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2014年2月14日

【三橋貴明】慄然とせざるを得ません

From 三橋貴明@三橋ブログ

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財務省が地方自治体に対し、公共事業の予算を「次年度に持ち越す」ように促しているという報道が流れ、目を疑いました。財務省といえば、我が国の「悪夢」と言ってもいい財政均衡主義の親玉です。

例年の公共事業予算は、自治体側が使い切らない場合「消滅」します。というわけで、以前は3月に「駆け込み工事」が行われてたほどなのです。とはいえ、現在は土建産業の供給能力不足により、使いきれなかった予算は、そのまま「使わない」というケースが増えてきています。いつもの財務省であれば、予算の節約(?)に対して喜んだだけでしょう。

ところが、今年は使い残した予算を、年度をまたいで使っていいと「財務省」が自治体に異例の呼びかけを行っているわけです。予算の繰り越しには面倒な手続きが必要なのですが、財務省は手続きの簡略化まで検討しています。

これは、何を意味するか。
要するに、消費税増税後の景気減速(及び税収減)に、財務省までもが危機感を抱いているという話なのだと思います。

『1月の街角景気、3カ月ぶり悪化 消費増税控え、反動減に懸念
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL100TL_Q4A210C1000000/

内閣府が10日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比1.0ポイント低下の54.7となり、3カ月ぶりに悪化した。4月の消費税率の引き上げを前に自動車や家電製品で駆け込み需要がみられる一方で反動減を懸念する声が出た。飲食業など一部の業種では節約の動きがみられた。
家計分野では「常連客の客単価が低下していたり、月曜から水曜にかけて来客数が減っていたりなど、細かく見ると買い控えの動きが始まっているようだ」(北海道の高級レストラン)といった指摘があった。企業分野で「原材料などが7〜8%くらい値上がりしており、いまだに価格転嫁できずにいる」(北関東の食品製造業)といった声もあがった。
好不況の分かれ目となる50は12カ月連続で上回っている。内閣府は前月までの「緩やかに回復している」との基調判断を維持した。その上で「ただし、先行きについては、消費税率引き上げ後の需要の反動減などの影響が見込まれる」との文言を付け加えた。
2〜3カ月後の景気を占う先行き判断指数は5.7ポイント低下の49.0と2カ月連続で悪化した。マイナス幅は東日本大震災の起こった2011年3月(20.6ポイント低下)以来の大きさで、指数は12年11月以来14カ月ぶりに50を下回った。(後略)

注目すべきは現在の景気の話ではなく、4月の消費税増税以降です。先行き判断指数が5.77ポイント低下の49と、2カ月連続で悪化しているということは、国民が「将来の景気減速」に怯えているという話になります。

後略部で、九州の自動車販売業の方が、
「予想以上に駆け込み需要が大きく、4月以降は反動減で厳しい状況になる」
と語っていますが、問題は増税で物価が強制的に上がる反対側で、賃金上昇が足踏みしている現実です。無論、4月に賃上げしてくれる企業も少なくないでしょうが、物価上昇分には追い付かないでしょう。すなわち、実質賃金の低下です。

【図 実質賃金(毎月決まって支給する給与)の対前年比%(年平均)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_45.html#Jissitsu

図の通り、13年の実質賃金の伸びは対前年比−0.9%でした。アベノミクスにより物価は上昇傾向にあるものの、所得の上昇が追い付かないのです。
無論、物価上昇率に所得上昇率が追い付かない環境は、デフレ脱却のために必ず通過しなければならない「過渡期」です。最終的には、物価上昇率を所得上昇率が追い付きます。

問題は、このタイミングで消費税が増税されることです。

ちなみに、前回の増税直前の96年の実質賃金は、1.4%のプラスでした。それにも関わらず、消費税増税で日本経済はデフレに突っ込み、97年の実質賃金は−0.2%、98年は−1.0%と、国民の貧困化が始まりました。

そして、今回は増税前年の13年が−0.9%。実質賃金だけを見れば、97年の増税時よりも状況が悪いのです。

我が国はすでに「物価のみ」を意識するべき局面を過ぎようとしているのだと思います。政策の重点を物価から「国民の所得」「実質賃金」の拡大に移さなければ、「所得が増えないにも関わらず、物価のみが上がる」状況に陥り、国民は怨嗟の声を上げ、大手マスコミが大喜びで政権批判を展開することになりかねません

そういう意味で、財務省の「公共事業繰り越しの推進」は(物凄く珍しく)正しい政策だと思うのです。とはいえ、「あの」財務省までもが危機感を覚えていると考えると、慄然とせざるを得ないわけです。

PS
三橋貴明の最新無料Videoです。
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PPS
中国の不動産バブル問題について解説しています。世界経済の時限爆弾はどうなる?

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【三橋貴明】慄然とせざるを得ませんへの5件のコメント

  1. t2-ccv より

    「今年12月の10%への増税決定までは何としても景気減速させない」ということでしょう。多くの課税業者が8%の納税をする前に、10%に増税決定しようとするあたりが、財務省は何とも周到だなあと思います。8%の納税時期の来年3月以降が怖いですね。

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  2. zef より

    実質賃金が減り、国民が怨嗟の声を上げるのであれば、「大手マスコミが大喜びで政権批判を展開する」のは仕方ないでしょう。なぜならそれは、安倍政権の政策ミスなので。ミスは批判を受けて然るべきです。財務省はどうなんでしょうね。私は、97年の時のように増税したにもかかわらず税収が減った場合、10%に上げる際の障害になると考えて「公共事業繰り越しの推進」をしてるのだと邪推してますが。まあ、どのみち増税による景気のクラッシュは避けられないでしょう。

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  3. ニコニコjapan より

    現時点では「あの」財務省までもが危機感を覚えているんでしょうが、消費税10%達成したら、財政均衡主義にもどるのではないでしょうか?

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  4. ヌコ より

    それにしてもいい加減に、東京都を見習って戴いて、複式簿記化して戴きたいものどすがニャ〜〜(笑)

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  5. poti より

    ところで、中国でついにデフォルトが起きたなんて記事を見かけましたhttp://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140213/frn1402131537003-n1.htm今後の推移によっては、東アジアの更なる不安定化が予想できますねーそういえば、メリケンさんが朝鮮・中国に謝れ!早く!と矢の催促してましたがさもありなんそれにしても何時になったら日本と日本人はリスクを理解できるんだ?誰も口にしないだけか処で、安倍総理は外交戦略で中国封じ込めを狙っているようにも見えますが、あれは、「覇権国たるアメリカに保護され、軍事的リスクのない日本」がその前提になっているように思えます現状は肝心要の日本国の先行きが怪しくなってきてる訳で、これまでの外交政策が有効に機能するかどうか疑問の余地が残ります中国リスクが顕在して、アメリカが助けてくれないならどうするんでしょうか見捨てるのかな。んがんん

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