日本経済

2016年7月3日

【三橋実況中継】インフレ率と長期金利

From 三橋貴明

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【耳寄り情報】

「第四次産業革命」と聞くと、ドイツの「インダストリー4.0」が連想されるかもしれない。

だが、日本で進んでいる「第四次産業革命」はドイツの「インダストリー4.0」とは似て非なるものである。日本の「第四次産業革命」はサービス業に携わる人々の仕事を楽にし、生産性を飛躍的に高めることが目的だ。ドイツのものは人を排除する産業革命なのに対し、日本のものは人に寄り添い、人を助ける産業革命なのである。

特に介護業界や土木・建築業界、運送業界などで、働く人々の作業を楽にするさまざまなアイテムが実用化されつつある。

この「第四次産業革命」の進展を現場取材を通して見つめてきた三橋貴明が、第四次産業革命が日本経済、世界経済に与えるインパクトについて解説する。

「そもそも産業革命とは何か」そして、
「政治目的で利用しようとする不穏な動き」とは・・・?
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

※最新号が聞けるのは7/9(土)まで※

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【近況】

経済指標の中には、「恣意的」な解釈をしてはならないものが複数あります。例えば、インフレ率(消費者物価指数)や長期金利です。

GDPは、重要な統計ではあるのですが、何しろ規模がマクロ(大きい)過ぎ、誤差が出るのは否めません。日本国のGDPを「正確」に統計することは、神様にも不可能でしょう。

実質消費や実質賃金は、サンプリング調査です。もちろん、統計的な有意な形でサンプルが抽出されているのですが、それにしても「全数調査」よりも正確性が落ちることは否めません。

それに対し、消費者物価指数は「定点観測」です。毎月、同じ製品やサービスの価格を観測し、指数を公表しています。この場合も、見るべきは「変動率」であり、指数の絶対値そのものではありません。

定点観測の対象が「全数」ではなかったとしても、同じ製品やサービスの価格を観測している以上、対前年比の変動率、すなわちインフレ率(生鮮食品を除く消費者物価指数)は重視するべきです。

というわけで、16年5月のインフレ率(生鮮食品を除く総合消費者物価指数)は、▲0.4%。4月の▲0.3%から、マイナス幅を拡大。

更に、市場で決定される故に誤魔化しがきかない長期金利(新発十年物国債金利)は、何と▲0.253%。十年債は完全に「投機商品」と化してしまい、すでに長期金利の指標としての役割を果たしていません。

インフレ率、長期金利が共にマイナスということは、誰がどう考えたとしても、
「政府の国債発行と需要創出が足りない」
以外の結論は導き出せません。

不足しているのは「お金の発行」ではなく、「国債と支出(需要創出)」なのです。

今の日本銀行が金融緩和をやめるわけにはいきませんが、「お金の発行」をどれだけ拡大したところで、需要創出と直接結びつかないことは、もはや誤魔化しようがない真実です。

「期待」とやらの効果は、少なくとも日本のデフレ脱却には不十分でした。

インフレ率、長期金利が共にマイナスに陥っているにも関わらず、政府が国債増発と財政出動に乗り出さないとなると、これは「日本国から政治が消えた」ことを意味します。政治が消えた日本国が亡国(=主権喪失)に至らないと考える方が、不思議というものだと思います。

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◆週刊アサヒ芸能 連載「三橋貴明の列島丸わかり報告書」連載第七十五回「「株式持ち合い解消」が日本企業の「ストロングポイント」を奪った」
http://www.asagei.com/

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第181回「日本銀行の責任転嫁」
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆有料メルマガ 週刊三橋貴明 〜新世紀のビッグブラザーへ〜 週刊三橋貴明 Vol371 経済成長と生産性
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
そもそも、経済成長とは何なのか? デフレギャップ(デフレーション)という状況が、いかに「異常」であるかを解説しました。

◆メディア出演

7月6日(水) 6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/

7月6日(水) チャンネル桜「Front Japan桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

7月10日(日) チャンネル桜「チャンネル桜 ネット生放送 参議院選挙特番」に出演します。

◆三橋経済塾
6月18日 三橋経済塾第五期 第六回対面講義がアップされました。
http://members5.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=1613
ゲスト講師はペジーグループ代表の齊藤元章社長でした。
インターネット受講の皆様、お待たせいたしました。

三橋経済塾第五期 第七回対面講義の詳細と申込方法をご案内致します。
http://members5.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=1619
ゲスト講師は施光恒先生(九州大学准教授)!

◆チャンネルAJER 今週の更新はありません。

ーーー発行者よりーーー

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「第四次産業革命」と聞くと、ドイツの「インダストリー4.0」が連想されるかもしれない。

だが、日本で進んでいる「第四次産業革命」はドイツの「インダストリー4.0」とは似て非なるものである。日本の「第四次産業革命」はサービス業に携わる人々の仕事を楽にし、生産性を飛躍的に高めることが目的だ。ドイツのものは人を排除する産業革命なのに対し、日本のものは人に寄り添い、人を助ける産業革命なのである。

特に介護業界や土木・建築業界、運送業界などで、働く人々の作業を楽にするさまざまなアイテムが実用化されつつある。

この「第四次産業革命」の進展を現場取材を通して見つめてきた三橋貴明が、第四次産業革命が日本経済、世界経済に与えるインパクトについて解説する。

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