コラム

2020年7月25日

【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」第七十話:『基本に立ち戻って財政拡大路線への転換を』

COVID-19 新型コロナウイルスによる感染被害と経済被害は、第二波に突入しています。感染状況と対策方法やその効果は、一回りして「ある程度」見えるようになりました。

■第七十話:『基本に立ち戻って財政拡大路線への転換を』

これまでの経緯を観察すると、新規感染確認者数の増減に最も影響力があるのは「街の人出」であることがわかります。

日本国内の感染者数(NHKまとめ)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/#infection-status

街の人出は? 全国18地点グラフ(同NHKサイト)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/outflow-data/

どこの街がどんな感染対策を呼びかけ、その結果、個々人がどの程度守っているかの調査は出ていないため、対策と結果の相関を知ることはできません。最も端的にわかるのは、人出の傾向との相関です。
新規感染者が毎日出つづけている地域では、人出を減らせば新規感染者が減り、増やせば増える。人出の増減から2週間程度のタイムラグで新規感染者数の増減がリンクしているのがわかるのです。
ちなみに、重症者以上の増減は新規感染確認者数の増減からうしろに1ヶ月前後ズレて推移しています。感染者は増えているが重症者は増えてないから大丈夫、とは言えない。実際に、ここ数日増加傾向がはじまっています。東京では、陽性率が高まり、接触履歴等不明者割合も高まっている。若年層の感染者が多いから大丈夫…とも言えません。4月頃も同じような傾向でした。また、高齢者のコロナ死を寿命と捉えるかどうかは価値観の問題であり一律に言うことはできません。三橋さんがおっしゃるように、基本的に「全員を救う」ことを目指すべきです。

緊急事態宣言の全国解除で6月に入って人出が増えた。6月後半から東京大阪などで新規感染者数が増加傾向になり、人出のピークになった6月22日から7月1日の週の山が、ほとんどそのまま2週間後の新規感染者数の山と一致しているのです。

一方で、令和二年七月豪雨に見舞われた九州では、避難所での感染拡大が心配されましたが、避難所でクラスター発生したニュースは今のところありません。元々新規感染者数が少なく、休校休業自粛要請や自主的な自粛が進んでからの緊急事態宣言によって感染者をゼロにできた地域では、ゼロ状態を一定以上継続すれば、人出が(他地域と同様と仮定して)増えても感染者は感染拡大地域ほど増えない、ということも観察できます。とは言え、都市部での感染拡大に遅れて全国的にも増えているので全く楽観できません。

ウイルスを持っている人との感染機会をなくせば、感染を防げる。ごく単純な話です。

現在のところ、ロックダウンのようなラディカルな対策以外で感染拡大を抑えられた例はなく、経済活動との両立や、感染が十分抑えられていないのに経済再開をはじめた国では、感染拡大が再開して止まらない状況がつづいているのも、うなづけます。

経済活動と感染防止の両立は論理的にも実際的にも失敗していることが明白です。

さてこの状態を、ボクらは短く見積もっても7年以上見てきました。
(全体に影響する)財政拡大をおこなわず、(個々人や個別企業の行動に依存する)社会保障費を得ようとした消費増税、特定の業界を持ち上げて景気回復しようとしておこなった改革やグローバル化はすべて失敗している。
財政健全化(PB黒字化)と経済成長の両立は不可能です。貧困化と格差拡大を進めました。デフレを脱却し、経済成長路線に持っていくには、長期的な財政拡大路線への転換を大前提にしなければ不可能だ、ということが明白なのです。
ちょうど、(全体に影響する)接触機会制限をおこなわず、(個々人や企業の行動に依存する)こまごまとした対策を呼びかけても感染拡大は防げなかった、というのと似ています。
個々人に対するこまごまとした対策は実行する度合いが様々で不確実性が高い。そもそも経済を観察していればわかることでして、主流派経済学の何が間違いかと言えば、人間が科学的に一様に行動すると仮定しているからです。そんなことはあり得ないから主流派経済学とその延長の新自由主義は弊害ばかりなのです。

どういう結果が出るかわからないことは、基礎的な状況を改善することを大前提にして論じましょう。
財政拡大は生活や事業の基礎的な助けになります。確実に結果を出せる。生活や事業の安定によって余裕ができれば、感染対策への取り組みもより柔軟にでき、より確実性を高められるのだと思います。

現に安倍政権は、国民の強い要求によって限定的30万給付を改めて一律10万円給付に変更した。額が減ったのはともかく「全員を救う」方向に転換したのは評価したい。
さらに、第二波がはじまって猛反発を受けた「Go to トラベル」キャンペーンは特に感染拡大の大きい東京が除外され、それによって損害を被る国民の激怒にこたえてキャンセル料補償を決めた。相変わらずの後手後手、逐次対処は度し難い。
しかし、国民が要求の声を拡大すれば政治家が動き、政府は動くのです。
もはや国民は、政府が財政支援を渋りながら言う「ある程度経済を回しながら個々人の対策をしっかりやってもらう」という方針が責任放棄の自己責任論だと理解しているのです。
まず財政支援を拡大し、継続せよ! これです。

池戸万作さんがうまいことを言っていました。
「政府は叩けば金を出す打ち出の小槌だ」と。MMTですね(笑)

基本に立ち戻り、改めて長期的財政拡大への転換を一層強力に求めていく。その民意を高めなければいけない時なのです。コロナ禍だからこそです。

一般国民が財政拡大に賛同しない理由は、「財政破綻」や「ハイパーインフレ」と言った経済用語ではなく、「あとで増税される」恐怖です。心理が主因なのです。政府の負債を国民が返さねばならないという間違った思い込みで恐怖心理が生まれている。これを地道に解きほぐしていくことが政策転換=政権交代の基礎になる。
今は嫌々でも、叩いて出させる実績を積み重ねること。と同時に、返す必要はないのだ、という事実を徹底的に周知していく。

政策転換することによって消費税廃止も可能です。

財政支援を拡大・継続させることを、最優先に、最先端に、大前提で、要求すべし。

”反緊縮・反グローバリズム・反構造改革”の「令和の政策ピボット」を改めて広めてまいりましょう。

○コマーシャル
2020年10月放送予定、TVアニメ『呪術廻戦』にキャラクターデザインなどで参加しております。
第1弾PV  演出を担当いたしました。
https://youtu.be/dZPxN_2IyAI

ボクのブログです
https://ameblo.jp/tadashi-hiramatz/

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【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」第七十話:『基本に立ち戻って財政拡大路線への転換を』への3件のコメント

  1. 大和魂 より

    我が国の社会では戦後の占領政策により多数の在日が存在しており、しかもそれが戦略的な資金とか様々な情報により日本社会の弊害となり、至る所で深刻な問題が散見されているのが社会の実情なのです。だから私は今回のコロナ問題も政府に一任して見極めて対処してもらえればと考えております。もちろんそれが全く同じ勤勉で誠実な日本人ならば政府の選別は許されないと思いますが、それをなし崩し的に財政支援すれば日本の破綻と滅亡は免れないと思いますから、それすなわち見極めた上での対策が肝要になるわけです。ちなみに歴代の韓国の内政とか政治家や大統領の末路は悲惨な状況で、それを鑑みて日本もコロナ対策を間違える事にならないように十分に認識するべきなのです。もし政策を間違えるとウォール街の支配下となり革命が起こされたり他国にデタラメの内政干渉しながら外貨を稼ぐ以外に方策は無い訳です。

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  2. アラフェナミドフマル より

    日本は外圧(米国に居る日本人)で構造改革等一辺倒でした。

    思いますが、積極財政財務官僚と米国に居る人材を入れ換えて、外圧を掛けるのは?

    ありえないですね。

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  3. F-NAK より

    データの見方が乱暴ですね。
    「自動車事後が多いのは自動車を運転している人が多いからだ。みんな自動車に乗るな。」と言っているようなものです。

    「この方法に従えば自動車事故はゼロになる」という主張は、人間の複雑さを無視したものですが、
    「人間の行動は複雑だから、全員自動車に乗るな」という主張も、また人間の複雑さから目を逸らしたものです。
    コインの裏を表にしたに過ぎません。

    社会は複雑だからこそ、自動車事故が起きたら必ず原因を調査し、その原因を根本原因を解決するために改善をし、そしてルールを作り、周知し、教育し、取り締まりも行う。
    それを繰り返し、状況に合わせてルールの修正を随時行っていく。
    これが複雑な社会の問題への対応というものです。

    また、「全員が自粛してろ」派の主張は、将来への不確実性を無視したものでもあります。
    なぜなら「全員が自粛すればコロナウイルスは早々に根絶される」or「早々にワクチンが完成する」という確約がなければ成立しないからです。
    なぜそんな前提を無意識のうちに設定してしまったのか?
    将来の不確実性を無視したリスク管理はあり得ません。結局はゼロリスク信仰であり、複雑性・不確実性を無視したものです。

    このコラムの投稿主は、極度の楽観主義者か、パニックになり目の前しか見えなくなってしまった人のようです。

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