日本経済

2020年6月18日

【藤井聡】令和版『公共事業が日本を救う』~「コロナ禍」を乗り越えるために~

From 藤井聡@京都大学大学院教授

 

この度、
令和版『公共事業が日本を救う』~「コロナ禍」を乗り越えるために~
https://www.amazon.co.jp/dp/4594085091
を出版いたしました!

この本は、今から丁度10年前の2010年に出版した同名書籍『公共事業が日本を救う』の改訂版です。

当時は、「コンクリートから人へ」と叫ぶ民主党が政権を担っており、ダムや道路、堤防を作る「公共事業」は「悪の権化」の様に扱われていた時代でした。そんな時代の「空気」に対する異議申し立てとして出版したのが、『公共事業が日本を救う』だったわけです。

当方が、いわゆる「言論活動」を始めたのは、この書籍の出版が最初のきっかけだったと思います。それまでは当方は、一大学教員ということで、主として学会内で仕事をしており、世間一般に情報を配信するというよりむしろ、学術雑誌で論文を公表する事に終始していた次期でした。

ですが、当時の民主党政権の余りに理不尽な公共事業バッシングに憤りを覚え、一人の専門家として、公共事業が如何なる意味で求められているのか、そして公共事業を叩くことは日本の公益を激しく毀損する「反社会的な暴挙である」という事を、一般の方にも分かり易く伝えねばならぬと考えて、出版したのが、この書籍でした。

あれから10年ーーー公共事業を巡る空気も随分と様変わりしました。

今やもう、地震対策や台風対策、さらにはインフラのメンテナンス事業を行う事に対して「大バッシング」が起こるようなことが無くなりました。

むしろ、東日本大震災や台風19号、笹子トンネルの崩落事故等を経験した多くの日本人は、最低限のインフラ政策を公共事業として進めるのは、至ってまともな事であり、必要なことなんだという理解が、随分と社会的に共有されるようになって参りました。

・・・しかしそれでもなお、インフラ政策の必要性は、十分に理解されているとは言い難いのが実情です。

例えば、公共事業が必要なのは分かるが、無駄遣いのバラマキはまだまだ多い、という論調が、日本経済新聞をはじめとした大手メディアでは、まだまだ繰り返されています。

そして、大洪水被害が出る度にNHK等で繰り返される論調は「今回、避難情報が遅れたために被害が拡大した。情報提供システムの改善が急務だ!」というソフト対策を論ずることばかりで、防災・減災の全ての要であるインフラ政策については、ほとんど時間が割かれることはありません

こうした実情を鑑み、最初の出版から10年が経過した今、今日的問題を改めて見据えた上で、最新のデータに基づいて改めて公共事業の必要性を論ずる書籍として出版したのが、この「令和版」の「公共事業が日本を救う」です。

したがって、その内容は大半が新たに書き換えられたものです。

例えば、治水対策については、かつては「無駄の代名詞」と呼ばれた八ッ場ダムが、台風19号の際に国民を守るためにどれだけの奇跡的な活躍を見せたのかを詳しく紹介しています。

あるいは地震対策については、南海トラフ地震によって生ずる被害が1410兆円に至る一方で、30兆円規模で対策を行えばその被害を4割減ずることが出来る、という具体的な計算を紹介しております。

さらには、港湾投資を怠ってきたことで、日本経済がどれだけ深刻なダメージを受けてきたのか、そしてそれによって日本が激しい後進国化の圧力を受けていること、しかしその一方で、18メーターの岸壁を一つ作るだけで、日本経済は大きく救われているという実態を明らかにしました。

そして、こうした様々なインフラ投資を全国で展開し、北海道や日本海側、四国や九州を活性化させ、「分散型」の国土構造をつくりあげることこそが、巨大地震や大洪水のみならず、今回我が国を襲った様な「パンデミック」に対する、日本の「強靱性」を向上させる上でとりわけ重要である旨を最後に論じました。

そもそも、東京一極集中によってできあがった東京という「大過密都市」は「三密」の宝庫であり、ウイルス感染拡大の温床になりました。しかも、東京が日本経済の枢要部を担っていることから、ウイルス拡大で都市活動が停止した折りの経済被害も、過激に拡大してしまったのです。

つまり、東京一極集中構造は、地震や洪水に対して脆弱だっただけなのではなく、パンデミックに対してもまた、著しく脆弱な国土構造だったのです。

したがって、これからの国土政策は、パンデミックも含めたあらゆるリスクに対する強靱性を確保するためにも、分散型国土構造の形成を企図すべきなのであり、そしてそのために、各種インフラの全国展開が極めて重要な役割を担うことになるのです。

そして何より、今回の本書の最大の目標が、その必要な公共事業の坦懐において活用すべき経済理論として「MMT(現代貨幣理論)」を解説している点。

MMTについては、かつてよりは随分と理解が進んできてはいるものと思いますが、それでもまだまだ、その重要性を理解していない方も多いのが実情。

とりわけ、防災や経済成長等のためのインフラ対策が必要であることを十分に理解している方の中にも、財源論については全く理解されていない方もたくさんおられます。

ついては、公共事業の財源調達のための基礎理論としてMMTを紹介し、それを行う事が、如何に日本経済を成長させ、安定化させるのかを改めて論じております。

そういう意味で、この度の10年ぶりの「公共事業が日本を救う」の出版は文字通り、現下のコロナ禍の状況も見据えた新しい「令和版」としてとりまとめられたものです。

ついては、平成版の「公共事業が日本を救う」を読んでない方はもちろんのこと、既にお読みになった方も含めて、全く新しい書籍として

令和版『公共事業が日本を救う』~「コロナ禍」を乗り越えるために~
https://www.amazon.co.jp/dp/4594085091

をご一読いただく事を、強くお願い申し上げたいと思います。

折りしも安倍内閣の終わりがそろそろ見えてきた今こそ、今後の新しい政権の政策内容を抜本的に考えるためにも、本書の内容は極めて重要な役割を担うものと考えています。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

追申:公共事業に対する無理解は偏に、一般の国民が、その有効性についての「事実」とは乖離した認識を形成しているからこそ。筆者はそうした「事実と認識の乖離」を埋めるための言論活動を10年前から展開しているのですが―――コロナ問題に関しても全く同じ状況にあります。ご関心の方は是非、ご一読下さい。

日本のコロナ対策が集団ヒステリ-になっている心理学的原因 ~人々はコロナリスクを「300万倍」も過大推計している
https://foomii.com/00178/2020061419070167484

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【藤井聡】令和版『公共事業が日本を救う』~「コロナ禍」を乗り越えるために~への2件のコメント

  1. 大和魂 より

    誰もが常識的に考えても、コンクリートと人との区別は、不見識で愚劣です。ただし人には感情があるので注意する必要はありますが、海外との価値観とを比較すれば、その対象は歴然としており日本国民の国民性に寄り添う視点を重点に判断されるべきですよ!だから我が国の愚劣な一様の政党も、その政治家も財務省やメディアとかグローバル社会の推進を企む連中を駆逐しないといけないわけです。したがって都構想や一院制や道州制を唱える愚劣な奴等こそ【日本の敵】なのです!お~い保守気取りのビジネスマンよ早く理解しろよ!!

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  2. 麦粒 より

    もし国民が多めに危機感を抱いているのなら、それはチャンスでしかないね。つまらないものを押し売りすれば簡単にピンチに変わるけど(笑)。

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