日本経済

2016年9月3日

【三橋貴明】デフレ脱却のためのコンセンサス

From 三橋貴明@ブログ

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 物価水準が何で決まっているかといえば、個々の財の価格変化を足し算です。消費者物価指数は、各モノ、サービスの価格を定点観測し、指数を弾き出す統計なのです。
 というわけで、個別価格は一般物価に影響を与えているのですが、それを岩田規久男日銀副総裁が、
「足し算エコノミスト」
 と揶揄していた(過去の話)のは、ご存じの通り。

 足し算エコノミストの詳細については、青木泰樹先生のコラムが一番分かりやすいですかね。

【青木泰樹】足し算エコノミスト

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/02/07/aoki-11/

『(前略)おそらく岩田氏は、ある財の価格変動は必然的に他財の価格変動をもたらし、それによって相殺されるため、物価水準の変動には及ばないと考えているのでしょう。
例えば、原油価格の下落はガソリン価格の低下をもたらしますから、自動車の売れ行きが良くなって自動車価格が上がるかもしれませんし、またガソリン代が浮いた分、他の商品への支出を増やせば当該商品の価格は上がるだろうと。(後略)』

 2014年、消費税増税後に需要が伸び悩み、上昇傾向にあったインフレ率(コアCPI)も下落に転じ、現在はマイナス0.5%。

 それにも関わらず、日本銀行は「安倍政権の緊縮財政のせいで物価が上昇しない」とは説明せず(説明できず?)、責任を原油価格の下落に押し付けました。「あの」岩田規久男教授までもが
「足許のインフレ率が低下した二つ目の要因は、昨年の夏場以降に起こった原油価格の急速で大幅な下落です」
 などと、説明を始めたのには驚きました。

 この、足し算エコノミストめ!
 それはともかく、原油価格の「下落」は実は2015年前半で終了しています。

【原油先物価格指数の推移(週ベース)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#WTI

 少なくとも、2016年のインフレ率のマイナス化は、原油価格の下落では説明ができません。
 ところが。。。

『日銀はまだ原油価格下落を主犯とし続けるのか?

日銀はまだ原油価格下落を主犯とし続けるのか?

(前略)日銀的には主犯は原油価格下落、だがマーケットは納得難しい
 8月27日のジャクソンホールでの黒田日銀総裁の講演では、早期に2%の物価上昇が実現しなかった原因について、簡単な検証がなされている。
 日銀の大胆な金融緩和は、日本のインフレ期待を2%程度へ持ち上げ、そこにアンカーすることが目的であった。このリアンカリングの途上で、原油価格の大きな下落が起き、外的なショックに対する頑健性がまだ低いため、インフレ期待が後退してしまったことが指摘されている。更に、リアンカリングの途上である日本のインフレ期待は、足元のインフレ率の影響を受けやすい「バックワードルッキング」の力が、強いことも指摘されている。
 これらを総合すると、まだ原油価格の下落を主犯とするようなこれまでの論理から脱することができていないようだ。
 マーケットの注目は、原油価格の下落のショックから、需要低迷による物価下落圧力に、既に移っている。下落してしまっている、、原油価格の影響を含むコアCPI(除く生鮮食品)だけではなく、コアコアCPI(除く食料とエネルギー)まで上昇がなくなってしまうリスクが出てきているからだ。(後略)』

 日本唯一の「まともなエコノミスト」(と、わたくしが勝手に呼んでいる)である会田卓司氏が、鋭く批判しています。
 現在の日本は、会田氏が書いている通り「需要低迷による物価下落圧力」に襲われているのです。すなわち、日本銀行が物価低迷の説明をするならば、「原油価格」ではなく、「政府の緊縮財政」に責任を押し付けなければならないのです。

 もっとも、そんなことは百も承知でしょうが、それが(政治的に)できないからこそ、「原油価格」を持ち出しているのでしょうが、いい加減にこの不毛な議論を終わらせなければなりません。
 現在の日本の物価低迷は、日本銀行のせいでもなければ、原油価格のせいでもない。安倍政権の緊縮財政のせいだった。

 この共通認識が「コンセンサス(政治的な国民合意)」になって初めて、政府及び日本銀行がようやく本格的な「デフレ脱却」に向けた政策転換が可能になるのです。逆に、正しいコンセンサスが共有されない場合、今回の補正予算による財政出動も、中途半端なものに終わりかねない。それを、懸念しています。

ーーー発行者よりーーー

はーやん様のレビュー: ★★★★★ 
「中国の本質が理解でき感謝です。」

特に印象に残ったのは以下3点となります。

1.グローバル経済の凄さ

確かに中国の経済規模は無視できないと思います。
冷戦前の1991年以前は鎖国していたので貧乏でしたが、
それ以降外資を導入して経済拡大したのはよく理解できました。

品質は悪いといわれていますが、新幹線も原子力も自国で
製造できるようになっているのは、経験の蓄積といえ、今後も脅威と思います。

2.中国共産党の意思決定の速さ

これは選挙で選ばれていないので民意を反映しないで
意思決定できる点がなるほどと思いました。
独裁国家であることを再認識しました。

3.尖閣の問題

日本として妥協してはいけないと思います。

領土問題は世界のどこでもありますが、
妥協すると相手の思うつぼっていうのは当たっていると思います。

いつ解決できるかはわかりませんが、
日本国として毅然とした対応が大切と感じます。

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【三橋貴明】デフレ脱却のためのコンセンサスへの1件のコメント

  1. たけちゃん より

    三橋先生 尖閣に続き無能安倍晋三は北方領土でも妥協譲歩して主権を棚上げして経済協力するのではないでしょうか? 慰安婦でも世界遺産でもやった様に譲る事のみをもって外交と為す創価統一教会カルト的お恵み献上する売国を繰り返すと思います。コイツはハシゲと同じく選挙で支持を得た以上白紙委任されたと勘違いしています。ゼークトの言うように無能な働き者は味方を全滅させます。それもこれもコイツの独善的本質が見抜けずに参院選で大勝させた国民の責任であり例えコンセンサスが得られたとしても聴く耳を持たないのではないでしょうか。内政外交共に無能な安倍晋三は鳩山菅以上の戦後最悪の総理大臣と断言できます。

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