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2014年1月4日

【三橋貴明】2014年の焦点

From _三橋貴明@三橋ブログ

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●99%を不幸にする経済学の正体とは? 第1回〆切まで、あと13日
本当に豊かな日本を目指すためのコミュニティ、三橋経済塾2014が間もなく開講
http://members.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

※月刊三橋会員は三橋経済塾の受講料が7000円割引されます。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_video.php?ts=sidebar

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チャンネル桜「闘論!倒論!討論!2013 年末スペシャル「国土強靭化が日本を救う」」に出演致しました

1/3【年末SP討論】国土強靭化が日本を救う[桜H25/12/31]http://youtu.be/7zMSE8eUqGE
2/3【年末SP討論】国土強靭化が日本を救う[桜H25/12/31]http://youtu.be/cHlPj1GKrKQ
3/3【年末SP討論】国土強靭化が日本を救う[桜H25/12/31]http://youtu.be/bbDZQ_7KM-Q

上記の討論で、青木泰樹先生が政府や中央銀行は「雇用者報酬の増加率の目標を立てるべきでは?」と問題提起されていましたが、「なるほど」と思ったので、本日取り上げます。(マクロ的な経済指標としての「雇用者報酬」の意味は、明日の「週刊三橋貴明 〜新世紀のビッグブラザーへ〜 」で解説致します)

『深まる米貧富の格差、非富裕層への打撃大きく−対応策も限界
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MYMK8M6TTDSX01.html
米国の所得格差の広がりが多くの家計に打撃を与え始めている。家計を支えるための資金を確保する手立てが足りないのだ。
富裕層と貧困層の格差は過去30年間で拡大したものの、貧困層はこれまで所得が圧迫されてもやりくりしてきた。主婦が労働に参加し、夫は仕事を掛け持ちして長時間労働をこなしてきた。持ち家がある家庭は住宅価格の値上がりを利用して借り入れができた。
ただ、こうしたやり方はとうとう限界を迎えたのかもしれない。女性の労働参加率はピークをつけ、住宅価格バブルの崩壊で多くの家庭が住宅ローンの下敷きになっている。
元経済諮問委員会(CEA)委員長で現在はプリンストン大学教授を務めるアラン・クルーガー氏は「対処メカニズムを使い果たしてしまった」と述べた。
ブルームバーグが実施した最新の世論調査によると、成功のチャンスはもはや平等に与えられていないと考える米国民は64%。与えられていると考える割合(33%)の約2倍だった。特に年間所得が5万ドル未満の層では不安感が顕著で、12月6−9日に行われた同調査では4分の3が経済は不平等だと答えた。(後略)』

現在、日本やアメリカの中央銀行が「インフレ目標」を掲げ、量的緩和を継続しています。日本銀行は「インフレ率」の目標しか掲げていませんが、FRBは失業率の目標も持っています。

そもそも、インフレの定義にも色々あるわけですが(CPI、コアCPI、コアコアCPI、GDPデフレータなど)、中央銀行の金融政策拡大でインフレ目標を達成したとして、
「国民が豊かになる国民経済」
を日米両国は取り戻すことができるでしょうか。できるかも知れませんし、できないかも知れません。

そもそも、「インフレ率を上昇させる」タイプのインフレ目標は、別に「物価上昇そのもの」が目的なわけではないのです。物価を上昇させることで、企業の設備投資等を促進し、雇用を改善させることこそが目的になります。

日本の場合、美しいフィリップス曲線を描くことができますので、「GDPデフレータベース(コアCPIではありません)」でインフレ率2%を達成すると、失業率は「完全雇用」になります。アメリカの場合は、フィリップス曲線が今一つ美しくないですが、それにしてもインフレ率が上昇すれば雇用が改善方向に向かうのは間違いありません。だからこそ、FRBは雇用の目標も持たされているわけです。

問題は、インフレ率が上がり、失業率が改善方向に向かったとしても、「国民が豊かになる国民経済」を達成できているとは限らないという点です。

【日本の雇用形態別雇用者数(役員は除く)の推移(単位:万人)

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#Koyou

以前もご紹介いたしましたが、アベノミクスにより失業率が改善方向に向かっているのは確かですが、増えているのは主に非正規雇用です。非正規雇用の方が、
「将来に安心感を持ち、リスクを承知で消費や投資を拡大する」
とは思えませんので、「正規雇用」が増えた場合に比べると、中長期的な民間需要は拡大しにくいでしょう。

また、失業率が改善しさえすれば、現在のアメリカのような「所得格差を伴う経済成長」という問題を解決できるというわけでもありません。
記事の後略部にもありますが、アメリカの所得格差は1970年代以降に拡大し始めましたが、現在のジニ係数は過去最高を記録しました(2012年)。

カリフォルニア大学バークレー校のエマニュエル・サエズ教授の調査によると、所得上位10%の富裕層が12年に稼いだ所得が全体に占める割合は、1917年以降で最大になりました。所得上位10%の富裕層が2012年に得た所得は14万6千ドル超で、所得下層10%の所得の約12倍に相当するとのことでございます。(というか、所得下位10%層の所得低いですね・・・)

インフレ率が上昇し、失業率についてFRBの目標を達成したとしても、上記の問題は解決できない可能性があるわけです。
例えば、金融サービスの活性化により、
「一部の雇用者(トレーダーなど)の所得が増えた」
だけでは、雇用はほとんど影響しないでしょう。そういう意味で、失業率を目標に持つFRBは合理的と言えますが、現実には失業率が改善したとしても、上記の「所得格差」問題は解決できません(というか、できていません)。

アメリカの所得格差が拡大している最大の理由は、例えば「経営者の給与所得が増えている」ためでは必ずしもありません。正しくは、
「企業利益(マクロ的には営業余剰)から支払われる株主への配当金、自社株買い、経営者のストックオプション報酬が増えている」
ためなのでございます。すなわち、分配面のGDPにおける「営業余剰」への「分配」が増えているのではないか? という問題なわけです。(詳しくはメルマガで)

ならば、分配面GDPにおける「雇用者報酬」の伸び率をも「目標」にするべきなのではないか、というのが青木先生のアプローチなわけです。

【日本の雇用者報酬(四半期・季節調整系列、対前期比%)の推移】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#Koyosyahosyu

上記は我が国の雇用者報酬(名目値)の増減率を見たものですが、90年代中盤を機に、まるで異なる趨勢になっているのがお分かり頂けるでしょう。80年代からバブル崩壊までは、雇用者報酬は「2%前後」で推移していたのです。それが、デフレ深刻化後は「0%前後」で推移するようになってしまいました。

2014年は、我が国が「デフレ脱却したか、否か」に焦点が当てられるケースが増えていくでしょう。デフレから脱却し、我が国が「国民が豊かになる国民経済」を達成したか否かの判断において、「雇用者報酬」の状況を見ることには一定の合理性があると思うわけですが、いかがでしょうか。

PS
国民経済と雇用対策を軽んじた結果、韓国が陥った落とし穴とは
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_video.php?ts=sidebar

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【三橋貴明】2014年の焦点への2件のコメント

  1. 一筆 より

    米国の所得格差の広がりを言う前に、半世紀前までは黒人に参政権が与えられていなかったという事実を直視しなければなりません。同時に、現在の米国大統領が黒人出身であるという現実も同じです。人口の20%近い黒人達は、半世紀前まで統計上の貧困層としてカウントされていませんでした。よって、所得格差の広がりを今問題視するのは誤りでしょう。それよりも、現在の米国がこの半世紀で、民主主義の理念を最大化(黒人を大統領にする)させなければならなかったほど、米国の資本主義は傷付いていると考えられます(おそらくは、リーマン・ショック)。米国資本主義は容易く崩壊などしないでしょうが…安倍政権の価値観外交も素晴らしいですが、日本こそ「本音」の民主主義と自由主義を掲げた理念を持ち、世界と対話すべきです。民主主義も自由主義も無いチャイナは言うに及ばず、「建前」のそれらで世界を席巻してきた米国や英仏の上を行くには、それしかありません。仮に、富の貧富格差を意図的に広げようとする勢力が存在するとして、今の世界経済情勢を鑑み彼らがアクションを起こすとすれば、デフレーションしかありません。デフレは貨幣現象です。中央銀行が意図すれば容易く、インフレ抑制よりも極簡単でしょう。私はそのような陰謀論を信じませんが、今世紀に入り日銀の関係者が足繁くバーゼルに通っていた記録を見ると、疑いたくもなりました。

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  2. 一筆 より

    今回の投稿を読ませて頂いても、三橋さんは、どうも本来の民主主義や自由主義の定義をはき違えておられるのではと判断せざるを得ません。米国の所得格差の広がりが多くの家計に打撃を与えている状態とは、今に始まったことでは無く、近代の米国に於いては常にその課題が、本音と建前の下継続させられて来ました。私の中で、そのような社会不安を煽る手法は、デフレ状況を軽視し規制改革のみに走った竹中平蔵や藤巻健史と同類化され戴けません。資本主義とは、第一にその組織へリスクテイクした株主の利益が優先され、組織が営利活動を追求することで、結果、役員や労働者の生活は安定化させられるという仕組みです。その背景には、同じ組織に関わる人間に対し、常に所得格差が生み出されます。小さい頃から目標に向かい、勉学に励んだ結果東大を出てエリートコースに乗る子と、遊びほうけて何等努力もせず好き放題をしている子との対比にも似て、根底には努力以外、身分差別などの理不尽さは存在しません(理想ですが)。資本主義は、その組織が活動をし続けてこその現象で、それら複数の組織が資本というエンジンで社会の富を追い求める欲であるところの「本音」が、米国社会の基盤にあります。しかし、その「本音」が巨大化していくことで、底辺に属する層からの反発(不平不満)が当然発生しました。故に、資本主義を制御するための政治形態が「建前」を求めて行きます。それらは、国民一人一人へ参政権(公民権)という名の民主主義と、自己防衛精神の延長にある個人主義の結果から導き出される、自己決定権(理性を伴う)という名の自由主義が1セットで与えられ、米国の理念として、汚らしい資本主義をオブラートで包み込んできました。因みに日本国には、日本人に対し民主主義も自由主義も存在していますが、特別永住権を持つ在日コリアンには自由主義は与えられていますが、民主主義が存在しません。それは彼ら自身が日本国籍取得を拒否することにより招いた結果で有り、彼らの自己決定権(自由主義)の成した業なのです。しかし、日本国には民主主義に対する確固とした理念の不存在性が見受けられる為、自ら民主主義を放棄してまで居座る外国人を放置させているのでしょう。

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