歴史

2020年7月26日

【三橋貴明】イギリスのブレグジットと「歴史」

【近況】

月刊三橋の「疫病と経済」の最終章は、イギリスが舞台です。
https://pages.keieikagakupub.com/cpm_38ekibi_s_d_39800/

イギリスというのは、本当に「歴史的」に凄い国です。

「三橋TV」の259回の後半で、軽く触れ、
https://youtu.be/qh_x0l9EYf8

三橋経済塾第九期第六回(札幌回)で
詳しく解説しましたが、
イギリス(イングランド王国、後の連合王国)が
世界の覇権国に上り詰める切っ掛けになったのが、
何と14世紀のペストのパンデミックだったのです。

イギリスの歴史を理解すると、
世界史において最も重要な「戦い」は、
ノルマンディー公ギヨーム二世
(後のウイリアム一世)がハロルド二世を破った、
1066年のヘイスティングスの
戦いだったように思えてきます。

残念なことに、日本人の多くは
「ヘイスティングスの戦い」を
知らないと思いますが。

さて、現代においても、
イギリスは「決定的な戦い」をしました。

すなわち、2016年6月23日、
ブレグジットの国民投票です。

国民投票で離脱派が勝利し、
2019年12月の総選挙で、
ボリス・ジョンソン首相率いる
ブレグジット派が大勝。

イギリスは今年1月末に、
EUから離脱しました。

同じ時期、ユーラシアの反対側で、
中国共産党(以下、中共)が覇権主義・拡張主義を
隠さなくなり、20年に中国武漢発祥の
新型コロナウイルス感染症のパンデミック。

そして、香港における国家安全法適用の強行。

香港返還時の「一国二制度」の約束を
踏みにじられたイギリスは、
もはやアメリカ以上に
対中強硬派になりつつあります。

623で離脱派が負け、
イギリスがEUに残っていた場合、
歴史は大きく変わっていました。

何しろ、EUは外交について
「政府間主義」を採っており、
加盟国の主権が制限されています。

無論、政府間主義であるため、
最終的な決定権は各国に残っているのですが
「独自の外交路線」は不可能です。

中共は、EUやユーロ加盟国に
おける影響力を高めていました。

イギリスがEU加盟国のままだった場合、
香港政策や人権問題で独自路線を
貫くことは不可能だったでしょう。

珍しく、明日に続きます。

◆「日本をダメにした財務省と
 経団連の欺瞞(小学館)」が刊行になりました。
 https://amzn.to/38q1LPW

◆「自民党の消滅(ベストセラーズ)」
 (書籍版)が刊行になりました。
 https://amzn.to/3dEIFqS

◆週刊実話 連載「三橋貴明の
 『マスコミに騙されるな!』」 
 第378回 全ての国民を、全ての災害から守る

 なお、週刊実話の連載は、
 以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
 https://npn.co.jp/category/society

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol583 
 国債という「国家の資本」
 http://www.mag2.com/m/P0007991.html
 
 国債とは国家の「資本」です。
 もっとも、国家と企業は目的が異なるため
 (国家はNPOです)、同じ資本とはいえ、
 意味が異なります。国債の真実を探ります。

◆メディア出演

心拍数がハイパーインフレーション!
中野剛志、希望を語る
[三橋TV264回]中野剛志・森永康平・高家望愛
https://youtu.be/MmB2SRTnYU4

聖徳太子に学ぶ日本人 
自分が聖人で相手が愚人とは限らない 
みんな凡夫なんだよ
[三橋TV第265回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/Dap8BP6MSyw

緊縮財政で国民が死んだ。
ならば財政拡大だ!とは、ならない日本の病
[三橋TV第266回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/iy4ptJg3Rew

特別コンテンツもリリースされています。

コロナ恐慌 日本はギリシャのように
財政破綻するの?【三橋貴明】
https://youtu.be/i9GX9zgUcaU

チャンネル桜
「Front Japan 桜」に出演しました。

【Front Japan 桜】閣議決定!
骨太の方針2020 / 海の日に海洋国家日本の将来を考える
/ 映画評論家から見た三浦春馬ショック[桜R2/7/20] https://youtu.be/yYI8uK_ucyI

【ch桜・別館】番組編成に悩む
テレビ局にご提案があります![桜R2/7/20] https://youtu.be/FDTCLY4gUjA

【RE:明るい経済教室 #5】
経済学者は嘘つきだ!溺れたらヤバイ
「貨幣プール論」[R2/7/24] https://youtu.be/SxKteg4Cl1o

◆三橋経済塾

7月18日(土) 
三橋経済塾第九期第七回対面講義が開催されました。
https://members9.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=75

ゲスト講師は、作家・古代史研究家 
長浜浩明先生でした。

インターネット受講の皆様は、
しばらくお待ちください。

三橋経済塾ご入塾はこちらから。
https://members9.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

◆チャンネルAJER 
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】イギリスのブレグジットと「歴史」への4件のコメント

  1. 赤城 より

    こういう推測は民主主義の否定にも思えるけど、
    イギリスが離脱したのは筋書き通りだったのではないかと。
    民主主義の中で国家を致命的な間違いから守るためには
    どうしてもその裏でフォローする組織と工作が必要であり、
    まともな国家ならその力が最終的に国家を破滅から守っている。
    それが無い国家は日本くらいなものでしょう。

    返信

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  2. 利根川 より

     中国や香港で民主化運動をしている人達に対し、アメリカや日本は度々エールを送ったりもしていますが、民主化運動をしている人達的には

    「本当に民主化を応援しているというのなら、とりあえずチャイナマネーを懐に入れるのはやめませんか」

    というのが本音なのではないのでしょうか。
     どこの国も多かれ少なかれ主流派経済学と緊縮政策の呪縛に囚われ、苦し紛れにチャイナマネーに手を出してチャイナマネー漬け、というのが現状だとおもいます。
     そういえば、昔、アメリカをしてチャイメリカと評した老論客がいましたね。
     いま、アメリカの民主党は中国との協調路線を模索しているそうですが、

    >>
    遼寧省丹東市に本社を置くゼネコンを主体とする遼寧日林実業グループの王文良会長が、クリントン財団に200万ドルもの巨額の献金をしていた件で連邦捜査局(FBI)が捜査を進めていると報じた
    >>

    こんな事件もありました。
     現政権にしても、中国共産党と大変仲がよろしいウォール街からの人員を内部に入れているのでしょうし、どこまで本気なのかわかりません。
     日本にしても、長らく続いた緊縮政策で民間が干上がっていたせいか、チャイナマネーへの依存心はいまだに高いままだと思います。
     なにせ、香港で中国共産党による深刻な人権侵害が行われていると世界中で報道されているさなか、最近まで習近平を国賓として招待しようとしていたわけで、空気を読まない日本外交の強みがいかんなく発揮されちまっている状況です。
     さらに、中国人労働者の受け入れ再開も現在進行形で中国共産党とやり取りしているというのだから筋金入りです。
     念のために言っておきますが、中国人が悪い奴とかそういった人種差別的なことではなく、領土的野心を絶対にあきらめない中国共産党に依存することが途轍もないリスクになるのではないかと言う話です。
     今回のコロナ禍でも、いまだに中国を下にみているところのあるご老人方が武漢宛に日本からマスクなどの物資を送っていましたが、中国版のツイッターでは

    中国人「物資を送ってくれるのはありがたいけど、君ら自分が使う分はあるのかい」

    という発言が散見されたそうで…なかったんだな、これが!
     物作り大国日本などというのは昔の話で、いま世界で生産能力が高いのは中国です。
     島倉原×森永康平対談でも話題に出ていましたが、

    「1997年以降、製造業の国内生産能力が低下を続けているというマクロ的な背景があります」

    「突き詰めると民間所得の源泉はほぼ政府支出なので、緊縮財政で政府支出が抑制されれば、民間所得の伸びも止まってしまいます」

    「すると、製造業が利益成長が見込めない国内への投資を縮小することから生産能力が徐々に低下し、結果として、これまで国内で作れていたものも作れなくなってしまうのです」

    ということで、ご老人方のイメージではいまだに日本は物作り大国なのかもしれませんが、すでに日本はつくって頂かないといけない側に半分足を突っ込んでいるということです。
     中国共産党に介護していただきながら中国共産党を抑え込むとか、そんなことできるの?
     本気で抗うのなら、失いつつある国内生産能力を取り戻すためにも最低限、まずは緊縮政策はやめないといけないと思いますが、

    >>
    財政規律を主張した自民党議員が誰だったのか、ご紹介いたしましょう。

    衆議院議員
     稲田 朋美 (福井1区)
     石﨑 徹 (新潟1区)
     井林 辰憲 (静岡2区)
     大岡 敏孝 (滋賀1区)
     岡下 昌平 (大阪17区)
     宗清 皇一 (大阪13区)
    参議院議員
     滝波 宏文 (福井)
     松川 るい (大阪)

     なぜか、福井と大阪が多く、石崎と滝波は元財務官僚です。
    >>

    相変わらず緊縮派の財務官僚が幅を利かせて、緊縮政策を続行する気満々のご様子。旗色悪し。
     まあ、またMMTの話かと思われるでしょうけど

    緊縮派A「MMTなんて怪しいものには惑わされない(キリッ)」

    緊縮派B「そうだよ、将来のためにも財政出動なんてもってのほかだよ」

    主流派経済学者ポール・クルーグマン「世界経済は弱さが蔓延している。各国が財政出動で協調すべき」(第三回国際金融経済分析会合にて)

    中野剛志「ほら、世界で一番信用があるとされている主流派経済学者が財政出動しろって言ってるぞ」

    ポール・クルーグマン「日本については2─3年は収支を気にせず財政出動すべき」

    中野剛志「やったら?」

    緊縮派「2020骨太方針、PB黒字化は明記しないけど、PB黒字化をめざすよ。緊縮を続けるよ」

    中野剛志「おまえら、誰の意見も聞く耳持たないだけだろ。緊縮して出世がしたいだけかよ」

    で、この誰の意見も聞かない緊縮して出世がしたいだけの人達がハンドル握ったまま離さないわけでね…先行き厳しいという愚痴でした。

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      1. 利根川 より

         三橋TVや対談記事で拝見しましたが、森永康平さんはすごく優秀な人の様ですね。なにせ、長年デフレ期の緊縮政策に反対してきた中野さんですら気が付かなかった部分を提供してくれたわけで、若い人の中に主流派経済学に染まっていない人を見ると「世代交代すれば少しはマシになるはず」という中野さんの(めずらしく)ポジティブな意見にもうなずけるというもの。
         持ち寄れるものがあるというのは、うらやましくもあります。
         エマニュエル・トッド教授の大分断によると、他の国でも賢いはずのエリート層がおかしな政策ばかりやってオウンゴールをきめているという状況は日本と大差ないそうですが、それは悪いことばかりではなくて、自分たちの中(在野)に本当に優秀な人達を取り戻したという面もあるという。
         また機会があったら出演していただけるといいですね。

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  3. 大和魂 より

    わたくしは英国のブレグジットは表向きのパフォーマンスだと考えております。なぜなら国際社会のドイツやら日本などの世界有数の債権国の動向次第では二転三転は必ずやると見ているからです。現実にも英国は階級社会でありその実態は差別国家。それから真実の歴史によれば産業革命は表向きでその裏側では奴隷制度で侵略と略奪を繰り返した過去が存在しているからです。またある時はEUとか米国との対立を装いその後ろでは素晴らしい謀略の数々は現在のチャイナとも実に瓜二つなんですね。ならば香港問題も勿論毎度同じみのダブスタだから表向きのチャイナ批判の声明から現在進行形が英国の実情なのです。さらに春頃にはワンワールド構想にも言及した元首相がいましたから、これこそ英国のおぞましいクオリティの実態なのです。ちなみにヤルタ会談によるヤルタ体制が現在の国際社会の主流なのです。しかしだからと言って国際社会に負けたくないし将来世代の為にも、そう簡単にくたばれない訳です。ただ勝負処では行く時はやります。

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