本としました。
さて。
ペインの熱弁に突き動かされ、
もはや流れは決まりました。
『コモン・センス』は「常識」という意味ですが、
これを受けて7月4日、大陸会議で決議されるのが、
宣言の大部分を起草したのは、のちに第三代大統領となるトマス・
大陸会議はフィラデルフィアで開催されましたが、
かくしてアメリカは、七年間にわたるイギリスとの戦争を完遂、
アメリカの誕生が持つ歴史的な重要性を思えば、
『コモン・センス』は世界史を変えた本の一つなのです!
同書にアメリカのあり方を見直す糸口があることは、
とはいえ。
ペリー来航(1853年)の約80年前、
日本の降伏(1945年)の約170年前に書かれた本が、
なぜ戦後の日本や、
それが古典のすごさというもの。
真の古典は、つねに現代的意義を持っているのです。
もっと具体的に言いましょう。
『コモン・センス』において、
アメリカ人は自分たちのポテンシャルを分かっていない。
「イギリスはすごい国に決まっている」と思い込み、
だからこそ植民地の地位に甘んじているのだ。
イギリスは自国の権益確保のため、
ところがアメリカは、自分たちの軍隊(とくに海軍)
自分の国は自分で守るという気概を持てば、
だがイギリスは、
したがって武力に訴えてでも独立しなければならないのだ!
──この主張、どこかで聞いた覚えがありませんか?
そうです。
文中の「イギリス」を「アメリカ」に置きかえ、
「アメリカ」を「日本」に置きかえたら、
いわゆる反米保守の議論とまるで同じなのです!!
独立戦争当時のアメリカは、イギリスとの関係において、
だからこそ、アメリカとの関係を見直すうえで、『コモン・
予約はこちらで受け付けていますので、ぜひどうぞ!
http://amzn.to/1lXtL07
『コモン・センス』とトマス・ペイン、
あわせてご覧下さい。
URLは_http://kenjisato1966.com。
関連したブログ記事は以下の9本です。
「インデペンデンス・デイ」(7月4日配信)
「臆面もないことのパワー」(7月5日配信)
「トマス・ペインの災難 part1」(7月17日配信)
「トマス・ペインの災難 part2」(7月18日配信)
「コモン・センス見本到着」(同)
「トマス・ペインの災難 part3」(7月19日配信)
「トマス・ペインの災難 part4」(7月20日配信)
「ギロチンが生んだ料理 part1」(7月21日配信)
「ギロチンが生んだ料理 part2」(7月22日配信)
トップページのカレンダーで、該当する日付をクリックすると、
それから私の本については、こちらのURLもどうぞ!
http://www.vnc-ebook.com
ここでご購入いただくと、いろいろ特典がありますよ。
最後にひとつ。
「DANCING WRITER」では、オレンジ公ネコという人物(?)が、巨匠・
サイトで好評だったオレンジ公のデビュー作を、
https://www.youtube.com/watch?
または
https://www.youtube.com/watch?
ああ わが名はシンゾウ
ああ わが名はシンゾウ
TPPの渦巻くもとで
何をぶち抜く 雄々しいドリル
つづいて第三の矢を 私は放つ
改革推進の方針に迷いはない!
神よ 正しき道を教えたまえ
経済の悪魔を斬り払え!
ああ わが名はシンゾウ
ああ わが名はシンゾウ
いつもいつでも 私の陰に
保護者のように アメリカがいた
固く結ばれた手を 放さずに行く
矛盾だらけと言われても 恐れはない!
神よ 日本の株価を上げたまえ
ドリルよ 岩盤を突き通せ!
神よ 日本の株価を上げたまえ
ドリルよ 岩盤を突き通せ!
ではでは♪(^_^)♪
PS
日本は国家存亡の危機を回避できるのか?
三橋貴明が無料音声で解説中
https://www.youtube.com/watch?
【佐藤健志】「コモン・センス」の現代的意義への2件のコメント
2014年7月23日 10:00 AM
そういうわけで、『民間防衛』とかいう名著()をステマwする動きがあるようですが、その試みは定めし不首尾に終わることでしょう。丸山眞男ではないですが、国民一人一人に拳銃でも普及させてから言え、という話です。改造モデルガンとか3Dプリンターとかでいちいち色めきたっているお国柄にしてこれがいかに困苦をきわめることか。。。
2014年7月25日 1:01 AM
>アメリカの民兵部隊と、イギリス軍との武力>衝突です。太閤秀吉以来、暴力は公権力の独占のもとにあり、市民の自主武装の芽は摘まれている。そこをどう重く見るか、によって如上の類比が成りたつかどうかも決まるでしょう。