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2013年3月26日

【藤井聡】2つの合理性

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FROM 藤井聡@京都大学

先週,第一回目のナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会での議論の一部,
新自由主義,新古典派経済学と,経済構造の「脆弱化」の問題についての
東大の松原先生のご発言,ご紹介いたしましたが,
懇談会では,他にもいろいろと,大変興味深いご発言がありました.

ついては(近日中に議事録も公開される予定ですが),取り急ぎ,
第二弾の興味深いご発言,紹介差し上げたいと思います.

ナショレジ懇談会では,様々な方々に委員に参画いただいていますが,
その中のお一人に,高知県の尾崎知事もご参画いただいております.

南海トラフ地震で激甚被害を被ることが決定的....な高知県の知事だけあって,
「レジリエンス」に対する思想の深みと広がりと真剣さは,ハンパ無い凄まじさで,
ご発言頂く度に,いつも,一言一言が深く心に突き刺さる思いがいたします.

なんといっても,南海トラフ地震では,
人口75万人の高知県で,実に,最悪56万人の避難民が出ると予想されているのです.
県民の四分の三が避難民となる....これがどれだけ凄まじいものであるか,
「想像を絶する」ものではありますが,
我々はそれをおして,あらん限りの精神力を持ってして
目を見開いて「想像」しなければならないわけであります.

...さてその高知県の尾崎知事,財務省の主計局でお勤めになっておられたご経験も踏まえつつ,
第1回目のナショレジ懇談会にて次のようにご発言になっておられます.

( http://resiliencehomeland.blogspot.jp/2013/03/blog-post_4696.html
の報道記事より)

『高知県の尾崎正直知事は・・・・財務省主計局に務めた経験も踏まえて財政的な問題にも触れ、「短期的利益で考えては絶対にだめだ。単年度の予算を抑えて結果的に多くの人・財産が被災して復旧に資金を投資するのと、事前に資金をつぎ込み被災を抑えるのとでは、100年後の国の借金は、後者の方が少ない。長期的視座で国家にとって合理的であることを考えてほしい」と語った。』

このご発言に対して,具体的,かつ,理性的な反論が頭に浮かんだ方は
各委員,事務局,マスコミ,そして,各省庁からお越しになっておられた聴講者の中には,
誰もおられなかったのではないかと....その時感じた次第であります.

....この当方の指摘は,財政の問題だけに限らず,
全ての問題について共通するものだと思います.

しばしば,レジリエンス/強靭化の議論をしていると,
「でも,レジリエンスは経済合理性と相反するからねぇ...」
というご反応があり,これが,レジリエンス投資のあり方に,
「決定的な影響」を及ぼし得る可能性があるやに思われます.

「もしも」,この世の中に一切のリスクがなければ,
レジリエンスのために投資をするのは愚かな事かもしれません.

「しかし」,リスクが存在する状況では,
そのリスクに見合ったレジリエンス投資は
「極めて合理的」である事は,論理的に明白です.

「そうである以上」,巨大地震の危機を含めた,
大小様々なリアルな危機が現実的に懸念される今日では,
それなりのレジリエンス投資は「極めて合理的な選択」
だと言う事ができるのではないかと思います.

・・・・そうしたあたりをイメージしつつ,第一回の懇談会でも,
皆様のご議論を踏まえた最後のとりまとめの発言として
次のように申し上げた次第であります.

「しばしば合理性とレジリエンス、どちらをとるのかという議論がありますが、実は皆様方の議論から浮かび上がったのは合理性とレジリエンスのトレードオフではなくて、短期的な合理性と長期的な合理性、場合によっては短期的狭域的な合理性と長期的広域的な合理性との対立という構造なのかなというふうに皆様方のお話を解釈できるものと思います。
そして,長期的広域的な合理性を考えたときに、是が非でも必要になってくる概念がレジリエンスということなのではないかと思います。」

・・・・

これからもこうした議論を重ねながら,
「合理性」が必要だというのなら,短期的で,表層的な合理性ではなく,
「真の合理性」あるいは「真っ当な合理性」とは何かを考えつつ,
日本の国益にかなう強靭な国づくりが進められますよう,
懇談会では引き続き,様々なご意見を賜って参りたいと思います.

以上,ご紹介まで.

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