政治

日本経済

2023年7月19日

【藤井聡】現下の「コストプッシュ型のインフレ」を活用して、実質賃金の上昇をもたらす「デマンドプル型のインフレ」を導くための「総合的な財政政策」のあり方について。

先日、自民党の財政政策検討本部の本部長の西田昌司先生と、責任ある積極財政を推進する議員連盟の顧問の城内実先生とお話する機会がありました。今、日本に絶対的に求められる財政政策のあり方について、今の自民党内部での議論や状況についてお伺いすることを企図した鼎談であれこれお話をお伺いしました。

その詳細はまた、表現者クライテリオン(https://the-criterion.jp/)の次号にて紹介差し上げますが、本日はその座談会の冒頭で当方が学者として、『現下の「コストプッシュ型のインフレ」を活用して、実質賃金の上昇をもたらす「デマンドプル型のインフレ」を導くための「総合的な財政政策」のあり方について』お二人に解説差し上げたのですが、その内容は、皆様に是非知って頂きたい内容でもありますので、その部分、下記にご紹介差し上げたいと思います。

今の岸田政権がこうした財政政策を展開できれば、日本は急速に強力な経済を持つ国家に変貌していくことができるのですが…まずは是非、下記ご一読下さい。

藤井 我々は「日本はずっとデフレだったので、これからインフレにしないといけない」と言ってきましたが、今のインフレはデマンドプルではなくコストプッシュ型のインフレであり、むしろ「望ましくないインフレ」と言うべきものです。

エネルギー、資源、食料といった輸入品の物価上昇を通してインフレになってしまったわけですから、物の値段は高くなるけれども、僕らが余分に払っているお金は全部海外に流れていってしまうので、日本国民の賃金は上がりません。その意味で今の状況はスタグフレーション、つまり賃金下落下におけるインフレ状況にあります。スタグフレーションでは、激しく実質的な賃限が下落していきますから、賃金の下落スピードという点では「デフレ」よりもさらにたちが悪い現象と言うことができます。

しかし、コストプッシュ・インフレが始まってしばらくした頃、モノの値段が上がってきた事につられて、消費者が支払う支払いの一部が徐々に賃金にも回るようになってきています。結果、名目賃金は今、上昇しています。

もちろん、その賃金の上昇率は物価の上昇率を下回るものであり、実質賃金そのものはやはり下落しているわけではありますが、「名目賃金が上がってきた」ということそれ自体は、「いい傾向」だと言うこともできます。かつ、インフレになると貨幣の価値が時間とともに小さくなっていきますから、投資を促す側面も持ちます。

こうした、現状の「インフレによってもたらされて好影響」をうまく活用できるなら、我々がずっと目指してきた「完全なるデフレ脱却」ができるチャンスが訪れていると現状を評価することもできるように思います。

別の言い方をすると、現在のコストプッシュ型インフレの状況で、インフレ率をほぼそのままにしながら、デマンドプルインフレ側へと質的に構造転換できれば、デフレ脱却を実現できるということです。

そのために必要なのはやはり財政政策です。

まず、コストプッシュ型のインフレ率を引き下げるための財政政策―ガソリンやエネルギー、電気代などに対する支援、補助金等―を政府が断行することが必要です。これでコストプッシュインフレを「収束」させることができるわけです。

そしてそれと同時に、賃金が上がる圧力をさらにかけるために、一般的な公共投資や給付金の配布、そして最も効果的と思われる消費税の減税といったタイプの「財政政策」を進めていくのです。そうすると、自ずと賃金が上がっていく事になり、かつ、それにつられて物価も上がっていく事になります。

つまり、コストプッシュ・インフレを抑えるタイプの「財政政策」と、デマンドプル・インフレを駆動させるタイプの「財政政策」を同時並行的に行っていけば、現下のインフレが、コストプッシュ型からデマンドプル型へと転換していくことになり、これを通して、我々の悲願であった「デフレ脱却」が叶うという筋書きが書ける様になるわけです。

以上の議論からも明らかですが、こうしたインフレの質的転換を果たす上で鍵になるのが、自民党の中での積極財政の議論です。

この議論がどう展開する見通しなのか、そして積極財政を展開するためにどういう戦略を考えていくべきかといったことについて、積極財政を進めるうえで重要になる二つの組織、すなわち、「財政政策検討本部」と「責任ある積極財政を推進する議員連盟」のリーダー、顧問をお務めのお二人にお話を、本日はお聞きしたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
(※ 以下、8月発売のクライテリオン誌次号『インフレは悪くない、悪いのは「低賃金」だ!』をご参照下さい!)

追伸:本記事は、当方のメルマガサイト(https://foomii.com/00178)からの転載です。ご関心の方は是非、下記記事、是非ご一読下さい。

現下の「コストプッシュ型のインフレ」を活用して、実質賃金の上昇をもたらす「デマンドプル型のインフレ」を導くための「総合的な財政政策」のあり方について。
https://foomii.com/00178/20230718192958111620

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https://foomii.com/00178/20230710144441111300

森永卓郎著『ザイム真理教』は、財務省による緊縮思想の普及活動が「カルト教団による布教活動」と同じである事を明らかにした、全国民・必読の一書である。
https://foomii.com/00178/20230709175856111267

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【藤井聡】現下の「コストプッシュ型のインフレ」を活用して、実質賃金の上昇をもたらす「デマンドプル型のインフレ」を導くための「総合的な財政政策」のあり方について。への1件のコメント

  1. 利根川 より

     安藤裕チャンネルで取り上げられていたので、こちらでも共有していただきたい。
     10年同じ説明を粘り強く続けてきた先人として藤井教授はこれを見てどのように思われますか?定期的に議論が振り出しに戻るんですよね(苦笑い
     YouTubeの「二番煎じと言われても」というチャンネルをやっている弁護士の藤吉さんがこんなことを言っているそうです。

    藤吉弁護士「預かり消費税として計算するので、実務上、経理にかかわっている人は消費税を『預り金うじゃない』という人は一人もいない」

    だそうです。
     毎度おなじみですが、東京地方裁判所 平成元年(ワ)5194号判決で他ならぬ財務省自体が藤吉さんの主張を否定しているのですよ。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    <東京地方裁判所 平成元年(ワ)5194号判決>

    ・被告らの主張

     なお、政府広報「消費税って何でしょう」には、確かに原告らの主張のとおり、所得税あるいは法人税の計算上、『税抜きで処理する場合には預り金とし』、課税仕入れに含まれる税額については仕入れ税額控除対象額は仮払金とすること等の記載があるけれども、

    ””これはあくまでも消費税相当額を企業会計上どのように取り扱うかという会計技術に関する説明であり、消費税の納税義務者の問題とは無関係である””
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ということで、藤吉弁護士の主張である

    「預かり消費税として経理上処理しているんだから『預り金』なんだ」

    という主張は財務省が否定しています。

    かねこ政務官「消費税は『預かり金”的”なもの』でありまして、預り金ではございません」

     さて、藤吉弁護士の主張はまだありまして、

    藤吉弁護士「吉野家の牛丼を1100円で食べたとする」

    藤吉弁護士「1000円の牛丼と100円の消費税を払っている」

    ツッコミ役「じゃあ、1000円で吉野家が牛丼を売ったらどうなるんですか?」

    藤吉弁護士「1000円で売ったら、そのうち9.何%は消費税が入ってる」

    藤吉弁護士「なので、消費税を払うのが事業者だといっても負担しているのは君(消費者)なんだ」

    この藤吉弁護士の主張が正しいとするならば、法人税も負担しているのは君(消費者)なわけでな。この世から直接税なくなっちゃうな(笑)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    消費税法第4条1項

    国内において事業者が行った資産の譲渡及び特定仕入れには消費税を課する

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    消費者関係ないんだよな~。
     

    安藤裕さん「平成元年の消費税導入時に『消費者が負担するもの』と誤認させることで店側が値上げしやすいようにした」

    安藤裕さん「それが今でも残ってて、最初にそう言ってしまったので今更『あれ嘘でした』とは言えなくなってしまってめちゃくちゃになっている」

     人間は噓をつく生き物です。

    死に際のハリー・ラック「村の護衛に20ドルというのは建て前で、実は物凄い報酬があるんだろ?だまされたっていい…なあ、そうなんだろ?」

    クリス「そうだ、実は村には50万ドル相当の金があり、分け前は1人7万ドルだ」

    ハリー「だと思ったぜ…」

    クリス「黄金の夢に抱かれて眠れ」

    なので、いちいち嘘をとがめることはしませんが、完全にバレてもまだ続けているのはいくらなんでも往生際が悪すぎでしょう。
     法律でも事業者が支払うと書いてある。入湯税、ゴルフ場利用税、印紙税などの間接税の条文には「消費者が納めるもの」と記載されているが、消費税には消費者が納めるなんて書いていない。裁判でもそのように判決が下されているし、国会でも当事者である財務省が「預かり税ではない」と答弁をしている。いつまでこんな不毛な議論を続けるんでしょうか…

     我が国の首相は、災害ほったらかしで衛星のように海外をグルグル回っていることから支持者の間ですらだいぶヘイトが向けられているようですが、
     
    ガソリン税のトリガー条項解除

    ゼロゼロ融資の免除

    急ぎでやらないといけないことって結構あるんじゃないんでしょうか。まあ、やりゃあしないんでしょうけどね。サントリーの社長も経済財政諮問会議も「石油元売り会社への補助金はもうやめるべき!」なんて言っているそうですし、岸田さんはそちらの意見の方になびくんでしょうね。消費税、インボイスの件だけじゃない、いい加減もうウンザリなんですよ。どれだけ議論をしても一定時間たつと議論が振出しに戻るとか議論をする意味があるのかと。
     
    10年選手の先輩は嫌になることはないんでしょうか?

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