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2015年1月8日

【柴山桂太】ギリシャの瀬戸際戦術

From 柴山桂太@滋賀大学准教授

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●月刊三橋最新号のテーマは「2015年の世界と日本」。
三橋貴明が解説する「2015年」が聞けるのは、1月10日まで。

https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

※次号、2015年1月号のテーマは「フランス」。

なぜ、今、フランスを取り上げるのか?

なぜなら、日本の「見たくない未来」を見られるからです。

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新年早々、ギリシャ危機が再燃しています。ギリシャの国債利回りは上昇中で、金融市場の動揺が大きくなっています。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=GGGB10YR%3AIND

原因は政治です。1月25日の総選挙で第一党になると目されている急進左派連合(SYRIZA)は、以前から緊縮財政路線に反対してきました。今回の選挙でも、最低賃金の引き上げや公的支出の拡大、債務減免などを訴えています。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM24H2E_V21C14A2FF2000/

大恐慌並みの高失業とデフレに苦しんでいる上に、緊縮財政を強いられているギリシャの有権者が、我慢の限界を迎えたということなのでしょう。

危機後のギリシャは、ドイツが主導する救済策を受け入れましたが、その条件として緊縮財政や国有資産の売却を義務づけられています。これを撤回するとなると当然、ドイツの圧力が強まりますが、急進左派連合は「ユーロ離脱」をちらつかせることで、融資条件の緩和を迫るとしています。ギリシャが離脱すれば、ダメージはユーロ圏全体に及ぶので、ドイツとしても飲まざるを得ないだろうという典型的な瀬戸際戦術です。

ところがドイツは、メルケル首相が「ギリシャの離脱」を容認する意向だと報じられるなど、強気の態度を崩していません。2010~11年の前回の混乱とは違い、国債金利が上昇しているのはギリシャだけ。仮にギリシャが離脱しても、ダメージは最小限に押さえ込めるとしています。本当にそう考えいるかどうか分かりませんが、少なくとも今は強気のメッセージを出すことによって、ギリシャに揺さぶりをかけ、仮に新政権が再交渉を求めてきたとしても妥協を最小限に抑えたいという思惑があるのでしょう。

この問題は解決が見えません。仮に今回、ギリシャがユーロにとどまる選択をしたとしても、新政権の支持が失われますからギリシャの政治は再び混乱します。そうなると、もっと勇ましい主張をする集団が出てくる。ドイツの方でも、「ギリシャに振り回されるのはうんざり」という気分でしょうから、もう切り離してしまえという声が大きくなって不思議ではありません。

ギリシャの離脱は、今年(または数年以内)に起きると考える識者もいます。経済学者のタイラー・コーエンは、「ドイツはギリシャを切り離したいと考えている」として、その理由を三つあげています。
http://marginalrevolution.com/marginalrevolution/2015/01/why-i-think-greece-will-leave-the-eurozone-this-year-or-soon-thereafter.html

第一に、ドイツはギリシャがユーロ圏の「ガン」だと考えている。ギリシャの国家債務は膨れる一方だが、ドイツは(国民の反対もあって)債務減免に応じるつもりは毛頭ない。

第二に、直近のユーロ圏は安定しているという判断から、いまギリシャが離脱しても危機の連鎖を断ち切ることができると考えている。

第三に、離脱後のギリシャ経済は破滅的になるが、それはスペインやイタリア、フランスなど反ユーロ勢力が台頭しつつある国々へのメッセージとなる。「逆らうとこうなるぞ」という見せしめ
になる、というわけです。

しかし、本当にギリシャ離脱の悪影響を最小化できるのでしょうか。リーマンショックに見られるように、今の複雑化したグローバル経済では、危機の波及経路が予測不可能です。英『エコノミスト』誌も「欧州版リーマンショック」の可能性を指摘しています。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42596?page=3

ユーロ圏は安定しているという判断についても、どうでしょうか。確かに(ギリシャ以外の危機国の)金利は順調に低下し、経常収支の赤字も縮小に向かっていますが、ユーロ圏全体で見るとデフレの脅威は深刻です。現行の緊縮財政+構造改革路線を続ける限り、ユーロ体制への不満は大きくなることはあっても、小さくなることはないでしょう。

いまギリシャで起きている政治危機は、緊縮財政と構造改革に対する国民の不満が背景にあります。もっと云えば、不況期でもこれらの政策を不可避に強いるユーロ体制への不満であり、統一市場を守るためなら局所的な混乱はやむを得ないとするユーロ・グローバリズムへ反発です。

ギリシャがどうなるかは分かりませんが、各地で始まっているユーロ体制への反発が、簡単に収まるとは思えません。その結果、何が起きるのか。単にヨーロッパの未来にとってだけでなく、グローバリゼーションの今後を考える上でも、重要な分岐点にさしかかっています。

PS
月刊三橋最新号のテーマは「2015年の世界と日本」。
三橋貴明が解説する「2015年」が聞けるのは、1月10日まで。
https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

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【柴山桂太】ギリシャの瀬戸際戦術への1件のコメント

  1. たかゆき より

    カオス♪ギリシャ神話の原初神、、、カオスから生まれるのがエレボス(幽冥)と ニュクス(夜)とかユーロの未来を暗示しているやうな、、まん丸お目目の月の女神オイロパ メルケルオイロパが「カオス」を手玉に取れるか??到底無理でございませう。

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