日本経済

2017年9月2日

【三橋貴明】資本主義を破壊するデフレーション

From 三橋貴明@ブログ

第一回が何と早くも72000視聴を突破した(なぜ?)
ソーシャルレンディング最大手maneoの瀧本憲治氏
とのコンテンツの第二回
「2【大人が知るべき(日本の)歴史:征服の戦略とは?】第0次グローバリズム」
が公開になりました。

https://youtu.be/Dv6QWHFMe40

プーチン大統領が、大統領府のウェブサイトで、
現在の北朝鮮危機が「大規模な紛争」に発展する恐れがあると警告し、
かつ北朝鮮に圧力をかけるのは誤りとの見解を示しました。

「北朝鮮の核ミサイル開発計画を圧力のみで中止させられるとの見方は間違いで無益だ」

具体的には、米韓の大規模な軍事演習を中止せよという、
ロシアや中国の提案を受け入れるべき、という話でございます。

ロシアや中国にとって、北朝鮮は美味しいカードです。
プーチン大統領も習近平も、解決する気は全くなく、
解決に協力する気すらないのは明らかです。

北朝鮮危機の深刻化は、、
「それでは、我が国はどうするのか?」
「我が国は何ができるのか。あるいは何をできるようになるべきなのか?」
について真剣に考えなければならないという、
国民主権国家の国民としては当然の事実を、
我々日本国民は突き付けられるわけです。

さて、企業の内部留保が相変わらず積みあがっていっています。

『企業の内部留保、過去最高=初の400兆円台-16年度末
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017090101109&g=eco

財務省が1日発表した法人企業統計調査によると、企業が利益を蓄積した「内部留保」は
2016年度末時点で過去最高の406兆2348億円となり、初めて400兆円を超えた。
景気回復を背景に企業が資金をため込んでいる実態が浮き彫りとなり、
投資や賃上げを求める圧力が一段と強まりそうだ。
内部留保は企業の利益から税金や配当金、役員賞与など社外へ
流出する分を差し引いた残りを積み上げたもの。
第2次安倍政権発足後の12年度末から増加が続き、5年連続で過去最高を更新した。
残高の増加ペースは毎年20兆円以上で、昨年度末は前年度末比7.5%増だった。(後略)』

財務省の4─6月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、
全産業の設備投資額(ソフトウエアを除く)は、3四半期ぶりに前期比減少してしまいました。

特に、製造業が前期比で二期連続マイナス。
非製造業も、マイナスに転じました。

非製造業(サービス業)は、生産年齢人口比率の低下を受け、
超人手不足の状況に突入しています。

当然ながら、生産性向上のための投資が起こらなければならないはずなのです。

ところが、現実には投資が伸び悩んでいる。投資をせず、内部留保を貯め込む。

なぜなのでしょうか。

もちろん、グローバル株主資本主義の影響で、
人件費や投資を控え、可能な限り純利益を拡大し、
配当金増額や自社株買いをしなければならないという問題もあります。

もっとも、内部留保で貯め込むくらいならば、投資を増やしてもよさそうなものです。

そもそも、企業の目的は「投資」することで生産性を高め、利益を稼ぐことです。
設備投資、人材投資、技術投資により生産能力を高めることこそが、資本主義の基本なのです。

結局、現在の我が国では資本主義が成り立っていないという話に尽きるのだと思います。

ちなみに、現在の日本の長期金利は▲0.01%と、またまたマイナスに突入しています。

資本コストが史上最低な状況であるにも関わらず、投資をしない。

それどころか、利益が増えても、投資をせずに現預金で貯め込む。

人口構造の変化で、明らかにインフレギャップの状況に
移行しつつあるにも関わらず、投資に踏み込めない。

理由は、大きく二つあり、
「目の前の需要が継続することを信じられない」
「人手不足が継続することを信じられない」
のだと思います。

何しろ、我が国は二十年もデフレーションが続き、
「需要不足&人手過剰」の状況が続いてきたのです。

人手不足かつ長期金利がゼロの状況においては、
本来は生産性向上のための投資をすることが合理的です。

とはいえ、我々の「気持ち」的には、いかなる状況になろうとも
投資をしないことが合理的になってしまっているわけです。

デフレ精神でございますね。

というわけで、政府が財政出動をコミットし、
長期の安定需要が見込めるようにならない限り、
日本国民のデフレ精神は払しょくできません。

短期の需要創出ではだめです。あくまで「長期」が必要なのです。

上記を理解した時、我が国において、
「政府が全国の防災や交通インフラ整備に支出するために、公共投資を継続的に増やす」
ことが、いかに合理的かわかるはずです。

民間が投資をしない以上、政府が投資をするしかないのです。

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【三橋貴明】資本主義を破壊するデフレーションへの2件のコメント

  1. たかゆき より

    コンクリートを ヒトへ ♪

    当地の新聞でも報道されておりましたが、、
    オラの村には ビルがない。。。

    北からミサイルが飛来しても 身を隠す場所がありません。。

    一人に一個とは申しませんが 万全を期すと
    総理が仰るなら それなりの施設を全国に建設すべきかと、、

    さすれば 継続的に公共投資を増やす一助にもなりましょう
    が、、、

    有事を想定するのは不埒 あるいは 憲法の精神に反するという
    なんたら新聞の記者も居られるようなので

    全然 期待はしていません
    万全を期するとは 確実に死ねると同義
    このように理解して宜しいのでせうね♪

    返信

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  2. Komiyet より

    憲法9条を平和憲法だと思っている人は別の解釈でしょうが・・・

    敵が攻めてきたら、みんなで死にましょう。皆殺しまでは敵もしないだろう。という憲法です。

    男たちは大切な人たちが危険にさらされているのに、武器を持って戦うことを禁じている憲法です。

    そして大切な土地を守るために武器を持ってはいけないという憲法です。

    なので、私は男ですが何もできません、なにもしません。

    敵の攻撃で即死したいです。

    我が国の憲法は、国のために武器を持って戦うことが禁止されているんですから、戦争になったら男は生きている価値がない。

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