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FROM 藤井聡@京都大学
安部内閣で閣議決定した,
来年度の当初予算の内訳が,各種報道機関で報道されました.
その中で、最大の伸び幅を示しているのが、
公共事業関係費だと言う風に,報道されています.
例えば,毎日新聞では,
「予算案に盛り込んだ公共事業費は、前年度より15.6%
http://headlines.yahoo.co.jp/
と報道され,日本経済新聞では,
「公共事業が大幅増」という見出しの下,
「公共事業は5兆2853億円で、4年ぶりに増える。
と報道されています.
http://www.nikkei.com/article/
こうした流れの中で,東京新聞は,
「公共事業7.7兆円効果不透明 成長率政府見通し疑問も」
という見出しの下,公共事業の「当初予算の増額」に対して,
批判的な見解が存在する旨の記事を掲載しています.
また,これらの報道を受けて, Yahoo!の意識調査では,
「政府が閣議決定した2013年度予算案の公共事業費は、
というアンケートが実施されています.
http://polls.dailynews.yahoo.
その結果は,以下となっています.
もっと増やした方が良い 19%
適切な規模だと思う 32%
もっと減らした方が良い 46%
(本日時点 45625人参加)
適切と増やした方が良いを併せて,過半数の51%
今回の安倍政権の公共事業増額は,過半数の評価を受けている,
と解釈しても良さそうです.
が,減らした方が良い,が46%と,
....が!!!
上記の報道も,上記のアンケート調査の質問項目も,
残念ながら,「客観的事実」から少々乖離したものなのです。
なぜなら....実は,来年度の当初予算において,
公共事業は15.6%増えたと言われていますが,
これは実は,単なる「見かけ上の増分」であって
「実質上の増分」は,たった0.3%にしか過ぎないのです(!)
つまり、上記報道等で「公共事業は増えた増えた」と言われ、
一部において「いかがなものか」
(補正において公共事業が増えたのは事実であるとしても)
当初予算については、実質上、まったく増えてはいないのです。
それを考えると,上記アンケートで19%だった「
もっと高い水準となるのが,実際の状況で,
場合によっては,
...ということでまず、先月とりまとめられた、
公共事業関係の予算についての下記資料の
P2の上部の表をご覧ください。
http://www.posa.or.jp/outline/
御覧のように、確かに、公共事業関係費は、15%
しかし、その二行目をご覧ください。
「平成24年度予算額に地域自主戦略交付金(
これは少々わかりにくいかもしれませんので,少し,
解説いたします.
民主党政権では,「地方主権」の大方針がありましたから,
その方針の下,中央政府が交付する地方交付金を,
基本的に「一括交付金」というものに変えられました.
その時,公共事業関係費としてかつては計上されていた,
一括交付金として,計上されるようになり,
「見かけ上」公共事業が大幅に削減される格好となったのです.
ところが,今回の政権交代で,
再び,かつての様に,
...ということですから,H24とH25では,
「公共事業関係費」
として計上される項目の「定義」そのものが,
ですので,この資料では,定義をあわせて,
H24とH25の公共事業関係費を比較してみました,
という値も掲載してあるわけです.
で,その結果は,ほっとんど,双方,同じだ,
ということとなったわけです(なんといっても,0.3%
いずれにしても,定義が違うんですから,
H24とH25の公共事業関係費を,
一般メディアで紹介されているような格好で,
単純に比較してはいけないのです.
....とはいえ,これだけ繰り返し,
「15.6%公共事業費が増えました」
と各所で報道された訳ですから,
この印象は,世論からは直ぐには払拭されはしないと思います.
そして,その効果として,
先のアンケートで「46%」もに上っていた
「公共事業を減らした方が良い」
と考える人々が,
公共事業の当初予算は,
本来は増えていないのに,
増えていると喧伝され,
それを通して,
「公共事業を減らした方が良い」
という世論が「過剰」に形成されてしまい,
結果として,実際に公共事業が,増えるどころか,
かつて以上に削減してしまう....
という可能性も十分に考えられるわけです.
もちろん,公共事業を削減することが,
国益に叶う事であるなら,
虚偽の情報が世間に流布される実情は,
さして問題にならないのかも知れません.
が....巨大地震の危機,インフラ老朽化,
インフラ不足による国際競争力の低下...
等が明らかになりつつある今日においては,
それは「大問題」だと言えるのかもしれません.
....ついては,本メルマガをご覧の方々だけでも,
しっかりと,「真実」をご理解頂いた上で,
適正なご判断,ご意見を形成されますことを,
祈念いたしたいと思います.
以上,ご紹介まで.
PS
「公共事業ってホントに必要なの?」
と疑問を少しでもお持ちの方をお近くでご覧になられましたら,
是非,下記の書籍,ご紹介差し上げてください.
読みさえすれば,公共事業不要論のどこに問題があって,
どういう意味で公共事業が今,求められているのかが...
分かって頂けると思います.
PPS
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【藤井聡】増えてませんへの6件のコメント
2013年2月12日 8:15 AM
印象操作なのか、たまたま出た数字が「これ、使っちゃお!」と都合の良い数字だったのか、メディアの人って三橋先生ほど賢くないと思うので、後者だと推察します。ま、いずれにしても国なんかどうでもよい、お花畑な人か売国奴のやりとり、という印象はぬぐえないですよね〜w
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2013年2月14日 1:30 AM
最初のリンク先が間違っていました。正しいのはhttp://blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba/e/d1a9acf27561f3a5964ad8ad3dfcc6b6
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2013年2月16日 12:30 AM
いえ、そもそも、公共事業だけでなく、予算総額も別に増えてはいないようです。 安倍政権の10兆円という大規模補正による(補正後の)2012年度一般会計予算総額100.5兆円は、前年度の最終補正後の予算総額107.5兆円に比べると、7兆円減っているようです。次のブログで解説されています。http://blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba/m/201301 もっとも、2011年度は予算の未執行が多かったので、実際の決算ベースで比較すると、2012年度は、2011年度とほぼ同額の執行になるだろうということのようです。 また、2013年度予算は、当初予算の段階の話ではありますが、当然、2012年度の(補正後の)現計予算額を8兆円下回っています。したがって、2013年度に入ってから、8兆円以上の補正を組まない限り、2012年度予算を下回ることになります。 大規模な財政出動というのは、財務省の演出で作られたものだということだと思います。関連http://blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba/e/8ba2b109a7fff3f24c5da5fce744922dhttp://blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba/e/1198ff7e452caa567b079842d6bedce3
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2013年2月17日 4:26 PM
交付金と公共事業費について、分かりやすい説明ありがとうございます。安倍政権で増えた予算は公共事業に流れないと言うことですね。では、その予算、どこに流れるのでしょうか?
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2013年2月19日 7:47 AM
いつも楽しく拝見しております。この件、私も日経さんに意見を送らせて頂きました。沢山の人が各紙に抗議や意見や”正しい情報”を送ることで、忙しい記者さんも間違いに気付くかと思います。一部無駄な所もあるかと思いますが・・・・。【毎日新聞社】 http://mainichi.jp/info/etc/inquiry.html【日本経済新聞社】 http://www.nikkei.com/help/contact/【朝日新聞社】 https://digital.asahi.com/info/inquiry/asadigi/shimbun.php【東京新聞社】 https://cgi.chunichi.co.jp/tko/entry/toiawase/toiawase.php
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2013年2月19日 9:27 PM
メディアのミスリードの酷さが良く分かりました。逆に気になるのがデフレ、巨大地震の危機、インフラ老朽化がある現状で安倍政権は公共事業費をほとんど増していないと言う事なんですか?安倍政権には期待していたので、その事をこの経済新聞で解説して欲しいです。
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