From 青木泰樹@経済学者
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何といっても国家の根幹は国民であり、施政者なら誰しも「
先月末、超党派の議員立法「過労死等防止対策推進法」
過労死の報道に接するたびに、
ようやく政治も重い腰を上げてブラック企業の規制に乗り出したか
法案によれば、「過労死対策は国の責務」であると明確に規定し、
官民挙げて過労死を防いでいこうと。
しかし、
ただ良い知らせもあれば、
先日、安倍政権の成長戦略が出そろいました。
今回は、その中から「労働時間規制の緩和」
いわゆる「ホワイトカラーエグゼンプション」の問題です。
ホワイトカラーエグゼンプションとは、「一日8時間、
第一次安倍(改造)内閣時代、当時の舛添要一厚労大臣が有識者(
勤労者にとって幸運なことに、当時は「
私は、
「勤労者も殴られっぱなしではないぞ」との思いを強くしました。
政府の既定路線は必ずしも国民にとっての既定路線ではないのです
しかし、今回はどうなるのでしょう。
マスコミ権力がどの程度政権にすり寄るかで状況は大きく変わるの
政権側も今回は、
単独提案ではなく、アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」
毒まんじゅう作戦でしょうか。
経済マスコミもこぞって、
同じく、今回はホワイトカラーエグゼンプションと呼ぶ代わりに「
成果賃金とは! 詭弁もここまで来ると恐れ入ります。
これまでの「労働(時間)の対価としての賃金」を「
これなら時間無制限に労働させても賃金に反映されないので、
さらに成果を評価する人は誰でしょうか。もちろん経営者(側)
経営者に「当社の目標とする成果とはほど遠いので、
働かざるを得ない。
このように成果というハードルは、
他方、経営者の成果に関して言及しないのが成果主義の欺瞞です。
勤労者の成果を評価することはかなり難しいものです。
複数の業務をこなす場合や、担当地域の相違(運不運)
しかし、経営者の成果は企業業績を見れば一目瞭然です。
現在、税金を納めている法人企業は全体の3割ですから、
そうした企業の経営者の報酬は、
しかし、そんなことはしない。
好業績の時だけは、
経済学者の方も、
今回の特徴としては「労働時間の規制緩和」と同時に「
しかし、これも世間向けのリップサービスでしょう。
もしくは学者としてのアリバイ工作。
本気であれば、抑制策が盛り込まれない成果賃金制度は、
でも、しない。軸足(目的)
残業するのは、能力がないからでしょうか。
それとも仕事が多過ぎるからでしょうか。
もちろん、後者です。仕事は会社から与えられるものですから。
ある新聞社の論説委員が「
そんなことをしていたら首になってしまう。
サービス業の労働生産性を上げたければ、
少しでも利益が出れば、
現在の日本の抱える問題は、労働時間規制を緩和して、
勤労者の健康を害する長時間労働が事実上存在していることを認識
そちらが優先事項なのです。
柔軟な働き方は、既に現行の「フレックスタイム制」や「
厚労省が定める「過労死ライン」は、
しかし、
しかし、罰せられない。労働基準法第36条の規定(通称、
もちろん、労使間で時間外労働時間の取り決め(サブロク協定)
しかし、それを無視した取り決めが横行し、
この事態を改めることが先なのです。
改正すべき労働基準法の内容は、
違反に対して罰則規定を設けることなのです。
それこそ勤労者の健康と生命が懸っていることなのですから。
今般、成長戦略に盛り込まれた労働時間規制の緩和は、政府が「
それによって株価は一時的に上がるでしょうが、
残念なことです。
成長戦略の掲げる経済成長は、
勤労者の犠牲の上に企業成長が達成されても、国民・
施政者には、是非このことを理解して頂きたいものです。
PS
もし、あなたが日本を「残念な国」にしたくないなら、、、
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【青木泰樹】国家の根幹への4件のコメント
2014年6月19日 9:47 PM
内容もさることながら、先生は文章が巧い!
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2014年6月20日 8:32 PM
先日ジョージルーカスの初期の近未来映画THX1138の解説音声入を再び観ていたのですが、その中で「…社会そのものが異常なロボット…」と解説されていました。この映画を作られた頃の米社会を日本はなぞってきているだけなような気がしました。 先日ネオリベ派と思われる2011年発行の中古本を買ってしまった(意図的です)のですが、捲り流しただけですがデフレのデの字も見かけませんでした。なんかその辺から狂っているのでしょうね。 「…社会そのものが異常なロボット…」究極的に脳は意識(都合よく?)だけで社会システムを造り上げようとする思考がネオリベ思考を造ったのでしょうか?。金融が牽引する経済って仮想経済にしかならない気がしました。 ネオリベ思考がシステムではなく、毒まんじゅうと言う一部分、そして果ては欠片と化して消えていくことを祈ります。 高卒プロレタリアートな者で、思いつきな曖昧模糊な抽象的表現で失礼しました。ご了承願います。
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2014年6月22日 6:05 AM
以前勤めていたとある情報通信サービス企業で、長期に渡り、月100時間を超える残業を強いられていたことがあります。セミナーと称して、スローガンを大声で叫ばせたり、集団討議で会社方針に忠誠を誓わせたりと、色々とやっていました。従業員の「付加価値」を絞り出すために、企業努力もいろいろなようです。そういうことを繰り返していると、反骨精神のある社員も段々と従順になっていくようです。いつしか従順な社員は自己評価を下げるのを怖がり、残業時間の申告を自主規制するようになります。性的倒錯に似たようなもので、最初は苦痛でも、だんだんそれが普通になっていくのです。オーウェルの1984の世界を思わせます。
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2014年6月22日 1:36 PM
祝!電柱新設禁止!青木先生、出だしの一文からカッコ良すぎます!本質すぎて光ってます。成果も評価も主観であること、まさしく、です。会社は目標がひとつとは限りませんし、たとえ統制したとしても、それを実現するための手法や考え方はさまざまであってよい(職種によりますが)はずで、そのような多様な価値観を内在しうる会社組織においては、評価するもの、評価されるものが意見を異にするのはありうるべき話であり、そのような状況に置いて成果評価というのが正しく行えるかといえば、アンマッチな上下関係の場合は低評価、マッチすれば好評価、ということが普通に起こります。規制撤廃で気の合わない部下は気に入る結果を出すまで無限残業とかいう地獄が容易に見えます。会社は成果、いや結果が全てですが、社内では経過も重視され、その経過は数値化しにくいものです。社内関係が健全で業績が上がるのならば、内部に釣りバカなハマちゃんが居たってべつに良いわけです。ひとは機械ほど単純でない、よくもわるくも、です。また過労死の件は、制度で守れる範囲と、守れない範囲はあるのだと覚悟したうえでの、政治を期待したいと、元過労死候補生としては願っています。ひととひとの関係、その行き違いや交流の失敗で、地獄は起こるものです。人を活かす「集団」は殺しもできるという理解ならば、制度改善でブラック企業消滅万歳、あいつさえ磔の刑にすれば、もう地獄はないし、認めない、という楽観にはならないはずなので。
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