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2013年3月27日

【東田剛】スティグリッツと安倍総理との会談

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FROM 東田剛

3月21日、ジョセフ・スティグリッツが、安倍総理と会談し、マクロ経済政策やTPPについて意見を交換したようです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130321/k10013356421000.html

やりとりの詳細は不明ですが、同じ日に行われたNHKのスティグリッツへのインタビュー(英語)がありました。

http://www.nhk.or.jp/bizplus-blog/100/150051.html#more

ここで、スティグリッツは、金融緩和のみならず、政府の拡張的な財政政策を連携させるべきであり、特に長期的な成長の基礎(教育、技術、研究、インフラ強化)や社会問題の解決のために政府支出を拡大すべきだと述べています
また、平等と成長はトレードオフではないと強調しています。彼は、単に金融緩和でインフレと円安を起こそうというのではなく、もっと広い視野をもって、政府支出を拡大して、経済を再構築しようとしているのです。
興味深いことに、スティグリッツは、円安を、輸出拡大というよりは、中国など低価格国からの輸入によるデフレ圧力を緩和するものとして評価しています。

TPPについては、こう述べています。

「安倍首相が言ったのは、TPP交渉に参加したいということだ。交渉に入るのと協定に調印するのとでは大きな違いがあるが、気をつけなければならない。こうした貿易交渉では多くの強い圧力がかかり、いったん交渉に入れば、協定調印への多くの圧力がかかるからだ。現時点では、私はTPPに強い疑念を抱いている。」

その理由として、次のように述べています。

・多国間協定の方が、世界経済を分断する二国間・地域協定より優れている。
・途上国にとって公平な貿易協定ではない
・TPPは、自由貿易協定ではなく、アメリカの特殊な利益集団による管理貿易協定だ。例えば、知的財産権のルールは、科学の発展を妨げたり、安価な医薬品へのアクセスを阻害したりするものになっている。これは、アメリカの利益にも他の国々の利益にもならない。
・TPP交渉は不透明だ。

<参考>
http://www.asahi.com/business/update/0322/TKY201303220320.html?tr=pc

大笑いしたのは、「黒田日銀総裁に何が必要か」と問われた際のスティグリッツの答えです。

「黒田総裁に対して、私から追加的に警鐘を鳴らしたい唯一のことは、日本には、自由化や規制緩和もアジェンダに入れるべきだという人々がいるということだ。彼らのことは、よくよく注意しなければならない。」

なお、スティグリッツは、07年のインタビューでは、日本はもっと独立して行動すべきだと忠告しています。
http://www.globe-walkers.com/ohno/interview/stiglitz.html

スティグリッツ大先生、なんだかホサ官みたいなこと言ってますね。こんなこと言ってると、左遷されるんじゃないでしょうか。

それはともかく、以上のインタビュー記事から、スティグリッツと安倍総理との会談の内容を推測すると、こんな感じでしょうか。

S「医療や教育など、長期的な課題に予算を振り向け、自立的な成長を目指すべきです」
A「大胆な金融緩和は日本では主流な考え方ではなかったが、教授から支持する発言をいただき、大変心強いかぎりです」
S「(予算の話してんだけど・・・(-_-;))私は、TPPには強い懸念を抱いています。」
A「TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組みです。」
S「(?_?)しかし、価格の安い後発医薬品が作りにくくなったり、途上国の発展を妨げたりするおそれがあります。」
A「「TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった。」後世の歴史家はそう評価するに違いありません。」
S「/(-_-)\日本はもっと独立して行動すべきです。」
A「日本が同盟国である米国とともに、新しい経済圏をつくります。」
S「(-_-;)しかし、TPPは、日米両国の国民のためにはなりません。」
A「「私たちが本当に恐れるべきは、過度の恐れをもって何もしないことではないでしょうか。」
S「(゜ロ゜;)!」

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黒田総裁が注意しなければならない人たちについては、この本が詳しいです。
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【東田剛】スティグリッツと安倍総理との会談への8件のコメント

  1. hehehenohe より

    オバマが演説などでTPPに触れたのを聞いた覚えがない。米マスコミでもあまり取り上げられていないようだ。これはTPPは米の特殊利益集団のものという見方と符合するようだ。チャンネル桜の水島さんは安倍首相のTPP交渉参加は本心ではないと言っているが本当にそうなのだろうか。レイプの譬えとか凍結した路面をポンコツ車で走る譬えとかわかりやすいけれど、TPPに関して日本の置かれた状況は本当にそのような譬え通りなのだろうか。チャンネル桜のユーチューブ投書欄でこのような疑問を呈すると即座に削除されてしまう。これは言論弾圧だろう。水島さんちょっとあせっているようだ。戦時下だというなら、戦時下だからこそもっと冷静になってほしい。天皇陛下万歳はいいんだけれどまかりまちがうと原理主義(本質主義)に陥る危険がある。ナチズム、スターリニズム、マオイズムなどと同列だ。近代の超克(脱構築)は明治以来(否、長崎出島以来?)日本の最重要課題だと思うが、果たして水島さんのやり方で超克できるのだろうか。原理主義は超克ではない。

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  2. rxtype より

    御存知の通り、日本はすでに、WTOに加盟しています。WTOはその前身であるGATTを発展させたものです。その、GATT第24条をご存知でしょうか?ガット第24条(GATT article 24) (略)本条項では、「実質上すべての貿易」について「関税等の廃止」を「妥当な期間内」で行なうことなどの一定の条件を満たす場合に、加盟国が例外的に関税同盟や自由貿易協定を設立することを認めている。(略)(全国農業協同組合中央会 WTO関連用語集より)先日、安倍さんがブッシュ大統領との共同文書で、聖域なき関税撤廃が前提ではないと確認したわけで実際は、TPPも、上記GATT 24条程度のことだったということでしょう。そもそも、TPPが聖域なき関税撤廃が前提だ/例外措置を認めない協定だって情報、誰が最初に言い出したのですか?教えて欲しい。

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  3. ハン・テペペ より

    スティグリッツ(だけでなくクルーグマン)も大枠としてのアベノミクスを支持してるけど、それは、あくまで金融緩和と財政出動を一体のものとして行う限りでのものですよね。(それもどちらかと言えば財政出動に重点を置いている。金融緩和はあくまでそのバックアップ。)それがここまでのアベノミクス政策は、当初のお題目では(いや今も一応そう掲げてはいるけど)、金融緩和と財政出動を一体のものとして行う(ついでに新自由主義色の強い成長戦略入れて三本の矢とかなんとかw)とされていたわけだけど、ここまでのところあまりにも金融緩和一辺倒な感じですからね。(もちろん公共投資等の財政出動は予算を通すだけでも時間がかかり、またその効果が現れるのも時間を要することは承知してるけど、ただその予算規模自体、当初謳われてたほど積極財政というほどでもないような)TPP交渉参加しかり、産業競争力会議メンバーにあの”竹中”を起用し(それ以前に彼もブレーンの一人でしょう)、表向き否定してるとはいえ、雇用流動化の名の下に正社員解雇を容易化する政策を推し進めてみたりと、結局のところアベノミクスは金融緩和一辺倒かつ、新自由主義路線の推進という、とどのつまり”小泉構造改革”路線の継承、焼き直しでしかないと思われ。だとすれば、目下基本的に賛同を示しているスティグリッツ氏やクルーグマン氏らも遠からず、アベノミクスに失望することになるでしょうね。

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  4. 名前はまだ無い より

    東田さん、こんなことばかり書いていたら干されますよ(笑)。TPP、日中韓FTA(日銀総裁が東アジア共同体論者)、EUとのEPA、RCEP、将来はFTAAP。ここまで来て未だに安倍総理は本当はTPP反対なんだと言う保守。残念ながら藤井先生の提言も顧みられることはないのでしょう。「いろいろ事情はあるから国土強靭化は少し変更しましたけど、がんばってやってますよ」というガス抜きをまたやるのでしょう。自立自尊のためにはもはや倒幕しかあるまいと私ははっきり思っています。

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  5. サトルよ、今・・・ より

    やはり残念ながら、安倍総理は新自由主義者であると考えておかざるをえないですね。しかしながら少しでもこういうことを言うと「安倍降ろしを叫ぶオタオタした卑怯者!」と言論弾圧の憂き目にあい、反安倍派からはもちろんのこと、特定保守派からも阻害され、ホサ一般人になってしまいます。

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  6. とみちゃん より

    スティグリッツ教授のお話と中野ホサ官のお話があまりにも一致しているのに驚いています。「TPPは自由貿易ではなくアメリカの特殊な利益集団による管理貿易」というのも、言われてみればそのとおりです。TPPは特殊な利益集団の利権部分には手厚い規制をつくり、それ以外の部分では徹底的に規制を外すという、まさにダブルスタンダードな協定です。いろいろな事情があって安倍総理は交渉参加を表明したのでしょうが、それにしてもTPPについては不勉強なのではないかと思います。スティグリッツ教授の話を安倍総理はどこまで理解されたのかは分りません。東田さんの推測されたようなやり取りではなかったことを祈ります。

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  8. 名無し より

     ラストの対談ネタは秀逸ですね。 これを読んで安倍総理をバカにしてると感じる方は、スティグリッツの部分をこれまでの反対派の主張と、安倍総理の部分を交渉参加の記者会見と置き換えてみてください。 さて、TPPに加え日中韓FTAが始まり、いよいよTPPが中国包囲網であるとか、対中国の日米関係強化だという意見の誤りが露見してきたように思いますね。  震災から2年しか経っておらず、まだ国内を立て直してもいない状況で、これほどまで性急に自由貿易協定を推し進めようという動きには危機感を覚えます。

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