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2013年1月25日

【施 光恒】21歳のJ君

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From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

おはようございます(^_^)/

時事通信が今週月曜日に配信した以下の記事、非常に興味深く読みました。

首相靖国参拝、賛成56%=反対は26%−時事世論調査
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013012100029

首相の靖国参拝を支持する人が、反対する人の倍以上というのは、少々驚きました。
(個人的には、うれしいです(_・∀・`)ノGJ !)

小泉政権で靖国参拝が問題になっていたころは、だいたい首相の参拝に「賛成」という人と「反対」の人は同じくらいだったか、むしろ「反対」のほうが「賛成」よりも多いときが結構あったと思いますので。

記事内では「沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題で悪化した対中感情などが背景にあるとみられる」と原因が推測されています。私も、そんなところだと思います。

ただ、もう少し言えば、ここ数年の尖閣や竹島の問題などで、中国や韓国の対日批判の見方を変えた人が多いんでしょうね。

以前は、中韓の対日批判について、かなりの数の日本人が、「中韓は、日中友好や日韓友好を望んでいる」とか、「東アジアの平和と友好を願う気持ちから来ている」とか、「昔、傷つけたのだから、彼らの感情に少々過敏なぐらい配慮したほうがいい」と考えていたのではないかと思います。

しかし、ここ数年の尖閣や竹島などの問題で明らかになった中韓の主張の支離滅裂さから、首相の靖国参拝に対する中国、韓国の批判も、必ずしも日本との友好や東アジアの平和を願う気持ちから出ていたのではなく、むしろ日本を大人しいままにしておく方便だったのではないかと見方を変えた人が増えたのだと思います。つまり多くの日本人が、中韓は、自国の国益の増進のために靖国参拝を批判してきた面がある、と考え始めたのではないでしょうか。

私のここでの意図は、中韓の批判ではありません。国際政治においては、通常、どの国も自分の国益を第一に考えるのは、当然と言えば当然ですので。
私が強調したいのは、これも当然のことですが、日本の利益や将来は、結局、日本人以外、だれも本当に真面目には考えてくれないので、日本人は、日本の将来をつねに主体的かつ真剣に考えていかなければならないということです。
(`・ω・_)キリッ

この辺について、私は、大学の授業などでよく次のようなヨタ話をします。

現在の多くの日本人が抱いている一般的な日本のナショナル・アイデンティティ(自国のイメージ)とは、それが正しいイメージかどうかは別として、いわば「更生したばかりの元・非行少年」のアイデンティティのようなものではないかという話です。

その際、しばしば「21歳のJ君」という言い方をします。(21世紀の日本ですから、21歳のJ君です。単純すぎスマソ(_・ω・))。

多くの日本人が抱いているナショナル・アイデンティティとは、「更生したばかりの元・非行少年J君」のアイデンティティのようなものではないでしょうか。

J君は、現在21歳の次のような人物です。

***
J君は、以前は、穏やかで、割と引きこもりがちの生活をしていた。ところが、19歳半ば過ぎから遠くのガキ大将たちに、「外に出てこいよ」と半ば強制的に促され、出ていくようになった。そして、ガキ大将たちに伍していくために、ときとして乱暴な手段もとった。

その際、近所の幼馴染を、結果的にいじめてしまうこともあった。

紆余曲折があり20歳の半ばに、遠くのガキ大将たちとついに大喧嘩になった。
その大喧嘩には結局負けて、喧嘩の責任や、近所の幼馴染をいじめた責任などから責められ、裁判にかけられた。
その結果、有罪判決を受け、保護観察処分となった。その際、保護司に「生活の基本ルール」のようなものを定められた。

保護観察の期間は、比較的短期間で済んだが、いまも「生活の基本ルール」は後生大事に守っている。
「生活の基本ルール」を守りつつ、現在まで、勤勉かつ有能に働いてきて、裕福になり、社会のそれなりの位置を占めるようになった。

だが、J君のアイデンティティはいまでも不安定である。ときには、「自分は、昔非行に走ったとしても今は更生し、懸命に働き、かなり裕福になった。自分は、立派なんだ!」と自信満々になる。

しかし別のときには、昔いじめた幼馴染になじられ、ああやはり自分はいったん頭に血が上ると抑制が効かないキレやすい乱暴者だと思い、自虐的になるときもある。保護司がかつて作ってくれた「生活の基本ルール」を守り続けなければ、自分を律することができず、もとの乱暴者に戻ってしまうかもしれない。「生活の基本ルール」を棄て去り、自分で自分の生活をコントロールしていくのは怖くて踏み出せない

つまり、J君は、自分は立派なんだと自信満々に思うときもあれば、やっぱりキレやすい乱暴者なんだと自虐的になるときもある。そういう揺れ幅が大きい不安定なアイデンティティを抱いている。

アイデンティティのこの不安定さからJ君は、いまだに社会のなかで自己主張したり、リーダーシップをとったりすることが苦手である。
特に、昔いじめたという引け目のため、幼馴染の言うことは少し無茶だなと思っても、あまり言い返さず受け入れるようにしてきた…。
(_・ω・`)

***
言うまでもありませんが、この比喩では、「遠くのガキ大将」は、米国をはじめとする西洋諸国であり、近所の「幼馴染」とは中国、韓国、北朝鮮などです。保護観察はGHQによる戦後占領で、保護司に定められた「生活の基本ルール」とは日本国憲法です。

J君が、本当に「非行」少年だったのか否か、どれくらいひどく幼馴染をいじめたといえるのか、いじめる一方だったのか、などの事実問題はここでは問わないことにします。
事実問題はどうあれ、戦後の多くの一般的日本人は、この種の「更生したばかりの元・非行少年」の自己イメージに喩えられるようなナショナル・アイデンティティを抱いてきたのではないかと思います。

この比喩はとても大雑把でテキトーなものですが、いくつかのことは、ここから導けそうです。

一つは、J君のアイデンティティの不安定さは、なるべく早く解消し、安定したアイデンティティを取り戻す必要があるということでしょう。

J君は、まだ21歳と若いので、将来が十分あります。社会のなかで、他の人たちと互いに協力したり競争したりしながら、立派に生きていかなければなりません。必要とあれば、リーダーシップもとらなければならないでしょう。そうだとすれば、揺れ幅の大きい不安定なアイデンティティではなく、安定した自己イメージを獲得しなおさなければならないと思います

安定したアイデンティティを取り戻すためには、いわば一種の「カウンセリング」が必要でしょう。
「カウンセリング」には、「非行」だとされている過去の出来事について振り返り、当時の一般的ルール(国際法)や常識と照らして、「非行」の是非、また「裁判」の是非を冷静かつ公正に吟味するという作業も確かに必要なんだろうと思います。

またそれだけでなく、「非行」以前や、19歳半ば以前の比較的穏やかな生活を送っていたことを思い出して、自分は、必ずしもキレやすいわけではなく、思慮深く、温厚で、勤勉で、多様な良い側面を持っているんだ、社会のよき一員になる資質をもともと十二分に持っているんだ、ということをあらためて意識することも大いに大切でしょう。

もう一つ導けるのは(こちらのほうが話の本筋ですが…)、幼馴染など他者は、J君の将来を第一に思ってくれているわけではないので、将来については自分自身で真剣かつ賢く考えていかなければならないという点です。

人間のつねとして、それぞれいろんな事情や思惑があるので、幼馴染は、J君が、でしゃばらずに大人しくしてくれていればいいとか、元気を取り戻さないほうがいいとか思うかもしれません。ですので、幼馴染の声に耳を傾けつつも、その妥当性は適宜判断して、いつも主体的に自分の将来のことを考えていかなければならないでしょう。

日本国憲法の前文に、「諸国民の公正と信義に信頼して」という翻訳調の悪文があるからか、戦後の日本は、近隣諸国が日本に対して悪意を持つこともありうるという当然のことを、なるべく見ないようにしてきたように思います。近隣諸国は、つねに善意なんだという建前で語ることこそ、知的で賢い大人の態度なのだと考えてきたといえるでしょう。

ですが、さすがにその建前は、崩れつつあるようですね。
善意は善意、悪意は悪意という判断を、冷静に状況を見渡しつつ、きちんと下せるほうが知的で良識的な大人なのだという本来の常識が、早く完全に回復してもらいたいと思います。

***
いつもながら長々と、失礼しますたm(__)m

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