日本経済

2023年3月12日

【三橋貴明】緊縮財政と競争激化

【近況】

日本国をここまで凋落させた二つの政策、
あるいは考え方は、緊縮財政と競争激化政策、
「政府のムダは削るべきだ」
「競争は激化させるべきだ」
になります。

緊縮に基づき、政府が支出を削ると、
事業者は厳しくなる(当たり前ですが)。
単なる、国民(事業者)シバキ政策に
なってしまうため、言い訳として、

「○○は保護され過ぎている。
甘やかされている。
競争を激化させる必要がある」
というレトリックで、
構造改革(規制緩和、自由化、民営化など)が
同時に推進され、事業者、国民は
「限られたパイ」の奪い合いを強いられ、
疲弊していったのです。

構造改革主義者たちは、
規制緩和で参入障壁が下がり、
新規参入が可能となることで、
1. 競争激化により、価格が下落する
(消費者利益が守られる)
2. 弱い企業から淘汰され、
業界の新陳代謝が進む(ゾンビ企業が倒産)
3. 各社が生き残りをかけて努力し、
品質向上が見込まれる
と、競争激化政策を正当化しようとしました。

1に対する反論:
デフレが続き、物価が下落して苦しんでいる国で、
価格を下落させてどうするのか?
生産者(国民)の所得が実質で
落ちていくだけ(落ちました)

2に対する反論:
ゾンビ企業は退場させるべきというが、
これだけ事業環境、経営環境が悪化している中、
苦しんでいる企業の経営者は自己責任なのか? 
そもそも、まともなデフレ対策を
打たない政府が悪いはずだが、
なぜそこに触れない

3に対する反論:
残念ながら、過当競争は品質を確実に下げる。
日本には「貧すれば、鈍する」という格言があるが、
そのままである。

デフレ(総需要不足)の状況で
競争を激化させると、
品質は下がっていきます。
何しろ、「貨幣不足」と「競争激化」の二つは、
個人や事業者の努力では乗り越えられません。

何よりの証拠に、
緊縮と競争導入が進んだ日本の科学技術分野は、
見事なまでに「凋落」しました。

高品質を維持するためには、
競争ではなく「余裕」が必要である。
そして、余裕とは
「十分な需要(あるいは「支出」)」
なしには成立しない。
という、当たり前のことを、
日本国民は思い出す必要があるのです。

◆「岸田総理の大嘘
メッキが剥がれた新しい資本主義(経営科学出版)」
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https://in.38news.jp/38kisi_blog

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◆週刊実話 
連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 
第506回 将来世代へのツケ

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol723 
輸入物価上昇と実質賃金
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
実質賃金は基本的には
生産性のみで変動しますが、
二つの「外部」要因でも下落します。
すなわち、輸入物価上昇と消費税増税です。

◆メディア出演

奴らのカネをむしり取れ!
財源確保法案と防衛力強化資金の真実!
[三橋TV第673回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/-T72iCd5QgM

将来の平和を望むならば、
戦争を学ばなければならない
[三橋TV第674回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/dmgHCwSkkog

植田和男新総裁誕生で、
どうなる日銀の金融政策?
[三橋TV第675回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/L5xQjKq_9cY

特別コンテンツ配信。

[4日間限定公開]なぜ古都は
奈良から始まったのか?
全ての歴史家が解けなかった謎に迫る
https://youtu.be/GVV2r2SV0pA

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。

日本経済の成長に本当に必要な指標、
考え方、そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に学んで頂くのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
 第二巻」です。

さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya「シンガーsayaが
三橋先生にひたすら聞いてみた 第一回」
の全編もご視聴頂けます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾

3月18日開催、三橋経済塾第十二期 
第三回対面講義のお申込み受付を開始いたしました。
https://members12.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2073
ゲスト講師は岩尾俊平先生です。

◆チャンネルAJER 
「インボイス制度導入は
消費税増税に向けた基盤整備である」
(前半)三橋貴明 AJER2023.3.7
https://youtu.be/sLgSd-d1xb4

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【三橋貴明】緊縮財政と競争激化への6件のコメント

  1. 利根川 より

     TV新聞で流行ってきた言葉を並べると

    「無駄削減」

    「公務員の給料は高すぎる!」

    「既得権益を破壊する」

    「身を切る改革」

    これらを見れば分かるように誰かを貧乏にする政策を叫ぶと拍手喝采されてきたのが近年の日本。小泉純一郎元総理、あるいは維新の会の橋下徹がこういったことを言って大フィーバーしましたね。

    人が貧乏になるのを喜んできたのが日本人

    ダイナさん「性格が悪くなってるやんそれ」

    安藤裕さん「みんなで金持ちになろうってなればいいんだけど、『あいつ引きずり降ろそう』の方が人気があるんですよ」

    国会では「実質賃金が下がり続けている」ことが問題視されていますが、そもそも、この20年間「人を貧乏にする政策」しかやってこなかったんだから上がるはずがないでしょうよ、と(苦笑い
     東日本大震災の復興がなかなか進まなかった原因の一つに「人手不足」がありますが、これも日本国民が

    「公務員が多すぎる、公務員を減らせ」

    とやった結果、

    <地方公共団体公務員数 出典:総務省>

    1994年 328万3493人

    2022年 280万3664人(この内25%は非正規雇用

    こんなになっちゃったことが原因だったわけだ。
     加えて、コロナ禍で困窮した人達は「特例貸し付け」を市町村から受けたと思いますが、座間市の例を上げれば

    特例貸し付け4000件をたった6人の担当者で管理している状態

    ということで、人手不足過ぎて個々の案件を十分に把握できていないのだそう。自ら「返済猶予」を申請しにきてくれた人には対応しているが、他にどれだけ「猶予」の必要がある人が居るのか分からないのだという。これも、公務員の数を減らしてしまったツケですね。
     
    人を呪わば穴二つ

    日本人は見事に自分で自分の首を絞めてきたわけだ(苦笑い
     なんというか…みごとにメディアに踊らされてしまいましたねって感じ。こういうのは感情の問題なので自分ではどうにもならないんですよね。それを、支出を切り詰めたい財務省や、緊縮でビジネスチャンスにありつきたい政商達、そしてその腰ぎんちゃくのTVメディアにうまく利用されちゃったんだなと。こういうのを「吐き気を催す邪悪」っていうんでしょうね。

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  2. 利根川 より

     久々に安藤裕さんの話題を出したのでもう一つ小話を。
     最近小耳にはさんだのが

    「国会の外から口だけ出してるクズ」

    これです。まあ、口だけ出される状況ってイラっと来るとは思いますが、ここで安藤裕さんの話を思い出していただきたい。
     安藤裕さんが衆議院議員だった当時の2019年末にコロナ禍が始まりまして、安藤さんはすぐに対策を開始しました。2020年3月上旬には

    「粗利保障を準備する必要性はまとめた提言書」を党本部に提出

    まあ、自民党は受け取ってすぐにゴミ箱に捨てたのか知りませんが、今に至っても粗利保障は支給されていません。他の先進国は「支給」を行って国民を支援していましたが、日本は「貸し付け」でコロナ対策予算を水増しし、「やってるフリ」でお茶を濁してきました。それならばと、

    「消費税廃止」

    を願い出たわけですが、某先輩議員から

    「俺達が消費税増税のためにどれだけ犠牲を払ってきたのか分かってんのか」

    と怒りを買ってしまったという。その後、次の選挙では公認をいただけない運びとなり安藤さんは失職ということになりました。
     安藤さんの代りに自民党で積極財政派を率いることになった城内実議員のお話では

    城内議員「自分は元々は小泉純一郎さんと同じ派閥だったのでバリバリの構造改革主義者だったんですが、同じ内閣の竹中平蔵さんの動きを見ていて流石に『おかしい』と気がついて構造改革に疑問を持つようになった」

    城内議員「そして、構造改革に疑問を持てば持つほど出世街道のメインストリームからは遠ざかっていった」

    ということで、構造改革に反対すると干されるし、消費税廃止を訴えると失職させられる政党が自民党であると。である以上、「構造改革をやめてほしい」とか「消費税廃止してほしい」といったことを訴えるには

    「外から口を出す以外方法なんて無かろうが」

    というわけでしてね。財務官僚のケツをなめて国会議員の椅子にしがみついてるような人達には言われたくないんじゃないですかね~。
     香港では政府に批判的な「りんご日報」の社長が逮捕されたという話がありましたが、中国は元々

    「共産党員以外はまともな職につけない」

    なんて言われたりもする国なので分からないでもないわけですが、最近は日本もたいして変わらないようになってきたみたいですね。そんな中、失職を覚悟してまで「粗利保障」や「消費税廃止」を最後まで…そして、今も折れずに訴え続けている安藤さんは「ホンモノ」であると私が尊敬する数少ない人物の一人となっています。 
     ところで、自民党の緊縮派の皆さんはさんざん「雇用流動性を高める」政策を行ってきたわけだ。要は、国民はもっと転職をしなさいと。であれば、自民党の緊縮派議員の皆さんこそが国民の手本となるべくもっと「流動」して見せるべきなのでは?さあ、思い切って議員バッチを返上しちゃいましょ~。
     それから、国会議員としての良心があるのであれば、まず自分達が「失われた30年」で日本を途上国化させてしまったことを恥じてもらいたいものです。

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  3. 利根川 より

    >>河合薫(健康社会学者)の記事 出典:日経ビジネス

    とあるツイート
    「突然ですが、私のお給料は基本給11万5000円、そこに手当てがついて手取り15万円ほど、賞与はほぼ寸志です」

    「年収は250万に届きません」

    「指定管理の児童館長として8年、1円も上がっていません」

    「とてもいい仕事、大好きな仕事、だけど今日会社から言い渡された、更なる減額と職員数カット」

    「心が折れかけています」

    「もう、現場で働く人たちは自分達の賃金を減らすことでしか市民のためのサービスを運営維持できない」

    >>

    こういうのを官製ワーキングプアっていうわけだ。こんな酷い条件でも”善意”で働いてしまうのだから日本人は真面目ですね~。
     思えば第二次大戦の時も

    とっくに対策されて意味のなくなった自爆特攻も上に言われれば延々と繰り返す

    くらい真面目な民族なのだからさもありなんといったところでしょうか。私なら意味もない自爆特攻なんてお断りですけどね。まあ、当時の時世を考えれば、そんなことをしたら

    「この非国民が、自分さえ良ければいいのか!」

    「人として当たり前の事も出来ないのか!」

    とか言われてしまうのでしょうけれど、そんな酷い命令をするような人間が喜ぶようなことは何一つやりたくないのでね。
     さて、海外ではストライキが盛んに行われていると言う話をよく耳にします。イギリスでは鉄道や医療機関、学校などの職員が待遇改善を訴えてストライキを行っているので、朝起きたらストの状況をTVで確認するのが最近のイギリス国民の朝の日課なのだとか。
     日本も昔は労働環境や待遇改善をうったえてストライキが盛んに行われていましたが、最近はとんと耳にしなくなりました。
     それもそのはず、

    G企業「は?待遇改善してくれないなら働かないって?じゃあいいよ、お前クビな。お前の代りなんていくらでも居るから(外国人低賃金労働者)」

    これですからね。どれだけ酷い条件でも働かざるを得ない状況にするために政府やグローバル企業は「グローバル化」を推進してきたわけだ。そりゃあ、実質賃金も下がるわけだよ(笑

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    17歳~19歳までの1000人を対象に働き方や価値観に関する調査を行った(日本財団 2022年12月の調査

    ・将来子供を持ちたいと答えたものの割合:59%

    ・59%の内、実際に将来子供を持つと答えたものの割合は「必ず」もしくは「たぶん」を合わせて46%

    ・「たぶん」もしくは「絶対」子供を持たないと答えたものの割合は、両方合わせて23%

    ・子供を持つと答えた人に子供を持つ上での障壁を複数回答で聞いた

    1位 金銭的な負担 69%

    2位 仕事との両立 54%

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ということで、少子高齢化対策のいの一番は「金銭的な問題の解決」なわけで、まず真っ先に必要なのは

    国民全体の意識の変化

    ではなくて、

    ・国民の収入を増やすこと(公務員の正規化と給料アップ&減税)

    ・国民の職の安定(労働規制の強化)

    ・関東一極集中の解消(地方への長期的計画的インフラ整備や地方公務員の増強

    なんじゃないのでしょうか。
     

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  4. 利根川 より

     防衛増税、いわゆる「財源確保法案」に賛成した議員は自称保守(エセ保守)。以下、室伏謙一の霞が関リークスより抜粋⇓

    通称「財源確保法案」

    2月3日に閣議決定されたという短いニュースはあるものの、中身にまで立ち入った詳細な説明がされたニュースはない

    中身については

    ・特別会計剰余金の一部繰り入れ

    ・独立行政法人の積立金の国庫返納

    ・歳出改革によって防衛関係経費をプールしておく「防衛力強化資金」を作る

    となっている。

    <問題点>

    ・防衛力整備計画の対象経費の中になぜか「在日米軍の関係経費」や「沖縄米軍の基地の再編経費」まで含まれている。例によって自衛隊の強化ではなく米軍への支払いが増えるだけのやつ

    ・特別会計剰余金の国庫返納は「繰り入れることができる(条文末尾)」なので、やらなくてもよい。特別会計はどれも「財務省所管の特別会計(財投・外国為替)」で、自分の省庁管轄の組織には国庫返納を免除するいやらしさ

    ・独立行政法人の積立金の国庫返納については「返納しなければならない(条文末尾)」なので、絶対に返納させられることになる。ここで挙げられている独立行政法人は「国立病院機構」と「地域医療機構」。コロナ禍で支給された補助金を次のパンデミックの時のために積み立てているが、それを財務省によってはがされることになる

    ・今回のこの「防衛力強化資金」は財務省所管の一般会計扱いなのだが、防衛力強化のためだというのであれば「防衛力強化以外の目的には使えない」防衛省所管の「特別会計」としなければならないはずだが、そうなっていない。

    ということで、問題だらけのこの法案に賛成した議員はもれなくエセということでようござんすね?室伏さんありがとうございました。

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