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2013年11月13日

【東田剛】デフォルメされた現実の日本

From 東田剛

さかき漣さんの最新作『顔のない独裁者:「自由革命」「新自由主義」との戦い』は、挿絵がないのに、なぜか視覚に訴えかけてきます。

やけにヴィジュアル感があり、まるで、映画やTVドラマを見たあとに原作を読んでいるような錯覚に陥るのです。

なぜでしょうか。

それは、この小説に描かれた世界が、今の日本、デフォルメされた現実の日本を描いた「パラレル・ワールド」だからです。

いや、もっと正確には、パラレルではなく、リアル・ワールドとクロスしているのです。

物語は、日本を大エイジア連邦の一部にしてしまった民主博愛党(つまり、あの人たちね)が、ナショナリズムに目覚めた日本国民によって打倒され、新党自由日本の駒ケ根覚人が首相になるところから始まります。

ところが、この駒ケ根首相(つまり、あの人ね)、道州制、電力自由化、公共事業コンセッション方式、自由賃金制度、自由農地制度、PU(Pacific Union)加盟など、新自由主義的な構造改革を次々と断行するのです。

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新自由主義がもたらす恐ろしい悪夢ほか、縦横無尽にメッタ斬り。
本とは関係のないオフレコ話も、、、

※Amazon以外の街の書店でお買い上げの方も、応募できます。

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首相のブレーンは、弁舌巧みな千畳敷教授。狸のキン●マみたいな名前です。
もちろん、「敵を政権内にとり込んで批判を封じた。さすが駒ケ根さん、策士!」なんて、安っぽいフィクションではありません。

http://japanese.cri.cn/mmsource/images/2012/05/17/8ecf5d6b554b48d2afbaf515779739fc.jpg

おかげで、日本は、「世界で一番、企業が活躍しやすい国」になるのですが、それがどういう国なのかは、ご想像の通り。
大震災が起きた地域も見捨てる国になります。

でも、これ、フィクションとは言えないよね。
http://www.asahi.com/national/update/0926/TKY201309250648.html

古谷経衡氏が、ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』を引きつつ、新自由主義が「分かりやすさ」「単純明快な答え」を通じて全体主義と結びつくと指摘していますが、その通りでしょう。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/11/08/furuya-9/

ちなみに、『全体主義の起源』には、全体主義者が「歴史の必然」という台詞を好んだとありますが、これも今の日本でリアルになっている。

このことは、「無双!中野学校」vo.5でも論じられていました。
http://chokumaga.com/magazine/?mid=124&vol=5

物語では、かつて、民主博愛党政権を倒すべく、駒ケ根の下で決死のゲリラ活動を遂行してきた一部の青年たちが、「こんなはずじゃ、なかった」と、今度は、駒ケ根政権に対して、叛旗をひるがえします。

ちなみに、駒ケ根首相は、●●●●(注1)を抱えた○○○○(注2)という設定です。

(注1、2:ネタバレ防止の伏せ字にしています。以下、同)

つまり、「瑞穂の国をしっかり守っていくための手段がTPP」とか、平気で言えちゃうような人格なのです。
http://www.jacom.or.jp/news/2013/10/news131024-22570.php

この○○○○という人物設定は、非常に示唆に富んでいます。

こちらをご覧ください。
http://www.ustream.tv/recorded/40190018

この動画で語られているように、●●●●から目をそらすと、思考や行動がデタラメになり、世の中のつじつまが合わなくなる。
その結果、現実感覚が失われ、フィクションとリアリティの境目がぼやけてしまう。
そして、人格のアイデンティティ(同一性)が失われていく。

それが今の日本です。

だから『震災ゴジラ』は、重要な著作なのです。
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「国民の皆さんに、わたくしは訴えたい。皆さんは輝かしい島に住む、素晴らしい民族だ。だからこそ、世界に羽ばたける、世界で戦える人材に育ってほしい!それが、日本のポテンシャルを信じているわたくしの、日本国民への心からのメッセージです」

これは、駒ケ根首相のスピーチですが、どうです、この薄っぺらさ。
嫌になるほどリアルでしょう。

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement2/20131015shoshin.html

こうして、物語は、フィクションとリアリティが幾重にも交差しつつ、後半へと突入していきます。

さて、フィクションとリアリティの交点で、最も重要な役割を果たす強烈なキャラクターが登場します。

それが西崎亨という京都弁の政治家です。
これは、もう、あの人しか思いつかない。

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孤軍奮闘・獅子奮迅の西崎先生ですが、そのクライマックスは、第六章の日比谷公園のシーンです。
これは、もはや、リアリティと言っていいでしょう。

さて、物語の結末は伏せますけど、思いだされるのは、この話。

2011年8月、三橋貴明さんが、藤井聡、施光恒、中野剛志、柴山桂太氏らとの会食中、「ここにいる五人はみんな死ぬんですよね。十年後、みんな生き残っていないですよ。」(『反動世代』p252)と発言したんだそうです。

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まあ、そうかもしれませんね。

PS
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応募者全員に、三橋、さかき、古谷、平松の特別座談会を無料プレゼント!
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『保守とは何だろうか』の書評がでました
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20131105-OYT8T00818.htm

■大阪に続き、新宿でも、保守主義の講演。
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=228183&userflg=0

■お、これは元気が出そうな本。
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【東田剛】デフォルメされた現実の日本への4件のコメント

  1. 匿名希望 より

    一部の先生方にばかり大変な重荷を背負わせている事が、本当に面目なく、「申し訳がない」という言葉では言い足りないような思いでです。 以前から先生方が身を賭すように活動されているように感じていたのです。 どうか無理をしないで下さい。もしもの事があれば国にとって大きな損失です。私は絶望して立ち直れない気がします。 どうしたらお守りできるのでしょうか。何をしたら? 敵のやり方を多くの人が知って、皆で警戒心を持つ事ができたらと思うのですが・・。 強欲に取り憑かれて一般の人々を食い物にするのに躊躇が無く、しかも日本が好きでもない超国家的資本に狙われているとあれば、本来なら国をあげて抵抗すべきと思えます。ところが情報も歪んでいる事が多く、国のリーダーが「あちら側に忠誠を誓ってしまったの?」とおぼしき状況で、今は不利な条件が多いと思えますが、いつまでもそうでは無いかもしれません。 どうか元気をお出し下さい。先生方がご無事であるよう渾身の力で祈っております。

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  2. 大門まさはる より

    >>2011年8月、三橋貴明さんが、藤井聡、施光恒、中野剛志、柴山桂太氏らとの会食中、「ここにいる五人はみんな死ぬんですよね。十年後、みんな生き残っていないですよ。」(『反動世代』p252)と発言したんだそうです。お前達は自民党に独裁権力を取らせた功労者だから生かしてもらえるよ。いまだに西田のこと褒め称えてるぐらいだもんな。殺されるのは、俺達無垢の大企業社員でも官僚でもない一般人だよ。

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  3. 紺野 幸一 より

    一番最初にTPPに参加表明した総理大臣は誰でしょうか?一度参加表明したら後戻りできないと言っていたのは誰でしょうか?ちなみに財務省と経産省の主導権争いが続いていると報道がありましたがこのメルマガを書いている人の中の人はどこ出身でしょうか? このメルマガを書いている人の師匠はどなたででしょうか?その師匠は消費税増税について何って言ってたのでしょうか?

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  4. momo より

    もう最近の安倍内閣を見るとまるっきり顔のない独裁者そのものなんで本当に絶望感があります。これを是正するためには少しでも多くの声を上げていくしかないと思います。

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