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2013年6月3日

【三橋貴明】底辺への競争

From 三橋貴明

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●●東北復興、アベノミクス第2の矢の前に立ち上だかる「バカの壁」とは?
さらにTPP加盟でとんでもないことに、、、

月刊三橋最新号のテーマは「国土強靭化と公共事業の大問題」
6/10で配信終了となります。お早めに。

⇒ http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_100_2013_05/index.php

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【今週のNewsピックアップ】

●戦後日本の貿易変遷からTPP を見る
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11537938616.html

三橋は、いわゆる「グローバル化」の最大の問題は、資本移動の自由化を認めてしまったことにあると考えています。ニクソンショック以前の西側諸国は、資本移動が自由化されていませんでした(いわゆるブレトンウッズ体制で)。

ニクソンショック以降、金融産業を尖兵に、次第に資本主義国間の資本移動の自由が拡大していきます。そして、91年末のソ連崩壊を切っ掛けに、「資本を移せる先」が西側諸国のみならず、旧ソ連圏、そして中国へと広がっていきました。

資本移動の自由化が拡大すると、企業は「自国で生産」するインセンティブを喪失します。特に、先進国の賃金は発展途上国、新興経済諸国に比べると高いわけです。企業が「利益」をあげるための存在である以上、資本移動の自由化が実現した世界で株主資本主義、しかも株主が「グローバル投資家」である「グローバル株主資本主義」が蔓延するとまずいことになります。すなわち、企業は国籍とは無関係に、

「グローバルな株主の利益(配当金)を拡大するため、コスト、特に人件費を削減する」

必要性に迫られてしまい、最終的には「生産するために最も有利な国、地域」に工場を移転させていくことになってしまうわけです。

すると、生産拠点が減った企業の「母国」で失業率が高まり、さらに人件費に切り下げ圧力が加わり、国民の所得は伸びなくなります。国民の所得が伸びないとは、要するに内需が拡大しないという話です。

内需が拡大しない「母国」の状況を見て、企業は、

「ああ、やはりこれからグローバルだ」

とか何とか思い込み、市場を国内ではなく海外に求めるようになります。すると、所得水準が低い国々の国民を相手にモノやサービスを売り込まざるを得なくなり、ますます国内の人件費を上げられなくなります。

究極的には、世界の賃金水準、国民の所得水準が「フラット」に近づいていきます。アメリカの経済学者アラン・トネルソン教授やスティグリッツ教授らが警鐘を鳴らしている「底辺への競争」です。

底辺への競争は、国民の所得が増えない、すなわち国民が豊かになれないことに加え、もう一つ、重大な問題を引き起こします。
各国国民の所得水準が均一化され、人々が同レベルの品質のモノやサービスばかりを求めるようになると、企業間競争が「価格」に収斂していってしまいます。
どの国、どの地域でモノやサービスを購入しても、同じレベルの品質しか提供されない。顧客が求めるのは「安いモノ」ばかりとなり、企業側が「高品質、高価格」の製品を販売しようとしても、見向きもされなくなります。
結果、高品質を追求していた企業も、やはり生産性向上やコスト削減による低価格ばかりを追求するようになってしまいます。

結果的に、人類の進歩は止まります。新たな製品、サービスが供給されるためには、購買者側にある程度の余裕があり、

「ちょっと高いけど、試してみようかな」

という気分になってもらわなければならないのです。人々が「ちょっと高いものを試してみる」ことが続けられた結果、人類は文化や伝統を発展させてきました。

そもそも、日本に残っている伝統や文化の多くは、所得水準が比較的高い国民がその価値を認め、おカネを払ってきたからこそ受け継がれてきたのです。この種の「オリジナル」で「高品質(伝統的、という品質を含む)」とはいえ、値段が少し高いモノ、サービスが消滅し、新たな(冒険的な)モノ、サービスが開発されないとなると、これは何というか、人類の文明が「悪い方向に変わる」としか表現しようがないわけです。

結局のところ、グローバリズムが究極的な段階まで進むと、全ては「価格」に換算されてしまい、人類全体としての進歩が止まり、コスト削減要求の高まりから新たな投資、開発が行われなくなり、世界は極めて「つまらない世界」へと変貌を遂げることになるのだと思います。(そういえば「文楽」についてあれこれ言っていた市長さんがいらっしゃいましたが)

何となく、取り留めもない書き方になってしまいましたが、日本国内で「グローバル、グローバル」と言っている人たちは、上記の問題についてどのように考えているのでしょうか。恐らく「そんなこと、考えたこともなかった」というのが正解だと思います。

いずれにせよ、グローバル化とは、

「とにかくグローバル化は止められないから、グローバル化するしかないんだよ」

といった、単純論、抽象論で推進してはならない問題であることだけは間違いありません。

PS
「底辺への競争」に日本が巻き込まれるのを防ぐには?
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_2013_05_toLP.php

PPS
今月号のコンテンツは、「国土強靭化と公共事業の大問題」。次号は、
「日本のエネルギーが危ない!」、その次は「中国」の予定。

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【三橋貴明】底辺への競争への2件のコメント

  1. Yuriya Kaito より

    「北京にはあと10?位まで砂漠化が進行している」と、6月1日YouTubeのch桜の討論でどなたかが言っていました。自然を収奪すると砂漠化が進行します。グローバリス゛ムも、社会を収奪し、社会を砂漠化するように見えます。

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  2. ごうだたけし より

    スティグリッツ教授の言うことはおおむね賛成なんですが、彼はずっと「先進国は製造業からサービス業への転換を進めるべきだ」と言っています。それでいいんでしょうか?

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