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2013年2月15日

【柴山桂太】無駄なハコモノ?

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FROM 柴山桂太@滋賀大学准教授

インフラの老朽化対策に関心が集まっています。崩落事故を起こした笹子トンネルは、建設から40年が経過していました。全国には老朽化したインフラがごまんとあり、対策が急がれます。

老朽化対策や、震災対策には公共事業が必要です。しかし今の日本で、公共事業ほど評判の悪いものはない、と言えるでしょう。日本は「土建国家」で「無駄なハコモノ」ばかりをつくっているという悪いイメージがすっかり定着してしまいました。だから、笹子トンネルのような事故が起き、政府が対策をはじめようとしてもすぐに、「バラマキの復活を許すな」という強い反対の声が上がってしまうのです。

少し切り口を変えてみましょう。インフラの老朽化対策は、何も日本だけが直面している課題ではない、という事実を確認しておきたいのです。

アメリカでは2007年にミネアポリスで落橋事故が起き、死傷者が出ました。昨年もハリケーン「サンディ」が大きな被害をもたらし、インフラの強化が議論されています。

ヨーロッパのように早くから近代化した地域では、インフラ劣化が深刻です。ロンドンでは、水道設備の二割が築150年以上(!)だそうで、度重なる事故による損害が話題となっています。欧州委員会の報告によると、EU加盟国で必要となるインフラ投資は、今後十年で総額1.5兆ユーロから2兆ユーロ。道路関係では5000億ユーロ、エネルギー関係では4000億ユーロが必要とのことです。

http://ec.europa.eu/economy_finance/consultation/pdf/bonds_consultation_en.pdf

ここには、補修・更新だけでなく新設の予算も含まれますが、日本円で180兆から200兆円ですから、相当な額です。

アメリカでは、インフラ投資の減退を国力の低下と結びつける議論も出ています。ブルッキングス研究所のW.A.ガルストンは、インフラ投資が減った結果、中国や韓国、シンガポールといったアジアの新興国に比べて、アメリカの国際競争力が低下していると指摘しています。例えば、道路の補修が進まないために渋滞や物流が滞り、2010年の1年だけで1000億ドル分のムダが発生した、との推計が紹介されています。インフラ劣化が経済を「非効率」にしている、という訳ですね。

http://www.brookings.edu/blogs/up-front/posts/2013/01/23-crumbling-infrastructure-galston

また、アメリカの土木学会が二2009年に出した報告では、今後5年間に必要となるインフラ投資は2.2兆ドルと推計されています。

http://www.asce.org/PPLContent.aspx?id=2147484137

2.2兆ドルと言えば、約200兆円。こうした機関の出す数字は多めに出されるのが常ですが、それにしてもかなりの額になるのは間違いなさそうです。

オバマ政権は今年度の予算でもインフラに力を入れています。また、「国家インフラ銀行」を創設するとも発表しています。これは欧州投資銀行をモデルとして、長期的なプロジェクトに(民間の資金を入れながら)資金供給を行う機関のようです。政策金融の強化、ですね。有効な資金調達の仕組みを考えるのも、欧米日に共通の政策課題です。

もちろん、欧州でもアメリカでも、財政難からインフラ強化に反対する声は、日本同様に大きなものがあります。しかし、政治が率先して、「インフラストラクチャー・ギャップ」(必要とされるインフラと、現実のインフラ投資のギャップ)を埋める動きが出始めているのも、間違いないところです。

安倍政権は、今後10年で100兆円から200兆円のお金を「国土強靱化」に使うと公約しています。これだけみると巨額ですが、欧州やアメリカと比較すると、けっして突飛とは言えません。

インフラ投資による安全強化や国力の回復は、日本だけでなく、先進国の政治が共通して取り組んでいる課題です。「公共事業のバラマキは良くない」と頭ごなしに否定する前に、まずはその現実をしっかり見つめるべきでしょう。

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【柴山桂太】無駄なハコモノ?への2件のコメント

  1. R.T より

    勉強になりました。個人的に質問をしたいのですがよろしいですか?連絡待っております。

    返信

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  2. Yuriya Kaito より

    【無駄な箱もの】という【悪印象】は、TPPの前身とも言える【日米構造協議】(1989年)の頃から発生しました。まさに米国からの外圧で、何百兆もの無駄な箱ものを作らされたのでした。日本の生産性を向上させる【有益な投資】以外のものにお金を使わされたのです。もう、半植民地の保護領から抜け出すことを、皆真剣に自覚しないと!

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