政治

2018年6月20日

【藤井聡】大阪北部地震が導く「巨大地震」 〜速やかな対策に向けた政治決断を〜

From 藤井聡@京都大学大学院教授

震度6弱を最大震度とするM6.1の地震が、
大阪府北部を震源として発生しました。

発災時、海外出張中だったため、
様々な方からメールで身近な状況を伺いながら、
被害が広がっている事をネット等を通して
拝見いたしておりましたが、
出張先のスウェーデンでも報道されており、
周りの同僚たちからも、「お前の家は大丈夫か?」と
何人もから声をかけられました。

現在、手元にある資料では、
死者5名(大阪・高槻・茨木市)、
負傷者376名(大阪府328名、京都府10名、兵庫県29名等)、
鉄道は三路線運休中、
道路は水道管の破裂、陥没により一か所通行止め・・・等が
報告されている一方、
SNS等には様々な生々しい被害が報告されています。
http://newsplusalpha.net/archives/9893354.html

「最高震度6弱」でこれだけの被害が生じているわけですから、
「最高震度7」で地震が起こった場合、
どうなるのかを考えると・・・空恐ろしくなります。

空恐ろしい・・・と言えば、
今回の地震が、さらなる大きな地震につながる可能性。

もちろん気象庁は、
「南海トラフ地震への影響は考えづらい」
とはコメントしています。

しかしその気象庁でも、いわゆる「余震」等として、
一週間程度は「同程度の地震」が起こる可能性があると指摘しています。
https://www.asahi.com/articles/ASL6L3PGLL6LUTIL016.html

しかも、東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授は、
さらに大きな内陸型地震が誘発される可能性を指摘しています。
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/1376527525781520

「地下の断層の一部が動いたようだ。
どちらの断層が動いたかはわからない。
重要なのは、今回の地震で周辺の活断層が刺激され
次の大きな地震につながる可能性があることだ。」

この遠田教授は、誘発される可能性がある地震として、
「上町断層」での地震を指摘。これが起これば、
「マグニチュード7.5程度」の凄まじい大きさになる
ことを警告しています。

さらには、先日土木学会が、
最悪のケースで1400兆円以上の被害が生ずると推計されている
「南海トラフ地震」について(https://38news.jp/economy/12041
今回の地震が(仮に気象庁が言うように「誘発」しないとしても)
「前兆」となる可能性は十分に想定されます。

例えば、地震学者の都司嘉宣氏(防災科学技術研究所等)は、

「南海トラフ地震のサイクルは100年に一度。
すでに前回から72年が経ち、
プレート間のひずみがかなり溜まっています。
南海地震が起きる前には、
近畿地方で地震が多くなることが知られていて、
今回もその一つと捉えることができます

と指摘しています。

つまり、今回の地震は、
巨大内陸型地震である上町断層地震を「誘発」する可能性もあると同時に、
巨大海溝型地震である南海トラフ地震の「前兆」である可能性も、
専門家から指摘されているわけです。

ちなみに、
「誘発」の場合には、比較的短期で後続地震が生じますが、
「前兆」の場合には、少なくとも数か年の「余裕」があります。

そうである以上、
様々な防災対策、強靭化対策を、
可及的に速やかに始めなければなりません。

例えば、先に紹介した土木学会の試算では、
津波に対する堤防や、
緊急避難道路の強靭化を図れば、
南海トラフ地震の被害を3割程度縮小できること、
これに、耐震強化の民間投資がさらに期待できれば、
4割程度被害を減ずることができる、
と示されています。

さらには、全国の新幹線を整備する等を通して、
徹底的な国土構造の分散化を果たせば、
南海トラフ地震の被害を
「半分以下」にまで抑えることができるという試算も公表しています。

こうした防災の取り組みは、
地震が起こった「後」に進めても意味がありません

だとしたら、今求められているのは、
今回被害にあわれた方に対する全力の支援と同時に、
こうした防災・強靭化の取り組みを速やかに始める「政治決断」なのだ
言うことができるでしょう。

残された時間は、限られています。
理性的な政治的英断を、強く強く要請いたします。

追伸1:
本稿で論じたような様々な「危機」と対峙するための保守思想誌、
「表現者クライテリオン」の最新刊が刊行されました。
是非、ご一読下さい。
オフィシャルHP:https://the-criterion.jp/backnumber/79_201807/
アマゾン:http://amzn.asia/2NzGF0e
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/15514865/
定期購読:http://fujisan.co.jp/pc/web-hyogensya

追伸2:
地震対策のためには、「ナショナリズム」が必須です。
是非、こちらもご視聴ください。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=9Cmru2zyeag

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【藤井聡】大阪北部地震が導く「巨大地震」 〜速やかな対策に向けた政治決断を〜への5件のコメント

  1. 拓三 より

         現実を見ない思考は妄想です !

         
       日本よ、オママゴトでいつまで遊ぶつもりか !

                           以上

    返信

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  2. momo より

    震災への知識が足りないせいでしょうか。
    正直、「震度6弱でここまで大事になるか?」と思ってしまいます。
    日本はそれ以上の地震を何度も経験してきていますし、東日本震災のような想定外の規模でない限り、対策できて当然だと思います。
    むしろこの程度の地震で大規模交通麻痺、生活インフラ破壊、あげく死者すら出るなんて、対策していない方が悪いのでは。
    復旧に向けての日本人の暖かい支援などに注目が集まっていますが、まず、避けられない事故だったのか検証すべきだと思います。
    震災対策への投資の不足が原因であれば、人災です。

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  3. とすくん より

    今回の大阪地震において大阪市の吉村(だっけ?)市長がツイッターで迅速な対応を披露、それに対して絶賛コメントが続出、という事態になってますが…そんなに賞賛されるべき行動だったのでしょうか?よく解りません。そもそも維新の都構想は都市防災に対して脆弱性を加速させるものだったのでは?ととりあえず突っ込んどきましたが…

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  4. たかゆき より

    万全を期す♪ 

    政治家用語 さまざま有れど

    「万全を期す」とは「何もしない」 と 同義

    地震対策 きっと 万全を期してくださるものと 確信しております ♪

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