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日本経済

2023年2月20日

【藤井聡】『君トン』に次ぐ社会派映画・第二弾『日本で働くイミグレ』。デフレ=財務省のヤバさがよく分かる作品。是非クラウドファンディングにご支援を!

From 藤井聡@京都大学大学院教授

こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。

昨年、財務省=緊縮財政を徹底批判する映画『君達はまだ長いトンネルの中』(君トン)を制作した、なるせゆうせい監督が、社会派映画第二弾として、最新作『日本で働くイミグレ』を完成しました!(https://www.imigure.com/

この映画は、ベトナムから来た技能実習生の女の子目線で、日本経済の「闇」を描き出したもので、政府の緊縮財政のみならず、政府の「グローバル化」路線が如何にメチャクチャなのかが痛いほどに分かるものとなっています。今、この映画のプロモーションに向けたクラウドファンディングが進められていますので是非、皆様もご協力差し上げてください。
https://camp-fire.jp/projects/view/538386?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show

この作品はもともと、
「アインが見た、碧い空。あなたの知らないベトナム技能実習生の物語」(近藤秀将・著)
という小説を原作とするもの(https://www.gakuji-tosho.jp/publications/1598)。

この小説は、行政書士の近藤秀将さんが、外国人の技能実習生が「奴隷」の様に扱われ続けているという問題を、行政書士の仕事の中で目の当たりにし続けた自らの体験を元に書き上げたもの。

この小説をベースにして、なるせ監督があらためて作り上げた映画『日本で働くイミグレ』のあらすじは、おおよそ次の様なものです。

『貧しい家計を支えるためにベトナムから日本にやってきた技能実習生の女の子、ハイン。 ジャパニーズドリームを描き工場で働くも、給料の未払いが続いていた。 唯一の日本の知り合いである土井と共に敏腕行政書士の近藤の元へ相談に行き「職場とか変えてあげることできませんか?」と相談するが、技能実習という制度だと職場を変えることは原則できないことを説明する。

近藤はすぐにハインの受け入れ先の監理団体へ連絡し、状況をどうにか変えようと試みるが、そこへ監理団体の代表の西村が近藤の事務所へ駆け付ける。

西村はハインの告げ口だとすぐに感づいたようで、今度は逆クレームを代弁。 我々を攻めるならハインも一緒に攻めるべきだと、反論。 実はハインは日本語を話せるとでたらめな履歴書を提出していて、実態はほぼ話せず与えられた仕事をこなせずにいる状況だった・・・

今の日本の底力として働く外国人労働者、そして労働者を取り扱う監理団体。 双方の真実が明らかになった時、ハインは一体、どのような選択をするのか・・・!? 』

この映画のラストは、当方の心にグッと迫る清々しいものでしたが、それは是非、観てのお楽しみ(日本の男達もこのハインちゃんくらい毅然と覚悟を持って生きていけば、日本ももっとよくなるのに……って思うような、そんな気持ちになるとてもよいラストでした)。

ここでは、この映画で描写されていた諸問題を、簡単に解説したいと思います。

第一に、技能実習生という制度は、タテマエは途上国支援で日本の技術を海外に伝える、というものとなっているが、実態は、デフレの中で低賃金でしか人を雇えない中小企業が、安い外国人労働者を酷使する、現代の「奴隷制」となっている。だから、外国人の雇用現場は、今、超絶にブラックな職場となっている。

第二に、ベトナムなどの途上国は、日本のブラックな「奴隷制」としての技能実習生制度の方がましなくらい、賃金が安い(月給3万円くらい)。だから、ベトナムなどからはたくさんの人が実習生としてやってくる。ただし、日本語が不自由な彼らには十分なパフォーマンスが出せず、その結果評価されず、給料未払いの問題が後を絶たなくなっている。

第三に、長引くデフレの中で、中小企業は死に物狂いで生き残るための努力を続けている。政府が用意した実習生制度を奴隷制と分かりながらも活用しなければ、生き残れない状況となっている。

第四に、こういう日本の中小企業や外国人実習生の苦しみをほとんどな~んにも知らないバカ政府が、「グローバリズムだ~」「途上国支援だ~」なぞといって、外国人の技能実習生制度を拡大し続け、問題を拡大させてしまっている。

第五に、こういう地獄の実習生状況、中小企業状況を解消するには、積極財政によるデフレ脱却しかないが、政府のバカどもは「財政再建が~」なぞとばかりいって、本質的になすべきデフレ脱却をしない。その一方で、上記の様に「グローバリズムだ~」「途上国支援だ~」といって実習生を拡大するものだから、地獄はさらに深化してしまっている……(このポイントは明確に描写されていませんでしたが『君トン』を観た観客なら皆、そう思う筈ですw)。

……とまぁ、こういう構図にあるわけですが、なかなかこういう話を口でいっても皆に分かってもらないのですが……この映画なら、1時間と20分程度の時間でこういう問題構図が、エンタメ物語にそって、すっと頭に入ってきます。

ついては是非、皆さんも封切りとなりましたらご観賞いただければと思います!

ところで、この映画のなるせ監督は、こうした社会派映画を日本中の人に観て貰いたい……という思いで映画を作成されているのですが、これをいろんな地域の人々に届けるには、プロモーション費用がどうしてもかかってしまうそうです。

ついては、冒頭でもご紹介差し上げましたが、『君トン』の時と同様、クラウドファンディングを始めておられます。

まだ、目標の4割程度しか達成していないまま、クラウドファンディング締め切りまであと一週間程度となってしまったようで……当方も昨日、数万円寄附させて頂きました(^^ )。ついては是非、皆様ももしよろしければ、下記より、ご協力いただけると、とても嬉しく存じます。

可愛そうなベトナム人達をなんとか助けてあげるためにも……というよりもむしろ、そんな不当な労働を強要して外国人達に恨みを買い続ける状況を避け、日本の誇りが穢され続けていく、という状況を回避するためにも、さらには全国で苦しむ中小企業の人々を救うためにも、そしてこんな低賃金労働者が大量に流入することで日本人の給料が下がり続けているという惨状を回避するためにも、「外国人のブラック雇用」問題は絶対に避けては通れない問題なのです。

そんな問題の解決が一歩でも二歩でも進みますよう、この映画をたくさんの方に観て頂きたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いします!

追伸:『日本で働くイミグレ』の概要と、クラウドファンディングによるご支援はコチラから。是非、ご協力差し上げてください!
https://camp-fire.jp/projects/view/538386?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show

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【藤井聡】『君トン』に次ぐ社会派映画・第二弾『日本で働くイミグレ』。デフレ=財務省のヤバさがよく分かる作品。是非クラウドファンディングにご支援を!への2件のコメント

  1. 日本で働いたハングレ より

    奴隷は 逃散し
    悪に走る、、

    犬が西向きゃ尾は東 と 同じ

    永遠普遍の 真実 かと。。。

    返信

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  2. 利根川 より

     なるせゆうせい監督の話だと日本のエンタメ業界では

    「政治の話はちょっと…」

    という空気があるのだそう。日本は言論の自由が保障されている国だと思っていましたが、最近はそうでもないのでしょうか。
     ところで、よく中国を例に出して中国では映画もマンガも当局から厳しい検閲をうけて中国共産党が許したものしか発表できないから表現の自由が制限されているという話を聞きます。では、アメリカや日本はどうかというと

    「多様性を認めない表現は認めない!」

    といった感じで所謂ポリコレ警察から厳しい検閲をうけているわけです。国によっても状況が違うので”多様性”とやらが良いか悪いかは置いておいて、事実上、アメリカや日本でも表現の自由は著しく制限されているものと思われます。何が違うんでしょうね?
     なるせ監督のインタビューを見ましたが、エンタメ業界の人達は頭がバブル期で止まってしまっているらしく、映画のチケットや歌舞伎のチケットの値段設定が8000円とか1万円を超える設定を今もやっている。今の日本の普通の人の感覚だと1万円近い支出はかなりつらいはず。そういった現状をまったく理解していない。エンタメは余剰金で楽しむ類のものなので、人々が余剰金を持っていないと成り立たない。こうした現状を根本から何とかするために民主制国家の主役である有権者に考えるきっかけに使ってもらえればということで「君トン」をつくったとのこと。
     ここで、なるせ監督に哀しいお知らせです。

    朴勝俊教授「日本国民は神も仏も信じないのに財政破綻論だけは信じてしまうんですね(苦笑い」

    元から思考停止気味であった日本国民ですが、最近ではチャットGPTに思考まで肩代わりしてもらう傾向にあるそうですよ。

    獣は…考えない!

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