政治

2016年12月16日

【三橋貴明】ロシアとの北方「領土問題」

From 三橋貴明@ブログ

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 1875年。日本はロシア帝国との間で、
千島列島と樺太全島を交換する、千島樺太交換条約を締結。
樺太を放棄する代わりに、千島列島(現在のウルップ島以北)を獲得しました。

 1905年、日本はポーツマス条約で、
ロシア帝国から樺太南部を譲り受けます。
 1951年、日本はサンフランシスコ条約で、
樺太南部及び千島列島に対する全ての権利を放棄。
とはいえ、上記の通り「千島列島」とはウルップ島以北であり、
択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島は含まれていません。
 また、ソ連はサンフランシスコ条約に署名しなかったため、
条約上の権利を主張することはできません。

 1956年、日ソ共同宣言。平和条約締結後にソ連が
歯舞群島と色丹島を引き渡すという前提で、改めて
平和条約の交渉を行うという合意がなされます。

 以後、北方領土については何ら現状の変更がなく、現代に至ります。

『日ロ首脳会談 特別制度の共同経済活動などで議論
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161215/k10010808571000.html

 山口県で行われている安倍総理大臣と、
ロシアのプーチン大統領の日ロ首脳会談で、
両首脳は日本とロシアの防衛当局間の対話や
交流を継続していくことで一致しました。

また、安倍総理大臣は通訳だけを同席させた
会談などを終えたあと、北方領土問題を含む
平和条約交渉に加え、北方四島での共同経済活動や
人の自由な往来などについて、率直かつ突っ込んだ
議論を行うことができたと述べました。(後略)』

 後略部に、非常に気になることが書かれていました。
 
『北方領土での共同経済活動について、ロシアのタス通信は、
少人数の会談に出席したウシャコフ大統領補佐官が
記者団に対して、「両首脳は、島々の共同経済活動に関しての
協議開始に向けた発表内容で合意した」と述べたと伝えました。

 具体的な内容については16日、首脳が発表するとしていますが、
ウシャコフ補佐官は「島々での共同経済活動はロシアの
法律の下で行われることになる」と述べたということです。』

 「具体的な内容」が、本日、発表されるわけですが、
「島々での共同経済活動はロシアの法律の下で行われることになる」
 が真実であった場合、と言いますか、日本国政府が北方領土に
対する「「ロシアの主権」」を認めてしまった場合、これは大変な問題です。

 北方領土は、上記の千島樺太交換条約以前、
1855年に日ロ間で結ばれた日魯通好条約で、
日本国の領土であることが確認されています。
北方四島が外国の領土になったことはないのです。

 大東亜戦争敗北時、ソ連は日ソ中立条約
(1946年4月25日まで有効でした)を破り、
北方四島を占領。それ以降、ソ連、ロシアによる
不法占拠状態が続いています。日本国政府は、
北方四島がロシア領であると認めたことはありません。

 北方四島は我が国固有の領土であり、
北方領土問題は文字通り「領土問題」なのです。
ロシア側は「領土問題はない」と主張するでしょうが、
我が国は「領土問題である」と主張し続けなければなりません。

 北方領土が、我々が生きているうちに戻ることは
ないかも知れません。領土問題の解決は、長引く
というよりは、戦争でもしない限り「解決しない」のが普通なのです。

 竹島も同じですが、もめ続けなければなりません。
解決しなくても、隣国とのトラブルの種になり続けても、
百年、千年ともめ続けなければならないのです。
それが、国家というものです。

 我が国固有の領土について、現時点で「ロシア領」
であることを認めることは、日本国を造り上げた
先人及び子孫に対する犯罪的な裏切り行為なのです。

 本日発表される「具体的な内容」が、
ロシアの実効支配を助長するものでないことを祈っています。

—発行者より—

【オススメ】

★★★★★:市川道教のレビュー

今年3月、日銀がマイナス金利など、素人には意味が
全くわからないので少し勉強してみようかなと、
軽い気持ちで、月刊三橋に入会しました。

それまで、政治や経済はあまり自分とは関係ない、
というか、考えても、実質的に自分の力が
及ぶことはないので、真剣に考えてなかった。

しかし、実体経済の原理から、GDP、所得などを
コンテンツで勉強したおかげで、英、独、米での
大きな動きがあった、2016を冷静な目で見ていられた。

大袈裟かも知れませんが、人生で一番、
勉強した1年だったように思います。

また、財政破綻の嘘の話を、友人たちに話すと、
その反応がいろいろで面白かった。

でも、まあ、友人たちの半分は、それでも、
財政が〜〜、と言い続けてます。

さて、今月というか、今年のまとめは、
CSIS元研究員の某議員のような、あるいは、
パソナ役員の某氏のような、日本の貧困を利用して、
人気取りや利益を得ようとする輩との闘いが
マジで始まったと覚悟することですね。

来年も期待しています、よろしくお願いします。

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【三橋貴明】ロシアとの北方「領土問題」への6件のコメント

  1. 福堀武彦 より

    「共同経済活動」の言葉そのものは1996年11月に当時のソ連のプリマコフ外相が当時の日本の池田行彦外相に提案しており、日本は2年後の小渕首相とエリツイン大統領が「共同経済活動」委員会の設置で合意している。その時の中身は分からないがこの協議は2000年半ばに中断。2015年10月に次官級協議でロシア側が議論再開を主張している。(以上毎日新聞12月11日)これから言うと安倍総理が「共同経済活動」をさも今回の会談で話し合ったかの印象を持つが、2016年5月に8項目の経済協力は提案したが、これは結果的にはロシア側から見ればやっと日本がその気になったらしいぐらいしか思わないのではないか。これからが問題。「特別な制度」で暗礁に乗り上げ、再び立ち消えになるのではないか。安倍総理が「共同経済活動」をさも今回の会談で協議したように報道されているが「共同経済活動」の言葉そのものは1996年11月に当時のソ連のプリマコフ外相が当時の日本の池田行彦外相に提案しており、目新しいものではなく2年後に小渕首相とエリツイン大統領が「共同経済活動」委員会の設置で合意している。この協議は2000年半ばに中断。2015年10月に次官級協議でロシア側が議論再開を主張している。これから言うと安倍総理が「共同経済活動」をさも今回の会談で話し合ったかの印象を持つが、又、2016年5月に8項目の経済協力を提案したが、これは結果的にはロシア側から見れば本音ではやっと日本がその気になったらしいぐらいしか思わないのではないか。これからが問題。「特別な制度」で暗礁に乗り上げ、再び立ち消えになるのではないか。その理由として:現実にはロシア領の4島内に特別行政区(とりあえずこう呼ぶ)を作り(場合によっては4島全体が特別行政区に重なる場合もあるがいずれにせよ現状ではロシアが言うロシア領内)その中でロシアの法律にも日本の法律にも基づかない規則?特別法?を制定して日露共同経済活動を行うことになる。問題は特別法の中身になりますが、双方の主権を棚上げした日露両方の法律に基づかない規則・特別法なるものが現実的に可能なのか。日本側はこの規則・特別法における主権の問題では絶対に妥協してはならない。妥協した瞬間に北方4島はロシア領として承認されたことになる。その条件下では「特別な制度」と言葉では言えても現実的でないような気がする。現にロシア側の官僚がロシアの法律に基づくという発言もあるので、規則・特別法なるものは永遠にできないという事になる可能性が大。その場合は◎現状の固定化につながります。平和条約も出来ない。平和条約が出来なければ歯舞・色丹も戻らない。もし「特別な制度」の中身をロシアが妥協してできたとしてもいつになるかは全く予想がつかない。万が一近い将来できたとしても、固定資産等は特別行政区と言ってもロシア領内に残ることになる。その他の成果物の処理はどうするか。知的財産はどこに帰属するのか。少なくとも今までの経緯から見て択捉・国後は日本に戻す気持ちは全くないと推察できる。せいぜい歯舞・色丹が帰るのみで現実にはこの中で行われることは漁業関係の一部ぐらいしかない。最悪の場合、現状の固定化が長引けば(すでに70年たっている)、実質的にロシア領の固定化につながり、結果的に日本の主権は永遠に戻ってこないことになる。即ち日本が実質的にあきらめた事に繋がる。大統領が変われば、次の大統領は、「確かにロシア領内に特別行政区があるが、日本は4島がロシア領であることを認めたから日露共同経済活動をロシア領内で行ったのではないか」と逆手に取られる恐れがある。こんなことなら、「共同経済活動」をしなければ良かったという事になりかねない。これはもってのほかとなります。日本はソ連が不当占拠している立場ではありませんか。共同経済活動などせず、永遠に不当占拠と言い続けるべきです。いまさら言っても仕方ないがそもそも敗戦の時に島民をすべて北海道に移動させたことが間違いである。日本人が残っていればクリミアみたいに島民の意思の確認と言う手段もあった。遠い将来から見て、安倍総理が売国奴にならないことを祈る。穿った見方ですが、安倍総理は日本国内での景気対策が失敗したので何か生涯残る成果を出すために焦っているのではないかと思う。

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  2. 名無し より

    >大東亜戦争敗北時、ソ連は日ソ中立条約(1946年4月25日まで有効でした)を破り、北方四島を占領。要するに力関係の問題なんだから力(必ずしも武力ではない)で対抗解決するしかないだろう。これは結局民度の問題だ。西郷隆盛。

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  3. 天鳥船 より

    私は以前から、官民問わず北方領土の共同開発や、交流事業に名を借りた経済協力には反対の立場でした。実際、そのようなことをして領土問題は進展しましたか?否、遠のいただけではありませんか。開発の遅れていた極東の地に学校や病院や発電所を造り、ロシア人が住みやすくして人口を増やし、ロシアの実効支配を強めるような真似をして、何を考えているのでしょうか。むしろ、兵糧攻めにでもしてロシア人をどんどん追い出して、実効支配を弱める作戦をとるべきでしょう。その意味で、鈴木宗男の罪は死罪に相当します。今から30年近く前、ロシアが勝手にサハリン島とか呼んでいる樺太島で、コンスタンチンだかコーンスターチだか言う子供が大火傷を負う事故がありました。地元の病院では手の施しようが無いとのことで北海道庁を通じて緊急の救援要請があり、「人道的措置」との判断でビザも入国審査も無しに一家を受け入れて札幌医大病院で手術を行いました。また、これはリアルタイムで大変なニュースになったこともあり、日本全国から1億円を越える医療費の募金が集まったとか。結果、当時3歳の小さなロシア人の命は助かりました。めでたし、めでたし、と言うことで美談として語り継がれています。しかし、猛批判を覚悟で書きますが、あんなことはすべきではありませんでした。あの時、日本政府が入国を拒否していれば、コンスタンチンは死んでいたでしょう。日本も一時的に批判は浴びたかも知れませんが、結果的に「この辺境の地では何かあった時に子供の命を守ることすらできない」として、多くのロシア人が島から出ていくことになっていたはずです。結果、ロシアによる実効支配を弱め、その後の返還交渉も多少なりとも日本に有利になっていた可能性があった。それをわざわざ超法規的措置で侵略者を助けた上に、盗人に追銭で1億円以上の募金までくれてやるのですから、何というか・・・人が良い日本人らしい話ですが、お人好しも過ぎると馬鹿ですよ。大体、日本人は「人道支援」という言葉が好きですが、世界中には近隣に十分な医療資源が無い、或いは経済的な理由等で十分な治療が受けられず、死んでいく子供はいくらでもいますよ(格差の広まった現在の日本では、日本人の中にもいるでしょう)。それらを全員日本人の手で助けてやるつもりですか。何故、コンスタンチンだけが特別なのですか。日本人はもう少し、領土問題や主権の問題について真剣に考えるべきです。

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  4. 學天則 より

    ロシアがー!中国がー!ではなく税金で食ってる政治、行政が恐らくデフレの根源であろう、政官財の癒着がため、様々な国民への支援サービスをきちっとしないで国民を頭スカスカにして、腐敗しやすい民主制を輪をかけて機能不全にして、日本と言う共同体をフィリピン化していく逆統治をしているのが恐らく、あらゆる諸問題の根管ですよ。特に大阪市という政令市がその最前線だ。維新がどうとかいう前にこういう愚昧な小市民を作らない仕事がお前ら市議の仕事だろうと。成文憲法にどうすればいいかマニュアル化してあって、それに自分らが成約までしてるのにその通り仕事が出来ないバイトの高校生以下の政治行政が酷すぎる。政治家や役人は偉そうにXX大学出てるとか、肩書、書いた名刺出す前にマニュアルに書かれた最低限の仕事ぐらいして結果出せと言う事だ。お前ら明らかに憲法13条違反だろうとこの国民の愚昧な惨状はと・・・。もはや、少々インテリと言うだけで変な目で見られて攻撃される酷い有様だ、馬鹿ばっかり。

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  5. たかゆき より

    領土とは なんぞや ♪領有する土地 一国の主権が及ぶ範囲の土地 とか、、、ということは北方四島も 在日米軍基地もすでに 日本の領土では ありません。。。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」話し合いで領土問題が解決したといふ 美談を寡聞にして ぼくは 知らないのだ ♪露助も亜米公も 欲しかったら力づくで取ってみろ ということでございませう。。。

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  6. 神奈川県skatou より

    ロシアの恐れるのは、今後衰退するロシアに対していわゆる普通の国以上になった日本が未来において軍事力その他で北方領土を取り返すかもしれない、ということではないでしょうか。だから平和条約締結が焦眉の急課題なんでしょう。日本は今後百年もめ続けるべきではないでしょうか。対中国でかりそめのデカダンスの方便だとしても、平和条約や法制下の合意によって、ロシアの未来を保障する必要はないはずだと、思うのです。

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