アーカイブス

2013年2月27日

【東田剛】これで国益を守れる?

————————————————————

●「いいね!」をくれた方には、三橋貴明の音声ファイルを
無料プレゼント。世界を読むための3つの原則とは。

三橋貴明の「新」日本経済新聞 公式Facebookページ
⇒ http://www.facebook.com/mitsuhashipress/app_109770245765922

————————————————————

FROM 東田剛

平和な日本には「まずはTPP交渉に参加してみて、有利なルールを作ればいい」と言う勇ましい人がたくさんいます。

しかし、孫子曰く「勝兵はまず勝ちて、しかる後に戦い、敗兵はまず戦い、しかる後に勝を求む。」

「まずは交渉に参加してから」などというのは、敗兵のやり方だということです。

さて、先日の総理訪米時の日米共同声明を見ると、日本に交渉力などなないことは、悲しいほど明らかです。

まず、いきなり「全ての物品が交渉の対象」となっています。これは野田前総理ですら、一応は拒否した条件ですが、それを安倍総理は正式に認めてしまいました。

次に、確かに、日本にはセンシティブな農産品があることが確認されてはいますが、その引き替えに米国にもセンシティブな工業製品(おそらく自動車)があることを認めさせられています。
ただでさえメリットに乏しいTPPですが、さらに米国のわずかな工業関税すらも撤廃されない可能性も出て、メリットがさらになくなりました。

それどころか、事前協議で「自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処」することが確認されています。
米国の自動車業界は、日本に対する要求は通し、関税は下げないという満額回答を勝ち得たわけです。

また、「両政府は,最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」とありますが、要は、結果は交渉力次第だという当たり前の話に過ぎません。
こんなこと、総理がわざわざ訪米して大統領に確認するような話でしょうか。

しかし、日本は、米国よりはるかに多くの保護すべき品目や分野をかかえている中で、どうやって交渉を有利に進めるのでしょうか。
自動車関税で米国に譲歩すれば、代わりにコメくらいは守れるかもしれません。では他のたくさんの品目や分野は、何を取引材料にして守るのでしょうか?

しかも、米国の狙いは、関税よりむしろ「非関税障壁」の撤廃にあります。自民党の「6条件」にも明らかなように「聖域」を確認すべきは、医療や保険などの非関税障壁なのです。
しかし、その点は何ら共同声明に明記されませんでした。

それどころか、逆に、自動車や保険に加え、「その他の非関税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべき更なる作業が残されている」とあります。
TPP交渉に参加したいなら、事前協議の段階で、米国の非関税障壁に関する要求を飲めということです。武装解除してからTPP交渉に参加せよということです。

しかも、オバマ大統領はTPP交渉の年内妥結を宣言していますが、交渉の会合はあと三回くらいしかありません。

安倍総理は、再三「国益を守る」と述べていますが、こんな状態で、TPP交渉に参加して、どうやって国益を守ることができるのでしょうか。

その方法は、論理的には、一つしかありません。

それは「国益」とは何かを、新自由主義者・構造改革論者に決めてもらうことです。そのための場として、すでに経済財政諮問会議や産業競争力会議が設けられています。

さて、これを読んで絶望的な気分になったTPP反対論者のあなた。それくらいで気が滅入るようなら、はじめから日本の政治や経済に関心をもってはいけなかったのですよ。
世の中のことが分かるということは、厳しくつらいことなのです。

PS
それでも世の中のことを分かりたいドMの方は、『日本防衛論』がお薦めですが、どうなっても知りませんよ。
『日本防衛論』
http://amzn.to/XT713a

『日本防衛論』 http://amzn.to/XT713a の書評が出ました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013022402000171.html

PPS
中野剛志ホサ官が、朝日カルチャーセンターで講座をやります。
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=191787&userflg=0

※このメルマガの公式Facebookページができました。

http://www.facebook.com/mitsuhashipress

「ようこそ」のページから「いいね!」してくれた人には
三橋貴明さんの特別音声ファイルを無料でプレゼントしています。

メルマガに書ききれない号外記事をアップしていく予定。
「いいね!」を押して、メンバーになりましょう。

関連記事

アーカイブス

【浅野久美】アメの慕情

アーカイブス

[三橋実況中継]デフ脱却、2つの方法

アーカイブス

[三橋実況中継]世の中にはどうしようもない人間がいます

アーカイブス

[三橋実況中継]裁判の判決が出ました

アーカイブス

【三橋貴明】正気を失っている財務省

【東田剛】これで国益を守れる?への9件のコメント

  1. とみちゃん より

    世の中の事が分るということは確かにつらいことですね。産経新聞の調査によるとTPPに賛成している人が63.8%を超えています。同新聞の夕刊コラムには、「決められない政治が先送りしてきた懸案を『いつやるか?』。『今でしょ!』と世論が背中を押している」と書かれています。新聞があおり、それに世間が迎合し、安倍総理もTPP交渉への参加を嬉々として表明しました。もう、この流れを誰も止めることができないのかと、かなり絶望的な気持ちになります。世間ではアベノミクスで株価が上がり浮かれた情報で華やいだ雰囲気になって来ています。しかし、この後に待ち構えている日本の運命をいったいどれほどの人が真剣に考えているのでしょうか?私にできることは、東田さんやその他のごく少数の良心的な意見を、周囲の人に伝えることしかできません。それでも、伝えることをやめた時点で、私自身が愚かな大衆の一人となって、子供たちの運命を不幸にさせる加害者となるのだと思います。私自身、安倍総理のTPPへの態度に若干不安を抱きつつも、反対派の議員があれだけいるのだから安倍総理を止めてくれるだろう、TPP以外では一番国益を考えた政治家なのだからと、嬉々として安倍総理を支持していました。実は、すでに愚かな大衆となって、TPP交渉への参加に加担していたのかもしれません。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. 西川 理 より

    ロいた−のコラムニストAnatole Kaletsky氏が三月二日 終結しつつある“緊縮の時代”と冠した論文を掲載しています。  また昨年十二月十二日には 日本の金融政策改革は世界をリ-ド出来るか とだいして好意的一文を掲載しています。是非御いちどこを。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. BJ24649 より

    外交力と軍事力は比例関係にあるという常識があれば、米国と交渉して有利な条件を勝ち取ればOK、などと安易に口にできないと思うんだけど。TPP推進派は平和ボケなのかな。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  4. 玄葉と前原はダメだ より

    2/28の国会では、民主議員からの質問で、本交渉において聖域のどこを守るかという話も出てきました。「平成の開国」とは何だったのかと・・・民主議員がTPP事前交渉の中身をバラしはじめていますが、あんたら説明したことあったのかと・・・

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  5. kasumin より

    私はあきらめませんよ!安部政権は支持しますが、TPPには絶対反対です。反対派国会議員の名簿をみてア行の片っ端から意見送りまくってます。藤井先生は国土強靭化担当でTPPどころではない。中野さんはNEDOに縛り付けられて動けない。ひとりひとり、自分で動かなきゃどうにもならない。あきらめないでー

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  6. 反対ならば、外交安保の観点からの対案・戦略を示せ より

    自分が交渉することを思い浮かべて最初に条件並べて交渉するかといえば交渉しない。相手の出方を見ながら手持ちのカードを出したり引いたりチラつかせたりしながら条件を勝ち取るのが交渉の常識。交渉に強い人間はこれができる。極めて自虐的で世界を鳥瞰できていない、外交安保の基本、国家戦略についての理解が足りない典型的な内向き保守の論調。TPPの情報を新聞赤旗からそのまま引用しているところがますダメでしょ。どこの国の、どういう立場の人間か、どういう思想を持っている人間か、どういう意図で言っているのか、情報を取る時は必ずここをチェックする必要がある。左翼の連中がどういう情報の使い方をしているのか知っててそのまま引用する人間に真実は見えない。政治的発言というのもを分析できなければ同様。情報というのはそのままでは使い物にはならない。今、米中が覇権戦争をしている。自由貿易協定はその一環である。アジア太平洋地域のルールが民主主義のルールになるのか、中国の都合で決められていくのか、TPPはこのやりとりの過程にあるということをまずは理解するべき。木ばかり見ていないで森を見よ。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  7. tko より

    次回の保守政治研究会で、中野先生がメインとなって先生方へレクチャーをしてくださいますよう僭越ながら期待しております。正直申し上げて、まだまだ参加されている先生方の人数が少ないと思います。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  8. 名前はまだ無い より

    思ったよりも展開が早いとは思いますがだいたい予想通りの事態です。それでもこうやって現実に突きつけられると気が滅入るものですね。どちらかというとSなもんでどこまで耐えきれますやら。。。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  9. Yuriya Kaito より

    本当に。気持ちが折れそうだ。米国にやられた。また負けたのではないか。そうでないことを願う。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】終戦記念日に考える、「戦後レジームからの脱却」と「...

  2. 2

    2

    【三橋貴明】黄金の氏族の婿たち

  3. 3

    3

    【三橋貴明】安藤裕衆議院議員と対談しました

  4. 4

    4

    【三橋貴明】「国の借金」プロパガンダを打破せよ!

  5. 5

    5

    【三橋貴明】スウェーデン・ショック

  6. 6

    6

    【竹村公太郎】都市の下に住む大蛇 ―なぜ「決壊」と書くのか―

  7. 7

    7

    【三橋貴明】治水の後れは国家の怠慢

  8. 8

    8

    【三橋貴明】“人間の屑”がいるとするならば

  9. 9

    9

    【三橋貴明】消費税軽減税率の拡大を!

  10. 10

    10

    【藤井聡】「強靭化目標」は「プライマリーバランス制約」でなく...

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】防災に「国債」を発行しない政治家は、馬鹿の誹りを免...

  2. 2

    2

    【藤井聡】吉川洋東京大学名誉教授が『詭弁』を弄して、『防災を...

  3. 3

    3

    【藤井聡】政府は「異常気象緊急対策」を速やかに推進せよ。

  4. 4

    4

    【三橋貴明】“人間の屑”がいるとするならば

  5. 5

    5

    【藤井聡】政府の「東京一極集中」対策、未だ成果まったく見られ...

MORE

最新記事

  1. 政治

    【三橋貴明】民主主義の国民であるならば。

  2. 日本経済

    【三橋貴明】粒子加速器、なるか産業ビッグバン

  3. 欧州

    【三橋貴明】スウェーデン・ショック

  4. 日本経済

    【三橋貴明】治水の後れは国家の怠慢

  5. 日本経済

    未分類

    【藤井聡】終戦記念日に考える、「戦後レジームからの脱却...

  6. 日本経済

    【三橋貴明】「国の借金」プロパガンダを打破せよ!

  7. 政治

    【三橋貴明】安藤裕衆議院議員と対談しました

  8. アジア

    【三橋貴明】黄金の氏族の婿たち

  9. 日本経済

    【竹村公太郎】都市の下に住む大蛇 ―なぜ「決壊」と書く...

  10. 日本経済

    【三橋貴明】消費税軽減税率の拡大を!

MORE

タグクラウド