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2022年4月26日

【室伏謙一】ネットに溢れる「親露派」認定という思考停止

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 

 ロシアによるウクライナ侵攻から既に2ヶ月経ちました。既にニュースの主役は新型コロナからウクライナ侵攻に移り、人々の関心もそれにつれてウクライナ>新型コロナになってきていますね。

 

 さて、ウクライナ情勢を巡る報道の傾向はといえば、可哀想なウクライナが悪の独裁者プーチンに支配された悪の帝国ロシアに侵略されている、勇敢なウクライナ大統領ゼレンスキーは頑張っている、ウクライナ国民は一丸となって戦っている、ロシアが無辜の民を殺している、国際社会が連携して制裁を課しているのにロシアは言うこと聞かないといったものから、制裁でそのうちロシアは崩壊する、プーチン政権は制裁に耐えられなくなった市民の反乱で崩壊する、ロシアは偽情報を流している、はては今回はプーチンの個人的な恨みから始まったといったトンデモ見解まで飛び出す始末。

 

 要するに、ロシア=悪、ウクライナ=善という善悪二元論、勧善懲悪的な発想で語られているということです。

 

 しかし、今回のウクライナ危機はそんな単純な構図で語られるものなのでしょうか?もちろんそうではありません。孫子の兵法に「兵は国家の大事なり」という言葉があります。その意味するところは、兵を動かす、すなわち戦争をするということは国家にとって一大事であるということ。つまり慎重かつ、周到に準備してことに当たらなければならないということです。

 

 今回のロシアによるウクライナ侵攻はそうした戦の哲学を理解した上で行われたものと言っていいでしょう。そのことは、欧州の安全保障をめぐるこれまで、特に冷戦後の経緯、そして、ロシアや欧州、アメリカにとってのウクライナ位置付け、冷戦終結後にウクライナがどのような経緯を辿って今日に至ったのかを知ることで理解できるでしょう。加えて国際政治とは現実的にどうなのかについても知っておけば、なおさらその理解は深まります。(日本人が大好きな「国際社会」などというものが、単なる言葉の上だけの存在でしかないということも。)

 

 そのことについては、私のオンラインサロン「霞が関リークス」の最新号で詳しく解説しているので、是非そちらをご覧いただければと思いますが、ウクライナ危機については事実関係をしっかりと押さえた上で、冷静にみていく必要があるのです。(2日間限定のお得なご案内もあります。)

 

 しかし、昨今の日本でのウクライナ危機関連報道といえば、いわゆる西側寄り、端的に言って米国寄りの情報ばかり。「米国政府高官は〜」といったニュースも目にしますが、なんで「米国政府高官」の情報なのかと、平衡感覚を持って、懐疑的に考えて欲しいところですが、ただ右から左へそうした情報を流すことしかしない大手メディア、それを鵜呑みにしてしまっている人の多いこと多いこと。一応表向きは米国は当事者ではありませんが、裏側では完全な当事者です。(それについてもどれだけ米国がトンデモナイことをしてきたのかといったことを中心に霞が関リークスで解説しています。)したがって、米国政府の発表やリーク情報を鵜呑みにするのも極めて危険です。

 

 残念ながら今の日本は、敗戦後のGHQによるWGIPや、CIAを通じた様々な工作の結果、米国発の情報、特に米国政府に都合がいい情報に流されやすく、信じ込みやすくなってしまっています。(CIA?何を陰謀論をと思った方、米国の研究者が米国政府の公文書を中心に研究・分析した‘Altered States: The United States and Japan Since the Occupation’ を是非ご覧ください。)

 

 そうしたこともあってか、今回のウクライナ危機については冷静に考えた方がいい、政府は冷静に状況を分析した上で対処を考えるべきであって、安易に米国やいわゆる西側の行動に乗るべきではない、日露関係の破綻による日本への影響も考える必要があり、下手をすればロシアが日本に侵攻してきかねないといったことを発信すると、ネット上では、かつての「在日認定」なるもののように「親露派」認定や「陰謀論」認定ということが行われています。

 

 かく言う私も「親露派」認定をされ、私の主張は「陰謀論」ということになっているようです。しかしこれまでの文書を読んでいただければ分かるとおり、ロシアの肩を持つような考えは持っていませんし、明確な事実関係に基づいて解説し、情報発信をしていますから、「陰謀論」でもなんでもありません。(ちなみに、私は大学の時に国際政治・国際法、なかんずく欧州の安全保障を研究していました。その時の知見や書籍、ノートも非常に役立っています。)

 

 むしろ日本を取り巻く国際環境も考えて冷静に対応した方がいいと言っているだけです。要は、「親露派」認定等をして喜んでいる連中というのは、思考の柔軟性を失った、ただの思考停止人間ということです。

 

 国際政治は、目先の感情論で考え、行動するのは非常に危険で、誰かの術中に落ちれば取り返しがつかないことになりかねません。

 

 もちろん、一般のウクライナ市民は今回の紛争の犠牲者であることは明らかであり、彼らを人道的に支援するのは賛成で、出来る限りのことを日本政府はすべきでしょう。ただ、低賃金労働者としてウクライナ避難民を受け入れるのというのはいけません。彼ら彼女らは紛争が終結すれば愛する故郷に帰りたいのですから、日本に滞在する間は不自由なく生活できるようにしてあげればいいのです。

 

 つらつらと書いてきましたが、避難民支援、人道支援は迅速に、紛争対応は慎重にということで、「親露派」認定連中のような思考停止に陥らないように気をつけましょうということですね。

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【室伏謙一】ネットに溢れる「親露派」認定という思考停止への2件のコメント

  1. déjà-vu より

    ロスケ は japs

    と 同じ末路を 辿るのか、、

    お可哀そうに。。。

    核兵器 使えるものなら
    アメ公に 何十発でも

    使ってほしいと おもう
    今日この頃

    返信

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  2. より

    国際法を破って侵略し虐殺までしているロシアを何故擁護できるのか理解に苦しみます。
    具体的にアメリカやウクライナの何を批判しているのかよくわかりませんが、要するにロシアにとってウクライナが邪魔という事ですかね?
    確かにロシアからしたら民主化に傾いたウクライナは大層邪魔なことでしょう。ですが邪魔だったら侵略していいという話には普通なりませんよね?
    それを言ったらロシアから見たウクライナの比ではない程、中国から見た日本は邪魔でしょう。太平洋に蓋をしていますし米軍基地まであります。邪魔で仕方無いことでしょう。
    ですが、邪魔だったら侵略していいという事にはなりません。
    そんな無茶言ってたら中国に侵略されても文句言えなくなりますよ。

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