日本経済

2025年1月20日

【三橋貴明】財務省の事業

【今週のNewsピックアップ】
小さい理由
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12882644166.html
財務官僚「一個人」の評価が難しい
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12882759306.html

「財務省問題」の根幹にあるのは、
日米合同委員会だのディープステートだの
中国共産党とやらではなく、
「財務官僚が自分や家族を
幸せにするために出世したい」

そのためには国民が不幸になろうが、
自殺しようが「気にならない」という
矮小な思いに過ぎません。
まさに凡庸な悪でございます。

出世するためには、
「自分個人」
の実績を、
査定時に
上司に評価してもらわなければならない。

財務省には事業がない。 

国土交通省の官僚であれば、
「自分は○○という
インフレプロジェクトを成功させた」
経済産業省の官僚であれば、
「自分は半導体プロジェクトを立ち上げた」
等々の「実績」を示すことができる。
それ故に、評価され、出世していく。

それに対し、財務省には事業がない。
官僚「個人」を査定するためには、
各人が、
「いくら政府支出を削減した」
「増税にこれだけ貢献した」
等々、緊縮財政のための「実績」を記録し、
それを上司が評価し、
出世する者は出世していく。

今回の基礎控除等の引き上げで、
国民民主党の「178万円」が
実現してしまうと、
所管している官僚は出世ルートから
外されます。
確実に。

現在、日本は国民の実質賃金が
下がり続ける中、
政府の税収が史上最高を
更新し続けています。

つまりは、
政府が増収になっているわけですが、
これで誰か、
財務官僚の査定が上がるのかと言えば、
上がりません。
財務官僚が出世するためには、
あくまで増収ではなく、
増税でなければならないのです。

なぜか。

それはもちろん、
政府の税収が増えたとして、
それに対して、
「一財務官僚がどれだけ貢献したのか?」
など、
説明のしようがないためです。

また、
「財務省の出世の問題」ということを
理解すると、
いきなり、
「じゃあ、
経済成長率を査定のポイントに
すればいいじゃん」
と、「ピコーン!閃いた!」を
言い出す人がいますが、
日本経済が成長したとして、
そこに財務官僚「一個人」が
どれだけ貢献したのか、
どうやって数値化するの? 
どうやって証明するの?

できるわけがない。
日本経済はあまりにも巨大すぎ、
一個人がその成長に
どれだけ役立ったのかなど、
神様でも分からない。

となれば、緊縮財政、財政健全化
(と言うか財政均衡主義)
を「財務省の事業」にし、
各官僚の実績を数値化しよう。
と、なってしまうのです。

日本国の長期凋落の理由が、
「これ」なんですよ。
嘘だと思うかもしれませんが、
本当にそうなのです。

そして、人間社会とは
この程度のものに
過ぎないのでございます。

◆メルマガ週刊三橋貴明Vol820
「輸入デフレータと物価の上昇」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
輸入デフレータとGDPデフレータを見る限り、
日本は2023年中盤から国内需要
(と言うか国内事情)
牽引型の物価上昇に
入った可能性があります。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

日本がアメリカのいいなりになる
根本的な理由を解説します
[三橋TV第964回]三橋貴明・菅沢こゆき
https://youtu.be/iBYLqJ6Nhe4

財務省の裏にはアメリカがいる?
真実をぶっちゃけます
[三橋TV第965回]三橋貴明・古賀真
https://youtu.be/kwn8zvOoDTE

トランプ大統領が誕生した衝撃の理由
エリートが無視した”危機の兆候”
[三橋TV第966回]三橋貴明・古賀真
https://youtu.be/M2NktgfjXIY

特別コンテンツ配信中。

三橋貴明が経済マンガを監修しました。
https://youtu.be/GNmX2SMTpOw

先日のニコ生が巧く配信されなかったようなので、
もう一度やります。
日時は、19日(日)20時からです。
(18日(土)は経済塾につき無理なのです)
会員の方も、非会員の方も、
こぞってお越しください
(チラ見せもあります)
https://live.nicovideo.jp/watch/lv346768863

◆三橋経済塾
1月18日(土)
三橋経済塾第十四期第一回対面講義を
開催いたしました。
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=75
ゲスト講師は非公開です。
インターネット受講の皆様は
しばらくお待ちください。

現時点までに決定している
十四期2月以降のゲスト講師の皆様は、
以下の通りです。
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
第二回 2月15日 茂木誠先生
(ノンフィクション作家、予備校講師、歴史系 YouTuber)
 第三回 3月15日 宇山卓栄先生(著作家)
 第四回 4月19日 森永康平先生
(株式会社マネネ CEO/経済アナリスト)
 第五回 5月17日 saya様
(シンガーソングキャスター)
 第六回 6月21日 中野剛志先生(評論家)
 第七回 7月19日 藤井聡先生
(京都大学大学院 教授)
 第八回 8月16日 荒川和久先生
(独身研究家)
 第九回 9月20日 吉田敏浩先生
(ジャーナリスト)
 第十一回 11月15日 大場 一央先生
(早稲田大学非常勤講師)
初登場の方は、
宇山先生、吉田先生、大場先生でございますね。
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
是非とも、ご入塾下さいませ。

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【三橋貴明】財務省の事業への1件のコメント

  1. 利根川 より

    >>「財務省の出世の問題」ということを
    理解すると、
    いきなり、
    「じゃあ、
    経済成長率を査定のポイントに
    すればいいじゃん」
    と、「ピコーン!閃いた!」を
    言い出す人がいますが、
    日本経済が成長したとして、
    そこに財務官僚「一個人」が
    どれだけ貢献したのか、
    どうやって数値化するの? 
    どうやって証明するの?

    できるわけがない。
    日本経済はあまりにも巨大すぎ、
    一個人がその成長に
    どれだけ役立ったのかなど、
    神様でも分からない。

    となれば、緊縮財政、財政健全化
    (と言うか財政均衡主義)
    を「財務省の事業」にし、
    各官僚の実績を数値化しよう。
    と、なってしまうのです。>>

     私は「財務省の出世のルールを変えるべき」と提案したことがあります。需要不足の時も需要過多の時も状況などお構いなしにただひたすらに「増税」しかしないというのは問題しかないと思ったからです。これではマックス・ウェーバー(社会学を創設した者の一人)の講義が無駄になりますね。
     
    マックス・ウェーバー「官僚制とは効率性と合理性を徹底した組織」(合理の外から生まれるイノベーションと、合理性を追求する官僚制は相反する)

    この議論をベースに

    ジョージ・リッツァ「効率性を徹底することが、かえって非効率の原因になるよ」(マクドナルド化する社会より)

    ジェリー・Z・ミュラー「業績の数値化って一見よさそうに見えるけど、それやると数値では評価できない仕事はやんなくなるから」(測りすぎーなぜパフォーマンス評価は失敗するのか より)

    せっかくこうした議論の一端に触れたのに結局「数値化せよ」と口走ってしまうあたり全く議論が身についていなかったんだなと、、、

    中野剛志さん「世の中には世間一般で思われていることと、実際に社会で行われていることが違う場合がある」

    中野剛志さん「社会全体が間違っちゃってた場合どうするのか」

    天動説(地球中心説)と地動説もコレでしたが、長い時間をかけて少しずつ認識を正していくしかないってことなんでしょうね。

    >>
    「財務省問題」の根幹にあるのは、
    日米合同委員会だのディープステートだの
    中国共産党とやらではなく、
    「財務官僚が自分や家族を
    幸せにするために出世したい」

    そのためには国民が不幸になろうが、
    自殺しようが「気にならない」という
    矮小な思いに過ぎません。
    まさに凡庸な悪でございます。>>

     ナチスドイツのアドルフ・アイヒマン(アイヒマン裁判)は、ユダヤ人の大量虐殺にかかわった人物として裁かれた人間です。

    裁判官「なんでそんな酷いことしたの?」

    アイヒマン「私は酷いことなどしていません」

    アイヒマン「私は官僚です。官僚として仕事(ユダヤ人の虐殺)をしていただけです」

    人は悪を見たとき、そこには何か壮大な思想や目的があると思いがちですが、実際にはそんな「壮大な目的を持った悪」などいないってことですね。
     これはアイヒマンが特殊なのではなく、誰の中にもアイヒマンは居るってことなのでしょう。
     例えば日本でも「かんぽ生命不正問題」がありました。元々、郵政は政府の事業(非営利団体)だったので、その当時は売上(新契約)アップは目的としていませんでした。なので、顧客に必要ない保険を無理に契約させることなどなかったわけですが、自民党による郵政民営化後は新契約が営業成績の評価になったので、当然、

    契約をとれる者が優秀な者

    ということになったわけだ。
     痴ほう症の老人に必要のない保険を二重契約させて破産させていた職員までいたという話ですが、その職員は「優秀」であると表彰までされていたそうな。(組織的犯行)
     一方で、必要のない保険商品などお勧めしないという「真に優秀な者」はどうなったのかと言うと、同僚や後輩の前で「無能」と罵倒されて心身を病み職を辞していったという。

    優秀な者「褒められる俺、んんぎもぢぃぃいいいいいいい!」

    彼もまたアイヒマンと同じ「凡庸な悪」だったのでしょう。財務官僚もこれらのケースと同じだということですね。誰の中にもアイヒマンは存在する。
     現在、受験シーズン真っ盛りですが、中には政治家・官僚を目指す人達もいるかと思います。自分の中のアイヒマンとうまいこと折り合いをつけるすべを身につけておいて頂けると幸いです。

    「努力ってね、同じ国民を幸せにするから尊いんだよ。人を不幸にする努力なんてせんでいいわ。一生寝てやがれ」

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