日本経済

2024年4月1日

【三橋貴明】赤字の事業はやってはならない

【今週のNewsピックアップ】
「犯人」は政府の間違った経済政策の継続
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12845967399.html
「赤字化」する事業はやってはならない
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12846104364.html

過去四半世紀、
なぜ、日本経済が成長しなかったのか?

簡単です。
投資が不足していたためです。

ここまでは構造改革主義者も
認めるのですが、
ここで分岐点がある。

投資とは、
具体的には「資本を投じる」です。

なぜ、資本を投じるのかと言えば、
需要に対し供給能力が足りないためです。
「お客さんは100個欲しがっている。
だけど、我が社の生産能力は
90個分しかない」
という状況になって初めて、
企業は投資をするのです。

なぜ投資するのかと言えば、
理由は簡単。儲かるからです。

というわけで、企業の投資を増やすには
「需要を拡大する」政府の財政政策が
必要なのです。

ところが、構造改革主義者は、
投資が不足しているのは
「政府の規制が厳しいため」と解釈する。
彼らは、マクロなデータは
見れないのでしょう。

彼らが想定するのは、旧ソ連です。
旧ソ連では、政府が
ガチガチに経済を統制していたため、
投資をしても儲からない。
結果、生産性が上がらず
「インフレギャップ」の状況に
なっていました。
その状況で、
規制緩和、貿易自由化等を行い、
競争を激化させれば、
生産性を高める投資が増え、
インフレギャップが埋まる。

上記は「事実」なのですが、
構造改革主義者たちは、
「需要(市場)が不足しているが故に、
企業が投資をしない」
デフレギャップ状態の日本に対し、
旧ソ連に対する処方箋のような
構造改革を押し付け、強行していった。

結果的に、デフレギャップは埋まらず、
企業はカネを借りず、投資もせず、
日本経済は延々と低迷する事態になった。
長引くデフレを放置した結果、
供給能力が毀損していった。
結果、需要が拡大するのではなく、
供給能力が縮小することによる
「サプライロス型インフレ」に陥ったのが、
現代の日本です。

特に、「人が動かざるを得ない」産業で
賃金が低下し、
人手不足が深刻化していった。

そこに、2024年問題。

企業がヒトを確保するためには、
もちろん賃上げするしかない。
とはいえ、企業が賃上げするとは、
諸費用の中の人件費が
増えるという話になります。
粗利益が変わらない状況で、
人件費を増やす「のみ」では、
税引き前利益が減るか、
もしくは赤字化するだけです。

となれば、売上を増やす必要がある。
売り上げを増やすには、
販売単価を引き上げるか、
販売個数を増やすしかない。
とはいえ、デフレ(総需要不足)は継続して
おり、販売個数は増えない。

となれば、販売単価を引き上げるしかない。

改めて、現在の日本は
デフレ脱却の過渡期にいます。
賃上げは必須のような
「空気」を作られていますが、
内部留保(というか現預金)が
豊富な企業はともかく、
ほとんどの企業はそうではない。
人手不足による人件費上昇圧力を、
販売単価に転嫁しなければならないのですが、
それができない。

でも、やらなければなりません。
同時に、人件費を上げることで
「赤字化」する事業はやってはならない。

この「目利き」が
経営者に求められる時代が
訪れたのですよ。

◆経営科学出版から
「経済大国ニッポンの不自然な没落
なぜ、「信じられない衰退」は現実化したのか」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38botu_teika

◆経営科学出版から
「年金倍増で日本経済は大復活する!
デフレの終わり、
第二の「高度成長」の始まり」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38nenk_blog

◆メルマガ週刊三橋貴明Vol778
ユーロ加盟国のマーストリヒト条約
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
マーストリヒト条約に基づく
共通通貨ユーロは、
非常事態を想定していない。
結果、非常事態が発生するだけで
存続不可能となるのですよ。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

最悪の自民党の現役国会議員「古川禎久」と
引退国会議員「伊吹文明」
[三橋TV第838回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/WbwUxRBtzQA

日銀がマイナス金利解除!
〜なぜ7年ぶりの利上げに踏み切るのか?
[三橋TV第839回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/dWVnYi_nrOw

なぜ経団連は消費増税に賛成するのか?
〜増税を利用してボロ儲けする
影の支配者とは?
[三橋TV第840回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/DxaXRiauX7Q

特別コンテンツ配信中。

【衝撃】日航機123便墜落の真実
なぜ日本は未だに対米従属のままなのか?
https://youtu.be/hQXxXNYFBr8

「人類史の3つの大嘘」
人間が世界を支配できた意外な理由
【4月4日まで公開】(三橋貴明)
https://youtu.be/P1wFWv5auqw

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、
そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが
三橋先生にひたすら聞いてみた第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
3月16日
三橋経済塾第十三期第三回対面講義を
配信致しました。 是非ご視聴下さいませ。
https://members13.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2097
ゲスト講師は森永卓郎先生でした。
インターネット受講の皆様、
お待たせいたしました。

◆チャンネルAJER
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】赤字の事業はやってはならないへの7件のコメント

  1. 三橋さん、アベマリスク礼賛(寝言)言ってる有名国立大教授に説教して下さい より

    日銀当座預金の
    豚積300兆札束は
    金利にも国土強靭化にも需要無い中小企業の
    クソの役にも立たかなかった
    と、
    忠言願います。

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  2. 利根川 より

     思い返すと30年前に周りの人間が何と言っていたのかというと…

    30年前の若者「政治なんて関係ない!政治がどうだろうと努力と工夫で人は豊かになれる!」

    こんな感じ。で、実際どうなったのかというと、実質賃金はピークであった1997年から長期的に見て27年もの間、低下を続けてきたわけだ。所得の中央値を見れば1995年が545万円だったのに対し、2019年は437万円と25年で約108万円も低下している。要するに、大半の人は豊かになるどころか貧乏になったということです。政治って大事ネ~(苦笑い
     さて、あれから30年の年月がたった今、世間ではどんなことが言われているのかというと…

    現代の日本国民「政治なんて関係ない!政治がどうだろうと努力と工夫で人は豊かになれる!」

    まるで成長していない。
     まあ、たしかに需要不足で不景気な時でも成功を掴む人たちはいます。じゃあ、彼らはどうやって成功を掴んだのでしょうか。
     GDPが増えることを経済成長というわけですが、日本はもう20年以上、GDPは横ばいのままです。

    GDP=一般企業収支+家計収支+政府収支+海外収支

    GDPが増えない状態で、なおかつ、政府収支も増やさないとしましょう。海外収支という外部要因も省きます。この状態で起業して自分が成功しようと思ったらどうすればよいか…そうですね、家計収支を糞ほどマイナスにするしかなくなるわけだ(苦笑い
     デフレ社会で成功する人というのは、他人を貧乏にする努力を誰よりも熱心にやったことで成功したわけですよ。全員が全員そうだとは言いませんが、上記のGDPの計算式を見てもらえばわかるように、政府が支出を増やさない以上、あとは企業か個人がマイナスになるより他ないわけで、デフレ時に成功した人の多くが他人を不幸にしてきただろうことか想像できるはずです。実際、実質賃金は低下を続けてきたわけですしね。
     景気が悪くなると国民の性格がねじ曲がっていくわけですが、その理由の一端がこう言ったことにあるわけですよ。
     労使で殴り合いなどしなくても政府が支出を増やせば経済成長はできるわけですが、それをやらせるためにはしっかり国民が政治と向き合う必要があるということです。

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      1. 利根川 より

         デフレ時に成功する人がどんな努力をして成功したのかというと、従業員を低賃金で擦り切れるまで使う努力をして成功したわけですが、バリエーションとしては下記のような例もありますね。

        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
         協議を経ずに取引価格を据え置いた──。公正取引委員会が、下請け企業に対して適正な価格転嫁に応じない企業として製造業から4社の社名を公表した。京セラとダイハツ工業、三菱ふそうトラック・バス、そして日野自動車の子会社で部品メーカーのソーシン(埼玉県入間市)である。労務費や原材料価格、エネルギーコストなどのコストが上昇したのにもかかわらず、協議せずに取引価格を据え置いていた。
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

        いわゆる下請けイジメというやつですが、デフレ時に自社の生き残りを模索すると、どうしても下請けさんに「飲んでもらう」しかなくなります。上で紹介した例以外にも大なり小なりどこでも行われてきたことだと思います。
         これは決して経営者が悪いというわけではなくて、先ほどのGDPの計算式を見てもらえばわかるように、政府支出を増やさないという方針である以上、あとは起業か個人、あるいは元受けか下請け、どちらかがマイナスになるしかないわけでね…
         本来は、貨幣を発行できる政府が支出を増やすべき局面なのに、それをずっと行ってこなかったからこうなってしまったわけだ。
         
        「道徳じゃない、俺は計算式の話をしているんだぜ」

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  3. 利根川 より

     須藤元気さんが衆院15区補欠選挙(江東区)に無所属で出馬するそうです。以前、三橋TVにも出演していましたが、貨幣についてしっかり理解されている方でしたので、安心してお願いできそうです。
     

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  4. 利根川 より

     2024年問題についてTVでも解説されるようになりましたが、中野剛志さんが解説しているように、全家庭が置き配ボックスを設置すれば解決するという問題ではないのです。再配達問題というのも無いとは言わないけれど、それは全体の数パーセント程度の話で、多くが部品や原材料を製造現場に運ぶ「調達物流」の問題だということで…なぜか再配達問題ばかりがクローズアップされるわけですが、何かあるんですかね?
     で、2024年問題の原因というのが、以下になります。

    ・規制緩和でドライバーが増えすぎたため過当競争で賃金が安くなったこと

    ・賃金が安く、長時間労働なので若者が寄り付かなくなったこと

    ・輸送料が安価なので、荷主は少量の製品を「明日までに持ってきてほしい」といった無茶ぶりをするようになったこと

    ・少量の荷物をジャストインタイムで持ってこいと言われるので各トラックの積載率が40%を下回る状態で走っていること←ココ重要

    ・荷主企業側も長引く経済停滞でコストカットのため物流部門を子会社化したり、丸ごとアウトソース化しているので、物流ノウハウがない企業が増えていること

    ・ドライバーが本来の業務以外の仕事もさせられていること。荷役や長時間に及ぶ荷待ちなど

    ということで、人手の問題というよりかは荷主や発荷主、物流事業者間のパワーバランスや業務効率(配送回数や販売サイクル)、加えて積載率が問題なので、下手に規制緩和してドライバー(外国人ドライバー)を増やすと、またぞろ賃金低下を招きかねないので要注意です。
     2024年度には最大14%(4億トン)もの輸送能力が不足するとの試算があるが、積載率を50%程度にまで上げただけでも、これらの輸送能力不足は回避できるとのこと。
     で、

    「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」

    がはじまったわけですが、どうも相変わらずドライバーに人力で荷物の積み込み作業(手積み手卸検品)をさせているところもあるという話をチラッと目にしましたので、ちょっと調べてあげてくさい

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  5. 利根川 より

    去年の春頃のTV「すごい!過去最高の賃上げ率!+3.6%!」

    岸田首相「成長と賃金の好循環おきてンヨ~!俺のおかげだな」

    厚生労働省が一月に公表した23年の賃金構造基本統計調査(速報)は120万人を対象とする日本で最も大規模な賃上げ統計だ。昨年6月時点の賃金を調べてみると、およそ30年ぶりの高水準と言われた昨春の賃上げが反映されているはずだった。

    <23年の賃金構造基本統計調査 対前年比賃金増加率(名目賃金)>

      ~19歳 +2.7%

    20~24歳 +3.0%

    25~29歳 +1.6%

    30~34歳 ±0.0%

    35~39歳 -2.1%

    40~44歳 -0.6%

    45~49歳 -1.3%

    50~54歳 -1.2%

    55~59歳 +0.5%

    60~64歳 +0.8%

    65~69歳 +0.7%

    大企業でコレである。たしかに、賃上げは部分的に行われてはいるようだが、むしろ、名目で賃金が下がっている者達も多い。賃金の上昇が物価に追い付いていないとかそういった話ではなく、賃金自体が下がっているという話である。

    TVで報道されている景気のいい話と実際の日本では天と地ほども差がありそうだ(詳しくは、安藤裕チャンネルをご覧ください

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