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2016年5月11日

【三橋貴明】信濃毎日新聞による典型的なデマゴギーな社説

From 三橋貴明

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熊本地震では避難、復興の拠点となるべき公共施設等の被害も目立った。

民間住宅も含め、大きな被害を受けた建物の多くは、新たな耐震基準が適用された1981年以前に建てられた建物だった。これまで「危険だ」と何度も議論になってきたにもかかわらず、こうした旧耐震基準の建物の多くで、耐震化が先送りされてきた。その最大の理由は「財政問題」である。

「そもそも日本に財政問題などない」と語る三橋貴明が、日本の防災安全保障、さらには国土強靭化とは何かについて詳細に解説する。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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デマゴギーな社説とは、「虚偽情報」「悪宣伝」に基づく新聞社としての意見という意味でございますね。要するに、印象操作目的のプロパガンダです。

『財政出動要請 改革進める覚悟どこに
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160509/KT160507ETI090003000.php
 安倍晋三首相が欧州歴訪を終えた。世界経済が不透明感を増す中で、持続的成長を続けるには需要を生み出す財政出動が欠かせないと各国首脳に訴えた。(中略)
 2月と4月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は「金融、財政出動、構造改革全ての政策手段を動員する」と合意している。だからといって各国が簡単に財政出動できる状況ではない。景気刺激策などで財政赤字が増加している国は多い。
 1千兆円を超す借金を抱える日本はその筆頭だ。マイナス金利の導入で、国債を発行しやすい環境にある。それに甘えて国債を乱発すれば、将来へのつけはさらに膨らむことになる。
 経済対策を目的とした財政出動は本来、規模や内容を慎重に検討しなければならない。従来型のばらまき政策では効果は一時的だ。日本の財政に対する国際的な信認も低下しかねない。経済成長と財政再建の両立策を示せないまま、日本が各国に財政出動の必要性を訴えても説得力に乏しい。
 それなのに、なぜ財政出動要請なのか。サミットで議長国として財政出動の国際協調をとりまとめ、国内では5兆〜10兆円規模とされる経済対策を実施し、消費税増税も先送りする。参院選を前にした思惑が垣間見える。
 必要なのは、痛みを伴っても成長力を高める改革の道を世界が着実に進めることだ。議長国として日本が果たさねばならない役割は、その方向性の取りまとめだ。選挙を意識したうわべだけの要請は簡単に見透かされる。日本の覚悟が問われている。 』

 まず、事実として、日本銀行の量的緩和政策で、政府の負債(国の借金ではありません)は実質的に130兆円超も減ってしまっています。

【日銀保有国債等と日銀以外が保有する国債等(単位:億円)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_52.html#Nichigin

 中央政府の国債・財投債・国庫短期証券に限れば、政府が実質的に返済しなければならない負債は600兆円です。331兆円については、日銀が保有しているため、政府は返済の必要はありません(返済しても構いませんが)。
 信濃毎日新聞が「典型的」なのは、
「1千兆円を超す借金を抱える日本」
「将来へのつけはさらに膨らむ」
「従来型のばらまき政策」
「日本の財政に対する国際的な信認も低下」
 と、定義不明(あるいは、定義を明確にしない)抽象的なプロパガンダ用語をテンプレ通りに使用している点です。思考停止に陥り、言葉の定義を真剣に考えない人は、この手のレベルが低いプロパガンダにコロリと騙されます。

 1千兆円を超す借金を抱える日本、ではなく、1千兆円を超す借金を抱える日本政府、が正しいです。とはいえ、上記の通り、日銀が国債を買い取り、借金を帳消しにしていっているため、実質的には600兆円といったところです。

 しかも、長期金利までもがマイナスに陥っている以上、日本が財政破綻とやらに陥る可能性はゼロです。

 青木泰樹先生の「経済学者はなぜ嘘をつくのか 」に詳しいのですが、個人とは異なり、永続性があり、通貨発行権を保有する日本政府は、そもそも借金を返済する必要はありません。もちろん、税金で返済する必要もありません(してもいいですが)。

 政府の負債の返済方法は、主に三つ。
(1) 税金で返済
(2) 地球滅亡の日まで借り換えを続ける
(3) 日本銀行に通貨を発行させ、買い取らせる

 上記をインフレ率や金利、景気の状況を見ながら、使い分ければ済む話なのです。政府の負債について「税金で返さなければならない」などと言ってのける人は、個人向け予算制約式を、通貨発行権を持つ政府に適用している「バカ」でございます。(つまりは、経済学者のほとんどは「バカ」という話です)

 そもそも、将来へのつけ、というならば、デフレが継続し、供給能力が削り取られ、モノやサービスを生産できない発展途上国と化した日本を受け渡す方が、よほど「将来へのツケが膨らむ」でございます。

 また、従来型のばらまき政策とは、どうせ公共投資を意味しているのでしょうが、そもそも我が国は96年に45兆円だった公共投資を、20兆円にまで減らしてしまった愚かな国なのです。結果的に、国民の生命が危険にさらされています。
 さらに、財政に対する国際的な信認とやらが何を意味するのか分かりませんが、国債の信用度(デフォルトの確率が低い)というのであれば、金利以外に見るものはありません。世界で二番目(一番目はスイス)に低い超超々低金利で国債を発行している我が国は、むしろ財政の信任がありすぎて困っているわけでございます。

 加えて、日本政府が「消費税再増税の見送り」と「大々的な財政政策」という正しいデフレ対策を打てば、経済が成長し、税収が増えるために、財政は勝手に改善します(政府の負債対GDP比率が下がる)。

 信濃毎日新聞の主張には、正当性も合理性も真実性もないのです。つまりは、ウソ、です。

 挙句の果てに、正しい政策(財政出動)ではなく、「改革」(構造改革だと思います)をやれとは。「改革」あるいは「構造改革」こそが、日本経済を弱体化させた「従来型の政策」なのです。(すでに二十年もやっています)

 いずれにせよ、この手のウソだらけの社説が平気で紙面に載るのが我が国なのです。この手のウソつきたちには、「ウソをやめろ、嘘つき共め」と容赦なく指摘していかなければなりません。無論、嘘つきは信濃毎日新聞だけではありません。
 皆様も、嘘つきを見つけたら、容赦なく指摘、批判して下されば嬉しく存じます。

「信濃毎日新聞はウソを紙面に載せるな!」と、思われた方は、↓このリンクをクリックを!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

ーーー発行者よりーーー

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熊本地震では避難、復興の拠点となるべき公共施設等の被害も目立った。

民間住宅も含め、大きな被害を受けた建物の多くは、新たな耐震基準が適用された1981年以前に建てられた建物だった。これまで「危険だ」と何度も議論になってきたにもかかわらず、こうした旧耐震基準の建物の多くで、耐震化が先送りされてきた。その最大の理由は「財政問題」である。

「そもそも日本に財政問題などない」と語る三橋貴明が、日本の防災安全保障、さらには国土強靭化とは何かについて詳細に解説する。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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【三橋貴明】信濃毎日新聞による典型的なデマゴギーな社説への15件のコメント

  1. クレヨン より

    「お金」とは「供給力を利用する権利」だと気づくことさえできれば、あとは簡単なはず。

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  3. kanata より

    国の負債から資産を引き、さらに日銀保有の国債残高を引くと、政府の実質的な負債は169兆円と考えることもできます。政府と日銀は企業で言えば親会社と子会社なので連結決算で相殺されます。だから満期が来ても返す必要はありません。お金は国の経済が拡大するにつれて量を増やさなければいけませんが、日銀は長らくそれを怠り、緊縮財政と相まってデフレになりました。お金の量を増やさなかったから政府の借金が積み上がったとも言えると思います。借金が無限に増やせるかどうかは分かりませんが、いま日本の財政は健全です。お金の量を増やし過ぎるとインフレと金利上昇が懸念されますが、金利は史上最低、2%のインフレ目標も達成できない状況です。経済については全く無知な僕ですが、恐らくこんなことではないでしょうか。

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  4. 鶴岡太朗 より

    借金というのは別人格間の契約でこそ成り立つもので違う人格である日銀の会計も政府の会計も同じどんぶりの中ということが理解できません。日銀が保有している国債の満期が来たらどうなるのでしょうか。国の予算から支払う必要がないということでしょうか?もしそうであれば借金残高は無限に増やせるのか?その残高はいずれどうなるのか?債務超過という概念はないのか?やはりその疑問への答えは不明のままです。

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  5. 學天測 より

    社会人として経験詰みますと、あるタイプの特定の問題人物がいるのがわかります。出来ない理由を並べ立てる奴です。主語をつければあくまで私には出来ない理由なのですが、こういうタイプは本当に厄介で負け犬根性が染み着いております。課題やニーズに対して出来る方法を問おているのであって、それが出来ないなら黙って去れば良いのに、自意識過剰なのか?嫌がらせなのか?彼らは常に(私には)できない理由を大声で並べ立てます。出来ない理由を並べ立てる事は程度の問題はあれ恐らく小学生にも可能なスキルであります。出来ないどころかその本音はやりたくないのであり、怠惰で顧客が気に入らないのです。自覚なき憎悪を持っており邪魔したいのです。それであれこれ適当に根拠の乏しい嘘と言う建前を並べている訳です。大阪では淀屋橋の名で有名な豪商淀屋の話があります。天下人秀吉が伏見城築城の際、大きな巨石が出て工事を中断して大問題となりましたが、誰もその巨石を限られた費用で動かす方法が無い中、淀屋は信じられない安値で仕事を請け負い見事を仕事をこなして見せました。巨石を動かすのでなく、穴を掘ってそこに落として埋めたという話です。政府は徴税をしています。お金を受け取ると言う事は、顧客のニーズがあってそれをかなえる為に知恵を絞る事です。お金を受け取り、顧客の要求を無視して出来ない理由を語るのはヤクザやチンピラと同じでしょう。天下人の前でそんな事をしたら下手をしたら首が飛びます。今の天下人は国民です。国民は国民国家をやってください。福祉国家を運営してくださいといっているのに出来ない理由を並べ立てる人達は自らの無能を隠して居座りたいだけの嘘つきであり、チンピラ、ヤクザの類である事は言うまでもありません。この様な連中が居座って、組織の中枢を占めている限り、その組織には未来がありません。なぜならライバルや競合相手は出来るように知恵を絞るからです。その覚悟があってお金を受け取るのです。まともな人は出来ないなら去ります。そういう輩を公式の場所から追放して島流しにする。それだけなんですよ。本当にそれだけだと思います。

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  6. 日本晴れ より

    二重に嘘付いてますよね。悪質ですもっともらしい事言ってるように見えるが全て嘘で塗り固められてますよね韓国のメディアの記事みたいな嘘っぷりで都合の良いつまみ食いの悪質な記事だと思います。

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  7. ろんどなー より

    Wikiによると「信濃毎日新聞」の創業一族と幹部は朝日新聞と関係が深く、毎日新聞とは無関係。公共事業叩き、財政出動叩きで日本経済をデフレに据え置きたいのでしょう。一部では「シナの反日新聞」とも呼ばれるほど左翼偏向がひどい新聞ですが、地方では地方紙が地元情報を独占しているため他の全国紙購読者は少数派。地方の高齢者はネットをやらない人が多いので、新聞記事はすべて事実だと信じ込み、偏向報道に気づかず真に受ける読者が多いのが大問題。長野県へ行くたびに信濃毎日の社説がいかにデタラメか、新聞記事は事実というより「新聞社の意見」であると解説するのに一苦労でウンザリします。

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  8. robin より

    試に日本政府と日本銀行が通貨発行権を行使して国民一人に100万円ずつ配ったら昨日100万だった車が今日200万になってたり。価値があるのはお金の方じゃなくて供給能力の方かな。供給能力は人材に蓄積されたり設備投資によって維持成長する。お金は労力同士の交換を円滑にする潤滑油で摩擦を少なくする役割かな?上記通り政府に寿命はないのだからデフレ期の借金はインフレ期に返しても良いのでは。日本国の借金=対外負債なら貸してる方が多いから純債権国。政府の借金=国民の債権で新聞社が借金の定義を意図的に混同してるのは新聞社の論理が私営利の論理だからか。公益の論理は育ち難いから橋渡し的な中間組織に身を置かないとどうしても偏ったモノの見方になりがちか。

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  9. 三須雅彦 より

    政府の借金とは正確にはいくらなのでしょうか。例えば、私、三須雅彦が、三須雅彦自身に10万円の借金があったとします。私が10万円の借金を自分の財布から、三須雅彦に返しても、結局はその返済したお金は自分の財布に戻ります。ということは、この借金と思われるものは、借金と考える必要がないわけです。政府も同じで、国庫から日銀に国債の利子や元本を返済しても、日銀の得たお金は国庫に入るわけでしょう。そう考えれば、日銀が購入した国債は、政府の借金とは言えないと考えます。そんなものを政府の借金として宣伝して、借金の額を大きく見せるのは、国民を欺く行いだと思います。国民を騙すために、借金を大きく見せる小細工が他にも行われている可能性があります。政府の借金は、三橋さんが言う600兆円より、小さい額を言う人もいます。実際、政府の借金額がいくら位なのか知りたいものです。

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  10. ピンフ より

    反移民に真剣に取り組む国会議員の先生がいれば教えていただきたいな。ぜひともブログを拝見したいです。

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  12. たろう より

    保守とは何か?簡単に言えば、法律に基づいた自由な日本を守ることである。しかし安倍は移民推進を行おうとしている。 その移民の大半は日本の法律を守る気など無い、日本への憎悪と悪意に満ちた全体主義思想の韓国人であり中国人なのだ。 つまりこれは、国民一人一人が自由を謳歌し 順法精神がある日本の崩壊を意味する。安倍は保守などではなく売国奴である。

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  13. ピンフ より

    例えば、NHKの報道でも地区ごとに流す内容が異なることもあったような。番組の一部を地元のニュースに切り替えるなど。いわゆる悪い視聴率になりそうなニュースは地元民のために流さない判断もできるのでしょうか。大阪府では橋下旋風が起きたといっても、全ての国民は知らないでしょう。

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  14. 鶴岡太朗 より

    どうしても腑に落ちないのが、「日銀が国債を買い取り、借金を帳消しにしていっている」「通貨発行権を保有する日本政府は、そもそも借金を返済する必要はありません」の2点です。なぜそうなのか?もしそうであれば借金残高は無限に増やせるのか?その残高はいずれどうなるのか?一般人にはその理解ができずこのブログ内容自体信用しにくいのですが。

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  15. 徳久美和子 より

    信濃新聞の記事の件ですが、三橋先生のお話が正しいとすると、なぜこうも国民を欺く記事を書くのでしょうか?どういうメリットが、誰にあるのでしょうか?ただ単に消費税を上げたい、財政出動のお金をだしたくない、という財務省だけでしょうか?それとも、日本をもっと弱らせたい勢力がほかにもあり、これらの新聞社はその手先になってるだけなのでしょうか?

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