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2025年3月26日
【藤井聡】石破首相が中国要人に対し「台湾独立を認めない中国の立場を是認する」旨の発言を繰り返しています.一刻も早い総理辞任が必要です.

石破総理が,中国の王毅外相をわざわざ首相官邸に呼び寄せて面談しました.そもそもこの,トランプが対中強硬姿勢を強化しようとしているこの時期に官邸に呼び寄せて面談すること自体が非常識の極みではありますが,その席で行った会談について,中国政府が「中国が詳述した立場を尊重する」との石破発言があった,と発表しました.
https://news.yahoo.co.jp/articles/2262c66eee591fb607b0690c40c82dd59b4b880e
中国が詳述した立場とはもちろん,台湾独立は絶対に認めない,というのが最重要ポイントとして含まれることは自明ですから,石破は「台湾独立は絶対に認めないという中国の立場を尊重する」と言った,と言うことになります.
が,これに対して外務省は,「首相がそのような発言を行った事実はなく遺憾だ」と反論したのですが…いくら中国政府といえど,わざわざ表敬で呼ばれた中国が,表敬先の首相の発言について「嘘」をついて,言ってもいないことを言ったと公表するなんてことは,絶対にありません.
そんな事をすれば,「友好」のための折角の表敬だったのに,それを通して日中関係が悪化することになるからです.
そもそも,外交の場で口からでた言葉は,取り消されません.なぜなら,相手国がそれを聞いているからであり,それはまさに言葉の人質,言質,そのものです.
中国は,石破氏の言葉を記録し,解釈したところ,その言葉の内にどう考えても,「中国の立場を尊重すると発言したと解釈できる言葉だ」と判断できる言葉が含まれていると判断したのでしょう.
なぜこんな事になったのかと言えば,次のような顛末があったと考える以外に,解釈のしようがありません.
すなわち,例のややこしい言い周りの「石破構文」で話した内容を,中国側が「中国が詳述した立場を尊重する」と石破が言ったと解釈し,それを公表した,と考えざるを得ないのです.
例えば,石破氏が,次のような発言をしたとしましょう.
「ご説明のあった中国の立場は日本としてもしっかりと理解せねばなりません,日本の外交内政はその理解を踏まえたものでなければなりません」
典型的な石破構文の言葉ですが,この言葉を普通に解釈すれば,「中国の立場を尊重する」と十分解釈できるものえす.
しかし,石破本人は次のように反論するでしょう.
「わたしは,ねばならないといっただけで,するとは言ってません.理解し,踏まえねばならないとは思うが,せねばならないというのは単なる認識を言っているのであって,そうするという話しとは全然別次元なのであります」
「しかも理解する,と言う言葉は,了解する,是認と言葉とは全くちがいます.中国がそう思っているという事それ自身を理解したのであって,そういう中国の立場に賛同しているわけでも,肯定しているわけでも御座いません」
「さらには踏まえるとは言いましたが,踏まえながらそれをあえて無視して振る舞うこともできるわけですから,踏まえるということと尊重するということは全く違うのであります」
まぁ,なんとも鬱陶しい反論ですが,一応そういう風に反論可能です.
ですが,こういう「石破構文」は国会答弁を誤魔化すためには使えても,外交では全く通用しません.
何と言っても,言葉の微妙なニュアンスの違いなど,いくら通訳をつけていたとしても完璧に伝えきることなどできないからです.
したがって本件は,石破が微妙な問題について,通訳ですら伝えきれない複雑なネバネバした石破構文を使って発言したが故に,外国人なら誤解してもしょうがない言葉を発したというのが事の顛末と考えられるのです.
しかも中国は実際に,3月24日時点で日本政府が「首相がそのような発言を行った事実はなく遺憾だ」との声明を出し,中国政府に中国のHP上の「中国が詳述した立場を尊重する」との石破発言があったとの記述の削除要求を「拒否」し,HP上にその旨を記載し続けることを宣言したのです.
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025032400834&g=int
いくら日本政府が否定しても,中国政府のHP上に残り続ける以上,日本の総理大臣が一つの中国を認める発言をしたという事象が「外交的事実」として残る事になったのです.
これは途轍もない国益毀損です.
ただし,今回,外務省が中国の発表を否定したことでかえって,「石破は台湾独立を認めないと中国要人に対して,『かつて』発言した」ということが今回,逆説的に「確定」してしまった,と言う事案があります.
それは,石破はかつて中国の要人(李強首相)に対して,台湾問題に関し「日本は日中共同声明で定められた立場(つまり台湾独立を認めないと言う立場)を堅持」すると発言した,と中国側が発表している事案です.
その発言は,日本側のHPには記載されていないのですが,中国側のHPに記載されている状況にあります(詳細は下記HPをご参照ください→https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7c87345f7a3b948525d9c7db095e064a49055446)
ところが,中国側のそのHPに対して日本側からクレームが一切入っていないのです.
今回の件で,日本側は,日中外交上の会談についての中国側の発表について,常にチェックし,問題があればクレームを入れるということが,改めてハッキリした事になりますから,李強石破会談について,外務省はクレームを入れなかった,ということは,日本側は,そのHPの内容を「是認」したという事を明確に意味しています.
すなわち「台湾独立を認めない」という中国の立場を,石破政権が「是認」しているということが,奇しくも今回の外務省クレーム報道によって明らかになってしまったわけです.
繰り返しますが,これは深刻な国益毀損なのです.
中国と対峙しようとしている米国を,同盟国の立場でありながら「裏切る」行為となるからです.
米国はその「石破の裏切り」の代償を必然的に日本に求める事になります.それを「支払う」こと事態が大きな国益毀損です.
そして万一それを支払う事を日本が怠れば,「アメリカは日本を守る」という建前が大きく崩れ,日本の安全保障は失われ,対北朝鮮の拉致問題,対ロシアの北方領土問題の解決の大きな障害となり,さらに新たな北朝鮮有事,ロシア有事の可能性を飛躍的に拡大させることになります.
一方で中国は,この「石破の裏切り」米中台と対立する台湾有事,さらには「尖閣有事」においてより有利な立場となるのであり,それはそのまま尖閣を中国に奪われるリスクが拡大することを意味します.
したがって石破が総理の座にしがみつけば付くほど,内政は財務省の思いのままの緊縮が続くと同時に,外交は日本を中国の思い通りに展開され,日本の安保体制が根底から揺らぐこととなり,内患のみならず外憂も飛躍的に拡大し続けることになるのです.
つまり今の日本にとっての最大の脅威は,財務省でも中国共産党でもトランプでもなく,「石破」となっているのです.
それほどに,危機の時代における一国の総理は,重大な責任を負う存在なのです.
一日も早い石破総理の総理退任が,日本の為に深刻に,求められているのです.
一人でも多くの国民にこの<真実>をご理解頂きたいと,思います.
追伸1:本件について,改めて動画で解説しました.是非ご覧下さい.
https://www.youtube.com/watch?v=ZM0XARiySmo
追伸2:さらに,下記記事で本件についてより詳しく解説しました.コチラもあわせて是非,ご一読下さい.
https://gendai.media/articles/-/149754
【藤井聡】石破首相が中国要人に対し「台湾独立を認めない中国の立場を是認する」旨の発言を繰り返しています.一刻も早い総理辞任が必要です.への1件のコメント
2025年3月28日 7:58 PM
三橋さん
「安倍政権下においても、減反、農業予算抑制、公共事業抑制、さらに働き方改革と、意味不明な供給能力削減政策が続けられた。結果的に、日本は需要拡大ではなく、供給能力削減(サプライロス)によりデフレ脱却を果たしてしまった」
朝日新聞「トランプ関税対策、日本『非関税障壁』緩和検討 交渉材料にする考え」
三橋さん「関税掛けられたら、非関税障壁(何のことか分からんが)緩和ですか。宗主国様の内政干渉を、そのまま認めちゃうわけですね。アホか」
藤井教授「石破総理が,中国の王毅外相をわざわざ首相官邸に呼び寄せて面談しました」
藤井教授「そもそもこの,トランプが対中強硬姿勢を強化しようとしているこの時期に官邸に呼び寄せて面談すること自体が非常識の極みではありますが」
藤井教授「その席で行った会談について,中国政府が『中国が詳述した立場を尊重する』との石破発言があった,と発表しました」
まあ、自公政権が日本国民のために政治をやっているわけではないということだけはよくわかりました(苦笑い
泉房穂さん「日本には魅力的な政党がない!」
世間ではこの発言が炎上しているそうです。いわく、
「魅力的な政党はある。その政党を支持している人達に失礼だろ」
ということなのだそうですが、とりあえず、自公政権を今でも支持している3割ほどの有権者には自公の何に魅力を感じているのか聞いてみたいものですね。
加えていえば、日本は有権者の約半数が選挙に行かないお国柄です。魅力満載の政党があるのに有権者の半数が選挙に行かないなんてことあるんでしょうか(爆笑
なにより、97年以降、ひたすら実質賃金が下がってきたわけですが(国民貧困化)それを主導してきた政党、止められなかった政党に何の意味があるのか…いや、止めるどころか野党ですら与党と一緒になって国民貧困化政策(緊縮増税)を推し進めてきたのだから、30年以上政治家(国政政治家)を続けてきた連中は言い訳なんかできないでしょうよ。
中学校の先生(公民の授業)
「景気が悪いときは消費を活性化するために減税をします。景気が過熱気味のときは民業を圧迫しないように政府は支出を抑えます(場合によっては増税)」
生徒
「ハイ!日本は『失われた30年』だったのに、どうしてずっと増税を続けてきたんですか?」
言い訳不能なほど誰がどう考えてもおかしい政策をずっと支持してきた有権者がいるからですよ。政治家だけじゃなく我々有権者にも反省が必要なようです。
ところで、どうして有権者は「おかしい政策」を支持してしまうのかと言うと”政策を判断するための知識が全然ないから”ですね。
三橋さん「ただ単に食料品だけ消費税0にしても『仕入れ税額控除』ができなくなる分、お店側は実質『増税』になるから、その対策もセットでしないと物価はたいして下がらんよ」
※セットでやると税制が余計に複雑化する
有権者「『仕入税額控除』って何だよ。わけわからんこと言うな!」
「貨幣・税金」経済政策の良し悪しを判断するために重要な要素ですが、大半の国民は貨幣についても税金についても知りません。
日本国民「馬鹿にするな!税のことくらい知ってるわ!納税者なめんな!」
安藤裕さん「では、消費税は直接税と間接税どちらに該当する税金でしょうか」
日本国民「間接税に決まってんだろ!」
※東京地裁平成2年3月26日判決、
平成元年(ワ)第5194号損害賠償請求事件、
判例時報1344号 参照
東京地裁
「消費者が納税義務者であることはおろか、
事業者が消費者から徴収すべき具体的な税額、
消費者から徴収しなかったことに対する
事業者への制裁等についても
全く定められていないから、
消費税法等が事業者に徴収義務を、
消費者に納税義務を課したものとはいえない」
東京地裁
「消費税の納税義務者が消費者、
徴収義務者が事業者であるとは解されない。
したがって、消費者が事業者に対して支払う
消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する
対価の一部としての性格しか有しないから、
事業者が、当該消費税分につき
過不足なく国庫に納付する義務を、
消費者に対する関係で負うものではない」
消費税は事業者に課せられた「直接税」です。
この程度のことすら知らない有権者がほとんどだから30年間失われたままだったわけですよ。政策の良し悪しを採点する人間(有権者)に知識がなかったら採点なんかできねえだろと(苦笑い
本来、ここまで有権者に知識がいるのかと言えばそうではないと思いますが、財務省のように省益のために国民を騙そうとする連中が居る以上、そうも言ってられないわけですよ。
つきましては、「ある日の思索」さんの動画で知識を仕入れていただければと思います。
税は財源ではない。では集めた税金はどうなってるの?税金は何のため?国債と税金の関係を解説
10分ほどの動画ですので、お時間は取りません。
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