日本経済

2024年5月6日

【三橋貴明】投資まで含むPB目標の狂気

【今週のNewsピックアップ】
日本国にとりついた怨霊たち
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12850602969.html
日本政府の「異様」な財政観
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12850733851.html

いよいよ骨太の方針2024の議論が
始まろうとしています。

財政間連の指標あるいは目標は
どうなるのか?

自民党財政健全化推進本部の
古川本部長は、
「国際情勢が激動し、
金利も上昇局面に入った。
高まる財政リスクに
政治が責任をもつ場にしたい」
と、語っています。

「金利も上昇局面」というところが
ポイントです。
(実際には上昇していませんが)

やはり、財務省は
「財政収支」の目標を
新たな財政指標にしようとしている。
プライマリーバランス(以下、PB)は
国債関連費を含みませんが、
財政収支は「国債利払費」を含む。
当然、財政収支の方が
厳しい緊縮目標です。

個人的には、
97年の財政構造改革法同様に、
「財政赤字は対GDP比3%まで」
といったマーストリヒト条約の
パクリを打ち出してくる
と予想しています。

それに対し、
自民党財政政策検討本部の
中村裕之共同代表は、
「非社会保障費の歳出上限をなくすことや、
研究開発や教育、
少子化対策などの投資的経費を、
PBの枠から外すべき」
と、語っています。

社会保障の上限を無くし、
「投資」の範囲を広げ、
PBの枠外とすることができたら、
これは効果が大きい。

そもそも、建設国債による
公共投資までをも
PBに入れている時点で、
おかしな話なのです。
例えば、
「住宅を建設しよう。
3千万円のローンを組もう」
と我々が住宅投資をした際に、
「今年は住宅建設に3千万円「使った」。
その分、支出を削ろう」
などと考えますか?

「使った」と考えるのは、
ローンの返済と金利のみです。

工場建設も同じです。
1億円かけて工場を建設したとして、
それを全額「今年の経費」とはしません。
当然、減価償却です。
例えば、企業が1億円で
工場を建設したとします。
資金は銀行からの融資。

バランスシート(以下、BS)は、

【企業のBS】
借方 貸方
銀行預金1億円 借入金1億円

借方 貸方
工場1億円 借入金1億円
と、なります。

1億円借りて、
1億円支出したとして、その金額が
そのまま損益計算書(以下、PL)で
費用計上するわけではありません。

例えば、工場を10年間、使うとすると、

【企業のPL】
売上 1億円
売上原価 5千万円
粗利益 5千万円
工場建設の減価償却1千万円(=1億円÷10)
人件費 2千万円
営業利益 2千万円

といった形で、
工場建設費の一部しか
費用計上されないため、
利益が残るのです。

経営者は、
「今年は1億円を工場建設に使った。
この分、「今年」稼がなければ」
などとは全く考えません。

経営者が意識する
その年の収支における
「工場建設の費用」は、
減価償却分のみです。

つまりは、現在の日本政府は
「将来にかけて便益を供給する投資」系の
支出まで、
「今年の経費」として換算し、
PB目標を設定しているのです。

これは異様です。
異様な財政観で行政が行われている。

無論、PB目標は廃止するのが一番ですが、
それができないならば、
少なくとも投資系の支出は
PBの政策的経費から外すべきです。

投資系支出までPBに換算している
日本国政府は、
「もう成長しない」
と宣言しているのも同然なのですよ。

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「歴史教科書が教えてくれない
聖徳太子の英雄物語」が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38nike3_980

◆経営科学出版から
「経済大国ニッポンの不自然な没落
なぜ、「信じられない衰退」は現実化したのか」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38botu_teika

◆メルマガ週刊三橋貴明Vol783
日本の法人企業の設備投資
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
バブル期の日本企業の
ソフトウェアを除く設備投資は
60兆円を超えていた。
それが、リーマンショック期には
28兆円にまで落ち込んだ。
設備投資を回復させるには
どうしたらいいのか?
について解説しました。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。
三橋貴明VS財務省
〜財務省による嘘だらけの統計トリック
[三橋TV第853回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/RGZ7OipKJIY

消費税のカラクリと
日本政府の巧妙な手口
〜メディアが報じない「国の借金」の大嘘
[三橋TV第854回] 大島九州男(れいわ新選組)
三橋貴明・saya
https://youtu.be/9gHr30U48WI

自民党の闇と国会の実態
〜次の選挙はどうなるのか?
[三橋TV第855回] 大島九州男(れいわ新選組)
三橋貴明・saya
https://youtu.be/4Zn4q6uE5Eo

特別コンテンツ配信中。

もし今、南海トラフ地震が
起こるとどうなる?
【5/10(金)までの限定公開】
https://youtu.be/HyIW_IJAdfU

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、
そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが
三橋先生にひたすら聞いてみた第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
5月18日(土)開催、
三橋経済塾第十三期第五回対面講義の
お申込み受付を開始しました。
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ゲスト講師は坂本篤紀先生でした。
インターネット受講の皆様、
お待たせいたしました。

◆チャンネルAJER
「財務省の国家的詐欺(前半)」
三橋貴明 AJER2024.4.30
https://youtu.be/G2BOwWtNVEA

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【三橋貴明】投資まで含むPB目標の狂気への2件のコメント

  1. 利根川 より

     三橋TVのコメント欄には緊縮派の方の書き込みがチラホラ見受けられますし、森永康平さんが出演しているラジオ番組(おはよう寺ちゃん)のコメント欄も批判的な意見が多いように思います。それだけ外の人たち(緊縮増税派)にも注目されているというのは影響力デカいのだろうなと…

     先週の森永康平さんのお話(おはよう寺ちゃん)では、飲食店の配膳ロボットが充電切れで通路に立ち往生してしまったというものがありました。アレ、ルンバみたいに自動で充電スポットに帰ってくれるものじゃなかったんですね…

    「実戦はしまらないことばかり。一つの成功の裏には膨大な試行錯誤(失敗例)が存在する」

    機械技術の進歩は人類にとって重要なことではあるけれど、いうほど簡単にはいかないということみたいですね。安全性の問題もありますしね。
     インターネットも巨大IT企業も元はと言えば政府の技術投資から発展したものだという話を聞いたことがあります。成功するかどうか(役に立つかどうか)わからない技術だからこそ政府による投資が必要になるというのはGAFAをみていればよくわかる話です。日本は、30年にも及ぶ需要不足で民間による投資も減っていましたが、政府による投資も減らしていました。これで経済成長せよというのは無理な話ですよね(苦笑い

     話は変わりますが、井上尚弥選手がまたもOK勝ちしたということで、さすがはパーフェクトボクサーですね。で、驚いたのはそこではなくて、そんなパーフェクトボクサーにもアンチがいるということに驚いたわけですよ。まあ、人間はナマモノなので、実績とか関係なくどうしても好き嫌いはあるものなので仕方がないことなのかもしれませんが、あれだけOKの山を築きあげている人にもアンチがいるというのは思わず苦笑いです。一度嫌いになったら後は「嫌うために嫌う」という不毛なループになってしまうのでしょうね。
    森永康平さんはキックもみるそうですが、元K-1王者の武居由樹選手も見事に勝利し、ボクシングでもチャンピオンになったということでした。

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  2. 利根川 より

     消費税とは「輸出補助金」です。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    税理士の湖東京至さんによる解説

    「消費税はヨーロッパで行われている付加価値税と同じだと言われています」

    「まあ、兄弟みたいなものですが、『仕入れ税額控除』の仕組みがヨーロッパではインボイスだということです」

    「日本の『仕入れ税額控除』の仕組みは帳簿方式になります」

    「インボイス方式はフランスから始まったんですが」

    「フランスがインボイスを導入したのが1948年です」

    「どうしてインボイスを導入したのか?」

    「フランスはそれまでは輸出企業に補助金を出していたんです」

    「ところがGAT貿易協定ができて(輸出補助金が)禁止されてしまった」

    「そこで、フランス政府と財界が話し合って『輸出したら輸出企業にお金が戻る仕組み(事実上の輸出補助金)を考えてくれ』と」

    「そして1948年に出来たのが『輸出0税率』です」

    「輸出の売り上げには0を掛ける」

    「海外に製品を売った企業には製品原価にかかる分の金額が戻ってくるんです」

    「これが(輸出補助金が)インボイス制度の本当の狙いなんです」

    「輸出の還付金の証明のためにインボイスをやっている」

    「輸出の還付金を貰うために番号のついた正確な税額と本体価格を書いた請求書が必要だったんです」

    「還付、つまり税金を返すわけですので『いいかげんなもの』ではダメで、きちんとした証明が必要だったんです」

    「日本の場合は『帳簿方式』といって、企業の決算と合わせてやる方式なんです」

    「先ほどの『よく賛成派が解説する消費税のしくみ』の様に、一つ一つの製品について税金を控除するやり方ではなくて、企業の一年間の決算をまとめて控除するので、大雑把なんです」

    「この大雑把なのが良かった」

    「会社の決算に合わせてやるので手間がかからなくて生産性が高かった」

    「会社が集めた請求書・領収書をそのまま帳簿に張り付けて、そのまま控除ができるからすごく楽なんです」

    「大雑把だと言っても輸出の還付金もとれるわけで、日本独特のやり方でうまくいっているのなら、それで何も問題はないのではないかと」

    「実務を担っている者達の手間を考えるのであれば『帳簿方式』はけっして悪いものではないと思います」

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    円安になると輸出はしやすくなるけれど輸入はに難くなる。

    ”わざと”国内生産能力を低下させてきた日本。(例:TPP)

    例えば、農水省のデータによると1962年の食料自給率は76%だったのに対し、2019年には38%にまで低下しているが、国内で生産しなくなった分だけ海外から輸入せねばならなくなった。その輸入が難しくなるということは国民生活を圧迫するということ。いわゆるコストプッシュインフレというやつですね。(インフレというよりはスタグフレーションな気がしますが)
    その一方で、輸出はしやすくなっているわけです。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    <トヨタ 9か月間のグループ決算 営業利益 初の4兆円超 過去最高>

    2024年2月6日 NHKニュース

    トヨタ自動車は去年4月から12月まで9か月間のグループ全体の決算を発表し、▽最終的な利益も前の年の2倍以上の3兆9472億円となり、いずれもこの時期として過去最高となりました。

    ハイブリッド車を中心に日本や北米などすべての地域で販売台数が増えたことに加え、『円安で利益が押し上げられたことなどが主な要因です』
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    急激な円安は国民生活を圧迫するから対策が必要である。わかります、そうですね。では、どういった対策が考えられるのか。

    ・すぐにできる対策

    円安は輸出企業には追い風だが、国内産業には打撃。であるならば、「輸出補助金である消費税を廃止」して国内産業を助けるべき

    ・長期的に行う対策

    そもそも、国内生産していれば過度に輸入に頼る必要はなかった。今回のように海外要因(戦争・パンデミック)でのインフレに悩まされることはなかった。よって、政府による投資で「再国産化」を目指すべき

    何か間違ったことを言っているでしょうか?

    「円安は(輸出企業には追い風だが国内産業には)問題である!」

    そう言っている方々、「輸出補助金」である「消費税」の廃止に賛成してくれますよね?

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