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2013年6月10日

【三橋貴明】構造改革ビジネス

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
●瑞穂の国 前編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11546657379.html

●瑞穂の国 後編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11547373637.html

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●●月刊三橋最新号のテーマは「国土強靭化と公共事業の大問題」
今日6/10で配信終了となりますので、お早めに。

⇒ http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_100_2013_05/index.php

日本のインフラづくりに立ちはだかる「バカの壁」とは?
さらにTPP&グローバル化でとんでもないことに、、、

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現在の世界は「国境」あるいは「国家」を意識しないグローバリズム、あるいはグローバル株主資本主義が蔓延した結果、各国の政府が「経世済民」」を意識しない経済政策に邁進し、国民の貧困化を招いています。グローバルにルールを統一し、国境線における「規制」を排除すると、各国、各企業、各人間が(主に)生産性の違いにより「勝ち組」と「負け組」に分かれていきます。

最終的にどうなるかといえば、負け組の国家の失業率がどこまでも上がっていき、さらには各国内部でも勝ち組と負け組の差が明確になっていきます。とはいえ、何しろ「同じルール」で戦っている以上、勝ち組の国家、企業、人間は、負け組に対し、

「君が負けたのは自己責任。努力不足」

と切り捨てることができるわけです。

さてはて、「共同体」とは、そういうものですか?

という疑問が世界中で沸き起こり、現在、各国で国民経済をめぐり「民主主義による戦い」が繰り広げられています。もちろん、「グローバル株主側」は人数でいえば「国民経済主義」 に対して劣勢であることは分かっているため、

「マスコミを通じ、構造改革路線、規制緩和路線の有効性をPRする」

「一部の業界(農業、公務員など)を悪者化し、既得権益者を潰せ! などとポピュリズムを叫ぶ政治家を誕生させる」

「既存の政権に『民意を経ない』形で入り込み、法律を作成させる活動を拡大する(ロビー活動など)」

といった手段で、彼らの「既得権益」を守り、レント・シーキング的な法律改正を政治家に実施させ、自らの所得を増やそうとしています。

お分かりでしょうが、日本にも「どっぷり」と「国民経済主義」と「グローバル株主資本主義」の紛争の戦線が覆いかぶさっており、日夜、新聞やテレビ、国会、さらには「党内」などで激しい情報戦、言論戦が繰り広げられているわけです。

そもそも、日本の構造改革主義者(産業競争力会議の民間議員たちが代表株)たちは、規制緩和、規制改革と繰り返しますが、

「なぜ、規制緩和が必要なのか」という哲学について明らかにしていません。彼らは単に「民間の活力を導入する」など、抽象論を繰り返すばかりです。

規制緩和の哲学とは、政府の経済財政諮問会議の原丈人氏(米ベンチャー投資専門会社「デフタ・パートナーズ」会長兼CEO)の言葉です。原氏はは、日本政府が検討している「規制緩和」について、

「今は何のための規制緩和なのかが決まっていない。企業の中長期の投資を促して様々な人々や地域に利益を提供するという哲学をつくり、そのための規制緩和を進めるべきだ」

と語っています。

また、先日、来日したノーベル経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授は、日本で開催された規制改革をめぐる議論で、

「規制緩和も確かに大事だが、米国では電力や教育などの市場が破壊された例があり、何度も失敗している。生活の質を高めるために何をすべきかを考えるべきだ」

と発言しました。スティグリッツ教授にしてみれば、規制緩和、規制改革の哲学(というか理由)は「国民の生活の質を高めるため」になるわけです。

原氏やスティグリッツ教授の規制緩和を巡る発言は、まことにもっともだと思うわけですが、産業競争力会議の方々からは、具体的な「規制改革の哲学」について聞いたことがありません。となると、実際には、

「彼ら(企業や投資家)の所得を増やすために、規制緩和を断行すること」

が、規制緩和の「彼らにとっての」哲学なんじゃないの? という疑問を持たざるを得ないわけです。

TPPも同じですが、抽象論はどうでもいいのです。あらゆる政策は「国民を豊かにするため」に行われるべきというのが、三橋の哲学です。

安倍総理は「瑞穂の国の資本主義」という美しいフレーズを頻繁に使われます。ならば「瑞穂の国の資本主義」がいかなるものなのか、そこに至るまでのロードマップはどうなっているのか、是非とも日本国内閣総理大臣として説明して欲しいと思うわけです。総理を尊敬申し上げる一日本国民、一自民党員として、心から希望します。

PS
月刊三橋最新号「国土強靭化と公共事業の大問題」の配信は、
6/10申込分で終了します。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_1980_2013_05/index.php

PPS
この大問題、逆に考えれば、大変なビジネスチャンスです。

PPPS
次号のテーマは、日本の電力インフラをめぐるレント・シーキング。
恐ろしいことに中国企業が、、、

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【三橋貴明】構造改革ビジネスへの2件のコメント

  1. 航海長 より

     最近、「安倍はTPPや規制緩和に賛成だから売国奴だ!」「それに同調してきた三橋も腹を切れ!」などという主張をよく聞きます。確かに、最近の安倍政権の政策が、景気回復の方向とは逆を向いてしまっているのは事実なので、そう主張する人々の言い分も全く分からないではありません。 ですが、そういった過激な主張は、もはや小学生ですら「おかしい」と認識することが出来るでしょう。それは、ただの誹謗中傷にも等しいものであり、「建設的な批判」ではないからです。 安倍政権の経済政策に誤謬が含まれている。なら彼の政権は全くの間違い集団だ!と言えるかというと、言えません!自由と繁栄の弧、拉致問題対処、日米同盟修復、女性宮家(皇室断絶の罠!)白紙化など、支持できるものも沢山あるからです。 僕自身も三橋先生も、安倍氏がこれほど新自由主義チックな人とは予想しなかったタイプの人間であり、大いに反省すべき所だと認識します。なので、今後僕は安倍政権の建設的批判に尽力する所存であります。 安倍政権の経済政策に反対する世の人には、出来る限り建設的な批判をして欲しいものです。でなければ、ただの左翼的な火病(ふぁびょーん)にしか聞こえませんからね。アレ?実際彼らの中身って左翼?

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  2. ハン・テペペ より

    三橋氏の指摘はまったくもって同意ですが、そうであればこそ結びの一文は残念です。>総理を尊敬申し上げる一日本国民、一自民党員として、心から希望します。いい加減に、安倍首相の正体に気づくべきです(いや、もう気づいているでしょう)。盲目的なTPP推進しかり、手放しの規制緩和推進しかり・・・、安倍晋三は、愛国保守言論で偽装したただのアメリカのエージェント、いや、アメリカのバックの金融資本・軍事産業の手先でしかないということに。それゆえに、その推し進めんとしている経済政策は、ただの新自由主義者のそれでしかないということに。以前もコメントで申し上げましたが、自分は三橋氏の経済提言に多くを学び、敬意を表する者です。だからこそはっきり言わせてもらいます。これ以上安倍政権を、安倍氏率いる自民党を支えようとすることはお辞めになるべきです。いい加減、安倍氏と袂を分かつ時です。そうしなければ(自分も含め)三橋さんを尊敬してる三橋ファンの信頼を裏切ることになります。いやなにより三橋さんご自身を裏切ることになりましょう。賢明な決断を期待します。

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