日本経済

2024年1月1日

【三橋貴明】欧州が難民政策を大転換した

【今週のNewsピックアップ】
物流2024年問題を解決するためには
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12834391604.html
欧州の難民政策を見倣う日が来るとは・・・・。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12834512737.html

間もなく、2024年が始まります。
24年4月、運送、タクシー・バス、
建設、医療、介護といった分野で
「働き方改革」が適用となります。

つまりは、残業規制です。
例により、「残業規制」のみが強行され、
その「準備」に政府は
支出をしていなかったため、
パニック確実な状況でございます。

意味不明なのが、
例えばトラックドライバーの残業が
規制されるとして、
1. そもそも、運送は人手不足になっており、
賃金が安いために残業が多い
2. 残業規制を強化すると同時に、
なぜか兼業や副業を推進している
というわけで、
当然ながら「トラック・ドライバーの
残業規制をした結果、
副業でトラック・ドライバーをする人が
増える」という当たり前の結果を
もたらすことになります。
(というか、すでになっている)

そもそも、何のための
働き方改革だったのか?
労働時間を短くすると
言われていましたが、
それで給料が減っては困るため、
生産性向上で実質賃金を
引き上げなければならなかった。

ところが、肝心の政府の需要創出
(財政拡大)がないため、
生産性向上の投資が行なわれない状況で、
単に残業規制が強化されるだけになった。

となれば、所得を下げないために、
我々生産者は「不安定な仕事」も
掛け持ちせざるを得ない。
というか、 政府が兼業・副業推進と、
明らかにそっちの方向に
向かわせようとしている。

結局のところ、
「長時間労働を防止しよう」といったお題目は
「単なる嘘」で、
残業規制をすることにより、
非正規雇用(※副業込み)やギグワーカーを
増やしたかっただけではないのか
と邪推せざるを得ない。
あるいは、人手不足を理由に
移民を増やそうとしているのか。

残業規制により、
人手不足は確実に悪化します。

ちなみに、移民受入で先行していた欧州は、
今年、大きく転換しました。
EUは、国境近辺
(内なのか外なのかは不明)に
難民審査施設を建設し、
申請者を収容する(外には出さない)。
その上で、 身元確認し、
民主制が機能していなくとも、
人権蹂躙が起きていない国ならば、
7日間(!)で審査を終え、
さっさと帰国させることに合意したのです。

ちなみに、オーストラリアは
「パシフィック・ソリューション」として、
不法入国者や密航者を
南太平洋諸国に受け入れさせ、
見返りに経済援助をしています。

イギリスは、2022年以降、
非正規入国者人たちを、ルワンダへ移送。
ルワンダは、
イギリスからの資金援助と引き換えに、
難民認定の審査などを行なうという
制度を始めています。

EUはイギリスの手法を
批判していたのですが、
結局、自分たちも(ほぼ)同じ制度を
採用することになったわけです。
結果、EUの難民・移民政策は、
だらだらと審査を続け、
申請中に労働を許してしまう日本よりも
「厳しくなった」ことになります。

未だに「人手不足を移民で埋める」
などとやっている日本が、
いかに周回遅れであるかが分かるでしょう?

◆経営科学出版から
「経済大国ニッポンの不自然な没落
なぜ、「信じられない衰退」は現実化したのか」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38botu_teika

◆経営科学出版から
「年金倍増で日本経済は大復活する!
デフレの終わり、
第二の「高度成長」の始まり」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38nenk_blog

◆メルマガ 週刊三橋貴明Vol765
企業の資金過剰というデフレ
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
日本の企業は、
信じがたいことに過去四半世紀、
延々と資金過剰を続けています。
企業が安定的に資金不足にならない限り、
日本は「デフレ脱却」とはならないのです。

◆メディア出演

財務省のオウンゴール?と
日銀の「チャレンジング」の真相
[三橋TV第799回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/UY430vKGbUo

99%の果たし状
「絶望と空想の世界」から
「希望と現実の世界」へ
[三橋TV第800回] 古賀真・三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/hRfpjVxILj0

2023年を振り返る
来年は「人が大事にされる社会」に戻れるか?
[三橋TV第801回] 古賀真・三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/TnskB0MFBJU

特別コンテンツ配信中

三橋経済塾生プレゼン大会
2023年版(前編)
https://youtu.be/6O48Tu4BkoI

三橋経済塾生プレゼン大会
2023年版(後編)
https://youtu.be/z54bXi7LWJs

確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、
そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが
三橋先生にひたすら聞いてみた第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
1月20日開催、
三橋経済塾第十三期第一回対面講義の
お申込み受付を開始しました。
https://members13.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2023
ゲスト講師は泉房穂先生です。

◆チャンネルAJER
「カーボンニュートラルがもたらす
日本の危機(後編ー1)」(前半)
三橋貴明 AJER2023.12.26
https://youtu.be/p_mIOs7yYnA

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【三橋貴明】欧州が難民政策を大転換したへの2件のコメント

  1. 利根川 より

     あけましておめでとうございます。元旦から巨大地震が起きていますが、これから一週間程度は同じような強さの地震が続くだろうとのことで注意が必要かと思います。
     
     本日の話題の「2024年問題(物流の人手不足問題)」ですが、経産省の官僚(中野剛志さん)によると次のような経過をたどって今に至っているとのことです。詳しくはPRESIDENT Onlineの中野さんの記事をご覧ください。

    1、1990年に実施された物流事業新規参入への規制緩和
    (※4万ほどだった貨物運送事業者が一気に6万にまで増加)

    2、バブル崩壊、景気悪化、事業者間での過当競争発生

    3、過当競争によりドライバーは長時間労働や低賃金を強いられることに

    4、労働環境悪化の結果、若者が物流業界を避けるように

    5、輸送料が安価なので、荷主は少量の製品を「明日までに持ってきてほしい」といった依頼を、頻繁に繰り返すようになった

    6、直近25年間の推移を見ると、1件あたりの貨物量が半減
    (※1990年度1件当たり2.43トン、2015年度1件当たり0.98トン:国交省資料より)

    7,物流件数はほぼ倍に増加。90年に1365万件あまりだったものが、2260万件あまりに膨れ上がった

    8,各トラックの積載率は40%を下回る状態。つまり、いま街を走っているトラックの荷台には荷物は4割しか積まれていない

    9,荷主企業側も長引く経済停滞でコストカットのため物流部門を子会社化したり、丸ごとアウトソース化しているので、物流ノウハウがない企業が増えている。どこが問題なのかすらわからない

    10、物流(主に荷主企業)を所管する経産省が部品や原材料を製造現場に運ぶ「調達物流」に全く目を向けてこなかった

    こうして2024年問題につながったということでした。
     解決策としては、次のようなものが提案されています。
     
    1,「着荷主>発荷主>物流事業者」というパワーバランスを是正する(荷待ち・荷役作業時間の削減・義務化、役員クラスに物流管理責任者の配置)

    2,配送回数を減らせるよう販売サイクルを変える、あるいは荷台により多く積めるよう製品を設計する

    3、積載率を現在の4割から5割に高める
    (※「1品だけを明日までに」ではなく、他の品物とまとめて2日後に、あるいは週1回の定期配送時に持ってきてもらう)

     2024年度には最大14%(4億トン)もの輸送能力が不足するとの試算があるが、積載率を50%程度にまで上げただけでも、これらの輸送能力不足は回避できるとのこと。
     まあ、少なくとも「低賃金労働者として外国人を大量に引っ張ってきて奴隷のように働かせる」ことが解決策になるとは思えません。むしろ余計に問題を複雑化させるだけでしょう。本日の記事でも紹介されていましたが、欧州では既に移民政策を転換しているそうですし…
     昔、自民党の某総理が移民100万人計画とか言っていましたが、労働力調査(基本集計) 2023年(令和5年)11月分によると完全失業者数は169万人とのことで、倫理を無視してまで外国人労働者を低賃金で使う意味がよくわかりません。まずは、好待遇で国内労働者を雇ってあげればいいのではないでしょうか。
     そのためにも、正規で人を雇うための障害となっている「社会保険料」と「消費税」の減税、ないし廃止は必須だと思います。貨幣のプール論をこじらせていないのであれば、これが可能であることはわかってもらえるはずです。
     一応、念のために言っておきますが、私は排外主義者ではございません。ただ、現実問題として「大量に」外国人を受け入れるのは無理だということです。
     日本は医療供給能力”も”低い国です。

    <人口1,000人あたりの医師数ランキング>
    順位 国名 人口1,000人あたりの医師数

    第1位 ギリシャ 6.1人
    第2位 オーストリア 5.2人
    第3位 ポルトガル 5.0人
    第4位 ノルウェー 4.7人
    第5位 リトアニア 4.6人
    第6位 スイス 4.3人
    第7位 ドイツ 4.3人
    第8位 スウェーデン 4.1人
    第9位 デンマーク 4.0人
    第10位 イタリア 4.0人
    第11位 スペイン 3.9人
    第12位 アイスランド 3.9人
    第13位 チェコ 3.7人
    第14位 オーストラリア 3.7人
    第15位 オランダ 3.6人
    第16位 エストニア 3.5人
    第17位 スロバキア 3.4人
    第18位 ハンガリー 3.3人
    第19位 ニュージーランド 3.3人
    第20位 フィンランド 3.2人
    第21位 ラトビア 3.2人
    第22位 フランス 3.2人
    第23位 イスラエル 3.1人
    第24位 スロベニア 3.1人
    第25位 ベルギー 3.1人
    第26位 アイルランド 3.1人
    第27位 ルクセンブルグ 3.0人
    第28位 イギリス 2.8人
    第29位 カナダ 2.7人
    第30位 アメリカ 2.6人
    第31位 チリ 2.5人
    第32位 日本 2.4人
    第33位 メキシコ 2.4人
    第34位 ポーランド 2.4人
    第35位 韓国 2.3人
    第36位 トルコ 1.9人

    参照:医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019- p.1、p.20一部抜粋

    医者の絶対数自体がすでに足りていない。

    鈴木内閣「増税なき財政再建です。日本は医師数が多すぎるので減らしましょう!」

     地元民である日本人ですら医者にかかれていないわけで、そんなところに連れてこられたら、連れてこられた外国人だって困りますし、仮にお客様(外国人)を優先した場合は今度は地元民が困ることになります。困った地元民の中には外国人にヘイトを向ける者も出てくるかもしれません。これでは相互理解ではなく対立の火種になるだけです。オーバーツーリズムが問題視されている状況を鑑みると、ことは医療に限った話ではないようですけどね。
     政治的弾圧をうけて確実に命の危機にある者を「少数」受け入れることは可能だと思いますが、いずれにせよ「大量に」は無理だということです。

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      1. 利根川 より

         年末のテレビ朝日の番組

        「池上彰のそうだったのか今どきの日本や世界をアップデート年末SP」

        で、池上彰さんが次のような発言をしていました。

        池上彰さん「日本は長期経済停滞をしているが、経済成長しなくても豊かさを感じられるように意識改革が必要」

        自分たちの世代は経済成長する豊かな時代を過ごしてきたくせに、下の世代には経済成長しなくても我慢しろと…オホ~、なかなかだね~(苦笑い
         アップデートしているのならわかると思いますが、仮に日本がこの先も経済成長しなかったとしましょう。まあ、実際、今の日本は需要が活発なことで物価が上がっているわけではなく、輸入品価格が上がっているせいで物価が上がっているわけで、海外要因が落ち着いてしばらくするとヘタするとデフレに逆戻りする可能性すらある。(いつものパターン)
         そうして延々と日本が経済成長しなかったとしても、海外はどんどん経済成長していくわけだ。

        経済成長して昔は1ドルで買えたチョコレートが2ドルに値上がりする(※1ドル140円とする)

        昔は140円で1個買えたチョコレート、しかし、海外が経済成長した結果、280円出さないと買えなくなる。そして、経済成長していない日本は国内の生産能力もアップしていない。これで豊かさを感じるものなのでしょうか…

        ジョセフ・E・スティグリッツ(コロンビア大学)教授
        「最後に、緊縮財政は正しい政策ではありません」

        「緊縮財政は、経済成長をもたらす方法ではありません。緊縮財政がうまくいったことはありません。」

        普通はね、経済成長って”してしまうもの”なんですよ。「失われた20年」なんてやっている日本が極めて異常だということ。そしてその原因はスティグリッツ教授が言うように主として日本の政治家・官僚・学者・マスメディアが推し進めてきた緊縮政策にある。
         こんなことを言うと「政治なんて関係ない、努力をすれば豊かになれる」そういう人が出てくるかと思いますが、20年前に若者だった多くの人も当時は同じセリフを言っていたんですよ。結果はコレです⇓

        ”日本国民の年収(中央値)は1995年の545万円から2022年には399万円にまで低下(厚労省・毎月勤労統計調査参照)”

        今もまだ同じセリフを言っているのであれば、今の若者世代よりさらに若い世代はもっと貧乏になるということです。
         
        戦略の失敗を戦術で覆すことはできない

        まずは政治の失敗を正さないと最終的には皆タンツボにはまるということです。
         朝まで生テレビ 激論!ド~する!?2024ニッポンを見ていて思いましたが、外交防衛の話題はお盛んなんですが、日本だけが沈没している原因は外交でも防衛でもなく経済財政政策の失敗なので、そこを避けて話していてはね…国民生活を本気で気にしているのは泉房穂市長くらいな感じでした。

        泉市長「明石市長を12年間やっていましたけど、その12年の中でもどんどん生活がきつくなっている」

        泉市長「子供たちが進学を断念している状況もある。大学の学費すら払えない学生も出てきている」

        泉市長「こんな状況なのに、本当に今の政治はひどすぎる。今の国の政治を放置するわけにはいかない」

        泉市長「ちゃんと国民を救うための政治をしてほしい」

        泉市長「今日の議論も外交防衛や政治改革はさかんですが、もう一つ大事な国民生活をしっかり支え、救うというあたりもぜひ本気で与野党ともに頑張ってほしい」

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