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2013年12月1日

【号外】三橋経済塾通信1

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この号外は、

三橋経済塾塾生による「経済コラム」を不定期で日曜午後に配信するという新企画としてお送りしています。

ケーススタディ等で良い発表をされた塾生に、三橋貴明事務所から、ボランティア寄稿を任意で依頼します。

塾生のプライバシーを守るため、本名ではなくペンネームです。

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FROM 言問吾妻(こととい あづま)@三橋経済塾

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●韓国経済の悲惨すぎる現実とは?
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_video.php?ts=sidebar

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皆さま始めまして。三橋経済塾塾生の言問吾妻(こととい あづま)と申します。

先々週の狩野さんに続き「号外」を書かせていただくことになりました。

私はしがないサラリーマンですが、三橋経済塾第二期で学んだことを基に、精一杯書かせていただきます。

まだまだ荒削りと申しますか、粗が目立つといいますか、あらあらあらといった感じではありますが皆さま少しの時間お付合いいただければ幸いです。

インフレターゲティングのお話。

最近インフレターゲティングに対する疑念が高まっています。

インフレターゲティングとは政府と中央銀行がインフレ目標(インフレターゲット)を定め、その達成に必要な措置を講じる政策で、日本を含め多くの主要国が採用しています。

インフレターゲティングに対する疑念とは「インフレ率コントロールできてないんじゃないの?」

という疑念です。

本メルマガでも、東田剛先生が以前からインフレターゲティングの効果に疑問を呈しています。

【東田剛】安倍首相の爆弾発言。尖閣はどうなる

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/06/19/korekiyo-49/

【東田剛】今、米国の経済学者たちが言っていること

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2012/09/19/korekiyo-9/

そして欧米のインフレ率は、目標を下回って下がり続けています。

米 消費者物価が半年ぶりマイナスに

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131121/k10013221001000.html

ユーロ圏のインフレ率、物価安定水準を明らかに下回る=ECB理事

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304894104579205473693067480.html

上記の記事によると

米 目標2% → 実績1%

EU 目標2% → 実績0.7%

確かに目標と実績が大きく乖離しています。

しかもこの傾向はここ一年以上続いており、次第に乖離が大きくなってきています。

つまり、各国は目標と実績の乖離に対して有効な手を打てていないということですね。

これでは「インフレ率コントロールできてないんじゃないの?」と言われても仕方がないと思いますが、なぜインフレターゲティングがうまく行っていないのでしょうか。

それは、今各国で行われているものは「本当のインフレターゲティング」ではないからなのです。

中央銀行が金利操作や量的緩和等の金融政策によって、インフレ率をコントロールしようとするのが今主流となっているインフレターゲティングです。

しかし、皆さまご存知の通りインフレ率は貨幣量だけで決まるわけでは有りません。

いくら貨幣を発行しても、GDPになるように使われなければインフレ率には影響を与えないのです。

だとすると金融政策によってインフレ率をコントロールするというのは、かなり無茶な考えであるように思われます。

しかし金融政策、とりわけ量的緩和を擁護する識者は次のような理論を展開します。

曰く「中央銀行がインフレ目標をコミットすれば市場はインフレを予想し、まず株などの資産価格が上昇する。すると、企業や家計のバランスシートが改善し、投資や消費が活発化してインフレ率が上昇する。」

これは「資産効果」と呼ばれるものですが、実はこの資産効果こそ金融政策の弱点を的確に現しています。

資産効果とはインフレ率に先行して資産価格が上昇することです。

ということは、金融政策はインフレ目標に達する前に過度な資産価格の上昇、つまりバブルを引き起こしてしまう可能性があるということです。

欧米が低インフレ率にもかかわらず、更なる金融緩和を打ち出せない。それどころか金融緩和の出口戦略なんてものが議論されてしまうのは、バブルを恐れているからにほかなりません。

金融政策だけではデフレとバブルに挟み撃ちにされてしまい、目標インフレ率にたどりつけないということが十分に有り得るのです。

あるいは、金融緩和だけでデフレ脱却というのはこんな話なのかもしれません

虚弱体質のもやしっ子が一念発起してめちゃモテ細マッチョを目指す。

もやし君のプランは単純明快。とにかく食べて食べて食べまくる。

当然周りの人は「運動もしたら?」とアドバイスしますが、もやし君はこう答えます。

「今僕がもやしなのは栄養が足りないから。それに運動だけしても筋肉が増えた分脂肪が減っちゃうから体重には中立なんだよ。たくさん食べていれば、次第に元気が出てきて活発に動き回るようになる。そうすれば自然と筋肉もついてくるんだ。」

どうです?完全にぐうたらでしょう。

結局、もやしレジームから抜け出せていないんです。

特にあーだこーだと屁理屈をこねて運動をしたがらないのは度し難いですよね。

たるんでますよ。たるんデル・フレミングですよ。

こんなことでは、よしんばもやし脱却出来ても憧れの細マッチョは夢のまた夢です。

それどころかただブクブクと膨らみ続けるだけになってしまいます

軽口が過ぎましたが、それではどうしたらインフレ率をコントロールできるのでしょう。

それはやっぱり「通貨を発行して、政府が借りて、使え」ですよね。

政府が金を使う、いわゆる財政出動は民間に資金を供給する金融緩和とは違い、資産価格ごしではなくインフレ率に直接アクセスできます。

政府が200兆円の公共事業をすると発表すれば、人々はインフレを予想ではなく確信するでしょう。

しかし、中央銀行が通貨を発行して政府が発行する国債を直接買い取ることは、財政ファイナンスと呼ばれ禁止されています。(ただし非常時はOK。デフレって非常時じゃないんでしょうか。。。)

なぜ禁止されているかというと「政府支出の歯止めが利かなくなりはいぱーいんふれに・・・」

だそうです。

そうであれば、インフレ目標に達するまでは財政ファイナンスが可能ということにすれば、何も問題はありません。

財政ファイナンスがインフレターゲティングの鍵であるのと同時にインフレターゲティングが財政ファイナンスを可能にする鍵でもあるのです。

デフレ下の日本は財政ファイナンスをどんどんやるべきです。

次に、インフレの場合を考えます。

目標インフレ率に達したら財政ファイナンスを止めて終わり、ではなく供給能力を高める必要があります。

その時こそ、規制緩和や貿易自由化の出番です。インフレ時は作れば作っただけ売れます。

民間の活力に大いに期待しましょう。

(ただし安全保障やレントシーキングに注意が必要ですが)

つまりは「三本の矢」を全て使って行うのが本当のインフレターゲティングなのです。

安倍政権が三本の矢を発表した時は、これはまだどこの国もやっていない、世界で初めての本当のインフレターゲティングだと感動したものですが、現実はずいぶん違っていました。

結局今の日本で行われようとしている事は、他の国々がやってることと同じになってしまいそうです。

つまりは金融緩和と構造改革を同時に、かつバラバラに行うというものです。

その結果欧米がどうなったか。失業と格差の拡大、深刻化です。

金融政策はデフレとバブルの狭間で行き詰まり、デフレギャップが有る状態での構造改革は国民を貧しくします。

マイケル・ムーア監督の映画「Sicko」は「テロより怖いアメリカの医療」というキャッチコピーの、正にリアル「顔のない独裁者」といった感じのドキュメンタリーですが、その終盤でキューバの小児科医Dr.Aleida Guevaraはこういっています。

「米国は大切なことを忘れてしまっている。それは、国が生産性を高め豊かになったなら、国はその分もっと国民をケアするべきということだ」

つまり、規制緩和等で供給能力を上げたら(インフレ率が下がったら)その分国民の雇用や所得のために財政出動をしなさいということです。

これは言い換えれば供給能力を上げた分、ボーナスとして通貨発行をして財政ファイナンスができるともいえます。

世界でまだどの国も成し得ていないマクロ経済の真理を、社会主義国の小児科医が語っているというのも皮肉な話ですが、小さな政府を目指すグローバル資本主義よりも大きな政府である社会主義の方が国民の福祉に適うというのはむしろ自然なことなのかもしれません。

もちろん社会主義になれという訳ではなく、国民は勤勉に働き、国は全力で国民をサポートする。

そんな当たり前の経済を取り戻しましょうということです。

世界で最初に本当のインフレターゲティングに踏み出した国が、このグローバル恐慌からいち早く抜け出し、経済的繁栄を掴むことになるでしょう。

日本は本来、最も自由度のある、良いポジションにいるはずです。

目標眼の前、これはチャンスだ、絶対に逃がすな!!

PS
三橋経済塾の詳細は、こちらでお確かめください。
http://members.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

PPS
月刊三橋会員は、特別価格で三橋経済塾に入会できます。
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