From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表
昨日、GDP統計の令和元年10〜12月期の速報値が発表されました。なんと、と言うより読者の皆さんからすれば当然だとは思いますが、実質で1.6%のマイナス、年率換算で6.3%のマイナスとなりました。しかも寄与度で見ると内需が2.1%のマイナス、持ち家の帰属家賃を除いた家計最終消費支出は3.7%のマイナスとなりました。
これはもう消費税増税の悪影響以外の何者でもありませんね。要するに消費税増税は大失敗だった、ということです。今政府がなすべきことは、消費税の廃止、少なくとも減税です。勿論、併せて介護職員等の公務員化と給与増といった措置を講じることを通じて、賃金の底上げをしていくことも重要であり、そのためには国の財政支出を拡大していくことが必須です。
ところが、こうした結果が出ているにも関わらず、一部の報道によると、内閣府の幹部は「景気の回復基調が変わっているとは思っていない」としているとのこと。現状を直視できずに希望的観測でしか物事考えないという傾向は、特に安倍政権においては顕著ですが、こんなことでは大東亜戦争の時と同じで、日本経済はお先真っ暗ですね。
さて、そんな希望的観測でしか物事を考えない、ということと似ているものとして、「改革すればよくなる」という考え方があります。そしてこの「改革」という言葉、なぜか良いイメージを持って受け取られる傾向があります。私が役人時代にも、行政改革、公務員制度改革、規制改革、構造改革・・・と「改革」という言葉が氾濫していました。
改革派の政治家や官僚というものまで登場、後に続けとばかりに、選挙等において「改革」をやたらと訴える議員、候補者は与野党問わず後を断ちません。しかし彼らの主張の中身、「改革」の中身はと言えば、人減らし、予算減らし、公共サービスの民営化や民間開放、規制の緩和(=保護法益の開放)・・・と緊縮、新自由主義政策関連のものばかり。
こうしたことを長年やってきた結果、日本は成長しなくなり、実質賃金は下がり、貧困化は進み、少子化も進み、格差は拡大し、地域も疲弊し、国全体が脆弱な状態になってしまったというのに、まだまだ「改革」とは、そんなに日本が憎いのか、そんなに日本を滅ぼしたいのか、と良識があれば思ってしまうはずなのですが、こうした状況の改善のために「改革」が必要だという主張が罷り通り、しかも支持を集めてしまっています。
本末転倒、否もう支離滅裂な主張・発想なのですが、なぜ「改革」は支持されてしまうのでしょうか?もっと言えば、なぜ人々は「改革」に騙されてしまうのでしょうか?
先日そんなことを良識派の議員の方々と議論したのですが、そうした「改革」にすがりたくなるほどの閉塞状況に、多くの人々が陥ってしまっているからではないかとの結論に至りました。藁にもすがる思いで、ということでしょう。その藁は閉塞状況を打開するものではないにも関わらず、です。しかし「改革」という言葉の魔力とも言うのでしょうか、「改革」と言っていると、なんとなく閉塞状況を打ち破ってくれそうな錯覚に陥ってしまうようです。そして、まるで念仏でも唱えるように「改革が必要だ」、「改革をしてリセットだ」と主張し、そう訴える候補者や政治家を支持し、そうしたことをとうとうと述べる「有識者」や「専門家」の話を鵜呑みにするか、耳を傾けてしまう。完全な悪循環ですね。
この悪循環を断ち切るためには、「改革」の魔力を封じ込める、いや消し去る必要がありますね。ただし、「改革」=悪としてしまうと、それが事実であっても「こんないいこともあったじゃないか」とか「いい改革もある」といった反論が返ってくることが十分予想され、収拾がつかなくなるでしょう。
そこで、「「改革」を疑え」、「一歩下がって「改革」を考えよう」、「「改革」を連呼する政治家・候補者に要注意」、「「改革」を訴える前に立ち止まって考えよう」といったスローガンを広めることを通じて、まずは「改革」熱を下げていくことが必要だと思いますね。
これ以上「改革」に騙されないためにも、皆さんも是非一緒に広めていきましょう。
【室伏謙一】なぜ「改革」という言葉に騙されるのだろうか?への6件のコメント
2020年2月18日 12:08 PM
バイアス
ヒトは初出単語を 体内に取り込む際に
バイアスという スパイスを掛けて 吸収する
という 説があります(たぶん)
というわけで
多くの方々が 改革という言葉には
善なるスパイスを掛けて吸収している かと、、
よって
改革と聞くと 善きかな という 反応をしてしまう。。
ちなみに
自由 平等 反戦平和
等々
素敵な スパイスの香りに 満ちてますね ♪
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2020年2月18日 2:18 PM
そもそも、これまでの歴史から、タイタニック事件やら世界恐慌しかりワールドトレードセンターの崩壊やらリーマンショックなどを認識すれば、経済の裏事情が理解できますから、カルロス・ゴーンや竹中平蔵や橋下徹などは、改革を吹聴し我が国を貶める確信犯となるわけです。
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2020年2月18日 10:10 PM
>国全体が脆弱な状態になってしまったというのに、まだまだ「改革」とは、そんなに日本が憎いのか、そんなに日本を滅ぼしたいのか、と良識があれば思ってしまうはずなのです
本当にそう思います。どこまで自殺したいんだと思います。
ここまで愚かになれるんだと、高い学歴や偏差値がどれだけ無意味なものかと。みんな死にたい民族ごと殺したいんだろうと。
>「「改革」を疑え」、「一歩下がって「改革」を考えよう」、「「改革」を連呼する政治家・候補者に要注意」、「「改革」を訴える前に立ち止まって考えよう」といったスローガンを広めることを通じて、まずは「改革」熱を下げていくことが必要だと思います
これはとても重要だと思います。改革狂いの言葉のみのイメージの洗脳をどうにかして解いていく必要があります。改革の内容をしっかり吟味しないできない人が賛成するということ自体が途轍もなく愚かで狂っているのですが、それでもこの狂った病を正していくしかないでしょう。そのためにうまく詐欺の注意喚起できればスローガンも良いでしょうね。
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2020年2月18日 10:21 PM
何で日本はここまで改革狂になってしまったのか
しかもほぼすべての改革がマイナスな事ばっかりなのに
しかし室伏さんの言う通り窮地に陥ってる人が改革で良くなると思い込み改革詐欺に騙されてまた新たな窮地に追い込まれる人が出てきてまた改革だーという人に騙されるとその悪循環でしかないですね結局の所
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2020年2月18日 11:57 PM
改革、革命…
なんか響きがかっこいい。
変わる気がする。
人間革命も・・・(狂人育成プログラムかも)
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2020年2月26日 6:40 AM
日本の庶民は、自己批判的に自分の保守性を感じているのかも知れませんね。
ぶっ飛んだアイデアが出にくい、地道で抑制された国民性が初めにあります。そこから脱皮したい思いがコンプレックスになっている疑いです。
占い師がよく顧客に突っ込みますよね。「あなたはこのまま平凡な人生で終わりたくないと思っていますね」「そんなあなたは何かを大きく変えたいと思っていますね」。
そのとおり、普通すぎる自分を気にしているから、革命の語にロマンを感じて、口車に乗りやすい面があるかもと想像しています。平凡の裏返しです。
一人一人が変な服を着たり、変な髪形や奇抜な自転車なんかに乗って、周囲を出し抜いて目立つのが好きな国民性なら、集団革命にあこがれにくいかも知れないと思ったわけです。
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