政治

2018年5月13日

【三橋貴明】PB黒字化目標撤回の提言

From 三橋貴明

【近況】

自民党の「日本の未来を考える勉強会」が、
5月11日、消費増税凍結や
基礎的財政収支
(プライマリーバランス=PB)
黒字化目標の撤回を求める
提言を発表しました。

【デフレ不況から完全に脱却し、
日本経済を成長路線に乗せると同時に、
財政再建を果たすために必要な
財政政策に関する提言】
https://www.andouhiroshi.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/62e04b2beb720db169bf64ec9d395bef.pdf

近々、安倍総理と
二階幹事長に提出され、
6月の骨太の方針閣議決定に
反映するように求めるとのことです。

今回、注目してほしいのは、
「日本の未来を考える勉強会」の
「危機意識」です。
提言書には、以下の通り書かれています。

『今や日本はアジアにおける
経済大国の座を完全に中国に奪われ、
俄には埋めがたい巨大な
格差が広がり続けている。

さらに近い将来、一人当たりGDPは
韓国にすら逆転されかねない
状況にある。

政権奪還後5年以上
経過したことを踏まえれば、
このままデフレ完全脱却を
果たすことができなければ
自民党政権の信任にも関わる
危機的状況であり、
財政支出拡大等の可及的
速やかな抜本対策が
必要不可欠である。』

「自民党政権の信任に
関わる危機的状況」

ではなく、現実には

「日本国家の存続に
関わる危機的状況」

だと思います。

何しろ、GDPとは
我々が働いて稼ぐ、
所得の総計です。

そして、税金は所得から支払われます。

結果的に、財政とGDPは
極めて強い相関関係にあるのです。

デフレが続き、GDPが伸び悩むとは、
財政規模において近隣の
「仮想敵国」との差が開く、
あるいは差が詰められる
ということを意味しているのです。

財政規模は、軍事力は
当然の話として、科学技術力、
教育、国内インフラなど、
「国力」と直結します。

中国経済が成長を続け、
わが国のGDPが停滞している
現在の状況が続けば、
2040年代に中国のGDPが
「日本の十倍」という時代が
訪れるでしょう。

軍事予算は、20倍に
達していると思います。

日本の20倍の軍事予算を使う
共産党独裁国家に、我が国は
いかにして立ち向かえば
いいのでしょうか。

立ち向かえない。

というのが、残酷な答えです。

間違いなく、その時点で
日本は中国の属国と化しています。

その種の悪夢の到来が嫌ならば、
経済成長するしかありません。

そして、日本が経済成長するためには、
消費増税の凍結や減税は
もちろんのこと、財政拡大による
需要創出が必須なのです。

それを理解している自民党国会議員が、
少なくとも30人はいます
(30人しかいない、
という表現もできますが)。

皆様、ぜひともご支援を。

ソーシャルレンディング最大手maneoの瀧本憲治氏との大人気コンテンツ「三橋流「成功の要諦」 」がリリースになりました.。
https://youtu.be/pNtwuEGBHMo

◆時局2018年6月号に、連載「三橋貴明の経世論 第15回 公共投資の真実(後編)」が掲載されました。
https://amzn.to/2wphcIN

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第270回「新幹線の夢」
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol468 日本の「狂った」国債償還ルール
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツという五か国の中で、「唯一」国債の償還期限を設置し、一般会計予算で償還(返済)している国があります。
もちろん、わが日本国です。日本の償還ルールは、世界的に見ても「おかしい」という事実を知って下さい。

◆メディア出演

5月16日(水) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しましす。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

5月7日(月) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】生産年齢人口と経済成長 / マクロン大統領の豪州訪問 / 自国内でテロが起きると一般国民はどうなるか~映画『ボストン ストロング』[桜H30/5/7] https://youtu.be/vNp3XHgw0C0
http://www.nicovideo.jp/watch/so33173078

5月11日(金)にラジオ日本「マット安川のずばり勝負」に出演しました。
https://youtu.be/4CBSlsb-l0Y

◆三橋経済塾

5月19日(土) 三橋経済塾第七期、第五回対面講義申込開始致しました。~
http://members7.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=8
ゲスト講師は青木泰樹先生(京都大学レジリエンス実践ユニット・特任教授)

◆チャンネルAJER  今週の更新はありません。

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【三橋貴明】PB黒字化目標撤回の提言への3件のコメント

  1. 利根川 より

     日本の未来を考える研究会の提言書を読ませていただきました。
     6月にPB黒字化目標が廃止されれば非常にありがたいのですが、形勢は不利な状況だと思います。
     支持者である国民が財政出動にアレルギーを抱えている状況では、緊縮派から足抜けしたくてもできない方も多いのではないでしょうか。
     (中にはガチの緊縮派=伊藤 元重、榊原 定征、高橋 進、新浪 剛史と懇ろになりすぎて後に引けない方も居るでしょうし…)
     習近平、金正恩、プーチンの様な”独裁者”に問題解決を丸投げにするのではなく、民主主義的に大勢の意見を変えていくというのは大変な時間がかかります。

     民主主義国家が方向転換するのには時間がかかるのです。

     ましてや日本国民は歴史や数字を見ないでモノを考える国民性ですので一朝一夕にはいかない事でしょう。だから、もっともらしい説明=金属主義とか人口オーナスロンとかにコロッと騙される。
    (かくいう私も瀧本=サンの動画を見るまで金属主義に染まっておりました。瀧本=サン、三橋=サンありがとうございます。)
     考えてみれば、20年間、野党も与党も無駄削減(=緊縮政策)という方向性だけは仲良く一致団結してやってきたのです。20年の壁の厚みがどれほどの物になるのか分かろうと言うもの。
     それを何とかするために色々な方が情報発信をしているのだと思います。
     最悪、この20年間議員バッチを付け続けてきた緊縮派のお歴々が老齢で引退し、日本の未来を考える勉強会の皆さんが今よりももっと上の立場になるまでPB黒字化目標が残ってしまうかもしれません。(その頃には中国あたりにかじられてる)
     最低限「デフレ期には財政出動、インフレ期にはインフレ率によっては緊縮」この経済のイロハが分かっている議員を与野党問わず選挙で生き残らせていく必要があると思います。
     今も昔も日本国民は一人一人が自分にできる事(労働)を”やり過ぎて過労死してしまう”のがチャメシインシデントですが、どれだけ国民が頑張ろうとも政治が緊縮を続けるかぎりジワジワと貧乏になっていくだけなのです。
     貧乏になりたい人など誰も居ないと思います。ならば、ほんの少しでもいいので財政出動の為に力を尽くしている方々に支持を表明していただきたい。

    などと私が言うと、かえって財政出動の為に頑張っている人達が何故か貶されてしまうのが今の日本。
    我々の為に頑張ってくれている人達にお礼を言うのすらままならないほどルサンチマン。

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      1. 利根川 より

        因みに、私も動画で知ったのですが、人口オーナスロンと言うのは生産年齢人口が増えると経済成長するけど、生産年齢人口が減ると経済成長しないというものだそうで、実にもっともらしく聞こえます。そこで数字の出番。

        <過去20年の生産年齢人口とGDP比 (対96年比、倍)>

                 生産年齢人口   名目GDP
        ギリシャ      0.97倍      1.34倍

        ジョージア     0.85倍      4.08倍

        ドイツ       0.97倍      1.57倍

        日本        0.88倍      1.12倍

        米国        1.19倍      2.16倍

        ラトビア      0.08倍      4.23倍

        日本の生産年齢人口は0.88倍で96年から12%ほど減っている。増えているのはここに出ている中では米国のみ。
        ラトビアは20%も生産年齢人口が減ってしまっている。
        ジョージアは15%減った。 
         

        <16年のGDPと投資総額(対96年比、倍)> 
        ※総資本形成=設備投資、公共投資、技術投資

                 名目GDP   総資本形成(倍)
        ギリシャ      1.34倍     0.64倍

        ジョージア     4.08倍     7.42倍

        ドイツ       1.57倍     1.32倍

        日本        1.12倍     0.87倍

        米国        2.16倍     1.90倍

        ラトビア      4.23倍     3.89倍

        ジョージアは20年前にくらべ投資が7倍になっていて、それをもってGDPを4倍にしている。
        ラトビアは20年前にくらべ投資が3.89倍に増え、それをもってGDPは4.23倍に増えている。
        お分かりいただけるだろうか。生産年齢人口が減っても投資が活発なら経済は成長するのである。
        考えてみれば当たり前の話、仕事というのは、誰かがお金を払ってくれるから(=投資をしてくれるから)成り立つもので、金を払ってくれる人が居ない状況で人口ばかりが増えた所で失業者になるだけなのです。

        緊縮派「増税に無駄削減、徹底して節約してるのに(=投資を減らしてるのに)なぜ経済成長できないのか…きっと人口が減ってるせいだ」

        三橋=サン「なんで経済成長できないのかって…投資減らしてるからでしょ。経済活動(投資)しないで経済成長したいって無茶ぶりでしょう」

         全然話は変わりますが、種子法復活案を提出してくださった野党議員とは個別にはどなたになるのでしょうか。
         野党6党の議員全員が賛成してくれたとは思っていませんが、食料安全保障的に正しい政策を提案している議員が居るのなら与野党問わず応援したいのです。

         20年間、緊縮政策では与野党仲良く一致団結してやってきたのだから、全く協力できないという事は無いと思います。

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  2. 岩田義男 より

    PB黒字化などをとなえる財務省を黙らせるには「健全な財政の確保」と言う財務省の職務を取り上げ、内閣官房に移せばいいと考えます(それでも緊縮財政などを唱えれば、越権行為で処罰できる)

    もっとも「健全な財政の確保」に自信のない政府には無理かも?
    経世済民にもとずき国民の幸せを図る「強い志を持った自立した日本人」の政府なら可能でしょう。

    アメリカの属国の地位から真の意味で独立を果たし、中国・朝鮮によるプロパガンダや領土侵犯に屈しない、強い国家実現を夢見ています。

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