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2012年11月7日

【東田剛】日本の電力会社の実力

FROM 東田剛

10月29日夜にアメリカ北東部に上陸したハリケーン・サンディは、
洪水やら停電やらガソリン不足やらと、甚大な被害を与えました。

発災から一週間経った11月4日、電力の復旧率は8割に達しておらず、
約185万世帯がなお停電とのことです。

この復旧の遅れから、当初1.6兆円程度とされていた経済損失の推計は、
最大4兆円へとふくれあがりました。

これに伴い、ハリケーンの名前も、デーブ・スペクター氏によって、
「サンディ」から「悲惨ディ」へと変更され、
それが大規模な地スベリを引き起こす恐れもあります。

かつて、阪神淡路大震災発災が起きた際、
関西電力は、7日ですべての供給地点に送電を完了しました。
東北電力は、東日本大震災の発災から3日で、約8割の停電を解消しました。

日本の年間停電時間(2007年)は、約16分程度と世界最短水準です。

これに対して、ドイツは約19分、フランスは約62分、イギリスは約76分、
アメリカに至っては約292分です。

「貧弱、貧弱ゥ」

日本の電力会社の電力供給に懸ける血のにじむような努力は、
日本人が誇るべき財産のひとつなのです。

欧米では、90年代以降、新自由主義の教義に則って、
「発送電分離」という改革が進められました。

「発送電分離」とは、
送配電のネットワークを発電部門と小売部門から分離して
第三者が公平な条件の下で利用できるように開放することです。

これによって電力市場が自由化され、新規の発電事業者の参入が増えれば、
競争が促進され、電気料金が下がるだろうというのです。

しかし、そのおかげで、電力会社が利益至上主義に走り、
電力の安定供給がおろそかになってしまいました。

日本でも、90年代から2000年代にかけて、
発送電分離が議論されましたが、
実行されませんでした。

電力の安定供給を確保するためには、
発電と送電の責任主体が一元化されていた方がよいからです。

しかし、日本の電気料金は、
諸外国と比べて突出して高いわけではありません。

イタリアよりずっと安く、イギリスより少し高いくらい、
ドイツと比べると、産業用は若干高いですが、家庭用はむしろ安い。

それどころか、欧米では、発送電分離の後、
2000年代を通じて電気料金は下がるのではなく、むしろ上がってしまいました。

同じ頃、日本の電気料金は、むしろ、ゆるやかに下がっています。

光熱費は、低所得者の方が所得に占める割合が高いですから、
電気料金の上昇は社会的弱者を苦しめます。

特に、発送電分離を率先したイギリスでは、電気料金が跳ね上がり、
燃料貧困層(冬季に適切な室温を維持するために、
その収入の10%以上を燃料代に支出する必要のある世帯)が激増し、
03年には100万世帯であったのが、
09年には400万世帯になってしまいました。

こうしたことから、経済産業省は、本年7月、
新自由主義者の伊藤元重東大教授を長とした
「電力システム改革専門委員会」において、
発送電分離の方針を打ち出しました。

現在、日本の電力システムを欧米並みに「貧弱、貧弱ゥ」にすべく、
全力で突き進んでおります。

これで電力会社のこれまでの努力も、「無駄無駄無駄無駄ァ」

PS
今回のメルマガの発送電分離の問題は,
中野剛志さんの評論集『反官反民:中野剛志評論集』の中でも
論じられています。より詳しく知りたい方は、こちらが参考になります。
http://amzn.to/TbD1P2

PPS
いまの日本をより深く洞察するなら、
この本は必読の書の1冊だと思います。
http://amzn.to/OTfVek

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【東田剛】日本の電力会社の実力への3件のコメント

  1. かおる より

    良くぞ真実を書いてくれました。日本の電力が安定供給されていることがどれ程に国家や国民の日常生活の中で大きな意味を持っていかを国民は全く知らない、電力の安定供給、これは大変な国家の財産、宝とも言える大切のものだという事を国民は知るべだと思います電力はいまや空気のような存在、あって当たり前になっていますが、この当たり前の状態を維持するためにどれ程の努力があるのか、国民はわかってなさすぎです。恵まれすぎているとそれが当たり前で大切さを忘れる、これが凡人の仕方ない所ですが、国の舵取りをする政治家が凡人では国家は衰退するばかりです。素人以下の政治屋集団、数さえいればいいという民主党の馬鹿国会議員にこの国を託すことは絶対に阻止しなければと思います。電力の安定供給は国家、国民の日常に非常に重要だということを国民は、正しい情報を知るべきだと思います。

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  2. 南田友子 より

     はじめまして。いつも読ませていただいてます。今回の内容は、私にはこん棒(赤、青鬼が持っている)でぶん殴られたくらいの衝撃だったのでコメントしてしまいました。 唯でさえ経済的にも不安がかすめる昨今なのに、またも未来に不安しか湧いてこないエネルギー供給問題。まるでもぐら叩きみたく次から次に‥‥。日本は、この私にはわからない呪縛…から解き放れて行かないのでしょうか。 そう言えば経産省に戻られた中野さんは…。とにかく執筆の方々、応援してます。

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  3. ひまわり より

    中野さん、大好きです。身内に中野さんの本読ませてます。寂しいです。戻ってきてください。わがままなのは、わかっています。すみません。

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